病理診断学において
必要な情報を簡潔にまとめた
Pathology
Survival Guides
シリーズ

Pathology Survival Guides

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シリーズとは

病理診断学を学習するための素晴らしい教材は多数存在するものの、その多くは膨大な情報量で、素早く情報を手に入れたい読者にとってはわかりにくいものが多いのが現状です。
本シリーズは、病理診断学において必要な情報を簡潔にまとめた Dr. Elizabeth Montgomery が監修に携わる新シリーズです。
研修医だけでなく、各臓器系についてあまり親しみがなかったり、知識を整理したい熟練の病理医にとっても手助けとなるように作られています。

Series Editor
Dr. Elizabeth Montgomery

1984年にジョージワシントン大学を卒業し、現在はJohns Hopkins大学に病理医として所属しています。
専門は消化器病理と骨軟部腫瘍。
AFIPシリーズや、生体組織検査解説シリーズなど病理学に関する著名な書籍を多数執筆しています。

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執筆者からのメッセージ

大島喜世子

シリーズVol.6 執筆者

大島 喜世子先生

ジョンズホプキンス大学 医学校病理学 准教授
肝臓診断病理部 主任

アメリカの新学期、7月1日は、医学校を6月に卒業したピカピカのドクター1年生が研修医として多数病院に登場します。目の輝く、意欲溢れる若いドクターを迎え活気にあふれる時でもあるとともに、前途有望な新人をきちんと指導しなければいけないと責任の重さを感じる時でもあります。私は東京慈恵会医科大学を1983年に卒業、外科医局に8年勤務しました。その後、研究目的で渡米して30年経ちます。シカゴのイリノイ大学で病理研修を修了し、1997年ジョンズホプキンス大学病理学の肝臓病理診断部の主任に就任しました。今までアメリカの5つの医学校で病理の研修医の指導をしてきましたが、アメリカのトップ校であるジョンズホプキンス大学病理部にマッチングした研修医達はさすがに皆さん優秀です。Ph.D.(基礎系大学院博士号)をすでに取得している人も多く、臨床の基礎知識のみならず学術面に対する積極性や能力に優れ、見ていて羨ましい限りです。しかしどんなに優秀であっても、やはり医学校新卒の研修医の指導は、時間と労力を要するもので、教官のみならず先輩の研修医達が大きな指導の役割を担っています。アメリカの病理研修期間は3~4年で、研修修了後、専門医の試験に合格して、初めて独り立ちして病理診断することが許されます。

このジョンズホプキンス大学病理部の研修医4年であったDr. Diana Molaviは、実践的な病理診断の知識がゼロである新卒を出発点に、模索の中臓器ごとに基本重要事項をノートにまとめ、さらに先輩研修医として新卒を指導した実績をまとめ、病理診断学を初めて学ぶ人向けに書いた教科書、“The Practice of Surgical Pathology: A Beginner’s Guide to the Diagnostic Process”を2008年に出版、実践的で有用であると大好評を博しました。当時、ジョンズホプキンス大学病理学教授、消化器病理部主任で、米軍病理研究所(Armed Forces Institute of Pathology:AFIP)アトラスシリーズの編集者であったDr. Elizabeth Montgomeryもこの教科書に感銘を受け、情報量を選択した初心者に親しみやすい教科書が今までなかったことに着目し、このPathology Survival Guides Seriesが誕生したのです。Dr. Montgomeryの専門分野である消化管、軟部組織からシリーズが始まり、皮膚、内分泌、前立腺病理が出版され、今回私が依頼を受けました肝臓生検が出版されました。

新しい分野を学ぶ際には、基本点を中心に全体の概要をまず把握することが、個々の細かな知識を漫然と得るよりも大切であると思います。分厚い詳細な教科書を長時間かけて1回読破するより、このシリーズのように、基本的なことについて多くのイメージを使い、わかり易く書いてある本を繰り返し読み理解することが、初心者にとって効率のよい習得法でしょう。

