教科書

コンパス生物薬剤学改訂第2版

編集 : 岩城正宏/伊藤智夫
ISBN : 978-4-524-40324-0
発行年月 : 2016年3月
判型 : B5
ページ数 : 274

在庫あり

定価4,752円(本体4,400円 + 税)

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文

わかりやすく、ミニマムエッセンスがコンセプトの生物薬剤学の教科書。図表を多く用い、「見た目」からの理解を意識した構成。今改訂では新薬学教育モデル・コアカリキュラムに対応させ、「薬物速度論」「TDMと投与設計」の2章を新設したほか、内容の充実、図の工夫などにより、よりしっかりと学べる内容とした。

1章 総論
 A 生物薬剤学とは
 B 薬物の体内動態と薬効発現
 C 投与経路と剤形
 D 創薬・創剤と生物薬剤学
 E 医療と生物薬剤学
2章 生体膜の構造と薬物の生体膜透過機構
 A 生体膜の構造
 B 生体膜の透過機構
  1 物質の膜透過機構
  2 単純拡散(受動拡散)
  3 pH分配仮説
  4 担体輸送
 C 輸送担体(トランスポーター)
  1 輸送担体の分類
  2 促進拡散
  3 能動輸送
3章 吸収
 A 消化管吸収
  1 消化管の構造と機能
  2 生物学的利用率
 B 薬物の消化管吸収に影響する因子
  1 薬物の吸収に影響する因子
  2 吸収が変動する具体例
 C 非経口吸収
  1 消化管以外の粘膜からの吸収
  2 注射部位からの吸収
  3 経皮吸収
  4 経肺吸収
  5 その他の経粘膜吸収
 D 消化管吸収過程における相互作用
4章 分布
 A 分布に影響する因子
  1 物理化学的要因
  2 毛細血管透過性
  3 組織細胞膜透過性
  4 血流速度
  5 血漿タンパク結合
  6 組織内結合
 B 分布容積とその変動要因
  1 分布容積
  2 分布容積の変動要因
  3 タンパク結合の解析法
  4 リンパ管移行
 C 脳への移行
  1 血液脳関門と血液脳脊髄液関門の解剖学的構造
  2 血液脳関門の物質輸送機能
  3 血液脳脊髄液関門の物質輸送機能
 D 胎児への移行と胎盤関門
  1 胎盤関門の解剖学的構造
  2 栄養物質および薬物の胎児移行
5章 代謝
 A 生体内での薬物の代謝による化学構造の変化
  1 薬の生体内運命における代謝の役割
  2 薬物代謝酵素の存在部位
  3 薬物代謝に関与する酵素
  4 小腸と肝臓における初回通過効果
 B 薬物代謝の具体例
  1 酸化反応の具体例
  2 還元反応の具体例
  3 加水分解反応の具体例
  4 抱合反応の具体例
 C 代謝酵素による薬物の代謝活性化
  1 活性代謝物
  2 プロドラッグ
 D 薬物代謝酵素の阻害と誘導
  1 薬物代謝酵素の阻害
  2 薬物代謝酵素の誘導
  3 薬物代謝酵素遺伝子の遺伝子多型
 E 代謝過程における相互作用
6章 排泄
 A 腎排泄
  1 腎臓の構造
  2 糸球体ろ過
  3 尿細管分泌
  4 尿細管再吸収
  5 腎クリアランス
 B 胆汁中排泄
  1 肝臓の構造
  2 肝細胞内への移行
  3 胆汁中への移行
  4 胆汁中排泄の支配要因
  5 腸肝循環
 C 唾液・乳汁中などへの排泄
  1 唾液への排泄
  2 呼気への排泄
  3 母乳(乳汁)への薬物移行
 D 排泄過程における相互作用
7章 薬物動態の変動要因
 A 薬物相互作用
  1 薬物動態学的相互作用
  2 薬力学的相互作用
 B その他の変動要因
  1 生体側の生理的要因
8章 薬物速度論
 A 薬物速度論の基礎
  1 反応速度と反応次数
  2 速度論の理解のために必要な関数
 B 1-コンパートメントモデル
  1 急速静脈内注射
  2 静脈内定速注入(持続的点滴静注)
  3 経口投与
 C 繰り返し投与
  1 繰り返し急速静脈内投与
  2 繰り返し経口投与
 D 2-コンパートメントモデル
 E 生理学的薬物速度論
  1 クリアランス
  2 バイオアベイラビリティ
 F モーメント解析法(モデル非依存性薬物動態解析法)
  1 モーメントの定義
  2 モーメント解析と1.コンパートメントモデル解析
 G 非線形薬物動態
  1 非線形コンパートメントモデル
  2 固有クリアランスに濃度依存性がある場合
  3 血漿タンパク結合に濃度依存性がある場合
  4 その他の原因
 H PK-PD解析モデル
  1 PK-PD解析の概念
  2 PK-PD解析モデルの種類
  3 薬効コンパートメントモデル
9章 TDMと投与設計
  1 薬物治療におけるTDMの意義
  2 TDMが有効な薬物
  3 血液採取の際に注意すべき点
  4 TDMに用いられる血中濃度測定法
  5 ポピュレーションファーマコキネティクス(母集団薬物速度論)とベイジアン法
  6 患者ごとの薬物投与設計
Exercise・総合演習 解答・解説
本書で対応する薬学教育モデル・コアカリキュラム
索引

改訂第2版の序

 生物薬剤学は、薬物動態学とほぼ同義で薬物速度論やTDM(治療薬物モニタリング)を含む薬学独特の学問分野であり、創薬・創剤技術者として医薬品の研究・開発に従事し、あるいは薬剤師として医薬品の適正使用を実践するうえで必須の内容である。加えて、近年のゲノム科学や薬理遺伝学の発展とともに生物薬剤学の分野も新しい知見が爆発的に増え、今日その学ぶべき内容は膨大なものとなっている。6年制薬学教育の指針となる薬学教育モデル・コアカリキュラムの改訂版が平成27年度から実施され、生物薬剤学は初版の「薬の効くプロセス」という大項目のなかの「薬の効き方−薬物の臓器への到達と消失、薬物動態の解析」という項目から、「薬の生体内運命−薬物の体内動態、薬物動態の解析」および「薬物治療に役立つ情報−個別化医療」という項目に変更された。とくに個別化医療については、代謝酵素やトランスポーターの遺伝子多型が薬物の血中濃度および薬効・副作用発現に大きく影響することが近年明らかになり、遺伝子情報に基づいた適正かつ有効なテーラーメイド医療が今後ますます重要となっている。
 本書は、薬の体内動態をミニマムエッセンスに絞り込んで、生物薬剤学を学ぶ薬学生が平易に理解できるように企画され、薬学教育モデル・コアカリキュラムの改訂を機に、初版を見直し、改訂することにした。改訂版では各項目の理解を助ける図を大幅に改訂・追加し、さらに理解しやすい構成を心がけるとともに、薬学生が最低限知っておくべき「薬物速度論」および「TDMと投与設計」の章を追加することで、本書のみで生物薬剤学(薬物動態学)をひととおり学習できるように配慮した。また、まとめと復習を兼ねて、各項目のポイントをまとめ、Exerciseで理解の確認ができるようにした。さらには、巻末に症例による総合演習も付け加えた。薬物速度論をさらに演習したい方は、姉妹書「コンパス薬物速度論演習」を活用していただきたい。
 本書が薬剤師および創薬・創剤技術者をめざす薬学生のみならず、現場の薬剤師の方々が薬物の体内動態を理解するための参考書となれば幸いである。

2015年12月
岩城正宏
伊藤智夫