教科書

シンプル理学療法学シリーズ

義肢装具学テキスト改訂第2版

監修 : 細田多穂
編集 : 磯崎弘司/両角昌実/横山茂樹
ISBN : 978-4-524-26904-4
発行年月 : 2013年9月
判型 : B5
ページ数 : 444

在庫あり

定価5,184円(本体4,800円 + 税)

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文

臨床的視点を養うシリーズ方針に基づき、リハビリテーション医療における義肢・装具の役割を、見やすい図と分かりやすい文章で解説。改訂にあたり全体の記述内容を見直し、理解が深まるように項目の再配置を行った。また、装具編では新たに「脳卒中片麻痺」「脊髄損傷」「小児疾患」「スポーツ障害」の患者に対する装具の章を設け、内容の充実を図った。

第I部 装具編
装具総論
1 装具総論
 A 装具とは
 B 装具の目的
 C 装具の役割
 D 装具の歴史
 E 装具の適応疾患
 F 装具の分類
 G 装具の課題
 H 装具の展望
2 装具を理解するための運動学
 A 装具の役割と生体力学
 B 各装具と運動力学
 C 装具歩行の運動学
下肢装具
3 短下肢装具
 A 短下肢装具とは
 B 短下肢装具の種類と特徴
 C 歩行における短下肢装具の働きと適応
4 長下肢装具
 A 長下肢装具とは
 B 長下肢装具の種類と特徴
 C 歩行における長下肢装具の働きと適応
5 靴型装具
 A 靴型装具の定義
 B 足部にみる主な変形と病態
 C 靴の基本
 D 靴の補正・整形外科靴(靴型装具)
6 下肢装具のチェックアウト
 A 下肢装具のチェックアウトの流れと項目
 B 長下肢装具のチェックアウト
 C 短下肢装具のチェックアウト
 D 靴型装具のチェックアウト
上肢装具
7 上肢装具
 A 上肢装具の目的
 B 目的別にみた、上肢装具の適応となる代表的疾患
 C 上肢装具の特徴、構成要素、適応について
8 上肢装具のチェックアウト
 A チェックアウトの流れと項目
 B 上肢装具のチェックアウト
頸部体幹装具
9 頸部体幹装具
 A 使用目的と目的達成に必要な基本事項
 B 分類
 C 基本的構成要素とその構造
 D 頸部体幹装具の種類と特徴
 E 頸部体幹装具の生体工学的効果
10 頸部体幹装具のチェックアウト
 A チェックアウトの流れと項目
 B 注意点
 C 頸部体幹装具チェックアウトの実際
疾患別の装具
11 脳卒中片麻痺患者に対する装具
 A 脳卒中片麻痺患者の上肢装具
 B 脳卒中片麻痺患者の下肢装具
12 脊髄損傷患者に対する装具
 A 脊髄損傷患者の上肢装具
 B 脊髄損傷患者に対する下肢装具
13 小児疾患患者に対する装具
 A 小児疾患患者における装具療法の目的
 B 装具療法の適応と実際
 C 小児疾患における下肢の装具療法
14 スポーツ外傷に対する装具
 A スポーツ用装具とは
 B 疾患ごとの装具療法
 C 手段・方法論からみた装具療法
第II部 義肢編
義肢、切断と評価
15 義肢総論
 A 義肢とは
 B 義肢の役割
 C 義肢の歴史
 D わが国における切断者数と切断原因の変遷について
 E 義足部品の変遷
 F 切断者の心理面について
16 切断の原因と治療
 A 切断の三大原因とその治療
 B 肢切断と理学療法
17 切断部位と切断術
 A 切断と離断
 B 切断手術における各種の処置
18 切断者の評価(1)全体的評価
 A 理学療法評価の目的
 B 理学療法評価
19 切断者の評価(2)断端評価
 A 断端評価の目的
 B 断端評価の基本的留意事項
 C 断端評価の実際
20 断端管理法
 A 断端管理の目的
 B 切断から義肢装着までの流れ
 C 切断手術後の断端管理法の特徴と利点、欠点
 D 断端への包帯の巻き方
 E 切断術後の良肢位の保持と拘縮の予防
 F 脱感作および断端末の強化
 G 断端の衛生管理
義足
21 足継手
 A 足部を学ぶための基礎知識
 B 義足および足継手と足部について
 C 足部の種類
22 下腿義足ソケット
 A 下腿義足のソケットとは
 B ソケットの種類
23 股義足、膝義足、足部義足、サイム義足
 A 股義足
 B 膝義足
 C サイム義足
 D 足部義足
24 膝継手
 A 膝継手とは
 B 膝継手の分類
 C 膝折れとTKA線の関係
 D 膝継手部品選択時の指標について
25 大腿義足ソケット
 A 大腿義足の概要
 B 各種ソケットの変遷
義足歩行
26 義足歩行の特徴、立位歩行練習
26ー1 義足歩行の特徴
 A 下肢切断者の理学療法の目的
 B 義足歩行の評価
26ー2 立位・歩行練習(大腿切断者を中心に)
 A 練習の意義
 B 正しい義足装着の指導
 C 歩行前練習
 D 歩行練習
27 異常歩行分析と指導、アライメント
 A 義足異常歩行の概要
 B アライメント
 C 義足異常歩行
義手
28 義手
 A 義手の種類と特徴
 B 上肢切断の部位による分類と義手
 C 構造による義手の分類
 D 義手の構成部品
 E 義手のチェックアウト
 F 義手の練習
演習
29 義肢の処方と理学療法
 A 症例1
 B 症例2
 C 症例3
第III部 関係特論
30 障害者スポーツ
 A 義肢装具を使用する障害者スポーツ
 B 運動に適した義足、装具とは
 C 障害者スポーツで使用する代表的な義肢、装具
 D トレーニング方法
 E リスク管理
 F 理学療法士の役割
31 義肢装具の給付制度
 A 義肢装具処方と理学療法士のかかわり
 B 義肢装具の給付制度
 C 義肢装具の交付基準
付録
参考文献
学習到達度自己評価問題の解答
索引
 和文索引
 欧文索引

