理学療法学部・学科
つくば国際大学 医療保健学部 理学療法学科

Visible Body Suiteを活用した多面的な解剖学教育
― 人工知能(AI)や学習管理システム(LMS)連携による新たな学習アプローチ ―

インタビュー

つくば国際大学医療保健学部理学療法学科で「解剖学実習」の授業を担当している向後和典先生、山本竜也先生に、
Visible Body Suite(以下Visible Body)についてお話を伺いました。

まず、Visible Body Suiteを導入された背景について教えてください。

Visible Body導入以前は、教科書やスケッチを中心とした授業により、身体構造の理解を深めることを目指していました。
ただ、学生の興味・関心を維持させることや、実際の人体解剖のような立体的な理解を深めることには難しさがありました。特に、長時間にわたってスケッチを続ける授業では、どうしても学生の集中力が途切れやすいという課題も感じていました。
そうした中で、模擬的ではあるが、人体解剖に近い形で立体的な人体構造を観察できるツールがあれば、学生の興味を引き出しながら理解を深めることができるのではないかと考え、Visible Bodyの導入を決定しました。

実際に導入された際、どのような形式でスタートされたのですか?

学生への学習課題として最初に活用したのは、Visible Bodyのサイトに用意されている 英語のワークシート(PDF)です。
(※日本語対応版も用意されているが、英語版に比べてPDFコンテンツ数が少ない)
授業前にPDFの内容を日本語化するという選択肢もありましたが、そこに時間と労力をかけるよりも、既に完成されている英語の教材をそのまま活かした方が効果的ではないかと考えました。

英語のまま使用することに抵抗はありませんでしたか?

むしろその点は前向きに捉えました。
「医療英語に慣れる」というサブテーマを設定し、あえて英語教材をそのまま使用しました。AI翻訳ツールを活用することで、多面的な学習につながるよう設計しています。
AIが容易に使える環境になった現在、言語の壁は大きく下がり、自然に医療英語に慣れていける最適な学習環境になっていると感じています。

そのような設計の中で、Visible Bodyはどのように活用されているのでしょうか?

Visible Bodyは、単なる教材ではなく、多機能な学習ツールとして柔軟に活用できる点が大きな特長です。授業の設計次第で、学生の主体的な学習を促す様々な「素材」として利用できます。具体的には、講義でのモデル提示、予習・復習のための自習ツール、解剖学的な構造を理解するためのアクティブラーニング素材など、教員の意図に合わせて幅広い使い方が可能です。
このように作成された多様な課題は、学習管理システム(LMS)であるGoogle Classroomを活用し、課題提出やフィードバック採点を含めてWeb上で一括管理できるようにしています。スマートフォンからの写真添付などを含め、提出物を全て電子化することにも成功しています。

授業設計はどのように変化していきましたか?

1年目はまずシンプルに、Visible Bodyの英語ワークシートを中心に授業を進めました。
英語PDFをAI翻訳ツールで読み解き、Visible Bodyでその立体構造を確認しながら、日本語で課題の回答を提出するという流れです。
ただ、この形だとどうしても授業が単調になりやすく、学生が途中で飽きてしまうという課題が見えてきました。

その課題を受けて、どのように改善されたのでしょうか?

2年目以降は、Visible Bodyの機能を最大限に活用して「学生を飽きさせない」ことを重視し、課題の構成を大幅に見直しました。
メインとなる英語のPDFワークシートはそのまま活かしつつ、

• フラッシュカード(構造の理解) • クイズ(名称の理解) • メモ(気づきや学びを言語化する)

といったVisible Bodyに内蔵されている複数の機能を活用した課題を組み合わせるようにしました。
一つの課題で完結させるのではなく、複数の機能を組み合わせることで、多角的な視点から理解を深められるように設計しています。

Visible Bodyの特徴を活かした活用方法について教えてください。

最大の特徴は、解剖学的構造をレイヤー(層)状に表示・操作できる点です。教科書やスケッチといった平面的な教材では捉えにくい身体の「奥行き」を、3Dモデルとして直感的にイメージできるのは大きな利点です。
この機能を活用し、フラッシュカードを用いた学習課題では、体表の浅層から深層へと段階的に構造を整理させる設計を取り入れました。具体的には、筋や臓器を「第1層」「第2層」「第3層」と層ごとに分類して提示し、身体の階層構造を順を追って確認できるように提示しています。
この取り組みは前向きな感触を得ており、学生からは「身体の重なりが明確になった」と手応えを感じる声が多くありました。特に、筋膜や腹膜のように位置関係がイメージしにくい組織も、レイヤー操作を通じて立体的に整理され、理解が促進されているように感じています。

学生の反応はいかがでしたか?

最初は英語に戸惑う様子も見られましたが、翻訳ツールやAIを使いながら取り組む中で、徐々に慣れていきました。結果的に、「英語だからできない」という感じではなく、「ツールを使えば理解できる」という感覚に変わっていった印象です。
特に印象的だったのは、クイズ機能を用いたアクティブな学習課題への反応です。3Dで出題されるクイズは非常に好評で、学生同士での教え合いが自然に生まれるなど、授業全体の活気が格段に向上しました。

授業設計で特に重要だと感じていることは何ですか?

とにかく単調にしないことです。
同じ形式の課題を続けるとどうしても飽きてしまうので、いくつかの課題を組み合わせてバリエーションを持たせ、多角的な視点から理解を深めていくことが重要だと思っています。
一皿ごとに変化や驚きがあるコース料理のように、少しずつ異なる学習体験を積み重ねる構成が大事だと感じています。
Visible Bodyはその意味で「見る(観察する)」「操作する」「書く」「解く」といった活動を一つのツール内で完結できるので、授業設計の幅が広がります。

最後に、導入を検討している皆様へのメッセージをお願いします。

Visible Bodyは、非常に多機能で高性能なツールです。この優秀な素材をAIやLMSとどのように組み合わせ、「面白い授業」を作り上げるかが、教員による授業設計の重要なポイントだと考えています。
当初は、学生がツールを効果的に活用できるよう、教員が日本語PDFのような「橋渡し教材」を新たに作成すべきだと考えていました。しかし、実際の授業経験から感じたのは、AIなどのツールの使い方を紹介するだけで、学生は自身の力で学びの道筋(橋)を作り、主体的に深い学びへと進めるということです。
したがって、教員の重要な役割は、「まず使って、考えてもらう」という主体的学習の流れに、学生をいかに乗せられるかという点にあると思います。今後、それぞれの大学の工夫を共有し、より良い活用方法を見出せていけたら嬉しいです。

インタビュー実施日:2026年5月