教科書

標準薬剤学改訂第4版

医療の担い手としての薬剤師をめざして

  • 新刊

編集 : 渡辺善照/芳賀信/外山聡
ISBN : 978-4-524-40346-2
発行年月 : 2017年4月
判型 : B5
ページ数 : 786

在庫あり

定価8,208円(本体7,600円 + 税)

正誤表

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文

1冊で薬剤学の幅広い領域を網羅する教科書。従来の「物理薬剤学」「生物薬剤学」といった専門分野別ではなく、「薬を造るための薬剤学」「薬の有効性・安全性・信頼性を高めるための薬剤学」「薬の適正使用を支える(確保する)ための薬剤学」という3つの観点から編集。今改訂では、第十七改正日本薬局方、薬学教育モデル・コアカリキュラム(平成25年度版)への対応の他、内容の追加・更新を行った。

I 序論:薬剤学と薬剤師
 1 薬剤学
 2 薬剤と剤形
 3 薬剤学および法・制度と薬剤師の役割
 4 先端医療の進歩と薬剤学
II 医薬品の開発と生産
 1 医薬品等の品質,有効性と安全性の確保
  1 医薬品開発のコンセプト
  2 医薬品の開発から承認までのプロセスと関連法規
  3 承認後の制度
  4 GMP,GQPとバリデーション
  5 日本薬局方の意義
  6 医薬品開発,および製造に関する国際調和
  7 薬害と健康被害救済制度
  8 生物由来製品の取扱いと血液供給体制にかかわる法規
  9 環境対策
 2 医薬品と医療の経済性
  1 医薬品市場の特徴と流通の仕組み
  2 国民医療費の動向
  3 後発医薬品(ジェネリック医薬品)
  4 希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)
  5 薬物療法の経済評価
 3 創薬探索研究.リード化合物の探索と最適化
  1 医薬品探索の変遷
  2 リード化合物の探索
  3 リード化合物の最適化
 4 バイオ・細胞医薬品とゲノム情報
  1 組換え体医薬品
  2 遺伝子治療と核酸薬
  3 細胞,組織を利用した移植医療
5 生物統計,臨床研究デザインと解析
 1 生物統計学の基礎
 2 臨床研究デザインと解析
III 剤形と基礎理論(製剤化のサイエンス)
 1 日本薬局方(製剤総則)
  1 製剤総則と製剤通則・製剤包装通則
  2 剤形の分類
  3 剤形の各条概論
 2 各種剤形の製法と理論
  A 液状製剤
   1 液状製剤(溶液)の性質(理論)
   2 代表的な液状製剤の種類と製法
   3 液状製剤に用いる医薬品添加剤の種類と性質
  B 分散製剤
   1 分散製剤の性質(理論)
   2 代表的な分散製剤の種類と製法
   3 分散製剤に用いる医薬品添加剤の種類と性質
  C 半固形製剤
   1 半固形製剤の性質(理論)
   2 代表的な半固形製剤の種類と製法
   3 半固形製剤に用いる医薬品添加剤の種類と性質
  D 固形製剤
   1 固形製剤の性質(理論)
   2 代表的な固形製剤の種類と製法
   3 固形製剤に用いる医薬品添加剤の種類と性質
  E 無菌製剤
   1 無菌製剤の製造環境と条件
   2 代表的な無菌製剤の種類と製法
   3 無菌製剤に用いる医薬品添加物の種類と性質
 3 製剤化と製剤試験法
  A 製剤化の単位操作および汎用される製剤機械
   1 粉砕
   2 分級
   3 混合
   4 造粒
   5 乾燥
   6 製錠
   7 コーティング
   8 乳化と分散
   9 包装と充.
  B 製剤に関連する試験法
   1 日本薬局方一般試験法
   2 一般試験法以外の試験法
 4 薬物と製剤材料の安定性
  A 薬物と製剤材料の安定性に影響を及ぼす要因と安定化方法
   1 医薬品の安定性に影響を及ぼす要因
   2 反応速度
   3 複合反応
   4 反応速度に影響を及ぼす因子
   5 医薬品製剤の安定化
   6 安定剤,保存剤,緩衝剤の添加
   7 医薬品の承認申請における安定性試験
  B 汎用される容器,包装の種類や特徴
   1 製剤包装通則
   2 医薬品の保存
   3 医薬品の包装
IV 薬物の投与経路および体内動態の評価と基礎理論(薬の生体内運命)
 1 薬物の投与経路および体内移行と変化
  A 体内動態の基礎(物質の生体膜透過と生体内運命)
   1 体内動態(吸収,分布,代謝,排泄)と薬効発現
   2 代表的な投与方法(剤形,投与経路),その意義
   3 経口投与された製剤からの薬物吸収(崩壊,分散,溶解など)
   4 薬物の生体膜透過
  B 薬物の吸収
   1 薬物の消化管吸収
   2 非経口的に投与される薬物の吸収
   3 薬物吸収に影響を及ぼす要因
   4 消化管吸収に影響を及ぼすその他の要因
   5 初回通過効果
  C 薬物の分布
   1 組織の循環血液量
   2 血液-組織関係障壁
   3 血漿タンパク質との結合
   4 タンパク結合と血漿中薬物濃度
   5 リンパ系への移行
   6 母乳への移行
  D 薬物の代謝
   1 薬物代謝反応
   2 代謝にかかわる酵素
