教科書

製剤学改訂第6版

こちらの商品は改訂版・新版がございます。

編集 : 四ッ柳智久/檀上和美/山本昌
ISBN : 978-4-524-40283-0
発行年月 : 2012年4月
判型 : B5
ページ数 : 438

在庫なし

定価6,270円(本体5,700円 + 税)

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文

製剤基礎理論、剤形論、生物薬剤学を一冊に収めたバランスのよい構成が特長。学習のたすけとなるよう、各節に薬学教育モデル・コアカリキュラムの到達目標を明示し、章末に「学習のまとめ」、「練習問題」(巻末に解答解説付)を掲載。今改訂では日本薬局方第十六改正に対応させた。

1.緒論―製剤学とは

2.製剤に関係する物理化学的基礎
2-1 分子間相互作用
 A.ファン・デル・ワールス力
  (1)双極子間引力
  (2)双極子-誘起双極子間引力
  (3)誘起双極子間引力
 B.水素結合
 C.電荷移動
 D.疎水性相互作用
 E.イオン結合
 F.コンプレックス形成
  (1)キレート化合物
  (2)分子複合体
  (3)包接化合物
  (4)複合体の安定度定数
 ・練習問題
2-2 物質の存在状態と相平衡
 A.相律
 B.一成分系
  (1)代表的な一成分系
  (2)結晶多形
  (3)非晶質固体
 C.二成分系
  (1)液相-気相平衡
  (2)液相-液相平衡
  (3)固相-液相平衡
 D.三成分系
 E.関連する局方の一般試験法
  (1)熱分析法
  (2)粉末X線回折測定法
 ・練習問題
2-3 溶液
 A.濃度の表現
 B.溶液に関する基礎原理
  (1)理想溶液
  (2)希薄溶液
  (3)希薄溶液の束一性
  (4)電解質溶液
 C.溶媒間の溶質の分配
  (1)分配の法則
  (2)水相中で解離する弱電解質の分配
 D.溶解度
 ・練習問題
2-4 界面とコロイド分散系
 A.表面張力とその測定法
 B.ぬれ
 C.界面活性剤とその性質
 D.乳化
  (1)エマルションの型
  (2)エマルションの安定性
 E.懸濁化
  (1)コロイドの性質
  (2)コロイドの分散と凝集
  (3)サスペンションの安定性
 F.吸着
 G.吸湿
  (1)水不溶性物質の吸湿
  (2)水溶性物質の吸湿
  (3)水溶性物質の混合物の吸湿
 ・練習問題
2-5 化学反応速度論
 A.反応速度、反応速度定数、反応次数
  (1)0次反応
  (2)みかけの0次反応
  (3)1次反応
  (4)擬1次反応
  (5)2次反応
 B.複合反応
  (1)平行反応
  (2)連続反応
  (3)可逆反応
  (4)不均一反応
 C.分解速度に関わる因子
  (1)温度
  (2)触媒反応
  (3)塩:イオン強度
  (4)溶媒:誘電率
  (5)製剤的工夫による安定化
 D.医薬品の分解と安定性
 ・練習問題
2-6 レオロジー
 A.流動と変形
 B.弾性と粘性
 C.粘弾性
 D.非ニュートン流動
 E.チキソトロピー
 F.レオロジー特性の測定
 G.高分子溶液の粘度と分子量
  (1)比粘度、還元粘度、極限(固有)粘度
  (2)極限粘度と高分子の分子量
 ・練習問題
2-7 粒子・粉体の性質
 A.粒子形状
 B.粒子径とその測定
  (1)粒子径の測定方法
  (2)表面積の測定法
  (3)粒度分布と平均粒子径
 C.粉体の力学的性質
  (1)充てん性
  (2)流動性
 D.粒子間の付着力
 E.微粉化
 ・練習問題
2-8 拡散、溶解および放出
 A.拡散
  (1)Fickの拡散方程式
 B.溶解
  (1)溶解の律速段階
  (2)Noyes-Whitneyの式
  (3)Nernst-Noyes-Whitneyの式
  (4)溶解する固体の質量変化:Hixson-Crowellの立方根式
 C.膜透過
 D.薬物の放出
  (1)マトリックスからの薬物放出:Higuchiの式
  (2)放出制御製剤
 ・練習問題

