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運動器リハビリテーションシラバス改訂第3版

セラピストのための実践マニュアル

こちらの商品は改訂版・新版がございます。

監修 : 日本運動器科学会/日本臨床整形外科学会
編集 : 岩谷力/伊藤博元/藤野圭司/星野雄一
ISBN : 978-4-524-26582-4
発行年月 : 2014年6月
判型 : B5
ページ数 : 294

在庫品切れ・重版未定

定価3,850円(本体3,500円 + 税)


  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文

「日本運動器科学会運動器リハビリテーションセラピスト」研修認定資格の学会公認テキスト。セラピスト講習会に沿った教科書的内容および臨床実地で役立つ実際的な内容を網羅。今改訂では、「ロコモティブシンドロームと運動器不安定症」などで内容を見直し、「介護保険の仕組みと医療と介護との連携」「認知症と運動器リハビリテーション」「切断、装具、杖、車いす」の内容を章として独立させた。

I章 運動器リハビリテーションとは
 1.運動器リハビリテーションとは
 2.高齢社会における運動器疾患−健康寿命の延伸に寄与する運動器リハビリテーション
 3.運動器リハビリテーションにおける診断と評価
 4.運動器疾患における生活機能への影響
 5.運動器リハビリテーションのプロセスと診療チーム
 6.運動器リハビリテーションにおけるリスク管理
II章 運動器リハビリテーションのプロセス
 1.医療安全対策および事故防止(リスク管理)
  A.リハビリテーション医療による事故事例
  B.ヒヤリ・ハット報告の活用
  C.リハビリテーション医療におけるリスクマネジメント
  D.事故の責任を問われるのはだれ
 2.リハビリテーション治療の流れ(リハビリテーションマネジメント)
  A.リハビリテーションマネジメントの考え方
  B.リハビリテーション医療の実際
  C.押さえておきたいポイント
  D.リハビリテーションの算定日数制限
  E.リハビリテーション総合実施計画書の書き方
III章 介護保険の仕組みと医療と介護との連携
 1.介護保険の仕組み
  A.介護保険制度導入の経緯
  B.介護保険制度の仕組み
  C.介護保険制度の推移
 2.介護予防事業
 3.医療と介護の連携
  A.介護保険でのリハビリテーション
  B.医療リハから介護リハへの流れ
  C.デイケア施設でのリハビリテーション
IV章 運動の仕組み
 1.解剖
  A.神経系統−電気信号の伝達経路
  B.筋・腱−運動を起こす
  C.関節−運動の中心
  D.骨−運動の軸
 2.生理
  A.筋力
  B.関節の動き
  C.立位バランス
  D.歩行
  E.心肺機能
  F.脊椎のバイオメカニクス
 3.病態
  A.骨折
  B.捻挫、靱帯損傷
  C.筋・腱損傷
  D.筋力低下
  E.関節拘縮
  F.関節の痛み
V章 運動・生活機能の評価
 1.神経機能の評価
  A.神経障害(末梢、脊髄)
  B.感覚障害の評価
  C.腱反射
  D.特殊な神経異常
 2.痛みの測定
 3.筋・骨格系機能の評価
  A.関節可動域
  B.徒手筋力検査(MMT)
 4.運動動作の測定
  A.タンデム歩行・タンデム肢位
  B.開眼片脚起立時間
  C.立って歩けテスト
  D.ファンクショナルリーチテスト
  E.10m最大歩行速度
 5.認知症の評価
 6.生活活動の評価
  A.基本的日常生活活動
  B.手段的日常生活活動
  C.要介護度判定基準
 7.生活の質の測定
VI章 認知症と運動器リハビリテーション
 1.認知症とは何か
 2.認知症の原因疾患と頻度
  A.アルツハイマー病
  B.レビー小体型認知症
  C.血管性認知症
  D.前頭側頭型認知症
 3.認知症の診断と評価
 4.認知症に運動器リハビリテーションは有効か
 5.認知症の運動処方の注意点
VII章 物理療法の実施法および適応と禁忌
 1.温熱療法
 2.寒冷療法
 3.超音波療法
 4.低出力レーザー療法
 5.電磁波療法
 6.電気療法
 7.牽引療法
 8.水治療法
VIII章 肢体不自由(運動器疾患と神経疾患)の運動療法
 1.運動処方の原則
  A.運動強度
  B.運動負荷量
  C.エクササイズの実際
  D.水中運動
 2.関節可動域訓練(ROM エクササイズ)
  A.安静臥床時における拘縮
  B.外傷や術後の局所的不動化による拘縮
  C.麻痺による拘縮
  D.禁忌と注意
 3.筋力増強訓練
  A.筋収縮様式と筋力増強
  B.運動方法と筋力増強
  C.筋力増強運動の方法
  D.禁忌と注意
 4.バランス訓練
  A.高齢者に対するバランス訓練
  B.小脳性失調に対する運動療法
  C.禁忌と注意
 5.歩行訓練
  A.下肢関節疾患、術後
  B.片麻痺
  C.脳性麻痺
  D.失調、不随意運動
  E.安静臥床による廃用
  F.禁忌と注意
 6.運動器疾患の運動療法
  A.片麻痺を伴う患者の運動療法
  B.神経筋疾患を伴う患者の運動療法
  C.認知症を伴う患者の運動療法
IX章 ロコモティブシンドロームと運動器不安定症
 1.はじめに
 2.ロコモティブシンドロームの概念が提唱された背景
 3.ロコモティブシンドロームと運動器不安定症
 4.ロコモティブシンドロームの特徴
  A.運動器疾患患者数は多く、重複罹患が多い
  B.ロコモの要因は相互に関連しながら緩徐に進行する
  C.筋力の強化は運動機能を向上させ、運動器疾患を予防・改善する
 5.ロコモティブシンドロームのリスク判定法/ロコモーションチェック・ロコモ度テスト  
 6.ロコモティブシンドロームの対策/ロコモーショントレーニング
 7.運動の注意事項
 8.ロコモティブシンドロームと転倒リスク
 9.終わりに
X章 アスレティックリハビリテーション
 1.アスレティックリハビリテーションとは
 2.スポーツ外傷・障害
  A.スポーツ外傷・障害の分類
  B.スポーツ外傷・障害の定義
  C.スポーツ外傷・障害の発生要因
  D.スポーツ外傷・障害の予防
 3.総論
  A.アスレティックリハビリテーションの留意点
  B.アスレティックリハビリテーションの流れ
 4.コアトレーニング
  A.アスレティックリハビリテーションにおけるコアトレーニング
  B.コアトレーニングの実際
XI章 上肢のリハビリテーション
 1.肩関節
  A.五十肩(肩関節周囲炎)
  B.腱板損傷
  C.上腕骨近位端骨折
 2.肘関節
  A.骨折などの外傷後拘縮
  B.野球肘
  C.上腕骨外側上顆炎(テニス肘)
 3.手、手関節
  A.腱損傷
  B.関節リウマチ
  C.骨折・拘縮
  D.麻痺手
XII章 下肢のリハビリテーション
 1.股関節
  A.全人工股関節置換術(THA)後
  B.大腿骨近位部骨折
  C.変形性股関節症
  D.大腿骨頭壊死症
 2.膝関節
  A.人工膝関節全置換術(TKA)後
  B.変形性膝関節症
  C.半月板損傷
  D.靱帯損傷
  E.膝蓋骨骨折
 3.足部
  A.足関節捻挫
  B.足関節果部骨折
  C.アキレス腱断裂
  D.肉離れ
XIII章 脊椎のリハビリテーション
 1.頚椎
  A.頚部痛
  B.神経根症
  C.脊髄(頚髄)症
  D.手術後
  E.頚椎装具の使い方
  F.脊髄(頚髄)損傷
 2.胸椎
  A.側弯症の装具・体操
  B.骨粗鬆症圧迫骨折の保存治療
 3.腰椎
  A.腰痛症の生活指導(生活、腰痛体操)
  B.腰椎椎間板ヘルニア
  C.腰部脊柱管狭窄症
  D.コルセットの処方
  E.杖の有用性
  F.職業性腰痛への対応
XIV章 切断、装具、杖、車いす
 1.切断・義肢
  A.切断部位
  B.切断術後のリハビリテーション
  C.義肢
 2.装具
  A.上肢・手の装具
  B.下肢装具
  C.体幹装具
  D.装具処方の実際
 3.杖
  A.松葉杖
 4.車いすの種類と適応指針
  A.手動型車いす
  B.電動車いす
付録
 1.関節可動域計測法
 2.徒手筋力検査(MMT)
 3.運動器リハビリテーション実技プログラム(3ヵ月)
 4.内科的併存症の管理と運動器リハビリテーション
 5.日本整形外科学会による治療成績判定基準
 6.SF-36(short form-36)
 7.EQ-5D(Euro Qol)
 8.JKOM(Japanese knee osteoarthritis measure)2004
 9.ロコモ
 10.JLEQ(Japan low-back pain evaluation questionnaire)
 11.RDQ(Roland-Morns disability questionnaire)
 12.医療者の倫理
 13.医療安全
 14.健康日本21(第2次)
 15.健康づくりのための身体活動基準2013

