書籍

セーフティテクニック心臓手術アトラス原書第3版

監訳 : 古瀬彰
: 幕内晴朗/川内基裕/金子幸裕
ISBN : 978-4-524-23944-3
発行年月 : 2005年10月
判型 : A4
ページ数 : 330

在庫あり

定価24,840円(本体23,000円 + 税)

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文

500点を超える精巧なシェーマによる手術アトラス。上手くいくことを前提に書かれた手術書が多いなか、本書は「過去の失敗」から得られた手術のピットフォールと注意点を満載。手術中に遭遇する合併症とその対処法を詳細に解説する。安全対策に重点を置いた「セーフティテクニック」を学ぶ貴重な一冊。

Cardiac Surgery
Safeguards and Pitfalls in Operative Technique
Third Edition
Siavosh Khonsari
Colleen Flint Sintek

第1部 基本的事項
 1. 心臓と大血管への外科的到達法
 2. 体外循環の準備
 3. 心筋保護
 4. ベント挿入と脱気

第2部 後天性心疾患
 5. 大動脈弁の外科
 6. 大動脈弁輪狭小例の手術
 7. 僧帽弁の外科
 8. 三尖弁の外科
 9. 大動脈の外科

第3部 虚血性心疾患の外科
 10. 冠状動脈バイパス手術
 11. 心筋梗塞の機械的合併症の外科治療

第4部 先天性心疾患:非開心術
 12. 動脈管開存
 13. 大動脈縮窄
 14. 肺動脈絞扼術
 15. 血管輪と肺動脈索
 16. 体-肺動脈短絡手術

第5部 先天性疾患:開心術
 17. 心房中隔欠損
 18. 総肺静脈還流異常
 19. 心室中隔欠損
 20. 房室中隔欠損
 21. 右室流出路狭窄
 22. 左室流出路狭窄
 23. 大血管転位
 24. 大動脈中隔欠損
 25. 総動脈幹
 26. Ebstein奇形
 27. 大動脈弓離断と大動脈弓低形成
 28. Norwood手術
 29. Fontan手術
 30. 冠状動脈奇形

第6部 その他
 31. 心臓腫瘍
 32. 心房細動の外科治療

本書の第1版を私どもが和訳してからはや12年になる。その間の心臓外科の進歩ならびにそれを取り巻く環境の変化はきわめて大きい。従来は手術が困難であった心疾患に対しても適応が拡大され、手技自体が著しく精緻なものになった。本改訂版には、これらの進歩が余すところなく取り込まれている。またこの間のインターベンション治療の進歩によって、心臓外科と循環器内科・小児科との関係が従来の補完的なものだけではなく、むしろ競合的なものとなった領域もある。その結果、心臓外科においても低侵襲手術の意義がきわめて大となった。このような心臓外科の変化に対しても本改訂版は十分にキャッチアップしている。
さらに、この間社会が医療事故に対してきわめて敏感になり、心臓手術の安全性の向上や心臓外科医の専門性の保証に対して厳しい目が向けられるようになった。このことは世界的な現象であるが、特にわが国では心臓外科領域において世間の耳目をそばだてる事件がいくつも発生したことと関係している。
 本書は、心臓手術手技アトラスとしてはきわめて特徴的なものである。すなわち本書は心臓手術の安全対策に重点を置いており、術中に遭遇する可能性がある多彩な合併症の予防と対応について詳述している。したがって本書は過去の失敗の集大成であるともいえる。現在ではこのように多くの合併症を自ら経験することはないであろうし、またそれが許される環境でもない。その意味で、本書のような心臓手術安全マニュアルの存在はきわめて重要なものとなってきている。手術手技アトラスというものは、大体手術の達者な方が書かれたものであるため、細かな手技やその注意については、自明なものとして省略されていることが多い。その点本書は実に細かい点についても具体的に著述されている。例えば吻合操作については、どの縫合糸を使用し、どこからどのように糸を掛けていくかなど、痒いところに手が届くような記述となっている。
 本書の三人の訳者は、いずれも欧米への留学経験があり、油ののりきった第一線の心臓外科医であって、このような実戦的な教科書を翻訳するには最適任の方である。多忙な臨床の傍ら、訳了された労苦に対し、敬意を表する次第である。なかでも幕内晴朗教授は旧版の訳者でもあり、今回も全体の統一に時間を割いていただいた。今回は、監訳者自身が、表現や用語の訳出について一字一句検討を加えた。例えば、切開・切除・切離・切断・離断・摘除・摘出などという用語は先人が定めた正しい用法で使用した。またカナ書き外来語の使用は、既に定着しているもの以外できるだけ避けるようにし、必要に応じて新しい日本語を造語した。いずれも、諸先輩の努力の賜物である正しい日本医学用語を後世に残していくのはわれわれの務めであると信じるからである。
 このようなアトラスにおいては図版の精度が高いことが要求される。今回は、最新のデジタル製版技術を応用することによって、原図とほぼ同一の明るさ、コントラスト、グラデーションなどを有する図を載せることができた。
 この「セーフティテクニック心臓手術アトラス」は、心臓外科を志す修練中の医師にとって必読の書である。本書を熟読することによって自己の医療のクオリティ・インプルーブメントに努めていただきたい。また既に心臓外科の日常診療に携わっている外科医、臨床工学技士、看護師などに対しても、それぞれの医療のクオリティ・アシュアランスに役立てていただくようお願いしたい。このようにして本邦の心臓手術の安全性が飛躍的に向上し、社会の期待に応える高い質の心臓外科治療が日常的に実施されることを願って、監訳者の序とする。
2005年9月
古瀬 孝
(一部改変)