書籍

変形性股関節症診療ガイドライン2016改訂第2版

監修 : 日本整形外科学会/日本股関節学会
編集 : 日本整形外科学会診療ガイドライン委員会,変形性股関節症診療ガイドライン策定委員会
ISBN : 978-4-524-25415-6
発行年月 : 2016年5月
判型 : B5
ページ数 : 242

在庫あり

定価4,320円(本体4,000円 + 税)

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文

変形性股関節症の疫学・病態等の基本的知識から、診断・各種治療法、また新たに「大腿骨寛骨臼インピンジメント(FAI)」に関するクリニカルクエスチョンを設け、主要文献のメタ解析と委員会の合議によって推奨gradeを定めた。エビデンスに基づいた診断・治療、患者への説明のよりどころとなる、整形外科医必携の書。

前文
 1.ガイドラインの作成手順
 2.ガイドラインの構成と編集方法(システマティックレビュー)
第1章 疫学・自然経過
 CQ1.わが国における変形性股関節症の有病率は
 CQ2.わが国における一次性変形性股関節症の頻度は
 CQ3.わが国における変形性股関節症の発症年齢は
 CQ4.変形性股関節症の有病率の諸外国との比較
 CQ5.変形性股関節症に遺伝の影響はあるか
 CQ6.変形性股関節症の発症の危険因子は
 CQ7.変形性股関節症の進行の予測因子は
 CQ8.変形性股関節症の自然経過は
第2章 病態
 CQ1.変形性股関節症に特徴的な骨形態は
 CQ2.変形性股関節症による疼痛に関連する因子は何か
 CQ3.変形性股関節症と関節唇損傷との関連は
 CQ4.変形性股関節症と骨粗鬆症は関連があるか
 CQ5.変形性股関節症と骨盤傾斜・脊椎アライメントは関連があるか
 CQ6.変形性股関節症が膝・足関節に及ぼす影響はあるか
 CQ7.急速破壊型股関節症と変形性股関節症との関連は
 CQ8.変形性股関節症と全身性変形性関節症との関連は
 CQ9.二次性変形性股関節症の原因は
第3章 診断
 CQ1.変形性股関節症の診断基準は
 CQ2.変形性股関節症の臨床評価基準は
 CQ3.変形性股関節症の診断において聴取すべき患者情報は
 CQ4.変形性股関節症の診断に有用な特徴的身体所見は
 CQ5.日本人の各種X線計測値の基準値は
 CQ6.変形性股関節症の診断に立位X線撮影は有用か
 CQ7.変形性股関節症におけるX線所見と臨床症状の関連は
 CQ8.CT検査は変形性股関節症の病態把握に有用か
 CQ9.MRI検査は変形性股関節症の病態把握に有用か
 CQ10.超音波検査は変形性股関節症の補助診断に有用か
 CQ11.関節鏡検査では何が診断できるか
 CQ12.変形性股関節症の診断や進行予測に血液バイオマーカー検査は有用か
 CQ13.脊椎疾患と変形性股関節症の鑑別に股関節内注射は有用か
 CQ14.変形性股関節症と鑑別する必要がある疾患は
第4章 保存療法
 CQ1.変形性股関節症に対する患者教育の効果は
 CQ2.変形性股関節症に対する運動療法の効果は
 CQ3.変形性股関節症に対する物理療法の効果は
 CQ4.変形性股関節症に対する歩行補助具・装具の効果は
 CQ5.変形性股関節症に対する薬物療法(内服)の効果は
 CQ6.変形性股関節症に対するサプリメントの効果は
 CQ7.変形性股関節症に対する関節内注入(ステロイド,ヒアルロン酸)の効果は
第5章 関節温存術
 関節温存術について
 わが国における関節温存術の現状と本ガイドラインで取り上げた術式
 CQ1.青・壮年期の前股関節症・初期変形性股関節症に対して関節温存術は有用か
 CQ2.青・壮年期の進行期・末期変形性股関節症に対して関節温存術は有用か
 CQ3.中年期以降の前股関節症・初期変形性股関節症に対して関節温存術は有用か
 CQ4.中年期以降の進行期・末期変形性股関節症に対して関節温存術は有用か
第6章 人工股関節全置換術(THA)
 CQ1.THAによるQOLの向上は
 CQ2.THAの合併症(脱臼,感染,静脈血栓塞栓症)の頻度は
 CQ3.THA術後の脱臼対策は
 CQ4.セメント使用THAは長期にわたり有用か
 CQ5.セメント非使用THAは長期にわたり有用か
 CQ6.高度架橋ポリエチレン使用THAは有用か
 CQ7.セラミックオンセラミックTHAの治療効果は
 CQ8.メタルオンメタルTHAは有用か
 CQ9.高位脱臼股に対するTHAの治療成績は
 CQ10.THAにリハビリテーションは有用か
 CQ11.青・壮年期のTHAは有用か
 CQ12.高齢者に対するTHAは有用か
 CQ13.手術進入法はTHAの成績に影響するか
第7章 大腿骨寛骨臼インピンジメント(FAI)
 大腿骨寛骨臼インピンジメント(femoroacetabular impingement:FAI)について
 CQ1.FAIの診断基準は
 CQ2.FAIに特徴的な骨形態の頻度は
 CQ3.FAIに特徴的な骨形態は変形性股関節症発生の危険因子か
 CQ4.FAIに対する治療法は
索引

