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新臨床腫瘍学改訂第3版

がん薬物療法専門医のために

こちらの商品は改訂版・新版がございます。

編集 : 日本臨床腫瘍学会
ISBN : 978-4-524-26967-9
発行年月 : 2012年12月
判型 : B5
ページ数 : 774

在庫なし

定価16,200円(本体15,000円 + 税)

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正誤表

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文
  • 書評

日本臨床腫瘍学会公式テキストの改訂第3版。がん薬物療法を行ううえで、非専門領域であっても知っておくべき知識を網羅し、偏りのないよう解説。今改訂では体裁を一新し、標準治療を決めたKeyとなる文献を記載、「バイオマーカー」や「神経内分泌腫瘍」の章を新設するなど、全面的に内容のブラッシュアップを図った。「がん薬物療法専門医」を目指す医師のみならず、がん診療に携わるすべての医療者必携の一冊。

I.Molecular Biology of Cancer
1.Molecular biology
 1)遺伝子異常よ多段階発がん
 2)染色体・ゲノム異常
 3)シグナル伝達系
 4)細胞周期
 5)細胞死
 6)エピジェネティクスとテロメア
 7)浸潤と転移
 8)血管新生
 9)Cancer stem cell
 10)感染と発がん
2.Molecular methods
 1)細胞生物学的解析法(ELISA法、ウエスタンブロット法など)
 2)遺伝子増幅法(PCR法、RT-PCR法、real-time PCR法など)
 3)シークエンス解析、ゲノム解析、遺伝子多型
 4)遺伝子変異検査
 5)トランスクリプトーム解析
 6)プロテオーム解析
 7)バイオインフォマティクス
 8)トランスレーショナルリサーチのための
    病理組織標本を用いた分子生物学的解析
II.Principles of Oncology
3.がんの病因、疫学と予防
 1)病因
 2)疫学研究の方法論
 3)がんの統計
4.がんの予防、検診
 1)がんの予防
 2)がんの検診
5.臨床試験
 1)がん臨床試験総論
 2)第I相試験、第II相試験
 3)第III相試験
 4)有効性と安全性の評価
6.がん診療・がん研究の社会的側面
 1)わが国のがん対策の動向
 2)がん医療と臨床試験における倫理的原則
 3)臨床試験・臨床研究をめぐる知的財産権
 4)臨床試験・臨床研究をめぐる個人情報保護
 5)わが国の医薬品開発をめぐる規制
 6)わが国の保険診療体系とがんの医療経済学概説
7.画像診断(CT、MRI、PET・RI、超音波診断)
8.内視鏡診断
 1)消化器
 2)呼吸器
9.病理診断・TNM分類
10.バイオマーカー
 1)バイオマーカー全般
 2)バイオマーカーと個別化医療
11.腫瘍マーカー
12.腫瘍外科学概論
13.放射線腫瘍学
14.Interventional radiology(IVR)
15.薬物療法総論
16.造血幹細胞移植
17.抗がん薬の薬理学
 1)薬物の開発(発見、スクリーニング、前臨床試験まで)
 2)薬物動態学・薬力学
 3)薬理ゲノミクス
 4)Drug delivery system(DDS)
 5)薬剤耐性とその克服
18.抗がん薬
 1)アルキル化薬、抗生物質
 2)白金製剤
 3)代謝拮抗薬
 4)トポイソメラーゼ阻害薬
 5)微小管作用抗がん薬
 6)インターフェロン、インターロイキン-2
 7)ホルモン療法
 8)その他の抗がん薬
19.分子標的治療薬
 1)受容体・シグナル伝達系阻害薬(小分子薬)
 (A)HER阻害薬
 (B)BCR/ABL阻害薬、c-KIT阻害薬
 (C)mTOR阻害薬
 (D)ALK阻害薬
 (E)その他の受容体・シグナル伝達系阻害薬
 2)血管新生阻害薬・多標的阻害薬
 3)抗体薬
 (A)総論
 (B)細胞表面抗原に対する抗体薬