   3 薬物代謝酵素誘導と阻害
   4 薬物代謝酵素活性に影響を及ぼす因子
  E 薬物の排泄
   1 腎排泄
   2 胆汁中排泄
   3 乳汁中,唾液中,呼気中への排泄
   2 薬物動態の解析
 2 薬物動態の解析
  A 薬物速度論
   1 基礎理論
   2 応用
  B 治療薬物モニタリング(TDM)と投与設計
   1 治療薬物モニタリング
   2 薬物投与計画
   3 TDMの実例
   4 薬物療法における問題点とその対策
 3 薬物相互作用
  1 薬物間相互作用
  2 薬物と飲食物の相互作用
  3 薬物の臨床検査値への影響
  4 薬物相互作用の回避
 4 個別化医療(テーラーメイド医療)の基礎
  1 遺伝的素因
  2 年齢的要因
  3 臓器機能低下
  4 その他の要因
  5 個別化医療
 5 バイオアベイラビリティおよび生物学的同等性試験と後発医薬品(ジェネリック医薬品)
  1 量的バイオアベイラビリティ
  2 速度的バイオアベイラビリティ
  3 初回通過効果とバイオアベイラビリティ
  4 バイオアベイラビリティと生理学的モデルとの関係
  5 バイオアベイラビリティに影響を及ぼす物性
  6 生物学的同等性試験と後発医薬品(ジェネリック医薬品)
  7 後発医薬品とバイオ後続品
V 製剤の作用性能の改善
 1 医薬品の修飾(医薬品の化学構造と性質,作用)
  1 生体分子との相互作用
  2 化学構造に基づく性質
  3 医薬品のコンポーネント
  4 プロドラッグによる改善
  5 酵素に作用する医薬品
  6 受容体に作用する医薬品
  7 DNAに作用する医薬品
  8 イオンチャネルに作用する医薬品
 2 薬物送達システム(DDS)の基礎と応用
  1 DDSの必要性
  2 DDS技術の概念
  3 DDSの創薬における有用性
  4 放出制御製剤
  5 標的指向製剤(ターゲティング製剤)
  6 経粘膜投与製剤と経皮吸収型製剤
  7 利便性製剤
  8 その他のDDS
VI 医療と薬剤学
 1 薬剤師に求められる倫理観
  1 医療における薬剤師業務の変化
  2 患者中心の医療から患者も医療チームの一員へ
  3 医療提供者側の変化
  4 医療の倫理
  5 薬剤師の研究と倫理指針
 2 処方せんに基づく調剤
  A 薬剤師の役割と法令・規則等の理解と遵守
   1 薬剤師
   2 チーム医療
   3 調剤の概念と法的根拠
   4 処方せんの点検と処方意図の理解
   5 医薬品の用法・用量
  B 処方せんと疑義照会
   1 代表的な疾患に使用される医薬品について
   2 処方オーダリングシステムおよび電子カルテ
   3 処方せんの様式と必要記載事項,記載方法
   4 疑義照会
   付 処方解析
  C 処方せんに基づく医薬品の調製
   1 計数調剤・計量調剤
   2 薬袋
   3 計量器
   4 散剤・水剤等の配合変化と回避方法
   5 注射剤の配合変化と回避方法
   6 注射剤調剤
   7 特別な注意を必要とする医薬品の調剤と取扱い
   8 鑑査
   9 後発医薬品(ジェネリック医薬品)選択の手順
  D 患者・来局者対応,服薬指導,患者への啓発
   1 患者情報の収集
   2 服薬指導の実際
   3 薬歴,服薬指導歴(薬剤管理指導記録)などの記載と管理
  E 医薬品の供給と管理
   1 医薬品の管理(医薬品管理業務)
   2 特別な配慮を要する医薬品
   3 院内製剤と薬局製剤(製剤化の基礎)
   4 注射剤・輸液・特定生物由来製品
  F 安全管理
   1 医療における薬剤師の役割
   2 医薬品の副作用(薬物有害反応)
   3 メディケーションエラー
  G 感染管理
   1 感染制御
   2 標準予防策
   3 手指衛生
   4 環境整備
   5 感染経路
   6 滅菌および消毒の水準分類
   7 リスク分類による滅菌・消毒の対象
   8 感染性廃棄物と針差し事故
   9 感染制御チーム
   10 antimicrobial stewardship
 3 医薬品情報の収集と活用(医薬品情報管理業務)
  1 医薬品と情報
  2 医薬品情報源の種類
  3 医薬品情報業務の実際
  4 副作用が疑われる症例報告
  5 EBMと医薬品情報,ジェネリック医薬品適正使用
 4 処方設計と薬物療法の実践
  1 チーム医療の推進
  2 病棟薬剤業務
  3 医薬品の適正使用サイクル
  4 求められる資質
 5 多職種連携協働とチーム医療への参画
  1 医療機関におけるチーム医療
  2 地域におけるチーム医療
 6 地域の保健・医療・福祉への参画
  1 在宅医療
  2 地域保健(公衆衛生,学校薬剤師,啓発活動)への参画
  3 プライマリ・ケア,セルフメディケーションの実践
  4 災害医療と薬剤師
付表
 A 主な医薬品添加剤の一覧
 B 主な薬物のpKa値表
 C 薬学教育モデル・コアカリキュラムおよび薬学アドバンスト教育ガイドライン(例示)と本書の内容の関係
 D 薬剤師国家試験出題基準(抜粋)と本書の内容の関係
参考文献
索引
 和文
 欧文