改訂第2版の序

 2008年に変形性股関節症診療ガイドラインの初版が出版されて早や7年が経過した。初版では変形性股関節症(股関節症)を疫学、病態、診断、保存療法、関節温存術、人工股関節全置換術の6つの章に分け、51題のclinical question(CQ)に対して推奨文と解説を加えた。検索された文献は3,000余りに上り、股関節症のQ&Aとして読者の期待に応えてきたと思われる。しかしながら日進月歩の医学において、ガイドラインの寿命は5年以内とも言われている。確かに股関節領域においても多くの新しい話題が注目されるようになった。その例として、大腿骨寛骨臼インピンジメント(femoroacetabular impingement:FAI)やメタルオンメタルTHAにおける副作用を挙げることができる。FAIの概念は、これまで原因不明で一次性股関節症と呼んでいた病態の一部を明らかにしたし、金属イオンの深刻な問題は私たちに新しい機種がもつ危険性を自覚させた。これらの諸問題をup dateする目的で2013年に策定委員会が組織された。
 一方、診療ガイドラインの方向性も大きな変化を遂げている。初版発刊当時はRCTやcase seriesなどの研究デザインそのものを論文のエビデンスレベルとするのが通常であったが、最近ではさらにsystematic reviewを行い、それらを統合してエビデンスレベルを決める手法が取られるようになった。本ガイドラインにおいても、数多くのエビデンスを定性的または定量的にメタ解析を行うことを基本とした。また「益と害」の概念も重要視されている。すなわち、治療の効果(益)のみを記述するのではなく、合併症の発生やその医療にかかる費用(害)もバランスよく記載することが重要視されている。さらにはエビデンスの質ばかりでなく、患者の好みや希望も考慮して、ある状況下で医師と患者の治療選択をより具体的にサポートできるガイドラインを目指している。
 今回の改訂にあたり初版のCQは抜本的に見直した。新しい話題をできるだけ取り入れて、実臨床に即したCQに統廃合・整理した結果、計59題のCQとなった。上記FAIを疾患として捉えるべきか、病態として考えるべきかは議論の分かれるところであるが、改訂版ではFAIを1つの「章」として独立させ、その病態・診断・治療について概説している。今後の議論の土台になれば幸いである。
 最後に本ガイドライン改訂にご尽力された策定委員会の皆様に深謝を申し上げる。特にガイドライン作成方法論担当として参加をお願いした国際医療福祉大学化学療法研究所附属病院人工透析・一般外科の吉田雅博先生にはエビデンスの統合から推奨の決め方まで惜しみない助言を頂いた。ここに改めて心よりお礼を申し上げる。

2016年4月
日本整形外科学会
変形性股関節症診療ガイドライン策定委員会
委員長 中島康晴