日本人にとって、英語習得は決して容易ではなく、平易な英語で書かれたこのシリーズを読破することは、英語力の向上につながると確信しています。また、アメリカの医療は様々な人種の患者を診療するため、日本に比して疾病の種類が多岐にわたり、日本では稀な疾患も日常的に診断されることもあり、日米の医療事情には大きな違いがあります。これらを学ぶうえでは、すでにその分野で経験のある日本の病理医にも役立つシリーズだと思います。

一人でも多くの日本の病理医の方に、このシリーズを手にとっていただけることを願っております。

書評

工藤和洋

工藤 和洋先生

弘前大学大学院 医学研究科
分子病態病理学講座
助教

病理診断の「格に入る」ための
最上の参考書

令和3年現在、病理医17年目の工藤和洋と申します。私は Pathology Survival Guides Series を第1巻からすべて購入し、愛用しております。

本シリーズは厚さが約1.2cm程度と薄く、AFIPアトラスと比較して重量が非常に軽い本になっています。そのため、毎日の鏡検時にすぐに眺められるようにと意図されていると思います。ページをめくってみますと、フォントやページ構成はAFIPアトラスとほぼ同じです。病理医にとってはすっかりおなじみのレイアウトですので、すんなりと見ることができます。

以前は、皮膚や軟部腫瘍の鏡検中に「困ったな」と思った場合、ハードカバーの某書をまず参照しておりました。しかし、それらは大変重く、本棚から引っ張り出してきて、ページをめくるのに毎回難儀しておりました。その一方で、本シリーズは大変扱いやすいため、気軽に本棚から引っ張り出してくることが可能です。最近はこちらが第一選択となり、もう少し詳しく知りたい場合に重い成書にあたる、という流れになりました。

内容も、診療に必要な事項が幅広く、漏れなく掲載されており、痒いところにしっかりと手が届く内容となっています。特に、収載されているTable では、疾患概念、鑑別診断、診断のポイントがすっきりと整理されており、秀逸です。

若手の入門書として本シリーズを推奨します。俳諧の世界では、「格に入りて格を出でざる時は狭く、また格に入らざる時は邪路にはしる。格に入りて格を出でて初めて自在を得べし」とよく言われます。「格に入る」というのは基礎や型が身についていることです。診断病理医であれば、各疾患について、標準的、典型的な肉眼像、病理組織像、免疫組織化学的所見がきっちりと身についている状態のことです。本シリーズに掲載されている病理組織の写真は、各疾患の特徴を極めて明瞭に示しているものであり、「格に入る」ために最適です。「自分が初心者の時にこのような教科書があれば、もっとスムーズに正しい病理診断のスキルが身についていたのに」と惜しまれます。

本書を拝見すると、スポンジに水が染み渡る如く、組織像の特徴を非常にスムーズに理解できます。それは本シリーズの Figure が非常に模範的であるためと考えます。写真のピントがぴったりと合っているのは勿論として、組織の位置、角度、余白の活かし方がどれを拝見しても非常に適切です。本書の写真撮影には、著者の先生方の全精力が注がれていることがうかがわれます。

パラパラとページをめくってみますと、中堅の私達にとってもはじめて見る組織像や知見も掲載されており、「こんなことがあるんだ、知らなかったなあ」と感嘆させられます。疾患の分類、概念、診断基準に関しても最新の内容ですので、知識のアップデートにも有用です。

以上、本書はAFIPアトラスの、ページ数だけを減らして、かつ内容がそれと全く遜色ないという奇跡を成し遂げた、大変優れた参考書です。初学者はもちろん、ベテランの先生にもおすすめできる内容です。日常診療のお供として最上ですので、皆様のお手元に1冊ずつ置かれますことを強くおすすめします。今後も、さらに多くの臓器に関する新しい巻が発行されるのを心より楽しみにしております。