 (C)上皮成長因子受容体に対する抗体薬
 (D)HER2に対する抗体薬
 (E)血管新生に対する抗体薬
 (F)RANKLに対する抗体薬
 4)プロテアソーム阻害薬
 5)エピジェネティクス標的薬
 6)その他の分子標的治療薬
20.がん免疫療法
21.新しい治療戦略
III.Practice of Oncology
22.抗がん薬の投与方法
 1)ポートの留置・管理
 2)髄腔内ならびにOmmaya reservoirを介した薬物療法
23.頭頸部がん
24.肺がん
 1)小細胞肺がん
 2)非小細胞肺がん
25.中皮腫
26.縦隔腫瘍
27.乳がん
28.食道がん
29.胃がん
30.結腸・直腸がん、肛門がん
31.消化管間質腫瘍
32.神経内分泌腫瘍
33.原発性肝がん
 (A)肝細胞がん
 (B)肝内胆管がん
34.膵がん
35.胆道系がん
36.腎細胞がん
37.膀胱がん・上部尿路上皮がん
 (A)膀胱がん
 (B)上部尿路上皮がん
38.前立腺がん
39.精巣・後腹膜・縦隔胚細胞腫瘍
40.子宮がん
 1)子宮頸がん・外陰がん・腟がん
 (A)子宮頸がん
 (B)外陰がん・腟がん
 2)子宮体がん・子宮肉腫・絨毛がん
 (A)子宮体がん
 (B)子宮肉腫
 (C)絨毛がん
41.卵巣がん・卵管がん・腹膜がん
 (A)上皮性・間質性悪性腫瘍(卵巣がん)
 (B)胚細胞腫瘍
42.骨・軟部腫瘍
 1)悪性骨腫瘍
 2)悪性軟部腫瘍
 (A)手術適応のある肉腫
 (B)進行・再発肉腫
43.皮膚がん
 (A)悪性黒色腫
 (B)基底細胞がん、有棘細胞がん
44.中枢神経系腫瘍
45.内分泌がん
 (A)甲状腺がん
 (B)副腎皮質がん
 (C)褐色細胞腫
46.原発不明がん
47.小児がん
 1)総論
 2)各論
 (A)神経芽腫
 (B)横紋筋肉腫
 (C)白血病/リンパ腫
 (D)その他の腫瘍
48.造血・リンパ組織の腫瘍
 1)WHO分類
 2)急性骨髄性白血病(AML)
 3)急性リンパ性白血病(ALL)
 4)慢性骨髄性白血病・骨髄増殖性腫瘍
 (A)慢性骨髄性白血病(CML)
 (B)真性多血症(PV)
 (C)本態性血小板血症(ET)
 (D)原発性骨髄線維症(PMF)
 (E)慢性好酸球性白血病(CEL)、特発性好酸球増多症候群(HES)
 (F)肥満細胞症
 5)慢性リンパ性白血病(CLL)と類縁疾患
 6)骨髄異形成症候群・骨髄異形成/増殖性腫瘍
 (A)骨髄異形成症候群(MDS)
 (B)骨髄異形成/増殖性腫瘍(MDS/MPN)
 7)非Hodgkin リンパ腫(NHL)
 8)Hodgkin リンパ腫(HL)
 9)成人T細胞白血病/リンパ腫(ATLL)
 10)多発性骨髄腫(MM)と類縁疾患
49.HIV関連悪性腫瘍
 (A)Kaposi肉腫(KS)
 (B)AIDS関連悪性リンパ腫(ARL)
 (C)中枢神経原発悪性リンパ腫(PCNSL)
 (D)浸潤性子宮頸がん
50.腫瘍随伴症候群
51.がん性しょう膜炎
 1)がん性胸膜炎
 2)がん性心膜炎、心タンポナーデ
 3)がん性腹膜炎
52.転移がんの治療
 1)肝転移
 2)骨転移
 3)肺転移
 4)脳転移
53.オンコロジー・エマージェンシー
 1)上大静脈症候群、気道狭窄
 2)電解質異常(高カルシウム血症、低ナトリウム血症)
 3)脊髄圧迫
 4)消化管の閉塞、穿孔、出血
 5)泌尿器科的エマージェンシー
 6)腫瘍崩壊症候群
 7)発熱性好中球減少症
54.副作用対策と支持療法
 1)がん薬物療法に伴う有害反応の対策
 2)B型肝炎ウイルスの再活性化とその対策
 3)性機能障害とその対策
 4)輸血療法
 5)栄養補給
 6)リハビリテーション
55.緩和医療
 1)疼痛緩和と終末期医療
 (A)疼痛緩和
 (B)終末期医療
 2)その他の身体症状と症状緩和
 3)サイコオンコロジー
56.コミュニケーション
57.チーム医療
 1)がん医療におけるチーム医療
 2)緩和ケアチーム
58.高齢者、思春期・青年期のがんとがん医療
 1)高齢者のがん
 2)思春期・青年期のがん
 3)がんと妊娠
59.遺伝性腫瘍と遺伝相談
付録:記述統計
略語一覧
索引

