教科書

コンパスシリーズ

コンパス分子生物学

創薬・テーラーメイド医療に向けて

こちらの商品は改訂版・新版がございます。

編集 : 荒牧弘範/大戸茂弘
ISBN : 978-4-524-40265-6
発行年月 : 2010年4月
判型 : B5
ページ数 : 250

在庫なし

定価4,536円(本体4,200円 + 税)

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正誤表

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文

薬学部向けの分子生物学の教科書。コンセプトは「CBT対応・わかりやすい・ミニマムエッセンス」。分子生物学の基礎からゲノム創薬まで図を豊富に用い、ていねいに解説。薬学教育モデル・コアカリキュラム[C9(2)生命情報を担う遺伝子、(6)遺伝子を操作する、C17(3)バイオ医薬品とゲノム情報]を網羅。

第I部 分子生物学の基礎
1章 遺伝子とは何か
A 遺伝情報を担う分子
 1 細胞の構造と遺伝子を構成する物質
 2 遺伝子の本体の発見
B 核酸
 1 核酸塩基
 2 ヌクレオシド
 3 ヌクレオチド
C DNA鎖とRNA鎖
 1 DNAの構造
  a DNAの二重らせんモデル
  b DNA二重らせん構造
  c DNAの塩基配列
  d DNAの形状
 2 RNAの構造

2章 遺伝子の複製と保持
A DNAの複製
 1 DNAの複製
  a DNAポリメラーゼ
  b 複製開始点
  c 複製の機構
  d 複製における末端問題
  e DNAの校正
 2 組換え機構
  a 相同組換え
  b 遺伝子の転位
B DNAの損傷、変異とその影響
 1 突然変異
 2 損傷の種類
  a 脱プリン反応
  b アルキル化
  c 脱アミノ反応
  d ピリミジン二量体
  e 変異を起こす他の要因
C 変異の修復
 1 直接修復
 2 ヌクレオチド除去修復
 3 塩基除去修復
 4 乗越え修復
 5 二本鎖切断の修復

3章 遺伝情報の発現
A 遺伝情報の流れ
 1 セントラルドグマ
 2 転写と翻訳
 3 RNAウイルスの遺伝子発現
  a RNAからその情報をそのままの形で引き出して利用するもの(RNA複製)
  b RNAから、一度DNAの形に戻して、再びRNAをつくるもの(逆転写)
B 転写の分子機構
 1 RNAポリメラーゼ
  a 原核生物のRNAポリメラーゼ(大腸菌の場合)
  b 真核生物のRNAポリメラーゼ
 2 原核生物の転写
 3 真核生物の転写
C 転写調節
 1 オペロン説と転写因子
  a 大腸菌ラクトースオペロンの転写制御
  b トリプトファンオペロンの転写制御
 2 転写因子の機能ドメイン
  a ヘリックス-ターン-ヘリックス(HTH)構造
  b Znフィンガー構造
  c 塩基性ヘリックス-ループ-ヘリックス(bHLH)構造
  d b-Zip構造
  e 転写因子とDNAとの結合様式
D RNAの種類と働き
 1 RNAの種類
 2 mRNAの特徴と機能
  a mRNAの基本構造
  b 真核生物遺伝子の構造とmRNAの生成(スプライシング)
 3 tRNAの特徴と機能
 4 rRNA
 5 rRNAとtRNAの転写
 6 その他のノンコーディングRNA(非コードRNA)
E 翻訳
 1 遺伝暗号(遺伝コード)
 2 遺伝暗号の例外
 3 コドン偏位
 4 翻訳機構
  a リボソームとmRNAの結合
  b アミノ酸とtRNAの結合
  c 開始複合体の形成
  d ポリペプチド鎖の伸長
  e ポリペプチド鎖の合成終結

4章 細胞機能の調節
A 細胞内シグナル伝達の分子機構
 1 細胞膜表面に存在する受容体
  a 三量体Gタンパク質共役型受容体(GPCR)
  b 酵素共役型受容体
  c イオンチャネル型受容体
 2 細胞内受容体
B 細胞増殖、分化、アポトーシス
 1 細胞周期
  a 有糸分裂期(M期)
  b 細胞周期の制御
 2 細胞分化
 3 アポトーシス

5章 真核生物のゲノム
A 染色体の構造
 1 染色体の構造
  a ヌクレオソーム
  b ヒストンテールの修復
  c セントロメアとテロメア
 2 クロマチンリモデリングと遺伝子発現
  a アセチル化と脱アセチル化
  b ヒストンとDNAのメチル化
B ゲノムと遺伝子
 1 ゲノムの概念
  a ゲノムとDNA
  b ヒトゲノムの大きさ
 2 ゲノムと遺伝子
  a 遺伝子の種類
  b 遺伝子を含まないゲノムの領域
 3 非コード領域を埋める反復配列
  a 縦列反復配列
  b 分散型反復配列
C 遺伝子の進化
 1 タンパク質のモジュール構造
 2 エキソンシャッフリング
  a レトロ転移によるエキソンシャッフリング
  b 不等交叉によるエキソンシャッフリング
 3 遺伝子重複
  a レトロ遺伝子
  b 不等交叉による遺伝子重複

