書籍

日本整形外科学会診療ガイドライン

上腕骨外側上顆炎診療ガイドライン

文献アブストラクトCD-ROM付

編集 : 日本整形外科学会診療ガイドライン委員会/上腕骨外側上顆炎ガイドライン策定委員会
ISBN : 978-4-524-24346-4
発行年月 : 2006年5月
判型 : B5
ページ数 : 64

在庫なし

定価2,160円(本体2,000円 + 税)

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文

臨床上「テニス肘」として知られる上腕骨外側上顆炎に関する「疫学・自然経過」「病態」「診断」「治療」「予後」について22のリサーチクエスチョンを設け、推奨・要約と解説を示す。エビデンスに基づいた診断・治療、患者への説明のよりどころとなる、整形外科医必携の書。付録のCDには文献アブストラクトを収載。

前文
 1.目的
 2.上腕骨外側上顆炎の概念
 3.策定組織
 4.文献検索法
 5.推奨あるいは根拠のグレード分類
 6.上腕骨外側上顆炎の診断基準

第1章 疫学・自然経過
 RQ1 上腕骨外側上顆炎の好発年齢は
 RQ2 上腕骨外側上顆炎の発症率に男女差はあるのか
 RQ3 上腕骨外側上顆炎とテニスとの関連は

第2章 病態
 RQ1 上腕骨外側上顆炎の疼痛の原因は何か
 RQ2 上腕骨外側上顆炎の障害部位はどこか

第3章 診断
 RQ1 上腕骨外側上顆炎に対するMRIの補助診断価値はどの程度か
 RQ2 問診で診断に必須な事項は何か
 RQ3 診断に重要な理学所見は何か、疼痛誘発テストの陽性率はどの程度か
 RQ4 X線検査・筋電図などの補助的診断価値はどの程度か

第4章 治療
 RQ1 上腕骨外側上顆炎にテニスバンドは有効か
 RQ2 上腕骨外側上顆炎に理学療法は有効か
 RQ3 上腕骨外側上顆炎に薬物療法は有効か
 RQ4 上腕骨外側上顆炎にステロイド剤局注は有効か
 RQ5 上腕骨外側上顆炎に鍼治療は有効か
 RQ6 上腕骨外側上顆炎に体外衝撃波は有効か
 RQ7 上腕骨外側上顆炎に手術的治療法は有効か

第5章 予後、その他
 RQ1 保存的治療法によって、予後(5年以上)に差があるか
 RQ2 発症年齢で予後に差異があるか
 RQ3 治療後の再発はどうか
 RQ4 手術的治療法の予後はどうか
 RQ5 男女別で予後に差異があるか
 RQ6 スポーツが原因の場合と、それ以外の場合の予後に差異があるか

あとがき

索引

日本整形外科学会は事業の一環として、整形外科疾患の診療ガイドラインの作成を平成14年度から開始し、平成17年に5疾患について、続いて今回3疾患の診療ガイドラインが完成した。これで11疾患のうち8疾患の診療ガイドラインを世に送り出すことができた。
 一般的に診療ガイドラインとは質の高い新しい情報に基づいて医療を提供するのに役立つ素材であり、患者と主治医がより良い解決策を探って行こうとするときに、その手引きとして傍らに置いておく資料である。今日、診療ガイドラインを出版するにあたり、診療ガイドラインを個々の患者に短絡的に当てはめてはならないことをまず強調したい。
 本診療ガイドラインは、広範囲な科学論文の検索から、疾患の専門医たちによる厳密な査読をおこない、信頼性と有益性を評価したうえで作成された。論文のエビデンスを根拠とする推奨レベルには特に多くの議論を費やした。その結果、当初、推奨度はAの「強く推奨する」からDの「推奨しない」の4段階としていたが、項目によっては科学的論文数が不十分であったり、結論の一致を見ない項目があるために、その推奨レベルとして(I)レベル「(I):委員会の審査基準を満たすエビデンスがない、あるいは複数のエビデンスがあるが結論が一様でない」を新たに追加した。このような項目に関しては、整形外科専門家集団としての委員会案をできるだけその項目中に示すように努力した。
 さらにこの診療ガイドライン作成中に、文献上認められる診断名の定義が統一されたものではないことに気づいた。このために策定委員会として診断基準を提示する必要があると考えて策定委員会案を前文に示した。また、診断方法も一定した基準がない現状を考えて、多くの医師が利用できるように、策定委員会案として診断の章に診断手順を示した。
 近年の医学の進歩に伴い、従来からおこなわれてきた治療法は今後劇的に変化する可能性がある一方で、種々の治療法が科学的根拠に基づくことなく選択されている。さらにわが国ではさまざまな民間療法が盛んにおこなわれており、なかには不適切な取り扱いを受けて大きな障害を残す例も認められている。このように不必要な治療法、公的に認められていない治療法、特に自然軽快か治療による改善か全く区別のつかないような治療法に多くの医療費が費やされている現状は、早急に改善されるべきと考えられる。
 今回作成された診療ガイドラインは、現在の治療体系を再認識させるとともに、有効で効率的な治療への第一歩であると考えられる。しかし、科学的な臨床研究により新たな臨床知見が出現する可能性もあり、今後定期的に改訂を試みなければならない。今回、取り上げた5疾患が頃度の高い疾病であることを鑑みれば、倫理規定を盛り込んだ前向きな臨床研究をおこなう必要を強く実感する。このように、より良い診療ガイドラインを科学的根拠に基づいて作成し続けることは、患者の利益、医学発展、医療経済の観点から日本整形外科学会の責務であると考えている。
2006年5月
日本整形外科学会
診療ガイドライン委員会
委員長 四宮謙一