リハビリテーション医療における義肢装具の役割は大変重要である。義肢装具を用いることにより失われた機能・生活能力を獲得できることは、本来のリハビリテーション概念そのものである。残念ながら理学療法士国家試験模擬テストの各社分析によると、義肢装具分野の正解率は他分野と比較して非常に低く、リハビリテーション医療を学ぶ学生にとって苦手な分野であるといえる。確かに義肢装具の分野は物理(力学)や工学が基礎となり、理数系の学問が苦手な学生には敬遠されているようである。しかしながら、その内容は中学校程度の基礎的な物理を復習するだけで、他の科目のように多くの事柄を暗記することなく“理解”できる学問である。
 義肢装具は関節の固定や矯正・安静・保護、失われた機能の代償として用いられる。義肢装具を適切に用いることにより身体に大きな効果を発揮することができる。たとえば、脳卒中片麻痺患者が使用する短下肢装具の足関節底屈制動角度を少し変化させるだけで、歩行周期における膝関節や股関節、体幹の動きを大きく変化させ安定した効率的な歩行が可能となる。下肢切断では、切断者自身の身体能力と使用する膝・足継手の特性を最大限に利用することにより歩行能力を大きく変化させることができ、走行も可能となる。このように義肢装具の分野では、アライメント調整や、使用する部品、対象者の能力、環境等の関係を調整しトレーニングすることにより、身体に対し一時的ではなく恒常的で安定した効果を発揮できる。適切な義肢装具を使用することによる治療効果は定量的に分析でき、科学的で明解であり理解しやすい。
 近年の義肢装具分野は人間工学や材料工学の発展に伴い著しく進歩している。対象者のニーズは複雑多様化し、本人の要望に関連する科学情報や医療情報は各種メディアやインターネットを通じ簡単に入手できる時代である。一方、医療現場でのインフォームドコンセントやセカンドオピニオンの考え方は、医療を受ける側、行う側の双方に浸透している。このような現状の中、リハビリテーション医療従事者は対象者が知りたい必要な情報をわかりやすく提供し、最良のリハビリテーションサービスを実施できるように、幅広く深い知識と確かな技術の習得が必要不可欠となっている。
 このテキストは義肢装具学の入門編としてよりわかりやすく、言葉の解説やヒント、図表による知識の整理を多く加えてポイントを学習しやすく構成されている。最近の知見やエビデンスに加え、症例紹介や疾患別の義肢装具処方例も新たに掲載し、実際の医療現場に対応できるものとなっている。本書がリハビリテーション医療を学ぶ読者の義肢装具に関する興味と理解を高め、臨床実習や国家試験対策、卒業後の知識の整理に役立つことを望む。

平成25年7月
編者を代表して
磯崎弘司