書籍

今日の処方改訂第6版

編集 : 浦部晶夫/島田和幸/川合眞一
ISBN : 978-4-524-25119-3
発行年月 : 2019年3月
判型 : A5
ページ数 : 904

在庫あり

定価7,150円(本体6,500円 + 税)


正誤表

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文
  • 書評

臨床でよく見る疾患の処方をシンプルにまとめた、『今日の治療薬』の姉妹書。各疾患ごとに、薬剤の投与量・投与法など具体的な処方例を、病型や病態、重症度に応じて段階的に解説。今改訂では、一般名処方を意識して、商品名を限定しない記載にしたほか、専門医と一般臨床医の相互連携に必要な知識を「連携医療」としてさらに有用にリニューアルした。

序章 処方についての基礎知識
1章 救急治療
 1.心肺停止
 2.ショック
 3.急性脱水症
 4.重症脳障害(頭蓋内圧亢進,脳ヘルニアなど)
 5.痙攣と痙攣重積
 6.失神
 7.急性電解質異常
 8.消化管出血
 9.急性腹症
 10.熱中症
 11.熱傷
2章 輸液・輸血・栄養補給
 1.輸液療法の基本
 2.輸血の基本,輸血トラブル
 3.電解質異常補正法
 4.高カロリー輸液
 5.経腸栄養
3章 対症療法
 1.発熱
 2.頭痛
 3.めまい,耳鳴り
 4.不眠
 5.下痢
 6.便秘
 7.悪心,嘔吐
 8.食欲不振
 9.腹痛
 10.吃逆(しゃっくり)
 11.口臭
 12.鼓腸
 13.喀痰
 14.咳
 15.くしゃみ,鼻汁,鼻閉
 16.筋肉痛,関節痛,腰痛
 17.痒み
 18.浮腫
4章 循環器疾患
 1.上室頻拍,心房細動,心房粗動
 2.心室性期外収縮,心室頻拍
 3.心室細動・粗動
 4.徐脈性不整脈
 5.安定労作性狭心症
 6.不安定狭心症,非ST上昇型心筋梗塞
 7.急性心筋梗塞(ST上昇型心筋梗塞)
 8.陳旧性心筋梗塞
 9.急性左心不全
 10.慢性うっ血性心不全
 11.感染性心内膜炎
 12.拡張型心筋症
 13.肥大型心筋症
 14.大動脈瘤,大動脈解離
 15.閉塞性動脈硬化症(ASO)
 16.Raynaud病
 17.深部静脈血栓症,血栓性静脈炎
 18.高血圧症
 19.低血圧,起立性低血圧
5章 呼吸器疾患
 1.肺結核症
 2.非結核性抗酸菌症
 3.気管支喘息
 4.びまん性汎細気管支炎,副鼻腔気管支症候群
 5.慢性閉塞性肺疾患(COPD)
 6.気管支拡張症
 7.特発性間質性肺炎
 8.好酸球性肺炎,過敏性肺炎
 9.サルコイドーシス
 10.医原性肺疾患(薬剤性肺炎,放射線肺炎)
 11.肺血栓塞栓症
 12.過換気症候群
 13.CO2ナルコーシス
 14.急性肺損傷,急性呼吸窮迫症候群
 15.急性気管支炎
 16.マイコプラズマ肺炎
 17.ウイルス性肺炎
 18.細菌性肺炎
 19.在郷軍人病(レジオネラ肺炎)
 20.肺真菌症
6章 消化器疾患
 1.口内炎,舌炎
 2.食道炎,食道潰瘍
 3.急性胃炎
 4.慢性胃炎(H.pylori感染胃炎)
 5.Functional Dyspepsia(機能性ディスペプシア)
 6.胃・十二指腸潰瘍
 7.胃切除後症候群
 8.吸収不良症候群
 9.虫垂炎
 10.Crohn病
 11.潰瘍性大腸炎
 12.大腸憩室,大腸憩室炎
 13.過敏性腸症候群
 14.痔
 15.急性膵炎
 16.慢性膵炎
 17.急性肝炎
 18.B型肝炎
 19.C型肝炎
 20.肝硬変,肝不全
 21.脂肪肝
