書籍

がん 最新の薬物療法2023-2024

監修 : 石岡千加史
編集 : 関根郁夫/安藤雄一/伊豆津宏二
ISBN : 978-4-524-23371-7
発行年月 : 2023年3月
判型 : B5
ページ数 : 280

在庫あり

定価8,800円(本体8,000円 + 税)


正誤表

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文
  • 書評

2年ごとの改訂で進歩の著しいがん薬物療法領域について,最新の情報に絞り簡潔に提供.巻頭トピックスでは,がん遺伝子パネル検査とコンパニオン診断薬,二重特異性抗体,抗がん薬による心血管障害など,特に話題性の高いテーマを取り上げた.各論では,近年,臨床導入や適応拡大された薬剤からがん薬物療法における新知見まで,各抗がん薬からの切り口と臓器別・臓器横断的薬物療法からの切り口でまとめ,さらに合併症や副作用対策に関しても解説した.がん治療医,一般臨床医,研修医にとって,本領域の動向把握に役立つ一冊.

巻頭トピックス
 1 コンパニオン診断薬とがん遺伝子パネル検査
 2 がん遺伝子パネル検査の出口戦略
 3 臓器横断的がん薬物療法〜Tumor-agnostic therapies〜
 4 分子標的治療薬の耐性機構
 5 二重特異性抗体
 6 抗がん薬のバイオシミラー
 7 転移性脳腫瘍の薬物療法
 8 高齢者機能評価とがん薬物療法
 9 抗がん薬による心血管障害
 10 「がん薬物療法時の腎障害診療ガイドライン」改訂のポイント

T章 近年承認された抗がん薬
 1 セルペルカチニブ(レットヴィモ)
 2 ブリグチニブ(アルンブリグ)
 3 テポチニブ(テプミトコ)
 4 カプマチニブ(タブレクタ)
 5 トラスツズマブ デルクステカン(エンハーツ)
 6 テセルパツレブ(デリタクト)
 7 ペミガチニブ(ペマジール)
 8 イリノテカンリポソーム製剤(オニバイド)
 9 カボザンチニブ(カボメティクス)
 10 ダロルタミド(ニュベクオ)
 11 ニラパリブ(ゼジューラ)
 12 アカラブルチニブ(カルケンス)
 13 ダラツムマブ・ボルヒアルロニダーゼ アルファ配合(ダラキューロ)
 14 ポラツズマブ ベドチン(ポライビー)
 15 ツシジノスタット(ハイヤスタ)
 16 タゼメトスタット(タズベリク)
 17 デニロイキン ジフチトクス(レミトロ)
 18 チラブルチニブ(ベレキシブル)
 19 イサツキシマブ(サークリサ)

U章 臓器別がんの薬物療法
 1 頭頸部がん
 2 小細胞肺がん
 3 非小細胞肺がん
  A.ドライバー遺伝子変異あり
  B.ドライバー遺伝子変異なし
 4 中皮腫
 5 胸腺がん
 6 乳がん
  A.HER2陽性乳がん
  B.トリプルネガティブ乳がん(TNBC)
  C.ホルモン受容体陽性HER2陰性乳がん
 7 食道がん
 8 胃がん
 9 大腸がん・肛門がん
 10 消化管間質腫瘍
 11 神経内分泌腫瘍
 12 肝細胞がん
 13 胆道がん(肝内胆管がん含む)
 14 膵がん
 15 腎細胞がん
 16 膀胱がん・上部尿路上皮がん
 17 前立腺がん
 18 子宮頸がん(外陰がん・腟がん含む)
 19 子宮体がん(子宮肉腫・絨毛がん含む)
 20 卵巣がん・卵管がん・原発性腹膜がん
 21 悪性軟部腫瘍(軟部肉腫)
 22 皮膚がん(メラノーマ)
 23 中枢神経系腫瘍
 24 甲状腺がん
 25 原発不明がん
 26 非Hodgkinリンパ腫(NHL)
 27 Hodgkinリンパ腫(HL)
 28 多発性骨髄腫(MM)と類縁疾患
 29 HIV関連悪性腫瘍
  
