書籍

臨床基本手技実戦マニュアル(DVD付)改訂第2版

監修 : 亀岡信悟
編集 : 滝口進/板橋道朗/瀬下明良/神尾孝子/世川修/荒武寿樹
執筆 : 東京女子医科大学第二外科学教室
ISBN : 978-4-524-24757-8
発行年月 : 2013年11月
判型 : B5
ページ数 : 174

在庫あり

定価5,940円(本体5,500円 + 税)

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文
  • 書評

『実戦マニュアル』の手技編にもあたる、ビジュアルな手技本。臨床現場で必須の基本手技の実際を、臨場感あふれる写真をふんだんに用いて、ステップ・バイ・ステップで示す。とくに、侵襲を伴う検査・処置では、コツとポイント、トラブル対処も解説。13の手技については、手技の流れとポイントを動画でも学ぶことができる。研修医必携の、実戦志向のマニュアル。

I.基本手技
 1.消毒法
  A.腹部の消毒
  B.四肢の消毒
  C.手指の消毒
 2.手洗い法
 3.手袋装着法
  A.オープン法
  B.クローズド法
 4.ガウンテクニック
II.切開・縫合手技
 1.切開・排膿
 2.糸結び
  A.基本的事項
  B.両手法1
  C.両手法2
  D.片手法
  E.1本指法
 3.手術器具の種類と使い方
 4.注射器の使い方
 5.止血法
 6.気管切開法
  A.従来法
  B.経皮的気管切開法
  C.小児気管切開法
 7.縫合法
III.挿入・吸引手技
 1.気道確保
  A.マスク換気
  B.ラリンジアルマスク
  C.気管挿管
 2.気管内吸引
 3.排痰法
  A.体位変換(体位ドレナージ)
  B.スクィージング(squeezing)
  C.バギング(bagging)
 4.胃管挿入法
 5.胃洗浄法
 6.イレウス管挿入法
 7.S-Bチューブ挿入法
 8.導尿法
  A.男性
  B.女性
IV.穿刺、採血、血管確保手技
 1.局所麻酔
  A.表面麻酔
  B.浸潤麻酔
 2.指間ブロック
 3.腰椎麻酔
 4.硬膜外麻酔
 5.仙骨ブロック
 6.静脈血採血法
  A.肘静脈
  B.大腿静脈
  C.新生児採血法
 7.動脈血採血法
  A.大腿動脈穿刺法
  B.橈骨動脈穿刺法
 8.静脈確保
  A.前腕からの静脈確保
  B.静脈切開カテーテル留置法
 9.中心静脈カテーテル留置法
  A.内頚静脈
  B.鎖骨下穿刺
  C.鎖骨上穿刺
  D.肘静脈ルートを用いた(mid-line)カテーテル留置
  E.Swan-Ganzカテーテル挿入法
 10.静脈アクセスの取り方
 11.胸腔穿刺・カテーテル挿入法
 12.超音波ガイド下穿刺法
  A.経皮経肝胆道ドレナージ(PTCD)
  B.経皮経肝胆嚢ドレナージ(PTGBD)
  C.腹腔穿刺(経腹壁的穿刺法)
  D.腹腔内膿瘍穿刺
  E.膀胱穿刺法
 13.関節穿刺法
  A.膝関節穿刺法
  B.肩関節穿刺法
V.救急・当直に役立つ手技
 1.胸骨圧迫法
 2.電気的除細動
 3.AED装着・操作法
 4.肘内障の徒手的整復術
 5.腸重積の非観血的整復術
付録DVD収録動画
 1.手洗い法
 2.手袋装着法
 3.ガウンテクニック
 4.糸結び
  (1)両手法
  (2)片手法1
  (3)片手法2
  (4)1本指法
 5.基本的器具の使い方
  (1)はさみ
  (2)摂子
  (3)持針器
  (4)糸の通し方
 6.縫合法
 7.マスク換気・気管挿管
  (1)マスク換気
  (2)気管挿管
 8.胃管挿入法
 9.局所麻酔
 10.肘静脈血採血法
 11.超音波ガイド下中心静脈穿刺・カテーテル留置法
 12.胸骨圧迫法
 13.AED装着・操作法

