教科書

医薬分子生物学改訂第3版

: 野島博
ISBN : 978-4-524-40308-0
発行年月 : 2014年3月
判型 : B5
ページ数 : 316

在庫あり

定価4,104円(本体3,800円 + 税)

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文

分子生物学の基礎から応用、薬と病気の関係までを、単著ならではの一貫性のあるわかりやすい文章と大きく詳細な図で体系的に解説した教科書。薬学、医療技術系学部の学生から支持を得ている。今改訂では最新の知見への情報更新はもちろん、初版以来好評の興味を惹くコラム、遺伝子情報サイトの紹介など資料の一層の充実が図られるとともに、全体を見直し、より学生の理解しやすい構成となった。

第1章 遺伝子とは何か
 1 遺伝学の始祖、メンデル
 2 近代遺伝学の発展
 3 細胞の微細構造と細胞を構成する物質
 4 タンパク質の構造と機能
 5 核酸の構造と機能
 6 遺伝子の実体はDNAだった!
第2章 遺伝子の分子生物学
 1 DNAの二重らせん構造
 2 複製
 3 転写
 4 翻訳
 5 突然変異と遺伝子組換え
 6 染色体の構造
 7 テロメアとテロメラーゼ
 8 セントロメア
 9 ミトコンドリア
第3章 ゲノムの分子生物学
 1 ヒトゲノムの遺伝子地図
 2 ヒトゲノムプロジェクトの成就
 3 ヒトのゲノム情報の概略
 4 ゲノムを占拠するトランスポゾン
 5 機能性RNA:「RNA 新大陸」の発見
 6 RNA編集
 7 エピジェネティックス
 8 ヒト以外の生物のゲノム情報
 9 バイオインフォマティクス
第4章 細胞の分子生物学
 1 細胞のシグナル伝達
 2 細胞周期
 3 生殖細胞の形成
 4 老化
 5 アポトーシス
 6 エンドサイトーシス
 7 エクソソーム
 8 小胞体ストレス応答
第5章 病気の分子生物学
 1 遺伝子の変異を原因とする遺伝性疾患
 2 多因子性遺伝性疾患と糖尿病
 3 脂質異常症
 4 肥満体質の遺伝
 5 繰り返しの数が原因となるトリプレット・リピート病
 6 筋ジストロフィー
 7 筋萎縮性側索硬化症と脊髄小脳変性症
 8 アルツハイマー病
 9 ヒトにもある狂牛病
 10 狂牛病の病原体としてのプリオン
 11 パーキンソン病
 12 がん遺伝子
 13 がん抑制遺伝子
 14 がんの多段階発症説
第6章 薬の分子生物学
 1 薬理作用の基礎
 2 ホルモン
 3 細胞膜受容体
 4 チロシンキナーゼ
 5 核内受容体
 6 カルシウムイオン制御
 7 その他のイオンチャネル
 8 生理活性ペプチド
 9 プロスタグランジン系
第7章 遺伝子工学の基礎技術
 1 遺伝子操作技術の誕生
 2 遺伝子操作技術を担う酵素群
 3 電気泳動法
 4 ブロッティング法
 5 分子生物学の発展を支えた生物
 6 ベクターの開発
 7 遺伝子クローンと遺伝子ライブラリー
 8 遺伝子の単離
 9 PCRの開く無限の可能性
 10 高速DNA塩基配列決定法
第8章 バイオテクノロジーの展開
 1 組換え体の大量発現
 2 組換えタンパク質の検出と解析
 3 RNA干渉
 4 役に立つリボザイム
 5 アンチセンスRNAとコードブロッカー
 6 マイクロRNA
 7 アプタマー
 8 ペプチド核酸
 9 アブザイム
 10 人工タンパク質
 11 人工核酸
 12 遺伝子組換え作物と医薬品
 13 マーカー補助選抜法
第9章 生殖・発生工学
 1 胚操作とキメラ生物
 2 クローン動物
 3 体細胞クローンヒツジ
 4 発生工学の誕生とトランスジェニックマウス
 5 遺伝子ターゲッティングとキメラ生物
 6 遺伝子ノックアウトマウス
 7 遺伝子ノックインと組織特異的な遺伝子ノックアウト
 8 ゲノム編集
 9 幹細胞と再生医学
 10 iPS細胞
第10章 バイオ医薬品
 1 バイオ医薬品開発の歴史
 2 分子標的医薬品
 3 分子標的抗体医薬品
 4 Fc融合タンパク質製剤
 5 ペプチド製剤とタンパク質製剤
 6 ペプチドワクチン製剤
第11章 遺伝子の診断と治療
 1 病気の原因としての遺伝性素因と環境因子
 2 遺伝子変異の種類と遺伝子診断
 3 遺伝子マーカー
 4 SNPタイピング技術
 5 ハップマップ計画と医療の個別化
 6 コピー数多型
 7 遺伝子治療
第12章 ゲノム創薬
 1 ゲノム創薬科学とは
 2 ゲノム創薬の基盤となる薬理ゲノミクス
 3 トランスクリプトームから得られるゲノム創薬情報
 4 DNAマイクロアレイ
 5 バイオチップ(バイオアレイ)
 6 プロテオームとプロテオミクス
 7 ゲノム創薬への戦略
参考文献
索引