V章 臓器横断的ながんの薬物療法
 1 MSI-High固形がん
 2 NTRK融合遺伝子陽性固形がん
 3 BRCA遺伝子変異陽性腫瘍
 
W章 注目すべき合併症,副作用とその対策
 1 がん悪液質
 2 免疫チェックポイント阻害薬による有害事象
  A.皮膚障害
  B.肺障害
  C.肝障害
  D.消化管障害
  E.内分泌障害
 3 血管新生阻害薬に共通する有害事象
 4 口腔粘膜炎および口腔内合併症

監修の序

 医学の進歩を幅広く捉えるには,教科書を基本に原著・総説論文や学術集会からの情報収集とその整理が必要である.そのため,急速な医学の進歩に知識レベルで追いつくには教科書の記載内容をアップデートし,それを収集・整理する書籍は重宝する.疾患別「最新の治療」シリーズ(南江堂)は2〜3年ごとにその疾患領域の新しい治療法を,その領域のエキスパートがコンパクトに執筆し編集した小総説集であり,その領域の専門医はもとより,他の疾患領域の専門医向けにまとめられ好評を得てきた.
 今回,このシリーズに新たに「がん」が加わった.1981年以来,がんは日本人の死因の1位であり,その治療法は外科療法,放射線療法とがん薬物療法が3本柱であるが,とりわけ,最近のがん薬物療法の進歩は目覚ましい.1997年の抗CD20抗体薬(リツキシマブ)の海外での承認に始まったがん分子標的治療薬は,2022年8月現在で149種類の薬剤が内外で承認されている.わが国においても,2021年以降に20種類近い薬剤が新たに承認され日常診療に導入されており,専門医といえどもその知識のアップデートは容易ではない.
 このような背景から,このたび,がん薬物療法に特化した『がん 最新の薬物療法2023-2024』が発刊された.本書はがん薬物療法を専門とする医師のニーズに応える1冊である.その構成は,最近のがん薬物療法のトピックスであるがん遺伝子パネル検査,腫瘍循環器学や腫瘍腎臓病学などの学際領域に関わるトピックスを巻頭にまとめ,第T章では近年承認された代表的な抗がん薬19種類について,その作用機序や適応,期待される効果と副作用に加え専門医の視点で使用上の注意事項等がコンパクトにまとめられている.また,第U章では臓器別がんの薬物療法の最新情報を必要最小限の情報に留め短時間で概要を把握できるようにまとめられている.第V章では最近適応が拡大している臓器横断的ながん薬物療法について,さらに第W章では免疫チェックポイント阻害薬による有害事象を中心に最新の抗がん薬の副作用とその対策について必要な情報を短時間で頭に入れることができるようにまとめられている.臨床の現場や症例検討会などで期間限定(向こう2〜3年間)の座右の書になるのではないかと考える.
 本書ががん薬物療法専門医はもとより,がん薬物療法に携わる医療従事者に幅広く活用されることを期待したい.

 2023年2月
 石岡千加史

 新規抗悪性腫瘍薬の種類が多すぎて「ちょっと参ったな」と感じる昨今である.若手向けの「マニュアル」,じっくり読破する「ガイドライン」とはちょっと異なる「読んで面白く」かつ「病棟や薬剤部にぜひ1冊置いておきたい」絶妙な解説本が発刊された.監修は石岡千加史先生,編集は関根郁夫先生,安藤雄一先生,伊豆津宏二先生と,実臨床を重視する先生方の采配で,コンパクトながら最新の総説集という読み応えある280ページである.
 まずは「巻頭トピックス」でもっともホットな話題が網羅されている.次に第V章で「臓器横断的ながんの薬物療法」を,そして第W章では「注目すべき合併症,副作用とその対策」をしっかりと復習しておこう.第T章と第U章は各論なので,病棟での個別患者に応じてこまめに参照したい.
 消化器癌を治療する立場としては,巻頭トピックスのキーワードであるコンパニオン診断薬,がん遺伝子パネル検査,高齢者,腎障害などが勉強になる.さらに,第U章の食道がん,胃がん,大腸がん,消化管間質腫瘍(GIST),肝胆膵腫瘍では,それぞれわずか5ページほどで実に上手にまとめられている.第W章の免疫チェックポイント阻害薬(ICI)の有害事象とその対策は,ある程度対応に慣れてきてはいるものの,まだまだ時として「ちょっと焦ったな」という経験のある先生方も多いのではないであろうか.「慣れてきたころが要注意」ということを肝に銘じる内容となっている.
 もちろん呼吸器,血液,婦人科,泌尿器科など,完璧に網羅されている.それぞれのパートでは,各領域の専門家が,ガイドライン標準治療はもちろん,「今後期待される新規治療法」についてまとめてくれているのがありがたい.昨今は,複数のがん腫を併発している患者が急増している.「肺がん治療中の胃がんをどうする?」というような場面では,専門外のがん腫に対する標準治療や現在治療中の薬剤の機序についても簡潔にまとめてくれているのは非常にありがたい.病棟の看護師や薬剤師の疑問にもただちに回答できる実践的かつ学術的情報にも言及した良書である.各種キャンサーボードでのディスカッションでもぜひ利用したい.
 「2023-2024」とタイトルにあるように,今後定期的に改訂版が刊行されることが本書には期待される.