2001年6月、若手外科医・卒後研修医や臨床実習中の学生を対象に、外科的手技の基本をマニュアル化した本書の初版を刊行した。初版の大きな特徴はビジュアルな手法を取り入れた点にある。時間的余裕が少ない研修医や学生のために学習の効率化を考慮し、テキストを写真集のような構成とし、さらに各種手技をマニュアル化する方向で取り組んだ。また、本書に用いた写真の撮影や分担執筆も医局の若手医師に多くを委ねた。若干荒削りではあったが、若手外科医や研修医の目線での、臨床に直接役立つ書になったのではないかと思っている。
 最近類似のテキストが数多く刊行されているが、当時はこのようなテキストは珍しく、数ヵ月医学書のベストセラーとして平積販売され、大きな反響を得るとともに7回の増刷を重ねた。しかし一方では「写真の解説文が長すぎる」、「手技に必要な手順、コツやポイント、注意点などが解説文の中に埋もれている」などの厳しくも温かい御指摘も受けた。そこで改訂第2版では[実戦手順]の前に[コツとポイント]の項を設け、[実戦手順]は各ステップを箇条書きで整理し、実際に手技を行う際の手順を分かりやすく示しつつ、手技の流れや注意点など全体像を素早く確認できるように配慮した。
 目次構成の改訂も手掛けた。初版の構成を一部見直し[切開・縫合手技]、[挿入・吸引手技]、[穿刺、採血、血管確保手技]など、研修医が臨床現場で求められる基本的手技を種類別に再編した。各手技では手洗い法、ガウンテクニックなどを、清潔操作の変更に伴い刷新し、バギング法、AEDの操作などの項目を新たに加えた。また切開、穿刺、挿入などの手技については、より安全性が高く、事故防止、患者の苦痛減につながる方法を解説した。
 付録DVDでは、手洗い法、手袋装着法、ガウンテクニック、糸結び、基本的器具の使い方、縫合法、マスク換気・気管挿管、胃管挿入法、局所麻酔、肘静脈血採血法、超音波ガイド下中心静脈穿刺・カテーテル留置法、胸骨圧迫法、AED操作法の計13の手技について約35分ほどでチェックできるようになっている。
 これらを大きな改訂点とし、この度、改訂第2版を上梓する運びとなった。近年いろいろな分野でDVDを付けた書籍が普及しているが、より質の高いテキストに仕上がったと自負している。

2013年10月
亀岡信悟

外科医としてのスタートを切ったとき、基本手技はみて学び、技は盗めと教えられたものである。ガーゼ交換、採血から手洗い、外科の基本手技にいたるまで、本書のようにオールインワンの教材はなかった。みて、自分なりに理解し、自分でやってみると、どこかがおかしい。叱られたり、人のをみて気づいたりしながら、次第にひととおりのことができるようになっていく。
 本書のようなマニュアル(人によってはハウツーものという)を本道ではないという人もいるだろうが、現在は基本手技の段階から先に身につけたり勉強しなければならないことが、筆者の駆け出し時代とは比べものにならないほど増えている。また、初期臨床研修医にとっても、基本手技を確実に身につけておくことが大切であることは、いうまでもない。その効率を最大にするために、本書は非常に役立つと思う。まず本書の内容程度は理解し頭に入れたうえで実技を始めることにより、学習曲線はもっとも急峻になる。
 本書では、消毒法、手洗い法、ガウンテクニックなどの基本手技から始まり、切開・縫合などの基本的な外科手技、そして挿入・吸引、穿刺、血管確保、救急基本手技など麻酔・蘇生・救急に関するほぼすべての基本的な手技を網羅しており、全編にわたってカラー写真とイラストを用いてステップを追って解説してある。加えて、要所のビデオをDVDに収録し、動きも合わせてみることができる。筆者自身が研修医のころにこのような本があればたいへん役に立ったと思うし、折しも卒後臨床研修センターのセンター長を仰せつかったこの時期に、本書に巡り会うことができたことは奇遇であり幸いである。
 基本手技にはエラーがつきものである。他人の身体に侵襲を加える操作であるからエラーゼロが理想であるが、自分も相手も生身の人間であり、患者の身体は形態も組織性状も一人ずつ微妙に異なる。それぞれの手技において起こりうるトラブル、それを回避するためのコツや注意点などが手技そのものと同じくらい大切であるが、本書ではその点にも言及している。
 このようなマニュアルを出版すると、必ずいろいろなコメントがくるものである。本書もその例に漏れず、寄せられたさまざまな意見やアドバイスを入れながら改訂第2版として2013年12月に世に送り出された。手技というものはいろいろなやり方があり、各病院、各医局で伝統的に行われてきた方法があるであろう。しかしこのような本が登場することによって、失礼かもしれないが「たたき台」としての役割をはたすことができるし、異なるところがあればそれについてどちらがよりよいかを考えるきっかけにもなりうる。また、この本をベースに自分なりのマニュアルをつくることもできるであろう。
 察するに今回の改訂版においても、スペースの制限や読みやすさの観点から、著者は本当に伝えたいことのごく一部しか本書に入れることができなかったのではないだろうか。実際には各ステップにおいて、その背景にあるコツや加減などがあると感じる。このような内容を伝えるために、Webにページを特設してそこに本書の数倍の情報量を入れて読者に提供することもできるであろう。おそらくそこまでできれば最強のマニュアルとなるかもしれないし、スマートフォンのアプリのように、ときどき追加の情報を入れたアップデートを実現できるであろう。
 勝手な注文は抜きにしても、本書が若手医師の研修において多大な効果を生むことを信じてやまないし、そのような書籍を作成いただいた執筆陣に感謝したい。

