書籍

運動負荷試験Q&A119改訂第2版

: 上嶋健治
ISBN : 978-4-524-26912-9
発行年月 : 2013年7月
判型 : A5
ページ数 : 214

在庫あり

定価3,564円(本体3,300円 + 税)


  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文
  • 書評

若手医師・心臓リハビリスタッフが共通に抱くさまざまな疑問に、経験豊富な著者が理論的かつ明快に回答した好評書。今版では、「心肺運動負荷試験」「運動療法」を新章として追加したほか、各項目を整理・追加し、有用で興味深いトピックスをコラムとして32個掲載している。また内容の重要度を★でランク付けし、現場で一層役立つ一冊となっている。

第1章 患者さんが検査室に入室するまで
 Q1 ★★★★ なぜ運動負荷試験を行うのですか
 Q2 ★★★ 運動負荷試験の種類(負荷器具による)にはどのようなものがありますか
 Q3 ★★★ 運動負荷試験の種類(負荷方法による)にはどのようなものがありますか
 Q4 ★★★ 最大心拍数とは何ですか
 Q5 ★★★★ 目標心拍数とは何ですか.また、どのようにして求めますか
 Q6 ★★ 目標心拍数に到達しにくい状態にはどのようなものがありますか
 Q7 ★★★ 運動負荷試験の際に心電図をとるのはなぜですか
 Q8 ★★★ 運動負荷試験中に血圧を測る必要がありますか
 Q9 ★★★★ 運動負荷試験に危険はありますか
 Q10 ★★★★ どのような症例への運動負荷試験が危険ですか
 Q11 ★★★ 運動負荷が可能な急性冠症候群(不安定狭心症)はありますか
第2章 患者さんに電極を装着するまで
 Q12 ★★★ 運動負荷試験のプロトコルにはどのようなものがありますか
 Q13 ★★★ 運動負荷試験プロトコルはなぜ必要ですか
 Q14 ★★★ 運動負荷試験プロトコルの選択はどのようにしますか
 Q15 ★★★ トレッドミルの異なるプロトコルやトレッドミルと自転車エルゴメータの負荷量の違いを比較できますか.また、運動処方をするうえで、エルゴメータで求めたW数による運動強度を平地歩行のトレッドミルに換算したいのですが
 Q16 ★★ 運動負荷試験を午前に実施することと午後に実施することで何か違いがありますか
 Q17 ★★★★ 運動負荷試験前には患者さんにどのようなことを注意しますか
 Q18 ★★★★ 運動負荷試験前に検者は患者さんのことをどの程度まで把握しますか
 Q19 ★★★★ 運動負荷試験前に患者さんには何をどこまで説明しますか
 Q20 ★★★ 運動負荷試験時の心電図の誘導法はどのようにしますか.また、心電図波形は12誘導心電図と同じでしょうか
 Q21 ★★★ 安定した心電図を記録するための電極装着の工夫は何ですか
 Q22 ★★ 負荷前に心電図を記録する体位はどうしますか
 Q23 ★★★ 検査中の血圧の測り方とタイミングはどうしますか
第3章 電極をつけてからトレッドミルが動き始めるまで
 Q24 ★★★ 運動負荷試験時には心電図のどこに注意して観察しますか
 Q25 ★ 運動負荷試験中にみられるP波の変化と異常所見は何ですか
 Q26 ★ 運動負荷試験中にみられるQ波の変化と異常所見は何ですか
 Q27 ★ 運動負荷試験中にみられるR波の変化と異常所見は何ですか
 Q28 ★★★★ 運動負荷試験中にみられるST部分の変化と異常所見は何ですか.また、J点とは何ですか
 Q29 ★★ 心筋虚血が起こるとST部分が低下するのはなぜですか
 Q30 ★★★ STが低下した誘導から冠動脈の責任血管を推測できますか
 Q31 ★★★ ST低下をもたらす原因は心筋虚血だけですか
 Q32 ★★ STが有意に低下すればどの誘導であっても虚血と評価できますか
 Q33 ★★★ STの低下度が大きい場合や多くの誘導で低下した場合には、重症虚血と判断してもよいですか
 Q34 ★★★ 偽陽性のST変化の特徴は何ですか
 Q35 ★★★★ 脚ブロックのときにST低下をどう評価しますか
 Q36 ★★★ ST上昇の陽性基準はどうすべきですか
 Q37 ★★★ ST上昇の意義(心筋梗塞の非合併例)は何ですか
 Q38 ★★★ ST上昇の意義(心筋梗塞の合併例)は何ですか
 Q39 ★★★ 運動負荷試験中にみられるT波の変化と意義は何ですか
 Q40 ★★★ 運動負荷試験中にみられるU波の変化と異常所見は何ですか
 Q41 ★★ 運動負荷中の心電図の実波形がモニタではみえづらいのですが、コンピュータ処理による波形をみていればよいのですか
第4章 トレッドミルが動き始めてから止まるまで
 Q42 ★★★ 運動負荷試験中に出現した心室性期外収縮にはどのような意味がありますか
 Q43 ★★★ 出現した期外収縮を頻発と散発に分ける基準は何ですか
 Q44 ★★★ 運動負荷誘発性の心室頻拍や心室細動の意義は何ですか
 Q45 ★★ 運動負荷誘発性の上室性頻拍や心房細動の意義は何ですか
 Q46 ★ 運動負荷誘発性の徐脈性不整脈の意義は何ですか
 Q47 ★★★ 運動負荷中に出現した脚ブロックにはどのような意味がありますか
 Q48 ★★★★ 運動負荷を中止する徴候は何ですか
 Q49 ★★★★ 胸痛や息切れまたは下肢疲労のような主観的な自覚症状をどのように評価しますか
 Q50 ★★★★ 負荷中の血圧低下および著明な血圧上昇の意義は何ですか
 Q51 ★★★★ 運動負荷中に生じると危険なこととして念頭に置くべきことは何ですか
 Q52 ★★★ 負荷を開始しても患者さんがうまく歩けないのですが、どう指導すればよいですか
 Q53 ★★ 負荷を終了するときはトレッドミルを普通に止めてよいですか.それともクールダウンが必要ですか