3.各種剤形
3-1 製剤を構成する物質、材料
 A.日本薬局方製剤用添加物
  (1)固形製剤用添加物
  (2)半固形・分散系製剤用添加物
  (3)注射剤・点眼剤用添加物
 B.新しい製剤素材
 ・練習問題
3-2 日本薬局方製剤総則の剤形分類および定義
 ・練習問題
3-3 経口投与する製剤
 A.散剤
 B.顆粒剤
 C.錠剤
 D.カプセル剤
 E.経口液剤
 F.シロップ剤
 G.経口ゼリー剤
3-4 口腔内に適用する製剤
 A.口腔用錠剤
 B.口腔用スプレー剤
 C.口腔用半固形剤
 D.含嗽剤
 ・練習問題(3-3 - 3-4)
3-5 注射により投与する製剤
 A.注射剤の臨床使用における注意
  (1)用法・用量の遵守
  (2)用法・用量に注意すべき薬剤の具体例
 B.注射剤の種類
  (1)形態による分類
  (2)投与方法による分類
  (3)日本薬局方に基づく注射剤の小分類
 C.添加剤
 D.注射剤の製造と品質管理
  (1)注射剤に要求される条件
  (2)注射剤の製造
  (3)注射剤の主な試験法および検査法
 E.輸液剤
  (1)輸液の目的
  (2)電解質輸液の種類と臨床使用
  (3)高カロリー輸液
 F.浸透圧と電解質濃度
  (1)浸透圧の調製
  (2)オスモル濃度と浸透圧
  (3)電解質濃度
 G.注射剤の混注投与と配合変化
  (1)混注投与の方法
  (2)配合変化
 H.注射剤の容器と管理
  (1)容器
  (2)実容量
  (3)表示
 ・練習問題
3-6 透析に用いる製剤
 A.透析
  (1)透析の種類
  (2)透析の原理
 B.透析用剤と透析膜
  (1)透析用剤の種類
  (2)透析用剤の主な試験法および検査法
  (3)透析膜の種類
 ・練習問題
3-7 気管支・肺に適用する製剤
 A.吸入に適した粒子径
 B.吸入粉末剤
  (1)吸入器の種類
  (2)吸入粉末剤の製法
  (3)粉末吸入剤の評価
 C.吸入液剤
  (1)ネブライザーの原理
  (2)吸入液剤の製法
 D.吸入エアゾール剤
  (1)定量噴霧器の原理
  (2)吸入エアゾール剤の製法
  (3)吸入エアゾール剤の評価
  (4)吸入補助具
 ・練習問題
3-8 目に投与する製剤
 A.点眼剤
 B.眼軟膏剤
3-9 耳に投与する製剤
 A.点耳剤
3-10 鼻に適用する製剤
 A.点鼻粉末剤
 B.点鼻液剤
 ・練習問題(3-8 - 3-10)
3-11 直腸に適用する製剤
 A.坐剤
  (1)使用目的
  (2)製法
  (3)基剤
  (4)保管法
  (5)製品例
  (6)関連製剤
 B.直腸用半固形剤
 C.注腸剤
3-12 膣に適用する製剤
 A.膣錠
 B.膣用坐剤
3-13 皮膚などに適用する製剤
 A.外用固形剤
  (1)外用散剤
 B.外用液剤
  (1)リニメント剤
  (2)ローション剤
  (3)酒精剤
  (4)その他の外用液剤
 C.スプレー剤
  (1)外用エアゾール剤
  (2)ポンプスプレー剤
 D.軟膏剤
  (1)油脂性基剤
  (2)水溶性基剤
  (3)軟膏剤の調製法
  (4)市販の軟膏例
 E.クリーム剤
 F.ゲル剤
  (1)ヒドロゲル基剤
  (2)リオゲル基剤
 G.貼付剤
  (1)テープ剤
  (2)パップ剤
 ・練習問題

4.製剤の製造と製剤用機器
 A.溶解、ろ過
  (1)溶解
  (2)ろ過
 B.粉砕、分級
  (1)粉砕
  (2)分級
 C.混合・練合
 D.乳化・懸濁化
 E.造粒
 F.乾燥
 G.打錠
 H.コーティング
 I.滅菌、無菌操作法
  (1)滅菌
  (2)無菌操作法
  (3)発熱性物質(パイロジェン)
  (4)最終滅菌医薬品の無菌性保証
 ・練習問題

