教科書

コンパスシリーズ

コンパス分子生物学改訂第2版

創薬・テーラーメイド医療に向けて

編集 : 荒牧弘範/大戸茂弘
ISBN : 978-4-524-40323-3
発行年月 : 2015年9月
判型 : B5
ページ数 : 298

在庫あり

定価4,644円(本体4,300円 + 税)

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文

分子生物学の基礎からゲノム創薬まで図を豊富に用い、薬学部生にとってのミニマムエッセンスをわかりやすく解説した教科書。今改訂では章立てをより理解しやすい構成に刷新したほか、新技術・新薬等の情報を盛り込み、とくにゲノム創薬分野の内容を充実させた。新旧両方の薬学教育モデル・コアカリキュラムに対応。

第I部 分子生物学の基礎
 1章 遺伝子とは何か
  A 遺伝情報を担う分子
  B 核酸
   1 核酸塩基
   2 ヌクレオシド
   3 ヌクレオチド
   4 核酸・塩基の代謝
  C DNA鎖とRNA鎖
   1 DNAの構造
   2 RNAの構造
  D ゲノム
   1 ゲノムの概念
   2 染色体の構造
 2章 遺伝情報の保存
  A 遺伝情報の流れ
   1 セントラルドグマ
   2 RNAウイルスの遺伝子発現
  B DNAの複製
   1 DNAの複製
   2 組換え機構
  C DNAの損傷,変異とその影響
   1 突然変異
   2 損傷の種類
  D 変異の修復
   1 直接修復
   2 ヌクレオチド除去修復
   3 塩基除去修復
   4 乗越え修復
   5 二本鎖切断の修復
 3章 遺伝情報の発現
  A 転写の分子機構
   1 RNAポリメラーゼ
   2 原核生物の転写
   3 真核生物の転写
   4 RNAのプロセシング
  B 転写因子による転写制御
   1 原核生物の転写制御
   2 真核生物の転写調節
   3 転写因子の機能ドメイン
  C RNAの種類と機能
   1 RNAの種類
   2 mRNAの特徴と機能
   3 tRNAの特徴と機能
   4 rRNA
  D 翻訳
   1 遺伝暗号(遺伝コード)
   2 コドン偏位
   3 翻訳機構
 4章 ゲノム
  A ゲノムプロジェクト
  B ゲノムと遺伝子
   1 ゲノムサイズと遺伝子の数
   2 遺伝子の種類
   3 遺伝子を含まないゲノムの領域
   4 非コード領域を埋める反復配列
  C 一塩基変異(一塩基多型,SNPs)
   1 SNPとは何か
   2 SNPの分類
  D 遺伝子の進化
   1 タンパク質のモジュール構造とエキソンシャッフリング
   2 遺伝子重複
第II部 遺伝子工学
 5章 遺伝子工学
  A 組換えDNA技術
   1 組換えDNA技術の歴史
   2 組換えDNA技術の有用性
   3 組換えDNA技術の概要
  B 遺伝子のクローニング法
   1 遺伝子クローニング
   2 DNAライブラリーの作製法
   3 遺伝子クローニング法
  C 組換えDNA実験指針
   1 組換えDNA実験指針の歴史的背景
   2 遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律
  D 遺伝子取り扱いに関する安全性と倫理
 6章 遺伝子の機能解析法
  A mRNAの発現解析
   1 ノーザンブロット法
   2 リアルタイムPCR
   3 DNAチップ
  B タンパク質の検出・解析技術
   1 タンパク質検出法
   2 網羅的発現解析
  C 遺伝子多型の検出
   1 ハプロタイプ地図
   2 遺伝子多型の検出
  D DNA塩基配列の解析法
   1 マクサム・ギルバート(Maxam-Gilbert)法
   2 サンガー(Sanger)法
   3 次世代シークエンサー
  E 遺伝子の発現量,機能の人為的操作による生理的機能解析
   1 外来遺伝子を細胞内で発現させる方法
   2 細胞レベルで遺伝子発現を操作する方法
   3 個体レベルで調べる遺伝子の機能
第III部 医療分野への貢献
 7章 組換え医薬品
  A 組換え医薬品の特色と有用性
   1 組換え医薬品とは
   2 組換え医薬品の特色
   3 組換え医薬品の有用性
   4 組換え医薬品の製造
  B 代表的な組換え医薬品
   1 組換え医薬品の分類
   2 ホルモン
   3 酵素
   4 血液凝固因子
   5 サイトカイン
   6 ワクチン
   7 モノクローナル抗体(抗体医薬品)
   8 バイオシミラー(バイオ後続品)
  C 組換え医薬品の安全性
   1 組換え医薬品の安全性
   2 組換え医薬品の製造管理,品質管理,薬事的規制
   3 組換え医薬品の構成成分
   4 有効成分の特性と品質保証
   5 不純物,汚染物質の安全性
   6 非臨床試験,臨床試験における安全性の検証
 8章 ゲノム創薬
  A ゲノム創薬
   1 従来型創薬とゲノム創薬の違い
   2 ゲノム創薬の流れ
  B コンピューターの創薬応用
   1 バイオインフォマティクス
   2 分子シミュレーション
  C 分子標的薬
   1 細胞の増殖制御
   2 がん細胞
   3 分子標的薬
   4 抗がん薬以外の分子標的薬
 9章 遺伝子診断,分子診断
   1 病気の発症に関わる2つの因子
   2 遺伝子診断(遺伝子検査),分子診断(分子検査)
   3 遺伝子診断(遺伝子検査)の方法
   4 分子診断(分子検査)の方法
   5 ヒト遺伝子診断,分子診断の分類
   6 わが国における遺伝子診断に関する規制の現状
   7 SNPsが影響を及ぼす機能の例−薬物動態関連遺伝子とテーラーメイド医療
 10章 遺伝子治療と細胞,組織を利用した移植治療
  A 遺伝子治療
   1 遺伝子治療とは
   2 遺伝子治療の方法
   3 遺伝子治療の現状
   4 遺伝子治療の問題点
  B 細胞,組織を利用した移植治療
   1 細胞,組織を利用した移植治療とは
   2 移植医療
   3 移植医療の現状
   4 倫理的な問題点
本書で対応する薬学教育モデル・コアカリキュラム一覧
索引