 Q54 ★★ ステージの途中で運動終点を迎えたときにはどのように評価しますか
 Q55 ★★ 負荷を終了した後の患者さんの体位はどのようにしますか
第5章 トレッドミルを止めてから患者さんが退室するまで
 Q56 ★★★ 運動負荷終了後の回復期にはどのくらいモニタ観察を続ければよいですか
 Q57 ★★★ 回復期に注意すべき心電図変化は何ですか
 Q58 ★★ 回復期に注意すべきその他の事象は何ですか
 Q59 ★★★ 運動負荷試験終了後の一般的注意は何ですか
 Q60 ★★★★ 運動負荷試験の結果はどのように報告しますか
 Q61 ★★★ 運動負荷試験の精度はどの程度ですか
 Q62 ★★ 運動負荷試験のST-HR loopとは何ですか
 Q63 ★★ ST低下の基準にほかの指標(Q波やR波の基準および右側胸部誘導の追加など)を組み合わせると診断精度が向上しますか
 Q64 ★ コンピュータによる運動負荷心電図の自動診断精度はどの程度ですか
 Q65 ★★★★ トレッドミル負荷試験の手順と結果の報告の具体的な方法をまとめてください
第6章 運動負荷試験をさらに深く学びたい人のために
 Q66 ★★ 息切れや下肢疲労の程度から次のステージに進むことが無理と考えられるケースで、しかも目標心拍数に到達していない場合に、何か心拍数を上昇させるよい手段はありませんか
 Q67 ★ 運動負荷を始めてすぐに目標心拍数に到達する症例はどのように観察しますか
 Q68 ★★★ 運動負荷試験結果から予後が推定できますか
 Q69 ★★ 運動負荷試験結果をどのように治療に反映させますか
 Q70 ★ 内科治療後の運動負荷心電図がどの程度改善すれば薬効があったと評価してよいのですか
 Q71 ★★ 運動負荷心筋シンチグラム検査を行う際の運動負荷で気をつけることは何ですか
 Q72 ★★ 心房細動の患者さんへの運動負荷試験の意義は何ですか
 Q73 ★★ 洞機能不全や房室ブロックの患者さんへの運動負荷試験の意義は何ですか
 Q74 ★★ QT延長症候群やBrugada症候群への運動負荷試験の意義は何ですか
 Q75 ★★★ 経皮的冠動脈インターベンション(PCI)後の運動負荷試験の意義は何ですか.また、ステント症例の負荷試験施行時期はいつが適切ですか
 Q76 ★★ 冠攣縮性狭心症の誘発方法や運動負荷への反応の特徴は何ですか
 Q77 ★ 弁膜疾患への運動負荷試験の意義は何ですか
 Q78 ★ 肥大型心筋症への運動負荷試験の意義は何ですか
 Q79 ★★ 小児への運動負荷試験の意義は何ですか
 Q80 ★★★ 心臓手術以外の術前検査としての運動負荷試験の意義は何ですか
 Q81 ★★★ 閉塞性動脈硬化症への運動負荷試験の意義は何ですか
 Q82 ★★ 見かけ上健常人のスクリーニングや生活習慣病の患者さんへの運動指導前の負荷試験の意義は何ですか
 Q83 ★ 10m(20m)歩行負荷試験とは何ですか
 Q84 ★★★★ ガイドライン上の運動負荷試験の位置づけはどうなっていますか
 Q85 ★★★ 運動負荷試験に関してガイドラインで強調されていることは何ですか
第7章 心肺運動負荷試験を実施するにあたって
 Q86 ★★ 運動生理学に関する基礎知識はどこまで必要ですか
 Q87 ★★ 酸素摂取量、METs、エネルギー代謝率、二重積とは何ですか.違いを教えてください
 Q88 ★★★★ 心肺運動負荷試験とは何ですか.また、得られる指標で最低限理解すべきものは何ですか
 Q89 ★★★ 心肺運動負荷試験のプロトコルはどのようにしますか
 Q90 ★★★ 最大酸素摂取量と最高酸素摂取量の違いは何ですか
 Q91 ★★★★ 嫌気性代謝閾値(AT)とは何ですか
 Q92 ★★★★ ATはどのようにして求めますか
 Q93 ★★★ 呼吸性代償開始点(RCP)とは何ですか
 Q94 ★★★ Ve/Vco2とは何ですか
 Q95 ★★ PETCO2とは何ですか
 Q96 ★★ 酸素脈とは何ですか
 Q97 ★ Vo2/WR(仕事率)とは何ですか
 Q98 ★★ 立ち上がり時定数(τon)と立ち下がり時定数(τoff)とは何ですか
 Q99 ★ そのほかに考慮すべき指標は何ですか
 Q100 ★★ 動揺性呼吸とは何ですか
 Q101 ★★★ 心肺運動負荷試験中に自覚症状をどのように評価しますか
 Q102 ★★★ 心肺運動負荷試験の指標と自覚症状に関係はありますか
 Q103 ★★★ 運動負荷試験結果から運動処方や日常生活の指導ができますか
 Q104 ★★★ 心肺運動負荷試験結果をどのように所見に記載しますか
 Q105 ★★★ Karvonenの式とは何ですか
 Q106 ★★★ 6分間歩行試験の実施方法を教えてください
第8章 運動療法を実施するにあたって
 Q107 ★★★★ 運動療法前のメディカルチェックはどう行いますか
 Q108 ★★★★ 包括型心臓リハビリテーションとは何ですか
 Q109 ★★★★ 運動療法にAT強度を参考にすることの意義は何ですか
 Q110 ★★★ 運動療法の一般的な注意は何ですか
 Q111 ★★★★ 心不全の患者さんへの運動療法の意義は何ですか
 Q112 ★★ 心不全の患者さんへの運動療法は左室リモデリングに影響を与えませんか
 Q113 ★★★★ 心不全の患者さんへの運動療法で注意すべきことは何ですか
 Q114 ★★★★ 閉塞性動脈硬化症の患者さんへの運動療法の意義は何ですか
 Q115 ★★ 閉塞性動脈硬化症の患者さんへの運動療法で注意すべきことは何ですか
 Q116 ★★ 心疾患の患者さんのスポーツをどのように許可しますか
 Q117 ★★★ ごく簡便に運動処方したいのですが
 Q118 ★★★ 運動療法を長続きさせるコツは何ですか
 Q119 ★★ 心臓リハビリテーション指導士とは何ですか
索引

