教科書

薬学を学ぶためのやさしい生物学

編集 : 高野行夫/岩崎克典
ISBN : 978-4-524-40266-3
発行年月 : 2010年5月
判型 : B5
ページ数 : 148

在庫あり

定価2,700円(本体2,500円 + 税)

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文

高校時代、生物を履修していない薬学部1年生・薬学部に合格した入学前の学生のための、生物学の教科書。高校で学ぶ生物学のうち、薬学で必要となる分野を抽出し、ミニマムエッセンスをわかりやすく解説した。各章では関連のある薬学の具体例が紹介されており、これからの学びの動機付けを図ることができる。

1章 細胞の構造と働き
A 生命の基本単位−細胞
 (1)細胞の構造
 (2)核
  a.核膜
  b.染色体
  c.核小体
 (3)細胞質・細胞小器官
  a.ミトコンドリア
  b.ゴルジ体
  c.リソソーム
  d.リボソーム
  e.小胞体
  f.細胞質基質
  g.細胞骨格
 (4)細胞膜の性質
  a.半透性と浸透圧
  b.細胞膜の構造
  c.物質輸送
B 細胞の増殖と生物体の成り立ち
   コラム 細胞は働き者
 (1)動物の生活環と細胞分裂
  a.染色体
   コラム 写真でみる染色体はなぜX字型?
  B.細胞周期
  c.体細胞分裂の過程
 (2)多細胞生物の成り立ち
  a.単細胞生物
   コラム 細胞分裂とがん
  b.多細胞生物
  c.動物体の成り立ち
   1.上皮組織
   2.結合組織
   3.筋組織
   4.神経組織
   5.器官・器官系
まとめ

2章 生殖と発生
A 生殖
 (1)有性生殖
  a.同形配偶子接合
  b.異形配偶子接合
  c.受精
 (2)無性生殖
  a.分裂
  b.出芽
  c.栄養生殖
   コラム 同形配偶子どうしは自由に接合する?
 (3)生殖細胞の形成
  a.減数分裂
   1.第一分裂
   2.第二分裂
 (4)動物の配偶子形成
  a.精子の形成
  b.卵の形成
  c.受精
B 発生
 (1)卵の種類と卵割
  a.等黄卵
  b.端黄卵
  c.心黄卵
 (2)ウニの発生
  a.桑実胚
  b.胞胚
  c.原腸胚
  d.プルテウス幼生
 (3)カエルの発生
  a.桑実胚
  b.胞胚
  c.原腸胚
  d.神経胚
  e.尾芽胚
  f.幼生
 (4)胚葉と分化する器官
  a.外胚葉
   1.表皮
   2.神経冠
   3.神経管
   コラム クローン動物「いつかあなたの分身も?」
  b.中胚葉
   1.脊索
   2.体節
   3.腎節
   4.側板
  c.内胚葉
 (5)ヒトの受精と発生
  a.ヒトの配偶子形成と受精
  b.ヒトの発生
   コラム 胚性幹細胞―からだの部品を造ることができるか?
まとめ

3章 遺伝と遺伝情報
A メンデルの法則
 (1)一遺伝子雑種実験
  a.優性の法則
  b.分離の法則
 (2)二遺伝子雑種実験
  a.独立の法則
B 染色体
 (1)染色体の構造と役割
 (2)染色体の構成
 (3)相同染色体
 (4)性染色体
C 遺伝子の構造
 (1)ヌクレオチド
 (2)DNAの二重らせん構造
 (3)相補性、相補的結合
D DNAの複製とタンパク質の合成
 (1)DNAの複製
 (2)タンパク質の合成
  a.タンパク質の合成に関与するRNA
  b.転写
  c.真核生物と原核生物における転写の違い
   コラム 遺伝子の本体がDMAであることを証明した実験
  d.翻訳
E 遺伝情報と応用
 (1)遺伝情報の発現と分化
  a.遺伝子の発現調節
  b.遺伝子発現と細胞分化
 (2)バイオテクノロジー
  a.遺伝子操作
   1.遺伝子組換え
   2.遺伝子改変生物
  b.遺伝子の増幅
まとめ

4章 刺激の受容
A 視覚
 (1)ヒトの眼の構造
   コラム 視覚の補完機能
 (2)明るさへの対応
 (3)遠近の調節
   コラム 視力の矯正
 (4)色覚
   コラム 視物質の進化
B 聴覚
 (1)音の高低の区別
 (2)平衡感覚
   コラム 聴覚のおとろえ
C その他の感覚
 (1)味覚と嗅覚
 (2)皮膚感覚
まとめ

5章 神経と情報伝達
A 神経細胞(ニューロン)の構造
B 神経細胞の興奮
 (1)静止電位
 (2)活動電位
 (3)興奮の伝導
 (4)刺激と興奮の関係
C 興奮の伝達
 (1)シナプス
 (2)神経回路での情報処理
 (3)神経伝達物質
   コラム 受容体のタイプ
 (4)受容体
D 情報の出力:作動体としての筋
 (1)横紋筋(骨格筋)の構造
 (2)筋の収縮
 (3)筋収縮の様式
   コラム 死後硬直
   コラム 神経毒

E 脳の構造と働き
 (1)大脳
 (2)大脳辺縁系
 (3)大脳基底核
 (4)間脳
 (5)中脳
 (6)小脳
 (7)延髄
 (8)脊髄の構造と働き
  a.伸展反射
  b.膝蓋腱反射
  c.屈曲反射
F 脳の機能と記憶
 (1)記憶の種類
 (2)学習・記憶の動物実験
  a.古典的条件づけ
  b.道具的条件づけ
  c.迷路学習
まとめ