「運動器」とは、体を動かす仕組みのことで、呼吸器や循環器などと同じ範疇の表現であり、骨、関節、筋肉、腱、神経など、体を支えたり動かしたりする器官をまとめて呼ぶ名称です。ギリシアの哲学者アリストテレスが[Life is motion](生きていることは動いていることだ)と述べているように、人生は体を動かすことによってつくられているとも言うことができます。
 運動器の疾患を有する患者さんは身体運動が制限されることになり、仕事、外出、家事などの日常生活動作が困難になり、旅行や趣味の活動にも支障をきたすようになります。さらに病状がすすめば、食事、排泄、入浴といった最も基本的な動作さえも自力ではむずかしくなり、特に高齢者においては運動器疾患が寝たきりや要介護の原因の一つともなっています。運動器疾患を持つ患者さんの心身機能と生活の活動性向上を図る治療が、運動器リハビリテーションといえます。
 一方、高齢社会を迎えたわが国では健康寿命の延伸が重要な課題となり、この健康寿命に大きな影響を与えているのが運動器の障害であるという認識が広まってきています。このような重要な運動器疾患治療のためには、運動器リハビリテーションの知識・技術を高めるための研修が必要であるとの認識を持ち、平成18(2006)年7月から日本運動器科学会(当時名称:日本運動器リハビリテーション学会)は、運動器リハビリテーションセラピスト研修会を開催しています。
 この度、日本運動器科学会、日本臨床整形外科学会の監修のもとに改訂第3版が発刊される運びとなりました。今回の改訂では、前版で新章として追加執筆された「ロコモティブシンドロームと運動器不安定症」「アスレティックリハビリテーション」について前版以降の変化に対応した見直しを行いました。また、「介護保険の仕組みと医療と介護の連携」「認知症と運動器リハビリテーション」「切断、装具、杖、車いす」を新章として独立して取り上げ、14章の構成となり、シラバスとして一層充実した内容となっています。本書を執筆していただいた諸先生に心より御礼を申し上げます。
 このシラバスによってセラピストの皆様の研修がより充実したものとなり、さらに日常診療の実践におけるガイドとなることを、期待する次第です。

2014年5月
編集者一同

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