AFIPアトラスシリーズ

病理学領域における必携シリーズ AFIPアトラスシリーズ

米軍病理研究所(ARMED FORCES INSTITUTE OF PATHOLOGY: AFIP)のデータベースを基に編集される、
大好評の腫瘍および非腫瘍病理アトラスシリーズ

AFIPアトラスシリーズとは

米軍病理研究所(ARMED FORCES INSTITUTE OF PATHOLOGY: AFIP)のデータベースを基に編集される、大好評の腫瘍および非腫瘍病理アトラスシリーズ。WHO分類シリーズと並び、病理学領域における必携シリーズである。

腸の腫瘍、骨や関節の腫瘍、リンパ節や脾臓の腫瘍といった分野ごとのアトラスには、診断と治療における概要や、視覚的かつ詳細な図が盛り込まれている。また、非腫瘍性アトラスでは、炎症性疾患などの様々な非腫瘍性疾患を網羅している。

腫瘍および非腫瘍の病理学の領域の専門家が、自ら知見を最新かつ最も正確なものとするためには、本シリーズを利用することが最善の方法であると言えるだろう。

書籍サンプルページ(PDF)

Fascicle 5 唾液腺腫瘍
Fascicle 6 胎盤の病理学
Fascicle 8 骨と関節
Fascicle 9 腎臓・膀胱・泌尿器関連腫瘍
Fascicle 10 肝臓の非腫瘍性疾患

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書評

高橋利幸

高橋 利幸先生

医療法人彰和会 北海道消化器科病院
病理部長

AFIP アトラスシリーズは既にworld-wideな評価が確立され、多くの診断病理医にとってのバイブルとなっており、他に比類のない本シリーズの価値についてはあらためて述べるまでもない。本シリーズの特徴の一つは各臓器別分冊の巻頭に、鮮明なカラー写真によって解説される正常のanatomical、histologicalな記述が充実している点にある。これは疾患となって反映される病理組織学的な所見との対比の理解に役立ち、1巻で組織学と病理学の両アトラスとしての役割を兼ねている。歴史的には現在5th seriesが刊行中で、筆者が初めて本シリーズを手にした頃は2nd seriesが刊行中であったが、医学・病理学の進歩とともに、改訂ごとに内容が一新されており、その当時とは隔世の感がある。特に3rd seriesからは組織写真のほとんどすべてがカラーになったことで、組織像の理解が大いに容易になり、4th seriesでは写真のサイズが全体的に大きくなったことでさらに見やすくなった。

近年の分子生物学の進歩によって、病理学における腫瘍の分類や診断はより詳細かつ明確になっているが、本シリーズでも改訂ごとにその成果が反映されている。たとえば筆者が日常診療で多く扱っている消化器系臓器のTumors of the Intestinesについて、3rd seriesではcolorectal adenocarcinomaに関するmolecular pathways in the adenoma-carcinoma sequenceが記載されているのみだが、4th seriesではserrated polypsの項目が新たに設けられ、hyperplastic polypとsessile serrated adenoma/polypが区別されて、発癌に至る遺伝子変化が鮮明なカラー写真とともに掲載されている。さらにTumors of the Liverの巻では混合型肝癌について、3rd seriesでは肝細胞癌の章で数行に渡って記載されているのみであるが、4th seriesでは1つの章として独立し、遺伝子的変異に基づく亜分類が記載されている。これらの分類についてはWHO分類でも未だ結論は出ておらず、今後本シリーズにおいてもさらに改訂がなされていくであろう。読者にとってはAFIP アトラスシリーズとWHOのブルー・ブックシリーズとの併用によって、これらの腫瘍に対する相補的な理解が進むことは確実である。

また現在刊行中の5th seriesでは、従来Tumor Pathologyとは別シリーズで刊行されていたNon-Tumor Pathologyが組み込まれ、AFIP Atlases of Tumor and Non-Tumor Pathologyとして一連のシリーズとなったことで、日常診療において、より使いやすいものになった。消化管生検における病理診断の果たす役割は、現在非常に多様化し、単純なGroup分類のみでは、臨床医の負託に十分にこたえられているとは言い難い。現シリーズの4巻として刊行されたNon-Neoplastic Disorders of the Gastrointestinal Tractでは、炎症性腸疾患や各種の感染症に加えて、薬剤による医原性病変、血管性病変による粘膜異常、collagenous colitisや好酸球性胃腸症、全身性疾患や免疫異常によって引き起こされる消化管病変のほぼすべての所見が、組織写真(一部は内視鏡所見)とともに具体的に提示されており、非腫瘍性消化管疾患の診断になじみのない病理医にとっても鑑別診断が可能となるよう配慮されている。日々数十件の消化管生検を診断する筆者にとっても、多数の新たな発見と驚きに満ちた内容となっている。まさに一読三嘆の書であり、消化器病理を専門とする病理医、それ以外の一般の病理医にとっても、消化管生検診断においてはぜひとも座右に置きたい一冊である。