書籍

消化器疾患最新の治療2017-2018

  • 新刊

編集 : 小池和彦/山本博徳/瀬戸泰之
ISBN : 978-4-524-25419-4
発行年月 : 2017年2月
判型 : B5
ページ数 : 514

在庫あり

定価10,800円(本体10,000円 + 税)

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文
  • 書評

年々進歩する消化器疾患における治療方針と最新の情報を簡潔に提供。巻頭トピックスでは「高度肥満症に対する治療」「胃癌薬物療法の新たな展開」「糞便微生物移植法」「インターフェロンフリー時代のC型肝炎治療」など、話題の11テーマを取り上げた。各論では、各疾患における主要な治療法はもちろん、「患者への説明ポイント」や「トピックス」はじめ治療における豆知識や禁忌などのコラムを豊富に掲載した。

巻頭トピックス
 1.食道癌に対する集学的治療
 2.食道胃接合部癌に対する治療
 3.高度肥満症に対する治療
 4.胃癌薬物療法の新たな展開
 5.糞便微生物移植法
 6.IBDに対するvedolizumabの可能性
 7.小腸内細菌異常増殖(SIBO)
 8.増加する非B非C型肝癌の実態
 9.C型肝炎治療はインターフェロンフリーの時代に
 10.C型肝炎SVR後の肝発癌
 11.膵癌の新しい薬物療法
I章 消化器疾患の主要な治療法
 1.栄養療法
 2.輸血療法
 3.内視鏡的止血法
 4.ステント治療
 5.胃瘻造設とその管理
 6.消化器癌の緩和ケア
II章 主要な消化器症状へのアプローチ
 1.腹痛
 2.悪心・嘔吐
 3.吐血・下血・血便
 4.下痢
 5.慢性便秘
III章 消化管疾患
 A.食道
  1.アカラシア
   a.内科的治療
   b.外科的治療
  2.食道炎,食道潰瘍およびGERD,NERD
  3.食道・胃静脈瘤
  4.食道癌
   a.内視鏡的治療
   b.外科的治療
   c.化学療法,放射線療法,狭窄対策
 B.胃・十二指腸
  1.急性胃炎・びらん性胃炎,AGML
  2.Mallory-Weiss症候群
  3.慢性胃炎
  4.機能性ディスペプシア
  5.消化性潰瘍
   a.薬物治療指針
   b.H-pylori除菌療法
   c.NSAIDs潰瘍の治療
  6.消化性潰瘍の合併症
   a.内科的治療
   b.外科的治療
  7.胃良性上皮性腫瘍
  8.胃MALT リンパ腫
  9.胃癌
   a.早期胃癌の内視鏡的治療
   b.早期胃癌の外科的治療
   c.進行胃癌の外科的治療
   d.切除不能胃癌の治療
  10.胃術後障害
 C.腸
  1.腸管感染症
  2.抗菌薬関連腸炎
   a.出血性大腸炎
   b.Clostridium difficile関連下痢症(CDAD)
  3.吸収不良症候群
  4.蛋白漏出性胃腸症
  5.急性虫垂炎
  6.潰瘍性大腸炎
  7.Crohn病
  8.腸結核
  9.虚血性大腸炎
  10.過敏性腸症候群
  11.小腸腫瘍
  12.mid-GI bleeding
  13.大腸ポリープ・ポリポーシス
  14.大腸癌
   a.早期癌
   b.結腸進行癌
   c.直腸進行癌
  15.大腸憩室の合併症
   a.内科的治療
   b.外科的治療
  16.イレウス
   a.成人の場合
   b.小児の場合
  17.偽性腸閉塞
  18.放射線性腸炎
  19.腸管Behcet病,非特異性多発性小腸潰瘍症
  20.痔核,痔瘻,裂肛
 D.消化管全般にわたるもの
  1.急性腹症
  2.好酸球性消化管疾患
  3.膠原病の消化管病変
  4.消化管悪性リンパ腫
  5.消化管カルチノイド
  6.消化管間質腫瘍(GIST)
  7.横隔膜ヘルニア
  8.鼠径ヘルニア
IV章 肝・胆・膵疾患
 A.肝
  1.A型肝炎・B型急性肝炎
  2.C型急性肝炎
  3.急性肝不全,劇症肝炎
  4.B型慢性肝炎
  5.C型慢性肝炎
  6.自己免疫性肝炎
  7.薬物性肝障害
  8.アルコール性肝障害
  9.NAFLD/NASH
  10.肝硬変
   a.一般的治療,外来管理
   b.反復性肝性脳症
   c.腹水
  11.原発性胆汁性胆管炎(原発性胆汁性肝硬変(旧)),原発性硬化性胆管炎
  12.代謝性肝疾患
  13.肝膿瘍,寄生虫性肝嚢胞
  14.肝嚢胞
  15.肝良性腫瘍
  16.肝細胞癌
   a.TACE,化学療法
   b.ラジオ波焼灼術
   c.外科手術と集学的治療
  17.胆管細胞癌(肝内胆管癌)
  18.転移性肝癌
  19.生体肝移植
 B.胆
  1.胆道閉鎖症
  2.胆道感染症
  3.胆嚢・胆管結石症
   a.非観血的治療
   b.観血的治療
  4.胆嚢・胆道癌
 C.膵
  1.急性膵炎
   a.内科的治療
   b.外科的治療
  2.慢性膵炎
   a.内科的治療
   b.外科的治療
  3.膵嚢胞性疾患
  4.膵癌
巻末付録
・主な消化器系薬剤一覧表
索引