 臨床雑誌外科85巻9号(2023年8月号)より転載
 評者●東邦大学大学院消化器外科学講座/臨床腫瘍学講座教授・島田英昭

がん薬物療法の最新動向を漏れなく,コンパクトにまとめた一冊

 医学のどの分野にも共通すると思われるが,がん治療,とくに薬物療法の進歩には目覚ましいものがある.がんの薬物療法といっても,対象となる疾患はきわめて多岐にわたり,同じ疾患であっても遺伝子変異の種類によって用いる薬剤が異なり,その領域の専門家でさえすべてを把握するのが容易ではない時代になっている.新薬も非常な勢いで開発されており,毎年多くの薬剤が臨床導入され,適応となる疾患も急速に拡大している.これらを適切に把握し,理解することは非常に難しいと言わざるをえない.
 このような状況のなかで,南江堂の疾患別「最新の治療」シリーズに新たに「がん」が加わり,『がん 最新の薬物療法2023—2024』として発刊された.「最新の治療」シリーズは,2〜3年ごとに改訂され,その疾患領域の新しい治療法をコンパクトにまとめたものである.本書は東北大学の石岡千加史教授が監修され,300頁弱にがん薬物療法のすべてがコンパクトに集約され,「巻頭トピックス」,第T章「近年承認された抗がん薬」,第U章「臓器別がんの薬物療法」,第V章「臓器横断的ながんの薬物療法」,第W章「注目すべき合併症,副作用とその対策」から構成されている.
 「巻頭トピックス」では,「コンパニオン診断薬とがん遺伝子パネル検査」をはじめ,現在がんの薬物療法に関連して注目されている10のトピックスについてわかりやすく解説されている.第T章では,近年承認された19の薬剤について,「Point」「機序」「適応と禁忌」「相互作用と副作用」「治療成績」「知っておくべき役立つ知識」に分けて,簡潔に記載されている.最初は私が専門とする肺がんを対象とする薬剤が記載されており,違和感なく読めたが,だんだんと専門外の薬剤が登場するにつれ,自分の不勉強を痛感させられた.しかし,どの薬剤も非常にわかりやすく,コンパクトに解説されているため,多くの読者にとっても理解しやすい書籍であると確信した.第U章では,各臓器に対する治療が「Point」「最近の治療動向」「今後期待される新規治療」に分けて解説されている.第V章では,高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI—High)固形がんをはじめとする臓器横断的ながんの薬物療法について,第U章と同じように解説されている.第W章では,最近注目されている「がん悪液質」や「免疫チェックポイント阻害薬による有害事象」などが解説されており,臨床に役立つ内容となっている.このように山のような情報があるなかで,必要最小限の最新情報をすべて網羅し,コンパクトにまとめあげた監修者,編集者そして執筆者の先生方に心から敬意を表したい.
 このような素晴らしい書籍ではあるものの,2〜3年で相当な改訂が必要になってしまうと想像する.せひタイムリーに内容を刷新して,改訂を重ねていっていただきたい.本書は,がんの薬物療法に携わる医師,メディカルスタッフには必須の一冊である.

臨床雑誌内科132巻3号(2023年9月号)より転載
評者●大江裕一郎(国立がん研究センター中央病院 副院長/呼吸器内科長)

9784524233717