5.製剤の品質確保、保証
 A.GMP(Good Manufacturing Practice)
 B.ICH(International Conference on Harmonization)
 C.薬局方
 D.安定性とその評価
  (1)医薬品の安定性とは
  (2)安定性の評価
  (3)安定性に影響を与える要因
  (4)安定性試験
  (5)有効期限と使用期限
 E.容器・包装
  (1)種類
  (2)容器の規格と試験法
 F.試験法
  (1)製剤均一性試験法
  (2)異物、微粒子に関する検査
  (3)崩壊試験と溶出試験
  (4)無菌試験法
  (5)発熱性物質試験法およびエンドトキシン試験法
  (5)保存効力試験法(日局参考情報)
  (7)培地充てん試験法
 ・練習問題


6.薬物の生体内動態
6-1 薬物の生体膜透過機構および吸収
 A.薬物の生体膜透過機構
  (1)生体膜の構造
  (2)薬物の生体膜透過機構の分類
  (3)受動輸送
  (4)能動輸送
  (5)膜動輸送(エンドサイトーシス)
 B.薬物の消化管吸収
  (1)消化管各部位の構造と生理機能
 C.薬物の消化管吸収に影響する要因
  (1)薬物側および製剤側の要因
  (2)生体側の要因
 D.消化管以外の経路からの薬物吸収
  (1)直腸
  (2)膣
  (3)皮膚
  (4)口腔粘膜からの薬物吸収
  (5)鼻からの薬物吸収
  (6)肺からの薬物吸収
  (7)眼からの薬物吸収
 E.注射部位からの薬物吸収
 ・練習問題
6-2 薬物の分布
 A.薬物の分布に影響を及ぼす諸要因
  (1)組織中での血流量
  (2)毛細血管透過性
  (3)血漿タンパク結合
  (4)薬物と組織成分との結合
 B.分布容積
 C.特殊臓器への薬物の移行
  (1)リンパ管
  (2)脳
  (3)胎児
 ・練習問題
6-3 薬物の代謝
 A.薬物代謝の様式
  (1)薬物代謝の反応様式
  (2)代謝反応様式
  (3)代謝活性物をもつ薬物
 B.薬物代謝酵素と代謝部位
  (1)第I相酵素
  (2)抱合酵素
  (3)腸内細菌による薬物代謝
  (4)薬物代謝酵素の分布
 C.薬物代謝の変化(代謝阻害、代謝促進)
  (1)代謝阻害
  (2)代謝阻害によって生じた重篤な副作用例
  (3)代謝促進
 D.薬物代謝に影響を及ぼす要因
 ・練習問題
6-4 薬物の排泄
 A.腎臓の構造、腎排泄
  (1)腎臓の構造と生理機能
  (2)薬物の腎における排泄機構
  (3)薬物の腎挙動に関わるトランスポーター(輸送担体)
 B.肝臓の構造、胆汁中排泄
  (1)肝臓の構造と薬物の肝内移行
  (2)シヌソイド側膜透過
  (3)胆管側膜透過
  (4)腸肝循環
 C.その他の排泄機構
  (1)腸管内排泄
  (2)唾液中排泄
  (3)乳汁中排泄
  (4)呼気中排泄
 ・練習問題
6-5 薬物速度論
 A.コンパートメントモデル
  (1)コンパートメントモデルとは
  (2)1-コンパートメントモデル
  (3)2-コンパートメントモデル
  (4)繰り返し投与
  (5)非線形モデル
 B.クリアランスの概念と生理学的薬物速度論
  (1)全身クリアランス
  (2)臓器クリアランス
  (3)固有クリアランス
  (4)生理学的モデル
 C.モデル非依存的解析法
  (1)モーメント解析とは
  (2)平均滞留時間
  (3)コンパートメントモデル解析とモーメント解析との対応
 D.ファーマコダイナミクス
 E.バイオアベイラビリティ
  (1)生物学的利用能
  (2)相対的生物学的利用率
 F.生物学的同等性
 G.初回通過効果
 H.病態時における薬物動態の変動
  (1)薬物動態に及ぼす生理学的要因の変化の影響
  (2)病態による生理学的要因および薬物動態の変化
 ・練習問題
6-6 Therapeutic Drug Monitoring(TDM)
 A.薬物血中濃度と薬効
 B.TDMのデータ解析に必要な患者情報
  (1)投与開始日から採血日までの日数
  (2)最終投与から採血までの経過時間
  (3)肝機能および腎機能の指標となる臨床検査値
  (4)併用薬物に関する情報
  (5)コンプライアンス(服薬遵守)の確認
 C.薬物血中濃度の測定法
 D.主な薬物のTDMの実際
  (1)抗生物質
  (2)免疫抑制薬
  (3)フェニトイン
  (4)ジゴキシソ
  (5)テオフィリン
 ・練習問題
6-7 薬物相互作用
 A.薬物相互作用とは
 B.吸収過程における薬物相互作用
  (1)胃内容排出時間
  (2)複合体形成
  (3)消化管内pH
  (4)小腸上皮トランスポーター
  (5)小腸上皮薬物代謝酵素
 C.分布過程における薬物相互作用
  (1)タンパク結合
  (2)トランスポーター
 D.代謝過程における薬物相互作用
  (1)代謝阻害のメカニズム
  (2)CYP酵素阻害による血中薬物動態の変動
  (3)その他の酵素による代謝阻害
  (4)代謝誘導
 E.排泄過程における薬物相互作用
  (1)糸球体ろ過過程の相互作用
  (2)尿細管分泌過程の相互作用
  (3)再吸収過程における相互作用
  (4)胆汁排泄過程における相互作用
 F.ファーマコダイナミクスにおける薬物相互作用
 ・練習問題