6章 恒常性
A 体液の組成と循環
 (1)外部環境と内部環境
  a.体液
  b.血液
   コラム 酸素解離曲線
  c.組織液
 (2)体液の循環
  a.血管系
  b.血圧
   コラム 心臓は働き者!
   コラム 血液がからだを1周するのに何分かかる?
   コラム 心臓は血液を送り出すポンプ.では、その心臓にはどこから血液がくる?
  C.リンパ系
B 体液の恒常性
 (1)腎臓
  a.腎臓の構造
  b.尿の生成
  c.再吸収
 (2)肝臓
   コラム 海で漂流していて飲み水がなくなった! 海水を飲むとどうなる?
  A.肝臓の構造
  b.肝臓の主な働き
   1.血糖の調節
   2.尿素の合成
   3.熱産生
   4.解毒作用
   5.胆汁の合成
   6.血液の貯蔵
まとめ

7章 自律神経とホルモン
A 自律神経系
 (1)拍動の調節
 (2)明暗と遠近の調節
B ホルモン
 (1)脳下垂体
   コラム 消化吸収の調節
   コラム 自律神経失調症
 (2)ホルモン分泌量の調節
 (3)自律神経とホルモンの協調
 (4)体温の調節
 (5)血糖量の調節
   コラム なぜトイレにアリが? ……糖尿病!
まとめ

8章 タンパク質と酵素の働き
A タンパク質の構造
 (1)タンパク質の一次構造
 (2)タンパク質の二次構造
 (3)タンパク質の三次構造
 (4)タンパク質の四次構造
B 酵素の機能と働き
 (1)酵素の触媒作用
 (2)酵素の分類
  a.酸化還元酵素(オキシドレダクターゼ)
  b.転位酵素(トランスフェラーゼ)
  c.加水酵素(ヒドラーゼ)
  d.異性化酵素(イソメラーゼ)
  e.脱離酵素(リアーゼ)
  f.合成酵素(リガーゼ)
 (3)酵素の性質
  a.酵素の活性に及ぼす温度の影響
  b.酵素の活性に及ぼすpHの影響
  c.酵素反応の調節
まとめ

9章 生体防御
A 体液による生体防御
 (1)血液の組成
  a.赤血球
  b.白血球
  c.血小板
 (2)血球の生成
   コラム 血液はなぜ赤い?
 (3)血液凝固
   コラム 血液が黄色に?
B 免疫による生体防御
 (1)白血球の食作用
 (2)免疫
  a.抗体タンパク質の構造
  b.体液性免疫
  c.細胞性免疫の仕組み
  d.免疫系の記憶
  e.血液型
まとめ

索引

現在薬学部では、平成18年にスタートした薬学部の6年制のカリキュラムに従って、より専門的能力を身につけ、実践できる薬剤師養成の教育が行われています。この6年制の課程では、くすりの作用だけではなく、人間のからだの仕組みや疾患の発症から治療まで幅広い知識を習得し、さらに医療機関での実務実習による技能の習得が到達目標とされています。そのためには、医療スタッフとしての薬剤師になるための基礎となる「機能形態学」、「分子生物学」、「薬理学」、「免疫学」、「薬物治療学」、「病態生理学」などの科目の習得はもちろんのこと、それぞれの有機的な連携も必要になってきました。さらに、生命科学の進歩は著しく、また多様化し、かつ専門化しています。薬学部学生を含め医療系の学生には、その生命科学の最先端の知識を学び、かつ理解することが求められています。
 しかし一方で、大学入学試験制度の多様化により、生物学や物理学・化学の試験を受けることなく医療系学部に入学してくる学生が多くなっているのも事実です。
 そこで、本書「薬学を学ぶためのやさしい生物学」は、その点を十分に考慮し、薬学部での学習に備え、高校での生物学の要点を薬学教育にむけて分かりやすく解説しました。また薬学部6年制の「薬学教育モデル・コアカリキュラム」(日本薬学会)の指針に焦点を当て、編集しました。したがって、本書はこれまでにない新しいタイプの教科書で、これからの薬学教育に一石を投じるものになると信じています。
 本書は次のような特色を目指して企画・編集されました。
(1)高校生物すべてを取り上げるのではなく、薬学部で学ぶ内容を理解するために必要な生物学にフォーカスを絞り、少ない時間で効率よく学習できるようにしました。
(2)高校の生物の先生や理学部の先生を執筆者に加え、高校生にも理解できる内容に努め、一般教養の生物学にも対応できるようにしました。
(3)自習も可能なように、分かりやすい図をたくさん用い、理解を助けるように配慮しました。
(4)高校で使用されているすべての生物学の教科書を参考にし、編集しました。
(5)大学に入学してくる学生に、入学前のプレ教育用の教科書として使用できるように編集しました。
(6)薬学部の講義にいっそうの興味を抱けるように、「薬学へのイントロダクション」や「コラム」、くすりや病気と関連する事柄として「ここにつながる」のコーナーを設けました。
(7)大事な語句は太字にしましたが、できる限り最小限にし、理解しやすいように心がけました。
(8)執筆者は、専門の知識を分かりやすい表現で書くことに心がけました。
 執筆者は、学生にとって学びやすく、また教師にとって教えやすいように、最善を尽くしましたが、まだ多くの問題が残されていると考えます。これからも皆さん読者のご意見をもとに随時改訂してゆきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
2010年春
編者 高野行夫、岩崎克典