書籍

超音波による乳がん検診の手引き改訂第2版

精度管理マニュアル

編集 : 日本乳癌検診学会乳房超音波検診精度管理委員会
ISBN : 978-4-524-20456-4
発行年月 : 2023年11月
判型 : B5判
ページ数 : 88

在庫あり

定価3,300円(本体3,000円 + 税)


  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文

日本乳癌検診学会編集による,被曝や侵襲のない乳房超音波検査をより安全で確実に実施・普及させるための手引きの改訂版.今改訂では,関連学会の定めた要精検基準を踏まえ実臨床で遭遇する画像所見を豊富に提示して解説.検診に携わる臨床検査技師・超音波検査士ならびに医師に役立つ記載が大きく拡充されている.

第T章 日本における乳がんの疫学
 A.日本人の乳がんの疫学
 B.日本における乳がんのサブタイプ分類から見た超音波検診の有効性の検証

第U章 超音波による乳がん検診―総論
 A.超音波による乳がん検診のあり方
 B.施設基準
 C.精度管理
 D.受診者への利益・不利益の説明

第V章 超音波診断装置の基準
 A.装置などの基準
 B.条件設定
 C.ファントムを用いた画像劣化の管理
 D.日常点検
 E.定期点検・清掃
 F.超音波診断装置の保守管理

第W章 超音波検査法
 A.検査法
 B.標準走査方法と注意点
 C.検査を行う場所の環境と検査人数

第X章 画像の記録とラベリング
 A.画像の記録
 B.ラベリング

第Y章 超音波検診における要精検基準とカテゴリー判定
 A.はじめに
 B.要精検基準作成における基本的考え方
 C.所見の分類と検診のためのカテゴリー分類
 D.腫瘤
 E.非腫瘤性病変
 F.参考所見
 G.その他いろいろな所見
 H.所見用紙・精密検査依頼書・精密検査結果報告書などの参考資料

第Z章 教育研修プログラム
 A.検査実施者のトレーニング
 B.精度管理のための教育プログラム
 C.検診従事者の認定

第[章 精密検査機関のあり方

 日本人女性の乳がん罹患数は年間約10万人に近づき,現在9人に1人が生涯のうちに乳がんに罹患し,罹患率は欧米に迫りつつある.また,罹患のピークが45〜50歳と65〜70歳にあり,近年の環境因子も加わり,罹患年齢は寿命の延長とともに高齢化しつつある.
 乳がんは他のがんと比べ予後良好で,早期発見できれば根治も可能であるにもかかわらず,日本では罹患率,死亡率ともに年々増加している.日本乳癌検診学会(以下,「本学会」という)は,「検診によって早期の乳がんを発見し,乳がんによる死亡の減少に寄与すること」を目的としており,設立以来多くの業績を積み重ねてきた.
 超音波検査は,わが国ではすでに任意型の乳がん検診を中心に広く利用されているが,その有効性に関する科学的根拠はないままであった.そこで40歳代の女性を対象にマンモグラフィ単独とマンモグラフィに超音波を加えた乳がん検診の有効性を検証する世界初,日本発のランダム化比較試験であるJ-START(Japan Strategic Anti-cancer Randomized Trial)が本学会元理事長の大内憲明先生を研究リーダーとして2007年にエントリーをスタートした.2016年にそのprimary endpoints(感度,特異度,がん発見率)が『Lancet』に発表され,マンモグラフィ単独よりも超音波併用で早期乳がんを多く発見でき,中間期がんが少なく,感度も有意に高かった.しかし,超音波併用検診の死亡率減少効果については結論が出ておらず,精度管理などで解決すべき課題も少なくない.任意型と一部の対策型検診ですでに行われていた超音波検診は,J-STARTの結果を受けてさらに広まりつつあった.
 そこで精度管理のマニュアルを作成することが急務であると考え,2016年7月に本学会の乳房超音波検診精度管理委員会の東野英利子委員長が中心になって,J-STARTで使用されたガイドラインに最新の知見を加え,適切な精度管理の実施とその達成度について自己ならびに外部機関が評価できるよう検診従事者にとって必要なことをできるだけわかりやすく記載することを念頭に本書初版を作成,刊行した.
 その後,2020年1月に増刷に伴う軽微な改変を行った以外,大きな改訂をしないままに経過していた.2021年にJ-STARTの二次調査の結果が『JAMA Network Open』に掲載され,超音波検査併用によりマンモグラフィ検診の偽陰性問題を解決できる可能性が示された.
 超音波乳がん検診は全国に普及してきており,精度管理の普及が極めて重要となっている.乳がん検診に携わるすべての医療者が知っておくべき基礎的知識を網羅したマニュアルへの要望がよりいっそう高まってきた.2018年11月に乳房超音波検診精度管理委員会でその必要性を確認してから2019年の委員会で改訂活動方針を決定,5年後の2023年11月の改訂版発刊を目指して改訂作業を進めてきた.
 改訂にあたってはまず改訂内容の原案を作成し,理事会承認後,2022年の第32回学術総会でその内容を発表し,学会員からの意見を求めた.それらをもとに原稿を作成し,パブリックコメントを経て改訂版が完成した.
 改訂版の要点は,第T章(疫学),第U章(総論)の更新,第V章(装置)では,検診に使用すべきでない装置としてメーカーが保守点検を終了した機種を具体的に列記した.第W章(検査法)では画像も追加してより実用的なものとした.第X章は記録についてより具体的に説明を加えた.第Y章では読影と判定について,改訂前のかなり簡便なものから,現在乳がん検診精度管理中央機構の講習会で使用されている要精検基準に新たに画像を加えて詳細なものとした.また,第Z章では最新の教育プログラムについてまとめ,第[章(精密検査機関のあり方)については日本乳癌学会と本学会が連携して改訂した2022年版基準を掲載した.
 本書では,超音波検査を中心に記載されているが,乳がん検診の基本はマンモグラフィであり,超音波単独で行うことは考えていない.あくまでも精度管理や報告書に関してはマンモグラフィ検診との併用を考慮して作成した.
 超音波併用検診に関しては2023年8月9日の「がん検診のあり方に関する検討会」でも討議され,対策型検診でも超音波併用検診の実現が期待されている.本書が精度の高い超音波併用による乳がん検診の実施に向けても役立つことを祈っている.今後も時代の要請に合わせて本書の改訂を行っていく所存である.
 最後に今回の改訂にあたり献身的に作業していただいたすべての関係者に感謝を申し上げるとともに,この改訂版が超音波併用検診の現場で大いに活用されることを願っている.

2023年10月
日本乳癌検診学会 理事長 丹黒 章
日本乳癌検診学会乳房超音波検診精度管理委員会 委員長 渡邉良二

9784524204564