今週の本誌
November 21, 2002
監訳:北村 聖 (東京大学医学教育国際協力研究センター教授)
   坪野 吉孝(東北大学大学院医学系研究科公衆衛生学助教授)
This Week in the Journal
「HPV-16 に関連する子宮頸部上皮内腫瘍の 9 症例は,すべてプラセボ投与群に起った.」 ヒトパピローマウイルス 16 型に対するワクチン
A Vaccine against Human Papillomavirus Type 16

ヒトパピローマウイルス 16 型(HPV-16)は,性行為で感染し,子宮頸癌の 50%にみられる.この無作為二重盲検試験では,血清検査で HPV-16 陰性の女性を対象に,HPV-16 L1 ウイルス様粒子を主成分とするワクチンの有効性を評価した.ワクチンは,HPV-16 感染の予防にきわめて有効であった.

HPV-16 感染に対する免疫を非感染女性に与えれば,子宮頸癌の発生率が低下する可能性があるため,この研究は,公衆衛生上重要な影響をもつといえる.ワクチン投与を受けた女性の 99.7%に抗体検査の陽性化がみられ,中央値 17.4 ヵ月の追跡期間の後,HPV-16 に感染した例はなかった.

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1645 ページ(editorial,1703 ページ)


陰部ヘルペスに対するワクチン
A Vaccine against Genital Herpes

2 つの二重盲検対照臨床試験で,陰部ヘルペス疾患予防に対する,糖蛋白 D サブユニットワクチンの有効性が評価された.このワクチンは体液性・細胞性反応を惹起したが,有効性は,単純ヘルペスウイルス 1 型(HSV-1)と単純ヘルペスウイルス 2 型(HSV-2)の両方について血清反応陰性の女性においてのみ認められた(2 つの試験における有効率は 73%,74%).ワクチンは,HSV-2 血清反応陰性の女性において HSV-1 血清反応陽性の場合は有効ではなく,男性に対しても有効ではなかった.

陰部ヘルペスは流行病であり,症候性疾患とウイルスの伝播の双方を予防できるワクチンが必要とされている.これらの試験では,このワクチンの有効性が一部明らかになったが,HSV-1 と HSV-2 の両方について血清反応陰性の女性に対してのみであった.このワクチンが無症候性感染を予防でき,HSV の伝播を減少させることができるかどうかは依然として不明である.

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1652 ページ(editorial,1703ページ)


腺癌に対する経胸的食道切除術と経裂孔的食道切除術の比較
Transthoracic versus Transhiatal Esophagectomy for Adenocarcinoma

この研究では,食道または胃噴門部の腺癌に対する拡大経胸的切除術と限定経裂孔的切除術を比較した.両群の 5 年生存率には有意差はみられなかった.全生存率の傾向にも有意差はみられなかったが,後年に経胸的切除術が有利であることが示された.

癌に対しては,より拡大した侵襲性の大きい手術のほうが,より限定した侵襲性の低い手術よりも優れているのであろうか? 合併症の発生が多い拡大手術か,より限定した手術かの選択は,いまなお個人の選択と合併症の有無によって決る.

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1662 ページ(editorial,1705 ページ)


繊維性骨異形成における視神経管の狭窄
Narrowing of the Optic Canal in Fibrous Dysplasia

繊維性骨異形成患者では,視神経管が異常な骨によって狭窄を受けている可能性がある.失明は合併症の 1 つであるが,視神経の予防的外科的減圧術が有用であるかどうかについては議論がある.多骨性線維性骨異形成または McCune-Albright 症候群の患者 38 例を対象にしたコンピュータ断層撮影研究の入念な分析では,ほとんどが視神経管の完全な不整狭窄を有していたが,視神経管の大きさと視力との明らかな関連はないことを示していた.

この研究結果は横断的なものであり,経時的研究が必要である.しかし,知見は,視神経管の狭窄がそれ自体失明をもたらすのではないことを示している.したがって,予防的外科的減圧術はこれらの異常を有する患者には適応ではない可能性がある.

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1670 ページ


Special Article:外来診療と心筋梗塞後の死亡率
Special Article: Ambulatory Care and Mortality after Myocardial Infarction

65 歳以上の患者 35,520 例を対象に,外来診療を行う医師のタイプと心筋梗塞後の死亡率との関連を,メディケアデータを使用して評価した.複数の考えうる交絡因子で補正後,退院後 3 ヵ月で心臓病専門医の診察を受けた患者では,内科医または一般開業医のみの診察を受けた類似した症状の患者よりも 2 年後の死亡率が低かった(14.6% 対 18.3%,P<0.001).心臓病専門医と共に,内科医または一般開業医の診察を受けた患者では,死亡率がもっとも低かった.

多少の交絡が残る可能性を一掃することはできないが,これらの結果は,心臓病専門医が外来診療に関与する場合,できれば内科医または一般開業医と共に診療に臨むことで,心筋梗塞後の生存率が向上することを示唆している.

1678 ページ(editorial,1709 ページ)


Clinical Practice:一過性脳虚血発作
Clinical Practice: Transient Ischemic Attack

72 歳の女性が,言語障害と,顔の右側および右腕の脱力という 30 分間のエピ ソードから回復した直後に,主治医に電話してきている.患者の病歴には注目すべきことはなかった.どのように治療すべきであろうか?

1687 ページ(展望,1642 ページ)


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