 22.胆.炎,胆管炎
 23.細菌性食中毒
 24.伝染性消化器疾患
7章 内分泌・代謝疾患
 1.糖尿病
 2.糖尿病性昏睡
 3.低血糖
 4.脂質異常症
 5.痛風,高尿酸血症
 6.Basedow病
 7.甲状腺機能低下症(橋本病)
 8.亜急性甲状腺炎
 9.副甲状腺機能亢進症
 10.副甲状腺機能低下症
 11.ADH分泌異常症(SIADH)
 12.Addison病,急性副腎不全(副腎クリーゼ)
 13.Cushing病,Cushing症候群
 14.褐色細胞腫
 15.原発性アルドステロン症
 16.成長ホルモン分泌不全性低身長
8章 腎・泌尿器疾患
 1.慢性腎臓病(CKD)
 2.慢性糸球体腎炎
 3.急速進行性糸球体腎炎
 4.ネフローゼ症候群
 5.糖尿病性腎症,高血圧性腎硬化症
 6.急性腎障害
 7.末期腎不全
 8.腎盂腎炎
 9.尿路結石
 10.頻尿,排尿痛
 11.膀胱炎
 12.過活動膀胱,頻尿
 13.淋疾,非淋菌性尿道炎
 14.前立腺肥大症
 15.前立腺炎,前立腺症
 16.Erectile Dysfunction(ED)
9章 血液・造血器疾患
 1.鉄欠乏性貧血
 2.巨赤芽球性貧血
 3.再生不良性貧血
 4.溶血性貧血
 5.赤血球増加症
 6.骨髄増殖性腫瘍
 7.骨髄異形成症候群
 8.白血病
 9.悪性リンパ腫
 10.多発性骨髄腫
 11.アミロイドーシス
 12.顆粒球減少症(無顆粒球症)
 13.特発性血小板減少性紫斑病
 14.出血傾向
 15.血友病と類縁疾患
 16.播種性血管内凝固症候群
 17.ヘモクロマトーシス(鉄過剰症)
10章 神経・筋疾患
 1.単純ヘルペス脳炎
 2.髄膜炎
 3.脳出血
 4.脳梗塞,一過性脳虚血発作
 5.くも膜下出血
 6.Guillain-Barre症候群
 7.Parkinson病
 8.本態性振戦
 9.顔面痙攣と四肢の不随意運動
 10.神経痛
 11.重症筋無力症
 12.多発性硬化症,視神経脊髄炎
11章 精神疾患
 1.統合失調症
 2.双極性障害
 3.うつ病
 4.不安症(パニック症,社交不安症,全般不安症)
 5.強迫症(強迫性障害)
 6.その他の不安症(身体症状症,解離症群)
 7.摂食障害
 8.薬物依存症
 9.アルコール依存症
 10.自閉スペクトラム症,注意欠如・多動症
 11.てんかん
 12.認知症,老年期せん妄
 13.原発性過眠症(ナルコレプシーなど)
12章 アレルギー疾患
 1.薬物アレルギー
 2.花粉症
 3.通年性アレルギー性鼻炎
 4.昆虫アレルギー(ハチ毒アレルギー)
 5.食物アレルギー,アナフィラキシー
13章 膠原病,その他の全身疾患
 1.関節リウマチ
 2.強直性脊椎炎
 3.リウマチ性多発筋痛症(PMR)
 4.Sjogren症候群
 5.全身性エリテマトーデス(SLE)
 6.全身性強皮症
 7.多発性筋炎,皮膚筋炎
 8.抗リン脂質抗体症候群
 9.血管炎症候群(高安動脈炎,顕微鏡的多発血管炎)
 10.Behcet病
14章 感染症
 1.かぜ症候群
 2.インフルエンザ(成人)
 3.水痘,帯状疱疹
 4.A群溶血性レンサ球菌咽頭炎
 5.麻疹
 6.風疹
 7.流行性耳下腺炎
 8.デング熱
 9.クラミジア感染症
 10.百日咳
 11.パルボウイルスB19
 12.破傷風
 13.梅毒
 14.皮膚真菌症
 15.敗血症
 16.HIV感染症,AIDS
 17.寄生虫感染症
 18.マラリア
15章 中毒性疾患
 1.急性中毒治療の原則
 2.急性アルコール類中毒
