書籍

大腸ESD

DVD付

編集 : 山本博徳/斎藤豊
ISBN : 978-4-524-26935-8
発行年月 : 2013年1月
判型 : B5
ページ数 : 262

在庫あり

定価10,800円(本体10,000円 + 税)

正誤表

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文
  • 書評

大腸ESDのすべてを網羅。これまで先進的に取り組んできたエキスパートの実践例をもとに、診断・適応評価、手技、トラブルシューティングだけでなく、各種ナイフ・デバイスの特徴、使用のコツなどを600点の写真とイラストで解説したテキスト。100分超の動画を収録したDVD付。

第T章 大腸ESDを行うために
 1.ガイドラインにおける内視鏡的治療の位置づけ
 2.術者に必要な技術(挿入法、手技の基礎を含めて)
 3.大腸ESDを導入するうえでの注意点
第U章 大腸ESDの適応
 1.大腸ESDの適応
 2.術前内視鏡診断と治療選択
 3.大腸の解剖学的特性とESDの注意点
 大腸ESDのTips & Tricks トレーニングシステム
第V章 大腸ESDの実際
 1.大腸ESDをはじめる前に(設備、IC、前処置、sedationなど)
 2.基本手技と治療戦略の立て方
 3.大腸ESDデバイス選択の考え方
 4.達人のコツ:各種デバイスの特徴と手技の実際
  a HookKnife
  b Dual Knife
  c Flex knife
  d Flush knife
  e SafeKnife/ニードルナイフ
  f B-Knife
  g IT knife
  h Clutch Cutter
  i SB Knife Jr. type
  j Swan Blade
 5.手技の工夫
  a カウンタートラクションの工夫
  (1)細径内視鏡補助下ESD(TEA-ESD)
  (2)クリップ法
  (3)クロスカウンター法
  b Hybrid ESD(周囲切開EMR)
  c トンネル法
 6.周辺機器・材料
  a バルーン内視鏡
  b ウォータージェット機能付き内視鏡
  c 高周波発生装置
  d 先端フード:選択と工夫
  e 局所注入液:選択と工夫
  f 止血デバイス
  g CO2送気
  h 局所注入液としてのメスナ
 7.切除標本の取り扱いと病理診断
 8.術前・術中・術後の患者管理
 大腸ESDのTips & Tricks One man method ESD法による工夫
第W章 大腸ESDの困難例と対処法
 1.線維化症例(遺残再発を含めて)
 2.回盲弁、虫垂開口部にまたがる病変
 3.肛門に接する病変
 4.巨大病変
 5.大型T s 病変
 大腸ESDのTips & Tricks シングルバルーンオーバーチューブを利用した大腸ESD
第X章 トラブルシューティング
 1.偶発症の種類と対処の心構え
 2.トラブルシューティングの実例
  a 小さな穿孔
  b 大きな穿孔:縫縮法の工夫を含めて
  c 腹部コンパートメント症候群
  d 遅発性穿孔
  e 術中出血
  f 後出血
  g ICU入室が必要な重症化(多施設検討から)
 大腸ESDのTips & Tricks 胃ESDから大腸ESD移行時の注意点
第Y章 大腸腫瘍における他の治療法
 1.ホットバイオプシー、ポリペクトミー
 2.EMR、EPMR
 3.外科手術(腹腔鏡下大腸癌手術)─大腸ESDとの接点も含めて─
第Z章 海外の大腸ESD手技:適応と方法
 1.Current Status of Colorectal ESD in Western Countries:The USA Expert Opinion
 大腸ESDのTips & Tricks 海外にいかにESDを普及させるか
索引

付録DVD収載動画
 01.肝彎曲LST-G、ダブルバルーンBI5 使用例
 02.一部線維化を伴う肝彎曲LST-NG
 03.上行結腸の大型LST-G
 04.トンネル法によるESD
 05.国際学会ライブセッション
 06.盲腸LSTに対するESD
 07.IIc病変:診断と治療
 08.Is-villous病変に対するESD・S状結腸
 09.大きなLSTに対するESD・S状結腸
 10.大きなS状結腸LST 診断と治療
 11.LST-NG 診断&治療
 12.Rectal ESD 診断と治療
 13.大きなLSTに対するESD・診断と治療
 14.瘢痕症例に対するESD
 15.回盲弁にかかるLSTに対するESD
 16.下行結腸の巨大LSTに対するESD
 17.巨大LSTに対するJet B-KnifeとIT knife nanoを用いたESD

