書籍

症状を読めるナースが知っているロジカルアセスメント

: 櫻本秀明
ISBN : 978-4-524-22529-3
発行年月 : 2022年4月
判型 : A5
ページ数 : 184

在庫あり

定価2,860円(本体2,600円 + 税)


正誤表

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文

私たちが目前の症状に,ときに無意味とも思える検査を行い,また結果の判断を誤るのはなぜでしょう.それは日々の看護業務が“ルーティンの落とし穴”に陥っている可能性があるからです.本書では,機械的思考による弊害を避け,看護のケア過程全般にロジカル思考を行き渡らせる方法について解説します.ロジカルに症状をみて,検査方法を選び,結果を読み解くことができれば,患者個別のケアにつながり,明日の看護が変わります.

第0歩 症状を読み解く前の長い前置き
 1 目的のないところに検査(身体診察も)なし
 2 あなたは,本当に知りたいことを理解する必要がある
 3 ルーチン検査はゴミ箱行きであることが多い
 4 問題を解決するための適切な手段を探す必要がある
第1歩 探し物を明確にする(検査の目的をはっきりさせる)
 1 患者の訴えに耳を傾ける
  (a) 臨床現場はまるで「わたしは誰ですか? ゲーム」!─看護師は質問力が大事
 2 主な症状と経過を含めたショートストーリーを作成する
  (a) ショートストーリー作成の練習
  (b) ワンフレーズ化
 3 病態を推測して仮説をたてる
  (a) 問題(検査目的)のキーワード検索とリスト化
  (b) 構造物をイメージして抜けなくリスト化する
  (c) リストから本命を! 正しい疾患の診断よりも“あぶない”疾患を!
 4 仮説の検証! その前に危機察知! バイタルサインを軽視するなかれ!
  (a) 今さらだけど,バイタルサインってなんだ?
  (b) 予期せぬ急激な患者状態の変化はほとんどない
  (c) ぱっと見の印象:ABCDの評価
  (d) 血圧より呼吸?
  (e) 危険予知スコアでリスクを評価
第2歩 本当にその検査でよいか(目的にあった検索を選択する)
 1 検査の確率論的な考え方を知るー仮説を検証するためのツール
  (a) 検査(身体所見)は大きく分けると2種類!:見つける検査と頻度をみる検査
  (b) 検査は可能性(確率)変化させるツール!
  (c) 本物と偽物を見分ける目:感度・特異度
  (d) 尤度比から検査後の可能性(事後確率)を推定する!
 2 検査に振り回されないために考慮すべき4つのポイントをチェックする
 3 検査×検査で真理に近づく
 4 直感をプラスする─刑事は匂いで嗅ぎ分ける
  (a) 栄養状態は,アルブミンより主観的な評価が大事?
  (b) 医師と看護師でタッグを組んで予後予測
第3歩 検査を正しく解釈する(検査・アセスメントの実践)
 やってみよう1 めまい,嘔気で来院した救急外来患者をどう評価すればよい?
 やってみよう2 循環血液量の減少はどう評価すればよい?
 やってみよう3 心不全は身体所見だけで判断できる?
 やってみよう4 肺血栓塞栓症かどうか,どうやって判断すればよい?
 やってみよう5 痰の貯留を聴診で判断できる?
第4歩 コミュニケーションのしかた(情報とハサミは使いよう!)
 1 SBAR バカの壁
 2 多量な情報を上手にまとめる─ICUでより詳しく報告するならBysystem?
  (a) まずは,全体像
  (b) 続いて,機能的なまとまりごとに
 3 伝えたい情報をもとに話し合うために
  (a) 話す前に,勝負はついている:「信頼」
  (b) 話し合いのとっかかりを創る:「論理的」
  (c) 相手の心を動かす:「感情に訴える」
  (d) 失敗を怖がらない:「勇気を持つ」
エピローグ
付録 明日から使えるリファレンス集
 1 循環器
 2 呼吸器
 3 脳神経系
 4 腹部所見
 5 精神
 6 栄養
 7 急変・死亡
●文献
●索引

 学生時代に勉強したフィジカルアセスメント,新人時代に必死で覚えた検査値は,ともに大変重要です.これらが臨床ナースにとって身につけておくべき“基本装備”であることは間違いありません.一方で,皆さんも経験上おわかりになると思いますが,習得したアセスメント・検査の知識を機械的に臨床現場の事象にあてはめてみても,症状を読み誤ることがしばしばあります.症状を読み誤るということは,医師への適切な報告がかなわず,患者は正しい医療を受けることができないということを意味します.思考停止の機械的なアセスメントは患者や医療経済に大きな悪影響を及ぼすことがわかります.
 実は,症状を正しく読むためには,単純化された検査の知識を習得しただけでは不足で,検査の性質にも着目する必要があります.
 つまりどういった対象(患者)にどのような検査・アセスメントを行うことが適切で,さらにどのようにその結果を解釈すべきかという,各検査・アセスメントに隠された行間もあわせて考える必要があります.
 皆さんの頭の中にすでにある検査の知識をハードとすれば,その行間とは,それを適切に活用するソフトのようなものです.本書では,症状→検査・アセスメントの選択→結果のつながりをロジカルに解き明かすという意味を込めて,“ロジカルアセスメント”と名付けました.
 ぜひ本書のロジカルアセスメントをインストールして,皆さんの中にすでに格納された知識が生き生きと動きだす様子をお楽しみください.

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