序文

 ご好評をいただいている「消化器疾患最新の治療」の2017-2018年版をお届けします。本書は2年ごとに改訂を行っていますが、全体の構成としては、「巻頭トピックス」、「消化器疾患の主要な治療法」、「主要な消化器症状へのアプローチ」、そして各消化器疾患の基本および最新の治療法について、内科および外科の立場などから解説されています。この2年の間に登場した新しい治療法や大きく進歩した治療法については「巻頭トピックス」として詳しく記載されていますが、今回は11のテーマを取り上げました.
 各消化器疾患については、冒頭に「患者への説明のポイント」を箇条書き形式で簡潔にまとめたあとに、原則として「疾患の解説」、「診断と検査」、「治療の一般方針」、「生活指導」に分けて記載されています。さらに、具体的な治療成績や各種診療ガイドラインについても適宜解説が加えられており、実臨床にすぐに役立つように工夫がなされています.
 大きなトピックスのひとつは、C型肝炎ウイルスに対する治療法の進歩です。インターフェロンフリー抗ウイルス治療の時代に入りました。新薬が次々に登場し、ウイルス学的著効(sustained virological response:SVR)率は95%以上に達しています。薬剤耐性の問題は残っているものの、高い効果が少ない副作用のもとに使用できるため、これまではインターフェロンを使用できなかった高齢者や併存疾患をもつ患者さんでのウイルス排除が達成されてきています。一方、B型肝炎ウイルスもC型肝炎ウイルスもいない非B非C型肝癌の増加が大きな問題となってきています。食生活の変化などにより肥満症例が増加し、それに伴う肝発癌の増加が現実問題となってきているのです。
 腸内細菌叢と疾患の関連性は、最近の大きな話題のひとつですが、それに関連して、糞便移植療法が注目されています。炎症性腸疾患(IBD)に対する糞便移植療法の効果も検討されています。また、小腸内細菌過剰増殖も新たな疾患概念として忘れてはなりません。
 消化器外科の分野では、高齢者の増加もあり低侵襲の治療がさらに発展を続けてきています。また、高度肥満症に対する外科治療も保険収載され、減量手術はわが国においても次第に浸透しつつあります。
 このように、消化器疾患の診療は目覚ましく進歩し、また情報量も増えているため、正確な知識を習得するにはかなりの努力と時間を必要とするようになっています。これらを適切かつコンパクトにまとめて編集してある本書を、皆様の日常診療に役立てていただければと思います。

2017年1月
編者

 南江堂から出版されている「最新の治療」シリーズはいずれも内容のよさに定評があるが、消化器病専門医として、「消化器疾患最新の治療」については2年ごとの改訂のたびに必ず手に入れ、座右の書としている。今回発刊された『消化器疾患最新の治療2017-2018』の構成もこれまでのシリーズと同様で、巻頭トピックスとして最近の注目の話題がわかりやすく解説されている。例をあげると、山下裕玄先生、瀬戸泰之先生による「食道胃接合部癌に対する治療」の項では、扁平上皮癌、噴門腺あるいは胃底腺から発生した腺癌、Barrett粘膜から発生した腺癌などのheterogeneousな集団に対する術式、化学療法決定にあたっての課題が、明瞭に解説されている。また、日進月歩であるインターフェロンフリーのC型肝炎治療についても、各種レジメンにおける留意点や、今後さらに増加が見込まれるウイルス排除後の肝発癌のリスク因子について詳しく提示されている。さらに、消化器領域に留まらず広く関心を集めている話題についても、抗PD-1抗体の作用機序や消化器癌への適応の可能性、糞便微生物移植法の歴史や今後の展望について専門家による解説がなされるなど、非常に有用な情報が幅広く盛り込まれていると言える。昨今、インターネットでの医学情報の信頼性がたびたび話題になっている。インターネットでの情報収集は一見容易ではあるが、本書から一括して得られるような第一人者の発信する信頼性のある情報を、インターネット上でタイムリーに得ることはほとんど不可能なのではないかと思う。
 最新のトピックに続いて、各消化器疾患についての基本的な治療と最新の治療について網羅的に記載されている。どの疾患についても、疾患の基本情報、診断法、治療法について、根拠となる論文をあげながら、理解しやすく簡潔に説明されている。処方例が具体的にあげられているので、専門医のみならず、研修医や一般医科の先生にとっても使いやすく、有用であると思う。疾患の一例として山田篤生先生の執筆された大腸憩室をあげると、下部消化管出血の約40%が大腸憩室出血であり、アスピリンやNSAIDsが憩室炎や憩室出血のリスクを増加させることが基本情報として記載され、診断については憩室炎の圧痛点はMcBurney点より頭側にあることが多いこと、大腸憩室出血の内視鏡による出血源同定率が高くないことなどが示されている。治療については、一般的な治療に加えて、トピックスとしてバリウム充填法の最新の論文を示すなど、馴染みの少ない特殊な治療法についてもエビデンスを含めて提供されている。
 本書は目新しさだけを狙ったものでもなく、専門性を追求するあまり難解になり過ぎているものでもなく、辞書的な記述が続いているものでもなく、マニュアル的な手軽さだけを追求したものでもないと感じる。各分野で一流の執筆陣の先生方の熱意が、いずれの項目からも伝わってくる。そして、消化器疾患に携わるほとんどの人にとって有用な最新の話題と基本的な情報がバランスよく編集された非常に使い勝手のよい書籍である。本書は多くの医療者の座右に置かれ、多くの消化器疾患の患者の役に立つべき良書となっている。

臨床雑誌内科120巻3号(2017年9月増大号)より転載
評者●朝日生命成人病研究所消化器内科 崎谷康佑