 3.向精神薬中毒(ベンゾジアゼピン受容体作動薬,三環系抗うつ薬,気分安定薬など)
 4.解熱鎮痛薬中毒(アスピリン,アセトアミノフェン,イブプロフェン)
 5.循環器用薬中毒(Ca拮抗薬,β遮断薬)
 6.アセチルコリンエステラーゼ阻害薬中毒(有機リン,カーバメート)
 7.違法薬物中毒(メタンフェタミン,コカイン,オピオイド類)
 8.無機金属化合物中毒(ヒ素,水銀,鉛,鉄)
16章 運動器疾患
 1.頚椎症性脊髄症,神経根症
 2.肩こり,頸肩腕症候群と五十肩
 3.末梢神経障害(手根管症候群,肘部管症候群など)
 4.腱鞘炎(上腕骨外側上顆炎,de Quervain病,ばね指など)
 5.非特異的腰痛
 6.腰椎椎間板ヘルニア(腰椎分離症,腰椎すべり症)
 7.変形性関節症(股・膝関節を中心に)
 8.骨粗鬆症,骨軟化症
 9.化膿性骨髄炎
 10.がんの骨転移
17章 皮膚疾患
 1.アトピー性皮膚炎
 2.接触皮膚炎
 3.脂漏性皮膚炎
 4.手湿疹
 5.蕁麻疹
 6.虫刺され,ストロフルス,痒疹
 7.凍瘡
 8.褥瘡
 9.光線過敏症
 10.掌蹠膿疱症
 11.乾癬
 12.ウイルス性疣贅(いぼ),伝染性軟属腫(みずいぼ)
 13.単純疱疹
 14.帯状疱疹
 15.白癬
 16.皮膚・粘膜カンジダ症
 17.疥癬,毛虱症
 18.細菌感染症(せつ,癰)
 19.にきび(ざ瘡)
 20.脱毛症
 21.薬疹
18章 妊産婦・婦人科疾患
 1.妊娠とくすり
 2.月経周期の調節
 3.思春期の月経異常
 4.月経困難症,月経前緊張症
 5.不正性器出血
 6.排卵障害,無月経
 7.更年期障害,婦人不定愁訴症候群
 8.高齢婦人とホルモン補充療法(HRT)
 9.帯下
 10.外陰炎,腟炎,外陰掻痒症
 11.外陰潰瘍
 12.子宮内膜症
 13.子宮筋腫
 14.卵管炎,骨盤内炎症
 15.妊娠悪阻
 16.乳腺炎
19章 小児疾患
 1.脱水症の鑑別とその治療
 2.発熱の鑑別とその治療(解熱薬など)
 3.痙攣の鑑別(熱性痙攣を含む)とその治療
 4.腹痛の鑑別(腸重積,虫垂炎を含む)とその治療
 5.ウイルス性急性胃腸炎
 6.下痢の鑑別(細菌性腸炎を含む)
 7.細菌性髄膜炎
 8.敗血症
 9.急性腎盂腎炎
 10.急性上気道炎
 11.クループ
 12.急性細気管支炎
 13.肺炎
 14.溶連菌感染症(リウマチ熱,急性糸球体腎炎を含む)
 15.気管支喘息
 16.アトピー性皮膚炎
 17.起立性調節障害
 18.てんかん
 19.ネフローゼ症候群
 20.若年性特発性関節炎
 21.川崎病
 22.IgA血管炎
 23.夜尿症
 24.チック
 25.糖尿病
 26.インフルエンザ
 27.薬物中毒
 28.マイコプラズマ肺炎
 29.貧血
 30.注意欠如・多動症
 31.急性中耳炎
 32.伝染性軟属腫
20章 眼疾患
 1.結膜炎,眼瞼炎,麦粒腫,霰粒腫など外眼部疾患
 2.ドライアイ,角膜炎,角膜障害
 3.ぶどう膜・視神経の炎症
 4.緑内障
21章 耳鼻咽喉疾患
 1.外耳道炎
 2.中耳炎
 3.滲出性中耳炎
 4.Meniere病
 5.突発性難聴
 6.動揺病(乗り物酔い)
 7.鼻出血
 8.副鼻腔炎
 9.咽頭・扁桃炎
 10.再発性アフタ
 11.味覚障害
 12.唾液腺炎
 13.顔面神経麻痺
22章 重要漢方処方
 1 全身症状−易疲労倦怠感
 2 消化器領域
 3 耳鼻科・呼吸器領域
 4 婦人科領域
 5 神経内科・精神科領域
 6 高齢者領域
事項索引
薬剤索引