先に「運動負荷試験Q&A110(初版)」を出版する機会を頂いてから、10年以上が経過しました。運動負荷試験の基本的な技術やエビデンスに関しても、日本循環器学会から「冠動脈病変の非侵襲的診断法に関するガイドライン(2009)」が策定されたり、日本心臓リハビリテーション学会の会員数が10,000人に至ろうとするなど、大きな変化が訪れています。CTやMRIなどの技術や再灌流、血行再建、再生医療などの医療技術の革新的な進歩とともに、むしろ歴史のある運動負荷試験と運動療法に対するニーズの高まりが感じられます。温故知新とでもいうべきことかもしれません。しかし、振り返ってみると、初版では心肺運動負荷試験の記述がなく、運動療法に関する記載もありませんでした。また、10年の経過で古くなってしまった内容も散見されるようになりました。そこで、内容を全面的に見直し、上記の内容も盛り込んだ大幅な改訂を行い、「運動負荷試験Q&A119(改訂第2版)」として改めて出版する機会を頂きました。
 改訂にあたり気を付けたことがいくつかあります。まず、心肺運動負荷試験と運動療法に関してそれぞれ章を追加しました。また、いくつかのQ&Aを追加・改訂・統合し、すべてのAにおいて、解説内容に手を加えました。一方、重要度の低い項目は削除するなど、Q&Aは最終的に119の重要事項にとどめ、読みやすい分量になることを心がけました。同時に、削除した項目の一部、および新たなトピックスやトリビアをコラムのように「memo」欄に記述することで、肩の凝らない読み物として独立させました。さらに各項目の重要度をミシュラン風に★の数で示し、
(1)決して忘れてはならない必須の知識:★★★★
(2)基礎的で重要な知識:★★★
(3)応用的で重要な知識:★★
(4)応用的な予備知識:★
の4つに分類しました。重要度の高いところだけに目を通して頂くだけでも、臨床現場での使用には十分に耐えうると考えています。
 また、初版と同様に全体の流れや整合性を保ち、記述の重複を避けるために、分担執筆ではなく単著による著作としました。今回も質の高いエビデンスは盛り込みながらも、あえて著者の経験や思い入れを記述することで、現場のニーズに応えるように工夫した部分も少なくありません。
 最後に、本書が運動負荷試験に従事されるすべての方々にとって、運動負荷試験や運動療法をされるときに、わずかでもお役に立てれば幸いです。さらに、本書により、運動生理学や運動心臓病学に興味を持ち、これらの道を歩みたいと考える同好の士が一人でも増えることがあれば、これに勝る喜びはありません。宜しくお願い申し上げます。