ESDを始めてからすでに15年が経過した。胃・大腸において同時に開始したESDだが、一般的に認知されるにはそれなりの時間を要した。まず、早期胃癌におけるESDの有用性が認められるようになり、2006年4月には保険収載され、標準治療と認められるようになった。その後2008年には食道にも適用が拡がった。しかし、大腸においては、手技の一般化の困難さ、偶発症リスクの問題などから、標準治療とみなされるにはかなりの時間を要した。大腸においても、腫瘍の確実な一括摘除は、精度の高い根治度の評価、遺残のない完全摘除において意義が高いことは間違いない。胃癌は現在減少傾向にあるが、大腸癌は増加の一途をたどっている。しかも、大腸癌は前癌病変や早期癌の発見で内視鏡的に予防や根治が可能な癌であり、確実な内視鏡治療の普及が望まれていた。また、海外では早期胃癌の頻度は低く、大腸において有用性を確立できてこそ、ESDが世界的に認められる標準治療法の地位を確立できるものと考えられる。
 大腸癌研究会の多施設研究ならびに日本消化器内視鏡学会の大腸ESD前向き登録の良好な治療成績を受け、2012年4月から、ようやく大腸においてもESDが保険適用となった。保険適用により、標準治療として認められ、手技が普及することは望ましいことではあるが、同時にその質と安全性の確保も重要な課題となっている。胃ESDで使われる手技をそのまま大腸に適応して必ずしも安全であるわけではなく、大腸の特徴をよく知り、それに適した手技、戦略を身に付ける必要がある。また、ESDを行う前に確実な診断をつけることが重要であることも言うまでもない。保険適用をきっかけに、ますますの普及が予想される大腸ESDを、安全かつ確実に施行していくための指南書を、このたびタイミングよく出版できたことを嬉しく思っている。
 本書では、大腸ESDの基本からそのコツ、手技を適応するときの考え方、その実践方法などを、困難例への対処法も含めて専門の先生方にプラクティカルに解説していただいている。
 さらには、より実践的な理解のため付録のDVDに、可能な限り多くの動画を収載した。
 これから大腸ESDを始めようとする先生方にも、大腸ESDの手技をよりレベルアップしたいと考えている先生方にも、実践的で役立つ本に仕上がったと自負している。本書が安全かつ確実な大腸ESDの普及に多少なりとも貢献できれば幸いである。
2012年12月
山本博徳
斎藤 豊

大腸腫瘍に対する内視鏡的治療手段は、ポリペクトミーに始まり、病変を浮揚させ切除するEMRの手技が開発され現在でも広く行われている。しかし、EMRでは2 cmを超える病変での一括切除は困難で、分割切除(EPMR)が行われているが、大腸癌を疑う病変では、病理診断が不確実になる。約15年前に胃で始まった内視鏡的粘膜下層〓離術(ESD)の手技は、大きな病変でも一括切除可能なことから大腸でも行われていた。しかし、大腸では、操作性の問題や腸壁が薄く穿孔率が高いなどの理由で胃や食道の保険収載に比べ大幅に遅れ、2012年4月に認可された。保険収載されたとはいえ、ハードルの高い手技であることには変わりはなく、この手技を身に付けるには一朝一夕とはいかないのが現状である。ESDを行うためには、大腸の挿入法の習得、ESDに必要な基本操作、必要なデバイスの特徴や操作法、偶発症対策、患者管理など、多彩な技術トレーニングが必要となる。
 本書は、大腸のESDが一般化し普及しつつあるこの時期にまさしくタイムリーに発売されたといえる。構成として、ESDに関する項目が7章にまとめられている。第T章では、内視鏡的治療手段としてのESDの位置付けや必要な技術が述べられている。第U章では、適応や手技を行う際、問題となる解剖学的な特性とその対策などの基本的な事項、第V章では、ESDの実践的な事柄、すなわち設備、インフォームド・コンセント、前処置の問題、治療戦略、これまで開発されている各デバイスの特徴(有用性)と実際使用している先生方の的確なアドバイスが満載されている。さらに実践編としてESDを安全に容易にするための工夫などが鮮明な内視鏡写真や工夫された図を用いて明解に示されている。各項目は、おのおのの開発者や経験豊富な先生方により執筆されており、非常に理解しやすく参考となる。また、周辺機器としてESDで必要となるスコープや高周波発生装置とその使い方、フードの選択法や使い方、局所注入液の使用法など細部にわたって解説されている。また、術前、術中、術後の患者管理など、手技の解説書では省かれるような項目まで網羅されており、ESDのバイブルとして評価できる内容となっている。第W章では、ESD困難例として線維化症例、回盲弁や虫垂入口部にまたがる病変、肛門にかかる病変、巨大病変、大型のIs病変の治療の実際が示されている。第X章では、ESDに伴う偶発症(穿孔、出血、腹部コンパートメント症候群など)の対策と予防法が示されている。第Y章では、ESD以外の内視鏡的治療手技や腹腔鏡下手術について述べられている。第Z章では、日本で開発されたESDの手技が海外ではどのような状況になっているかがレポートされており興味深い。
 以上、述べたように、本書はESDに関するすべてが網羅されており、ESDをこれからトレーニングしてモノにしていこうとする先生方には必携の書である。さらに技術を向上させようとする先生方にとってもぜひ手元に置いて活用していただきたい書である。また、付録のDVDも編集者の山本、斎藤の両先生自身が編集した動画が収められており、臨場感に富み大変参考となる。大腸ESDを実践しようとする先生方、スキルアップを望む先生方に必読の書として強く推薦したい。

臨床雑誌内科112巻1号(2013年7月号)より転載
評者●がん研有明病院消化器内科部長 五十嵐正広