6章 ヒトゲノム
A ゲノムとは何か
 1 ヒトゲノム
  a ゲノム
  b ヒトゲノムプロジェクト
  c ゲノムサイズと遺伝子の数
  d ヒトゲノムにコードされた遺伝子の数
  e ヒトゲノムのいくつかの領域
B 一塩基変異(SNPs)
 1 SNPとは何か
 2 SNPの分類

第II部 遺伝子工学
7章 分子生物学的技術
A 遺伝子操作の基本─DNA抽出
 1 フェノール抽出法
 2 出発材料
 3 タンパク質分解酵素処理
 4 フェノール・クロロホルム抽出とRnase処理
 5 DNAの回収
 6 DNA量の測定
B 遺伝子操作の基本─制限酵素処理と電気泳動
 1 制限酵素
 2 制限酵素の使用に関する注意
 3 アガロース電気泳動
  a 原理
  b DNAの検出
C 遺伝子操作の基本─DNAおよびRNAの検出
 1 サザンブロット法
 2 ノーザンブロット法
D 遺伝子機能の解析技術─DNA塩基配列の解析
 1 マクサム・ギルバート法
 2 サンガー法
 3 未知の遺伝子のシークエンス
E 遺伝子機能の解析技術─PCR法
 1 ポリメラーゼ連鎖反応(PCR法)
 2 使用試薬および反応条件について
F 遺伝子機能の解析技術─逆転写酵素と逆転写反応
 1 逆転写酵素
 2 応用
G 遺伝子多型の検出
 1 遺伝的多型の検出
  a SNPによって起こるRFLPの検出
  b RFLP以外のSNPの検出
  c ハプロタイプ地図
  d PCRによるマイクロサテライト多型の検出
 2 SNPが機能に及ぼす影響の例−薬物代謝酵素における遺伝的多型
  a 抗がん剤イリノテカンとUDP-グルクロン酸転移酵素(UGT1A1)
  b UGT1A1にみられるSNPと遺伝子多型
H コンピューターを用いた核酸の塩基配列の検索
I タンパク質の検出・解析技術
 1 タンパク質検出法
  a ウエスタンブロット法
  b 免疫染色法
  c フローサイトメトリー
 2 網羅的発現解析
  a マス・スペクトロメトリー
  b プロテインチップ

8章 遺伝子工学
A 組換えDNA技術
 1 組換えDNA技術の歴史
 2 組換えDNA技術の有用性
 3 組換えDNA技術の概要
  a DNAの切断と連結の技術
  b クローン化技術
  c 大量増幅と組換えDNA単離技術
B 遺伝子のクローニング法
 1 遺伝子クローニング
  a cDNA
  b ゲノミックDNA
 2 遺伝子クローニング法
  a 核酸塩基配列を利用したクローニング法
  b 遺伝子産物の特徴、機能を利用したクローニング法
C 遺伝子ライブラリー
 1 遺伝子ライブラリー
  a ゲノミックDNAライブラリーの作製法
  b cDNAライブラリーの作製法
D 外来遺伝子を細胞内で発現させる手法
 1 タンパク質の機能と構造解析
  a タンパク質の大腸菌内発現
  b タンパク質の酵母、昆虫細胞、哺乳類細胞への発現
  c 安定発現と一過性発現
 2 局在解析
 3 プロモーターと調節配列の機能解析
E 個体レベルで調べる遺伝子の機能
 1 トランスジェニックマウスの作製
 2 ノックアウトマウスの作製
  a 遺伝子破壊の基本手法
  b 組織特異的な遺伝子破壊
  c 遺伝子ノックイン
F 組換えDNA実験指針
 1 組換えDNA実験指針の歴史的背景
 2 遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律
G 遺伝子取り扱いに関する安全性と倫理

第III部 医療分野での貢献
9章 組換え医薬品とゲノム創薬
A 組換え医薬品の特色と有用性
 1 組換え医薬品とは
 2 組換え医薬品の特色
 3 組換え医薬品の有用性
  a 大量生産性と安全性の確保
  b 薬剤の作用改変
  c 新たな治療薬の創出
 4 組換え医薬品の製造
  a 製造原理
  b 製造管理のポイント
  c 生産細胞の特徴
B 代表的な組換え医薬品
 1 組換え医薬品の分類
 2 ホルモン
 3 酵素
 4 血液凝固因子
 5 サイトカイン
 6 ワクチン
 7 モノクローナル抗体(抗体医薬)
C 組換え医薬品の安全性
 1 組換え医薬品の安全性
 2 組換え医薬品の製造管理、品質管理、薬事的規制
 3 有効成分の特性と品質保証
 4 不純物、汚染物質の安全性
  a 不純物に関する安全性管理
  b 汚染物質に関する安全性管理
 5 非臨床試験、臨床試験における安全性の検証
  a 非臨床試験での留意点
  b 臨床試験での留意点
D バイオインフォマティクス
 1 ポストゲノムとバイオインフォマティクス
 2 バイオインフォマティクスの流れ
 3 バイオインフォマティクスと関連する学問・技術
E ゲノム創薬
 1 従来の創薬とゲノム創薬の違い
 2 ゲノム創薬の流れ
  a 創薬ターゲット(標的分子)の探索と同定
  b 標的分子の特定とターゲットバリデーション
  c リード化合物の創製と最適化
  d 非臨床試験、臨床試験