改訂第2版の序

 ワトソンとクリックのDNA二重らせん構造の発見から半世紀であるが、分子生物学領域の進展は著しく、遺伝学や生物学ばかりでなく、薬理学、薬剤学、免疫学、生物工学など多くの学問にも取り入れられるようになった。このように多岐にわたる分子生物学領域をどのようにすれば学生に理解してもらえるかを念頭に、初版では薬学教育モデル・コアカリキュラムに沿って、「I部分子生物学の基礎」、「II部遺伝子工学」、「III部医療分野での貢献」の三部に分け、理解しやすいように構成した。幸運にも、薬学部をはじめ分子生物学の講義を担当される先生方に本書を教科書採用していただき、さらに多くのご指摘を受け、その都度修正を行い、増刷してきた。ここに初版出版から5年を経て、初版のコンセプトを継承する改訂第2版を出版する機会を得た。
 具体的な改訂点は、新薬学教育モデル・コアカリキュラムに沿って、章・項目の順番の入れ替え、項目・図表の追加を行ったことである。また、特に「II部遺伝子工学」および「III部医療分野への貢献」の二部では進歩が著しい創薬や再生医療に関して最近の知見を含め大幅に改訂した。
 一方、薬学生にとっては、薬学共用試験CBTや薬剤師国家試験という現実的な関門がある。近年の薬剤師国家試験では、特に暗記より理解度を求める傾向にあることを意識し、本版では、薬学生にとって必要とされる分子生物学を「理解しやすいよう」に目次に工夫を重ねた。同時に、初版同様に、「わかりやすさ」を優先して執筆するよう努めたが、それでもわかりにくいと思われる部分については、本版を読まれた方々からのご意見やご指摘をいただければ幸いである。著者一同、本版の発刊にあたり、薬学生諸君に真に役立つものとなることを切に望んでやまない。

2015年7月
荒牧弘範
大戸茂弘