胸部外科67巻7号(2014年7月号)より転載
評者●高知大学第二外科教授 渡橋和政

多忙な初期研修医必携の実践的基本手技マニュアル
 評者が医師になったのは4半世紀前である。当時、医学書は理論を学ぶ本であり、実践は先輩の技を見よう見まねで身につけなければならないものであった。当時の実践書は、先輩方の手技を図入りでメモして自分でつくるものであり、実践知識の蓄積には長い年月が必要であった。
 2001年に初版が刊行され、今回大幅な改訂をされた本書は、いわばわれわれが手書きで長い年月にわたって積み重ねた努力を短縮してくれる書であると感じた。豊富な写真とともに、実際の手技をDVDでも繰り返し見直すことが可能であり、これ1冊あれば、長期間の実習経験に相当する実践的な知識を得ることができる構成となっている。また、各手技の写真に添えられた解説が実に簡潔かつ要点を得ており、多忙な研修医の現状をよく勘案した効率的な構成となっている。今日では、短期ローテーションを基本とする卒後臨床研修が必須となっており、以前のような非効率的な研修方法では、何も身につかない間に初期研修が終わってしまう危険性もある。本書は、このような今日の研修医諸君にとって頼りがいのある味方となってくれるであろう。
 それでは、実際の内容をみてみよう。本書は5つの分野に関する解説とDVD、そして各々の手技に関するピットフォール的なMEMOより構成されている。
 第I章では消毒、手洗い、手袋・術衣の装着法を、実に現場で第1日目の研修医に教えているかのような丁寧さで解説している。この章に目を通しておけば、外科系ローテーション1日目も安心である。第II章は切開・縫合であるが、特に研修医に求められている糸結び・皮膚縫合に多くが割かれている。また手術中、研修医が最初に任される仕事は多くの場合糸切りであるが、鋏の持ち方・切り方にも十分な解説がなされている。
 この後、気管挿管・胃管挿入といったさまざまな挿入・吸引手技(第III章)、局所麻酔・血管穿刺などよりなる穿刺・採血・血管確保(第IV章)、そしてAED使用法や肘内障整復といった救急・当直対策(第V章)と続く。いずれも写真をメインとして解説されており、その周辺に短文の解説が添えられていて、非常に読みやすい工夫がなされている。DVD内の動画も合わせてみることで、未経験の手技をよりリアルに学習することができる。また、針刺し事故防止などに関する重要な留意点がMEMO欄に簡潔に記述されてあるので、一通り目を通して安全な初期研修の一助としてもらいたい。

臨床雑誌外科76巻5号(2014年5月号)より転載
評者●川崎医科大学消化器外科主任教授 中村雅史