『新臨床腫瘍学』は、がん薬物療法専門医(以下専門医)を目指す若手医師のためのテキストで、専門医が身につけるべき知識や技術を記載したものである.がん医療の進歩は早く、初版を上梓するときより3年ごとに改訂することにしている.したがって、新しい情報が盛り込まれていることから専門医にも役に立つ内容であり、今回で第3版となった.
 日本臨床腫瘍学会の教育委員会(秋田弘俊委員長)が中心となり、第一線のがん医療の専門家と医学部腫瘍内科の教員が執筆を担当し、過去3年間で新しく標準的な治療や検査となったものを盛り込むとともに、すでに過去のものとなったものを整理した.本書は、当学会が採用しているグローバル腫瘍内科カリキュラムに基づいて作成されている[ESMO/ASCO Task Force on Global Curriculum in Medical Oncology: Ann Oncol15: 1603, 2004 (2010年改訂),日本語訳は当学会ホームページhttp://www.jsmo.or.jp/authorize/doc/ca l.pdfを参照].
 毎年70万人以上ががんに罹患し、35万人が死亡している現在、単純計算で毎年35万人のがん患者が増加する.しかも戦後のベビーブーマーが65歳を迎えるにあたり、がん患者の増加が高齢者を中心に加速することは確実である.したがって、高齢者のがん医療(老年腫瘍学)、がんサバイバーシップは避けて通れない課題である. また、がん治療の進歩により治癒にいたった患者の増加に伴い、がん治療による2次がんの発生も問題になってきている.また妊婦のがんについても専門医が応えなければならない課題である.本書では、このように標準的なアプローチが適用できない悪性疾患や患者の状態についても記載することにした.
 がん薬物療法においては、分子標的治療薬を中心に新薬が多く上市されてきている.ただ、標的となる分子(driver gene)が発見され、それに1対1で対応し治療戦略を変えるほどのパワーのある薬剤はほとんどなく、従来の殺細胞性抗がん薬の併用療法に上乗せ効果のあるものが大半である.したがって、専門医はまず従来の抗がん薬をよく知り、標準的な抗がん薬の併用薬物療法を一定のdose intensity、総投与量を維持しつつ、安全にスケジュール通り実施できる実力をつける.その上に分子標的治療薬を併用する場合は、その有害事象が皮膚、肺、infusion reaction等、従来の薬剤ではあまりみられなかったものに及び、しかも合併症死もみられていることから、副作用予防・治療に習熟することが求められる.また、新規薬剤は高価であり、患者の負担を含め医療経済にも気を配らなければならない.
 このように、増え続ける新しい情報、課題に対し多くのページを割きたいところではあるが、テキストとしての機能を考えると、大幅なページ数の増加は避けたい.そのため、今版は第2版とくらべ文字のサイズが小さくなったことに理解をいただきたい.また、今版では第III章の「臓器別各論」において「標準治療を決めたKeyとなる文献」を本文中に明示するよう努めた.
 専門医を目指しておられる先生方には、本書を読み込んでいただき、専門医資格試験に合格されることを期待しています。
2012年10月
日本臨床腫瘍学会理事長
田村和夫

近年の癌化学療法の進歩はめざましく、mitomycin C(MMC)、fluorouracil(5─FU)しかない時代に医学教育を受けた筆者にとっては、驚天動地と形容したくなるほどの様変わりである。多種類の抗癌薬のみならず、さらに多数の分子標的治療薬の登場によって、癌薬物療法は多様化し複雑になった。このような時期に、日本臨床腫瘍学会の編集による本書が出版されたことは、誠に時宜にかなった企画でありご同慶のいたりである。
 欧米諸国では癌薬物療法は腫瘍内科医によって行われるが、わが国では腫瘍内科医が不足しているために、ほとんど外科医(外科的治療を行う医師すべてをさす)がこの仕事を担っている。この現状は理想的とはいいがたいが、わが国の事情を勘案すればやむをえない現実であり、今後もこの状態を継続せざるをえないであろう。本書は腫瘍内科専門医のみならず、外科医として癌薬物療法に携わる医師にとってもたいへん有用な成書であり、貢献度はたいへん高いに違いない。
 すでに3版目であるから内容は十分に練ってあって、癌薬物療法に必要不可欠な情報がすべて盛り込まれている。本書は3章、59項目、774頁の部厚な本であり、各項目の終わりに代表的文献が記載されているなどの注意も行き届いている。「Molecular Biology of Cancer」、「Principles of Oncology」、「Practice of Oncology」の3章に分けて、癌の分子生物学、癌薬物療法の基礎、そして各臓器ごとの各論が簡潔にまとめられているので、読者は必要に応じて頁を開き必要な情報を得ることが可能である。緩和医療にも十分に頁を割いて解説されているが、免疫療法の解説が少ないのが気になった。抗癌薬が無効と宣告された患者の中のかなりの者が、緩和医療の前に巷の免疫療法に希望を見出している現状を知れば、エビデンスがないというだけの理由で免疫療法を毛嫌いする風潮には一考を要すると思う。むしろ、エビデンスをこれから生み出すことが求められているのであり、もう少し正面から取り組む覚悟が必要であろう。ついでにもう一つ要望したいことは、効果判定の問題である。近年、欧米でもちらほら報告されているように、腫瘍縮小のみを基準にした従来の判定基準への反省からquality adjusted life years(QALY)の考え方が登場してきている。QALYを導入することの意義を本書にも盛り込んで欲しかった。
 上記の2点を除けば、本書は完璧といってもよいほどの良書であり、癌薬物療法の百科辞典としても活用することができる。化学療法に関与するすべての医師に推薦したい。

外科75巻5号(2013年5月号)より転載
評者●がん研有明病院名誉院長 武藤徹一郎