10章 遺伝子診断とテーラーメイド医療
A 疾患関連遺伝子
 1 病気の発症に関わる2つの因子
 2 疾患関連遺伝子
  a 細胞の増殖制御
  b がん遺伝子
  c がん抑制遺伝子
  d がんの多段階説
  e 糖尿病
  f 高コレステロール血症
  g アルツハイマー
B 遺伝子診断、分子診断
 1 遺伝子診断の実例
  a 病気の確定診断
  b 品質検査
  c テーラーメイド医療のための体質/遺伝的背景の個人差を検査
 2 遺伝子診断の方法
  a 変異の種類
  b 多型の種類
  c 検出する方法
  d 遺伝子以外の分子診断の方法
 3 遺伝子診断の種類
 4 わが国における遺伝子診断に関する規制の現状
C テーラーメイド医療
 1 がん分子標的薬
  a イマチニブ
  b ゲフィチニブ
  c トラスツズマブ
  d その他
 2 高血圧症と分子標的薬
 3 脂質異常症と分子標的薬
 4 薬物動態関連遺伝子とテーラーメイド医療

11章 遺伝子治療と細胞を利用した治療
A 遺伝子治療
 1 遺伝子治療とは
  a 遺伝子治療の原理
  b 遺伝子治療の歴史
 2 遺伝子治療の方法
  a in vivo遺伝子治療とex vivo遺伝子治療
  b 遺伝子導入の方法
 3 遺伝子治療の現状
  a 先天性遺伝子疾患に対する遺伝子治療
  b がんの遺伝子治療
 4 遺伝子治療の問題点
  a 安全性の問題
  b 倫理的問題
B 細胞を利用した治療
 1 細胞を利用した治療とは
 2 移植医療
 3 再生医療
  a 再生できる細胞
  b 再生を担う幹細胞
 4 再生医療の現状
  a 体性幹細胞を用いた再生医療
  b ES細胞を用いた再生医療
  c iPS細胞を用いた再生医療
  d 内在性の幹細胞を活性化させる再生医療
 5 倫理的な問題点

Exercise解答
索引

ワトソンとクリックが1953年、DNA(デオキシリボ核酸)の構造が二重らせんであることを提唱したとき、生物学者たちが分子のレベルで生物を捉えることができる可能性を認識し、分子生物学(Molecular Biology)が生まれた。今や、分子生物学は医療系(医学・薬学など)、理学系、農学系、工学系などの多分野に関連する学問であり、各分野がそれぞれの視点から生物を捉えている。また、ワトソンとクリックの発見から半世紀足らずで、分子生物学は急速に進展し、その情報量は膨大となった。薬学においても、医療現場で役立つ教育の重要性が増し、それに伴い、組換え医薬品、抗体医薬品、分子標的薬、再生医療など分子生物学の領域で修得しなければならない内容がますます増加している。薬学生が分子生物学という科目を通して、いかに薬学的な基礎知識と実際の医療現場で役立つ知識を身につけるかが課題である。
 本書は、薬学教育モデル・コアカリキュラム(コアカリ)に沿って分子生物学を理解することができるように、「I部 分子生物学の基礎」、「II部 遺伝子工学」、「III部 医療分野での貢献」という三部構成になっている。各大項目のはじめにコアカリの「到達目標(SBO)]と重要項目の紹介である寸ポイント」を明示し、その項での学習方針を示すこととした。その他にも事前学習のポイントを示す「おさえておこう」、他の項目へのつながりを示す「ここにつながる」などを設けて学習を進めやすいように工夫している。また、要所には「コラム」を設け、補足説明をした。さらに各章末には練習問題である「Exercise」を設けて各項目の理解度を確認できるようになっている。
 シリーズコンセプトである「ミニマムエッセンスでわかりやすい」、「ポイントをおさえて学べる見やすい紙面で構成」という編集方針が踏襲され、6年制薬学教育課程の薬学生にとっての関門であるCBT対策にも最適である。
 本書は、分子生物学の知識の効率的な修得、CBTさらに薬剤師国家試験への十分な対応を目指して編集されているが、さらに読者諸氏からのご意見、ご指摘をいただきながら、薬学生諸君に真に役立つ教科書にしてゆきたいと考えている。ご意見をお寄せいただければ幸いである。
2010年2月
荒牧弘範
大戸茂弘