医薬分野を含むバイオサイエンスの進展の速度は著しい。実際、この序文を書いている時に様々な発見や技術革新のニュースが飛び込んでいる。これからどのようにして発展していくのであろうかと想い巡らすだけで幸せな気分になる。このような素晴らしい最先端のニュースを表面的でなく一段深く喜ぶことができるためにも、バイオサイエンスを学んで基礎知識を涵養する価値がある。
 本書の初版(2004年)および第2版(2009年)は、薬学や医学を専攻する学徒が、バイオサイエンス進展の基盤となった分子生物学を体系的に学ぶ目的で出版された教科書である。ただし、誰かに教えてもらわなければ理解できないというのではなく、独学でもスラスラと理解できるよう、分かりやすい記述を心がけた。そのため、すでに大学などを卒業して実社会で活躍されている社会人の方々が、現在の専門にかかわらず、バイオサイエンスの発展の歴史と最先端の基礎知識を独学でまとめて学べる内容となったと信じたい。一方で、図表が豊富な辞書としていつも手元に置いて参照できるよう、各項目を分かりやすい配置で効率よくまとめ、索引を充実させて、必要な知識に速やかにたどりつけるような工夫も随所に織り込んだ。
 幸いにして、初版・第2版とも好評を得ることができ、多くの読者に恵まれた。しかし、さすがに第2版から5年もたってくると、急速な時代の流れに対応できていない部分も増えてきた。そこで、この第3版では読者アンケートの結果を参考にして内容を刷新するとともに、章立てから大幅に改訂していっそうの読みやすさを追求した。まず第1章で分子生物学の基礎となる遺伝子について概説し、第2〜6章では(遺伝子・ゲノム・細胞・病気・薬)の分子生物学という章立てにして、全体の中で各章がどのような位置を占めて連繋しているかを分かりやすく概観できるようにした。さらに、第7〜9章では遺伝子工学、バイオテクノロジー、および生殖・発生工学に関する基礎技術を解説した。最後に、第10〜12章では薬学や医学に関係の深いバイオ医薬品、遺伝子の診断と治療、ゲノム創薬という最先端の基礎知識を解説した。また、読みやすくするために、本文からは原則として英文は省いて日本語のみで一気に読めるようにした。その代わりに重要語句は索引として巻末に英文を併記し、国際化に対応できる知識を得る手助けとなるようにした。これらの工夫が読者の学習効率をいっそう増進させる一助となれば幸いである。

2014年 如月吉日
野島博