改訂第4版の序

 本書『標準薬剤学』の初版を2003年(平成15年)に刊行してから14年が経過した。この間、版を重ねることができ、学生諸子をはじめ多くの読者諸氏に役立てて頂いていることは望外の喜びである。2006年(平成18年)から薬学教育において6年制課程の教育プログラムが始まり、「薬学教育モデル・コアカリキュラムおよび実務実習モデル・コアカリキュラム(以下、薬学教育モデル・コアカリキュラム)」に基づき学修を行うことになった。一方、薬学や医学、生命科学などにかかわる学術・科学技術の進展は著しく、科学sciencesを基盤として医療に貢献する薬剤師の活動に必要とされる薬学の知識や技能は大幅に増えている。このような背景を踏まえ、2013年(平成25年)、薬学教育モデル・コアカリキュラムが改訂され、薬剤師として求められる基本的な資質が明確にされた。この方針により、6年制課程での教育内容の改革が進んでいる。さらに、医薬品を取り扱ううえで重要な第十七改正日本薬局方が2016年(平成28年)に公布された。また、薬剤師国家試験出題基準の改定が行われ、平成32年度からの試験に適用されることが決定されている。このような状況に鑑み、薬学教育における「薬剤学」の内容も改める必要が生じており、本書を大幅に改訂することにした。
 本書は、初版から、医療の担い手としての薬剤師養成が明確にされた6年制課程の目標に沿った「薬剤学」の教科書として編集してきた。また「薬剤学」を広く学修する大学院学生等にも活用できるものとなっている。医療の担い手としての薬剤師とは、必ずしも医療機関等で働く人材のみというわけではなく、薬剤師法第一条に謳われているように「調剤(医療機関、保険薬局等)、医薬品の供給(製薬企業等)その他薬事衛生(行政機関等)をつかさどることによって」国民の健康な生活を確保するために社会で広く活躍する「くすり」の専門家である。この観点に立ち、薬学におけるもっとも主要な教育・研究分野の1つである「薬剤学」について、学生が基礎科学から臨床領域まで深く関連する知識、技能および態度を体系的に修得するための工夫をしてきた。本書では、従前からの「物理薬剤学」「生物薬剤学」「臨床薬剤学」といった専門分野別の編集とせずに、「くすりを造るための薬剤学」「くすりの有効性・安全性・信頼性を高めるための薬剤学」および「くすりの適正使用を支える(確保する)ための薬剤学」の観点から編集し、改訂第4版でもこれを踏襲した。また、学生の勉学に役立てるために、初版から採用している項目ごとの学習ポイント(一般目標および到達目標)を改訂し、明示した。さらに、本書の記述内容について、薬学教育モデル・コアカリキュラムの事項ならびに薬剤師国家試験出題基準の事項との関係を各々巻末にまとめて、学修に役立つようにした。今後、薬学教育を取り巻く変化に合わせて適宜改訂していく予定である。本書の思わぬ誤謬については、読者のご指摘とご叱正をお願いしたい。
 今回の改訂第4版の刊行に向けては、最新の内容を織り込むために新たに新進気鋭の方々に執筆に加わっていただいた。短期間の改訂作業にもかかわらず各項目の執筆に御尽力をいただいた多くの著者と、編集業務を精力的に進めていただいた南江堂出版部の諸氏に心から御礼申し上げたい。

2017年3月
渡辺善照
芳賀信
外山聡