改訂第6版序文

 『今日の処方』は1990年に初版を発行して以来、改訂を重ねて好評を得ているが、改訂第5版を2013年に出版してから5年が経過した。そこで今回は、最近の医学の進歩ならびに新薬の開発を鑑みて更なる改訂を加え、充実を図った。
 判型を大きくしたので紙面も拡大し、見やすくなった。前回の改訂時に掲載疾患をcommon diseaseとして疾患数を削減したが、今回もその方針を徹底し、読者対象を他科の医師および研修医とすることをも継承して、簡潔で明解な処方を提示することに努めた。処方例は、一般名を原則とし、先発商品名を挙げ、併売品がある場合は併記することとした。また、専門医と一般臨床医の相互連携のための項目を立てた。
 以上の事柄に加えて、本改訂版では種々の改善を施したので、一般臨床医や研修医にとって、前版以上に役立つものになったと考えている。
 本書は当初は高久史麿先生、水島裕先生が編集を、次いで監修を担当され、改訂第3版以降は6名あるいは5名の編集体制をとってきたが、今回の改訂第6版では、浦部、島田、川合の3名が総編集を担当し、さらに各章の編集を各領域の第一線で活躍されている方々にご担当いただき、最新の医療に対応する内容となるよう配慮した。
 読者の皆様の御愛読をお願いするとともに、分担執筆者の方々ならびに南江堂のスタッフの御尽力に御礼申し上げる次第である。

2019年3月
浦部晶夫
島田和幸
川合眞一

 本書は、“『今日の治療薬』(南江堂)と一緒に使ってますます便利”と謳われている処方マニュアルの改訂第6版である。『今日の治療薬』は言わずと知れた医書界のベストセラーであるが、本書も初版は1990年に出版されているので、今回の改訂まですでに30年近くの実績がある書籍である。
 しかし、まずは正直に申し上げると、評者はこれまで本書を使ったことはなかった。ほとんど大学病院で診療してきたために、電子カルテに搭載された診断/治療解説書に頼ってきたためである。2017年に職場が変わって診療所で診療するようになって本書を使う機会ができたので、短期間の経験ではあるが本書についての私の感想を述べてみたい。
 私の診療スタイルは、基本的には患者さんと相談しながら診断/治療を進めるというものである(shared decision making)。もちろん、先生にお任せします、という患者-医師関係を求めてくる患者さんには、そのように対応する。しかし今日では、初診患者を除けば、自分の病気の診断や治療のことについては、患者さんやその家族の方が担当医よりも詳しく情報をもっているということは少なくない。知らないことは知ったかぶりをせずに「知らない」と伝え、患者さんの前で懸案事項を調べてみたり、患者さんに「次までに○○のことを調べておいていただけますか? 私も調べておきます」とお願いしたりすることもめずらしくない。今後はますますこのような患者-医師関係を求める患者さんが増えてくるものと思われる。
 本書は、「基本的知識」→(この間に薬物治療アルゴリズムが入る場合あり)→「処方例」→「処方上の注意」→「連携医療」(どのようなときに、どのように専門医や二次・三次医療機関と連携すべきかを示している)の順に記載されている。最初の「基本的知識」の数行は、その領域の専門家ではない医師(本書の読者対象は他科の医師および研修医とされている)にとって有用なだけではなく、患者さんやその家族に説明する際にも参考になる簡にして要を得た記載が多い。
 処方マニュアルとしては、処方例がStep 1から段階的(Step 2、Step 3)に示されているので使いやすい。「処方上の注意」と「連携医療」を合わせて使うときわめて有用な診療マニュアルとなっている。かゆいところに手が届くようなこれらの記載は、30年の編集の積み重ねを感じさせる。
 ガイドラインが示されているのもありがたい。ただ、ガイドラインの示し方については、書物とURLとが混在しており、実用性を考えると今後はURLで統一していただくと利便性がさらに増すであろう。
 最後に、以前は、内服薬は1日量を書いて、分3などと指示していたが、2010年から正確な情報伝達をするために1回量を書くことになった。散剤や液剤は原薬量ではなく製剤量を基本とすることになっている。これらのことを含め序章の「処方についての基礎知識」は、すべての医師にとって処方についての生涯教育教材として有用である。
 本書は、診察机に置くのにも適したハンディな実践書として、救急外来、診療所、総合診療外来などに常備するのに適した非常に優れた診療マニュアルである。

臨床雑誌内科125巻2号(2020年2月号)より転載
評者●愛知医科大学 特命教授/医学教育センター長/シミュレーションセンター長/愛知医科大学メディカルクリニック総合診療科 伴信太郎

9784524251193