教科書

薬用植物学改訂第7版

監修 : 水野瑞夫
編集 : 木村孟淳/田中俊弘/酒井英二/山路誠一
ISBN : 978-4-524-40307-3
発行年月 : 2013年8月
判型 : B5
ページ数 : 352

在庫あり

定価4,320円(本体4,000円 + 税)

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文

ロングセラーの薬用植物学の定番教科書。薬学部学生の教科書としてだけでなく、薬用植物学を学ぶ人のための参考書にも最適。総論・各論の2部構成で、総論は植物の構造と分類を中心とした幅広い話題を網羅、各論は世界各地で用いられる薬用植物を多数紹介。今改訂では新しい情報を盛り込んだほか、各論ではフルカラーの植物写真を多数掲載し、より学びやすい紙面となった。

総論
 I.概説
  1 薬用植物とは
  2 薬用植物の資源
  3 薬用植物の成分
 II.植物の形態
  1 植物細胞の基本的な構造
  2 組織と組織細胞の形態
  3 組織系
  4 表皮系
  5 維管束系
  6 基本組織系
  7 中心柱
  8 高等植物の器官
  9 苗条と芽
  10 茎
  11 葉
  12 根
  13 花
  14 果実
  15 種子
 III.薬用植物の生産と利用
  1 生薬の生産・加工
  2 栽培・育種
 IV.薬用植物と“いわゆる健康食品”に関わる法令
  1 いわゆる食薬区分
  2 新しい食品の概念
  3 食品の安全対策
  4 薬物乱用防止
  5 法規制を受けない身近な有毒植物
  6 国際取引
 V.薬用植物に関連する健康被害・相互作用
  1 違法ドラッグ、脱法ハーブや医薬品成分を含有する“いわゆる健康食品”による被害
  2 通常とは異なる摂取による被害
  3 薬物代謝酵素への影響
  4 食品・ハーブ類と医薬品との相互作用
  5 腸内環境と吸収への影響
  6 同名異物の誤用による被害
  7 近年多発した植物性食中毒による被害
 VI.薬用植物のバイオテクノロジー
  1 植物バイオテクノロジー
  2 DNA分析の応用
 VII.植物の分類
  1 植物の学名、命名法
  2 種の概念
  3 植物の分類体系
各論
 1.藍藻植物門
 2.真菌門
  A.接合菌亜門
  B.子のう菌亜門
  C.担子菌亜門
 3.緑藻植物門
 4.褐藻植物門
 5.紅藻植物門
 6.シダ植物門
  A.無舌綱
  B.有舌綱
  C.有節植物綱
  D.シダ綱
 7.裸子植物門
  A.ソテツ綱
  B.イチョウ綱
  C.球果植物綱(マツ綱)
  D.マオウ綱
 8.被子植物門
  A.双子葉植物綱
  B.単子葉植物綱
付表
 付表1 第16改正日本薬局方医薬品各条に収載される植物由来医薬品(抜粋)
 付表2 専ら医薬品として使用される成分本質と医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質(抜粋)
 付表3 法令により規制される植物
 付表4 医薬品等の個人輸入について
参考文献
索引

人類は健康を維持するために天然資源、とくに植物を薬として利用する手段を会得した。中国の伝説上、紀元前2780年ごろの皇帝、炎帝神農は自ら各地を歩き、「鋤を作って農耕を教え、太陽の光と熱によって五穀を実らせ、赭鞭(しゃべん)をもって草木を打ち、一日に百草を嘗(な)めて医薬を区別し、五弦の瑟を作って音楽を教え、太陽が中天にかかるを目当てとして市場を開き、交易の道を教えた」という。この神農の名を冠した中国最古の薬学書『神農本草経』が3世紀の初めごろまでに成立した。
 生薬を学ぶ基本として植物学が必要である。このことから、本書『薬用植物学』の初版が1973年に上梓された。方針として植物の分類を軸にすえ、世界各地の著名な薬用植物をできるだけ収載するよう努めた。
 今回の改訂ではこの編集方針に一層の充実を求め、分類、分布、資源、形態、成分、漢方、応用などを簡便にまとめた。これは本書の大きな特長であろう。また改訂のポイントとして総論の二色刷り化、各論のフルカラー化があげられる。さらに総論では最の知見を集約し、新たにAngiosperm Phylogeny Group(APG)分類を紹介した。各論では、解説する薬用植物をより充実させ、近年ハーブ、健康食品として利用されている植物を追加した。
 薬用植物の利用で最も注意すべき事柄として、(1)薬用植物の分類(同定)、(2)薬用植物の採取時期と調製、(3)調製された生薬の用い方と薬効、の3点があげられる。
 (1)分類:同定が正しくなければ本来の薬効は期待できず、有毒植物と誤認すれば深刻な状況をもたらしかねない。分類は花の構造を要とするが、葉などの形態も重要であり、必要に応じて図表を配置した。各論では鮮明なカラー写真多数を説明文のそばに組み込み、学習の便をより一層はかった。また卒後の薬剤師、研究者の期待にも応えられるよう、チョレイマイタケ、イトヒメハギなど貴重な写真も多く掲載した。
 (2)採取時期と調製:有効成分が最も多い時期に採取すべきである。民間薬としては、土用のころに薬草を採取するのが普通である。土用は、多くの植物の開花期にあたるため花の観察・同定が可能となり、またその植物の最も旺盛な時期で有効成分が多いからである。薬用植物を乾燥するなど多少加工して得る生薬において、根茎、根、果実、種子などの適切な採取時期は厳密には異なるが、いずれにしても有効成分が多い時期に採取すべきである。採取後は、乾燥したり、刻み、粉末にするなどの調製が行われる。
 (3)用い方と薬効:薬効を最大限に発揮させるために、単一の用い方と複合での用い方があり、さらに煎剤、浸剤、丸剤、エキス剤などがある。煎剤では煎じる温度、時間により有効成分の溶出量が異なり、薬効と関係が深い。
 本書は、薬用植物学の教科書・参考書として薬学生のほか卒後の薬剤師に、さらには広く医学、農学、栄養学の関連分野における教育・研究に活用されるものとして編集されてきたが、近年ではアロマテラピーの分野や、化粧品、ハーブ類を扱う方々、食育関係者にも活用されてきている。また超高齢社会を迎えた現在、健康志向が高まった一般市民の方はもちろんのこと、社会人教育、生涯学習分野での教材としても活用していただければ幸いである。

2013年夏
水野瑞夫
(岐阜薬科大学名誉教授、薬学博士)