●基本ルート
書籍で解説したとおり,プローブ操作には3つのメインルートがある.ここでは,動画で標準画像間を移動していく途中の景色も含めて見ていこう.
ルート1(プローブを進める):ME 4Cから胃内へ
まず,最初のルートの全体像をおさらいしておこう.この図は,テキストの図のうち,ルート1に関するものだけ取り出したものである.

スタートとなるME 4Cでは,左房をacoustic windowとして左右の心房,心室がほぼ対称的に配列している[ME 4C].このとき,トランスデューサは左房レベルにある.ここからプローブを胃まで進めていく[4C to SLV].トランスデューサが左房の底面を過ぎて房室間溝レベルに達すると,左房が消失し,左房があった位置に冠静脈洞が現れ,左室は冠静脈洞を通して描出される.冠静脈洞は,トランスデューサ前面を横切って,画面右上の方に向かう.このとき,トランスデューサはまだ横隔膜直上にある.さらにプローブを進め,トランスデューサが食道裂孔を通って胃に入ると,冠静脈洞が消える.プローブが胃に入ると,トランスデューサは心臓から次第に遠ざかっていくため,左室の画像は画面下の方に逃げていく.消えてしまいそうになってもトランスデューサはまだ心臓の方に向いているから,そのままUPをかけると肝左葉とそれを通して左室が再び現れる.当然のことながら(意識するしないにかかわらず),肝左葉とトランスデューサの間には胃壁がある.UPをかけていくと,左室は短軸像となる(TG mid SAX).さらにプローブを進めていくとdeep TG LAXが現れる.ここまでが,ルート1である.このME 4Cから胃までのルートは左室の描出だけでなく下大静脈や腹部大動脈の描出でも共通なので,目を閉じていてもできるよう指先の感覚を覚えておこう.横隔膜あたりで食道周囲の組織のため一時的に画像がかき消されても,異常な抵抗さえなければ覚えている方向に進めていけば,目的の画像が現れてくるものである.