2013年7月
上嶋健治

運動負荷試験におけるありとあらゆる情報を網羅した決定版!
 長年にわたり心臓リハビリテーション(リハ)のエキスパートとしてご活躍の上嶋健治教授(京都大学)が初版『運動負荷試験Q&A 110』から11年ぶりに『運動負荷試験Q&A119(改訂第2版)』を出版された。
 心臓リハは運動耐容能のみならず再発を予防し寿命を改善する治療として最高のエビデンス(クラスI、エビデンスA)が示されているが、適切な運動処方の作成には運動負荷試験の実施が必要である。運動負荷試験は、そのほかにも虚血性心疾患の診断・スクリーニングや重症度評価、不整脈の評価、生活習慣病の運動処方や生活指導、間欠性跛行・下肢虚血の評価、治療効果の判定など広く用いられている。循環器疾患の診療やリハに携わる医療者にとって、運動負荷試験を安全に行い、正しく判定し、適切な運動処方を出せることは、いまや必須の要件となっている。
 とくに呼気ガス分析を用いた心肺運動負荷試験は、嫌気性代謝閾値(AT)、最大酸素摂取量(VO2max)、最高酸素摂取量(peak VO2)など生命予後との相関が高い重要なパラメータを定量化できることで正確な運動処方、効果判定、生命予後予測を行えるために、臨床的な重要性や需要が一段と高まっている。
 本書は1万件以上の運動負荷試験を行ってきた著者により1人で書き上げられたために、その内容に重複や漏れがない。新しく「心肺運動負荷試験」と「運動療法」に関する記載を紙面の約30%を費やして行っている。虚血性疾患患者はもちろん、心不全患者やPAD患者への運動療法メニューに関しても詳述しているので、運動療法のテキストとしても利用可能である。
 本書の魅力は読みやすく、わかりやすいことである。つまり、文章が簡明で無駄がない。図を多用し、解答が要領よくまとめられている。さらに、2色刷りで要点を拾い読みできるようになっている。また、119の各項目の重要度を、「決して忘れてはならない必須の知識(★★★★)」から「応用的な予備知識(★)」の4段階にランク付けし、読者のレベルに応じて効率的に読めるように工夫されている。また、「memo」欄のトリビアも面白く、楽しく飽きさせない読み物に仕上げている。内容は最新のガイドラインをきちんと反映し、最新知見には引用文献を明記してあるために、読んでいても安心感がある。著者の講演は楽しく、しかもわかりやすいことで有名であるが、本書はまさにその著者の日ごろのサービス精神を凝縮させたものと言えよう。私も一息に読破し、医学生や研修医時代に覚えた古い内容を短時間で修正し、最新知識を獲得できた。
 このように、本書は運動負荷試験や運動療法の処方・指導に関して臨床現場ですぐに役立つ本であり、また、過去に心電図を学んだ方の知識のブラッシュアップや、心電図の基礎から学びたい医学生、コメディカルにも参考になる本である。ぜひお手元に置いてほしい1冊である。

臨床雑誌内科113巻4号(2014年4月号)より転載
評者●東北大学大学院医学系研究科障害科学専攻機能医科学講座内部障害学分野教授・専攻長 上月正博