7.ドラッグデリバリーシステム
 A.ドラッグデリバリーシステムの概念
 B.薬物吸収の制御
  (1)製剤添加物の利用
  (2)薬物の新規投与経路の開発
  (3)薬物の分子構造修飾
  (4)薬物の剤形修飾
 C.薬物放出の制御
  (1)経口投与型放出制御製剤
  (2)経皮投与型放出制御製剤
  (3)経粘膜投与型放出制御製剤
  (4)注射・注入型放出制御製剤
  (5)on-off制御型製剤
  (5)放出制御製剤の将来展望
 D.薬物標的指向の制御
  (1)毛細血管の物質透過性
  (2)ターゲティングの方法
  (3)キャリアーを利用したターゲティング
  (4)プロドラッグによるターゲティング
  (5)遺伝子治療におけるターゲティング
  (6)オルガネラターゲティング
 ・練習問題

付表 弱酸、弱塩基(共役酸)の酸解離定数
練習問題解答
和文索引
欧文索引

本書は、1987年に大塚昭信・池田憲・村西昌三諸先生の編集による初版が発行されてから25年が経過した。その間、日本薬局方は第十二改正(1992)、第十三改正(1997)、第十四改正(2001)が行われ、その都度それぞれに対応した改訂版を刊行してきた。2006年には長期にわたって議論されてきた薬学教育6年制が施行され、教育内容に臨床関係科目が加えられた。また第十五改正(2006)の公布とともに改訂第5版を刊行した。今回の第十六改正(2011)ではとくに製剤総則に大幅な改正があった。本書もこれを機会に日局十六に対応したものとして改訂第6版を出版することになった。2012年度は6年制薬学教育を修了した新しい薬剤師を世に送り出す最初の年でもある。薬学的に武装した彼らの活躍に期待したい。
 製剤学・薬剤学は薬学独自の学問分野であり、常に“くすり”と“病むひと”を念頭に医薬品の効率的使用による疾病の治療を目指すことを特長とする。医薬品は、生理活性物質としての薬物が目的に応じて適切な投与形態に整えられるとともに、投与後における体内動態に密接に関連して有効性、安全性、信頼性が確保されていなければならない。また、近年の老齢人口の増加に対応して口腔内速崩壊錠など、使用の便宜性も要求されている。最近の製剤学・薬剤学は、新しい機能性製剤材料の開発、製剤技術の開発はもちろんのこと、分子生物学など学際的な領域を含む生物薬剤学の研究成果の集積・融合によってますます先鋭化し広範に発展しつつある。しかしながら、如何なる“薬物”も医薬品に到達するには製剤化の関門を通過しなければならない。その過程を総合的、有機的に理解し、応用するためには広範な基礎知識、それに裏づけされた技能が必要となる。
 本書の基本的構成は第5版を踏襲したが、各章および項目を詳細に検討するとともに、TDMの目的、実際をより詳しく新しい項目として加えた。また学生の自主的な学習の一助となるように薬学教育モデル・コアカリキュラムのSBOに対応する説明を付け加えた。
 本書が主に薬剤師または薬学研究者を目指す薬学生にとって、製剤学・薬剤学に関する基礎理論、製造・製剤機器の概要、薬物体内動態、ファーマコキネティックスの解析法などの理解、応用に役立つことを願うものである。
2012年2月
編者

9784524402830