書籍

痛みの注射法アトラス

監訳 : 矢吹省司
ISBN : 978-4-524-26876-4
発行年月 : 2012年11月
判型 : B5
ページ数 : 192

在庫あり

定価6,156円(本体5,700円 + 税)

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文

運動器の痛みに対する注射療法テクニックを簡潔な解説とカラー解剖図で示したビジュアル・テキスト。副作用が少なく即効性のある局所麻酔薬注入の正確な手技と適応、そしてリスクに対する知識、さらに併用療法を解説。刺入点を示すカラー解剖図により、早く、効果的に、そしてリスクの少ない注射療法が容易に理解、習得できる。

Atlas of Injection Therapy in Pain Management

I はじめに
 A 痛み発生の生理
 B 治療の可能性
 C 局所麻酔薬の注射方法
 D 局所麻酔薬の効果
 E 注射手技
 F 局所麻酔薬を用いた治療の副作用と禁忌
II 頭部
 A 複合的な痛み
   1 側頭部/頭頂部頭痛
   2 後頭頭頂部頭痛
   3 頭頂部ロック
   4 後頭部頭痛
   5 耳周辺部の痛み
 B 筋、腱、靭帯へのアプ口一チ
   1 側頭筋
   2 咬筋と顎関節
 C 神経へのアプローチ
   1 眼窩上神経
   2 眼窩下神経
 D 皮膚へのアプ口ーチ
   いわゆる“イバラの冠(Crown of Thorns)”
III 頚椎
 A 複合的な痛み
   1 非特異的頚部痛
   2 棘突起間関節形成症/棘突起間の刺激(痛み)
 B 筋、腱、靭帯へのアプローチ
   1 肩甲挙筋
   2 胸鎖乳突筋
IV 上肢
 A 複合的な痛み
   1 肩前方と肩峰下の痛み
   2 烏口突起部の痛み
   3 上腕骨外側上顆炎(テニス肘)
   4 上腕骨内側上顆炎(ゴルフ肘)
 B 筋、腱、靭帯へのアプ口ーチ
   1 三角筋
   2 菱形筋
   3 棘上筋
   4 棘下筋
   5 上腕二頭筋
   6 上腕三頭筋
   7 回外筋
   8 ばね指
   9 橈骨茎状突起部の痛み
   10 尺骨茎状突起部の痛み
   11 腱鞘炎
 C 神経へのアプ口ーチ
   1 肩甲上神経
   2 正中神経
 D 関節へのアプローチ
   1 肩関節(肩甲上腕関節)
   2 肘関節(腕橈・腕尺関節)
   3 手関節(橈骨手根関節)
   4 母指鞍関節(母指手根中手関節)の母指手根中手(CM)関節症と疼痛症候群
V 胸部と腹部
 A 複合的な痛み
   1 剣状突起一胸骨一鎖骨三角
   2 肩甲間部
 B 筋、腱、靭帯へのアプ口一チ
   1 大胸筋
   2 胸肋関節
   3 腹直筋
   4 腹横筋
 C 腹部臓器へのアプローチ
   1 胃と十二指腸の疾患
   2 脾臓の痛み
   3 腎と尿路
   4 卵巣と卵管
   5 月経困難症
   6 肝臓と胆嚢の痛み
VI 腰椎と骨盤
 A 複合的な痛み
   1 腰痛
   2 梨状筋症候群
   3 股関節周囲炎
 B 筋、腱、靭帯へのアプローチ
   1 内転筋
   2 腰背筋(最長筋、腸肋筋)
 C 神経へのアプローチ
   1 閉鎖神経
   2 外側大腿皮神経
 D 関節へのアプローチ
     腰椎椎間関節
VII 下肢
 A 複合的な痛み
   1 膝蓋大腿疼痛症候群(ランナー膝)
   2 薄筋と鵞足の疼痛症候群
 B 筋、腱、靭帯へのアプ口ーチ
   1 大腿二頭筋
   2 大腿四頭筋
   3 下腿三頭筋
   4 腓骨筋
   5 内側側副靭帯
   6 外側側副靭帯
 C 神経へのアプローチ
   1 膝蓋下神経
   2 足根管と後脛骨コンパートメント
   3 趾間神経(Morton 神経腫)
   4 踵部痛
 D 皮膚へのアプローチ
   1 膝周辺部
   2 内側半月板痛
   3 外側半月板痛
   4 脛骨に沿った疼痛
 E 関節へのアプローチ
   1 股関節
   2 膝関節
   3 足関節(距腿関節)
   4 中足趾節間関節
VIII 筋筋膜性疼痛症候群
   1 前頭不全症候群
   2 後頭頚部機能不全症候群

参考文献
索引

痛みは、患者が医療機関を訪れる理由で最も頻度の高い症状の1つである。患者は痛みの原因を診断してほしいと望むが、それ以上に、そして診断より前に、まず痛みを改善してくれることを望む。われわれ痛みの治療に関わる者は、それに応えなければならない。
 私は、整形外科医として、主に脊椎脊髄病の治療に関わってきた。たとえば、red flagsのない腰痛や坐骨神経痛の治療の基本は保存療法である。注射療法は即効性が期待できる有効な保存療法の1つである。注射だけで治療できる症例は、特に“慢性疼痛”では多くない。しかし、注射療法を併用することで痛みの改善とADLの拡大が図れることが少なくないことは、日々の診療で実感している。
 本書『痛みの注射法アトラス』は、頭から足趾まで、全身の痛みに対する注射療法について記載してある。注射手技だけでなく、適応、鑑別診断、使用材料、リスク、そして併用療法までコンパクトにまとめられている。そして何より、わかりやすい綺麗なイラストがある。イラストをみると、注射部位が容易にわかり、それを確認するために文章を読めばよいスタイルになっている。文章は短いのでサッと読んで確認できる。痛みを治療する医療者が、必要なときに必要な部分のみを読んで、注射療法が適応となる症例に、適切なアプローチで注射を行い、痛みから早く解放してあげられることに役立つものと信じている。確かに、注射療法には副作用が認められることがある。しかし、対処法を知っておけば怖れることはない本書には対処法についてもわかりやすく記載してある。
 監訳者として素直な感想を述べると、本書は痛みに対する注射療法のアプローチに関してはとてもよい本だと思う。しかし、併用療法や注射回数に関しては、日本では医療保険でカバーされないものも含まれており、日本の痛み治療に即しているとは言えない面もある。ただこれは、痛みを単に注射のみで治療するのではなく、多面的に治療する必要があることを示していると思われる。
 EBMの観点でみると、注射療法の治療効果に関しては、高いエピデンスは存在しない。しかし、短時間であっても患者の訴える痛みを軽減してあげることで、患者の信頼を得、その後の治療を進めやすくなるのは間違いない。本書が、痛み治療に関わる方々に少しでも役立ち、痛みに悩む患者の治療に少しでも寄与できたとしたら、監訳者として本望である。

2012年10月
矢吹省司