書籍

重症喘息診療マニュアル

責任編集 : 權寧博
編集 : 飯倉元保/水村賢司
ISBN : 978-4-524-23298-7
発行年月 : 2026年4月
判型 : B5判
ページ数 : 192

在庫あり

定価7,150円(本体6,500円 + 税)

  • 新刊

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文

吸入療法のみではコントロール困難な重症喘息を,炎症機序と臨床特性の視点から体系的に整理.診断の進め方,フェノタイプを踏まえた生物学的製剤の選択フロー,治療導入後の評価と継続判断までを具体的に解説.さらに助成制度の実務的な活用法も網羅した,内科医・実地医家の重症喘息診療を力強く支える実践書.

第1章 喘息診断法・評価法
 A. 重症喘息・難治性喘息の定義
 コラム 難治性/重症喘息の定義はややこしい!?
 B. 重症喘息,難治性喘息の診断・鑑別疾患のフロー
 C. 重症喘息の評価法
  @ 質問紙票
  A 呼吸機能
  B オシロメトリー
 コラム 喘息の重症度について
 コラム 粘液栓の制御は治療成功のカギ
第2章 重症化因子・併存症の治療管理
 A. 好酸球性副鼻腔炎
 B. 胃食道逆流症(GERD)
 C. 肥満・閉塞性睡眠時無呼吸
 D. ストレス・精神疾患
 E. 誘発性喉頭閉塞症(声帯機能不全)
 F. Dysfunctional breathing
第3章 喘息病態のセルフモニタリング
 A. ピークフローメーター
 B. 喘息日誌
 C. アクションプラン(増悪時,災害時)
第4章 治療総論
 A. 吸入療法
  @ 段階的薬物投与プラン
  A 治療ステップ3内での処方パターン
 B. 増悪(発作)治療(小発作,中発作,大発作)
 コラム 経口ステロイド薬の功罪
 コラム 喘息の治療目標としての臨床的寛解
第5章 タイプ2重症喘息と生物学的製剤
 A. タイプ2重症喘息とバイオマーカー
  @ 血中好酸球
  A 喘息とFeNO
  B その他のバイオマーカー
 B. 生物学的製剤のプロファイル(標的分子,作用機序と薬剤特性,用法・用量,臨床試験の概要,安全性情報)
  @ 抗IgE 抗体(オマリズマブ:ゾレア)
  A 抗IL-5 抗体(メポリズマブ:ヌーカラ)
  B 抗IL-5Rα抗体(ベンラリズマブ:ファセンラ)
  C 抗IL-4Rα抗体(デュピルマブ:デュピクセント)
  D 抗TSLP 抗体(テゼペルマブ:テゼスパイア)
  E 長時間作用性抗IL-5 抗体(デペモキマブ:エキシデンサー)
 C. タイプ2重症喘息フェノタイプ別生物学的製剤の使い方

近年,重症喘息の診療は,まさに新たな時代の扉を開いたといえる.これまで「難治性」,「治療抵抗性」として位置づけられてきた患者群においても,生物学的製剤の登場により,症状の持続的なコントロールと生活の質の飛躍的な向上が現実のものとなった.従来,増悪の反復や副作用を伴う長期ステロイド療法に苦慮してきた臨床医にとって,この変化は治療戦略の地平を大きく拡げるものである.しかし,真に重症喘息の長期的安定を得るためには,単に新規薬剤を単純に導入するのみでは十分とはいえない.病態の多様性を正確に把握し,フェノタイプやエンドタイプの理解に基づいた精緻な評価を行い,さらに併存症を含めたアレルギー疾患の全体像の中で治療を設計する姿勢が求められる.
加えて,吸入療法の基本的技術を患者が正確に身につけていなければ,いかに優れた治療法であっても,その効果は十分に発揮されない.適切な吸入手技の指導とその継続的支援は,臨床医の重要な責務である.また,保険診療制度における経済的側面や患者利益を熟知し,治療方針の選択に際してこれらをわかりやすく説明することは,患者の納得とアドヒアランスを高めるうえで不可欠である.さらに,近年普及が進む在宅自己注射療法においては,その利便性に加え,潜在的リスクや適正使用の要点を十分に理解し,患者教育を通じて自立した治療継続を支援することが重要である.
本マニュアルは,このような実臨床の第一線で直面する具体的課題に焦点を当て,診療現場で真に役立つ知見を体系的に提示することを目的として編集された.学会の診療ガイドラインが標準的治療の理論的枠組みを示すものであるのに対し,本書はその副読本として,より実践的・臨床的な観点から病態の理解と治療戦略を詳細に解析する.最新の科学的知見を整理しつつも,診療の合間にも即座に参照しうる構成とし,「理論」と「実践」を架橋する内容を志向した.
執筆陣は,長年にわたり重症喘息の最前線で患者と向き合い続けてきた経験豊富な臨床家で構成されている.彼らが日々の診療の中で培った知見や工夫を余すところなく盛り込み,机上の理論を超えて,現場で息づく実践知として結晶させた点に本書の真価がある.
重症喘息診療の進歩は,科学の革新のみならず,患者と医療者の不断の協働によって成し遂げられるものである.本マニュアルが,日々の診療に携わるすべての医療従事者にとって信頼に足る羅針盤となり,ひいては患者の健やかな生活と社会的自立の実現に寄与することを,心より願うものである.
2026年3月吉日
權 寧博

9784524232987