書籍

日常診療で必ず遭遇する皮膚疾患トップ20攻略本

編集 : 古川福実
ISBN : 978-4-524-26810-8
発行年月 : 2013年3月
判型 : B5
ページ数 : 212

在庫あり

定価5,940円(本体5,500円 + 税)

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文
  • 書評

皮膚科学会の「多施設横断四季別調査」によると、遭遇頻度の高い皮膚疾患トップ20で皮膚科受診者の85%強を占める。この20疾患を攻略すべく、診断・鑑別・治療のポイント、処方例の実際をQ&A形式で解説。項目毎にコラム「レベルアップのために」を掲載。診療の基礎から実践までの知識整理とトレーニングに最適。若手皮膚科医、研修医、一般内科医が皮膚疾患診療に自信をもてる一冊。

序章 皮膚疾患トップ20とは
第1章 皮膚疾患の診療に自信をつける 病因と鑑別、検査、治療の総論
第2章 各論:トップ20疾患の攻略法
 1位 その他の湿疹〔遭遇頻度:18.67%〕
 2位 アトピー性皮膚炎〔遭遇頻度:9.98%〕
 3位 足白癬〔遭遇頻度:6.49%〕
 4位 蕁麻疹・血管性浮腫〔遭遇頻度:4.99%〕
 5位 爪白癬〔遭遇頻度:4.79%〕
 6位 ウイルス性疣贅〔遭遇頻度:4.49%〕
 7位 乾癬〔遭遇頻度:4.43%〕
 8位 接触皮膚炎〔遭遇頻度:3.92%〕
 9位 ざ瘡〔遭遇頻度:3.60%〕
 10位 脂漏性皮膚炎〔遭遇頻度:3.28%〕
 11位 手湿疹〔遭遇頻度:3.00%〕
 12位 その他の皮膚良性腫瘍〔遭遇頻度:2.47%〕
 13位 円形脱毛症〔遭遇頻度:2.45%〕
 14位 帯状疱疹・疱疹後神経痛〔遭遇頻度:2.39%〕
 15位 皮膚潰瘍(糖尿病以外)〔遭遇頻度:1.98%〕
 16位 痒疹〔遭遇頻度:1.82%〕
 17位 粉瘤〔遭遇頻度:1.77%〕
 18位 尋常性白斑〔遭遇頻度:1.68%〕
 19位 脂漏性角化症〔遭遇頻度:1.62%〕
 20位 薬疹・中毒疹〔遭遇頻度:1.51%〕
皮膚疾患を攻略するためのキーワード
索引

日本皮膚科学会は、本書の執筆者のひとりである古江増隆先生が責任者となって2007年から4回にわたって「本邦における皮膚科受診者の多施設横断四季別全国調査」を行いました。全国の170施設の貴重なデータです。参加施設の内訳は、大学病院69施設、病院45施設、診療所56施設で、合計67,448の調査票を解析した結果です。それをみると興味深いことに、上位20疾患で皮膚科受診患者の約85%を占めていることが明らかになりました(日皮会誌119:1795-1809,2009)。診療形態によって、疾患頻度や選抜された疾患にかなりの差異があるかもしれません。しかし、勤務の形態を問わず、皮膚科診療を行う医師にとってこれら疾患を理解しマスターすることは日常診療において必要不可欠と思います。
 そのような思いから『日常診療で必ず遭遇する 皮膚疾患トップ20攻略本』を企画いたしました。本書ではこの上位20疾患に焦点をあてて、基本的な診方、考え方(診断)、原因検索、治療方法をQ&A形式で解説し、その随所に見落としポイントなど、疾患を攻略するコツを掲載しました。日常診療の流れに沿って、思考の整理と診療トレーニングができる構成になっています。また、写真や図表を多用し、ビジュアルな解説にも努めたつもりです。執筆は、実地臨床経験が豊富で当該分野のエキスパートの先生方にお願いしました。
 本書は、若手皮膚科医、研修医、皮膚科を専門としない一般内科医を対象としておりますが、専門医を取得した皮膚科医が読んでも、一定の満足感を得られるものと確信しております。

2013年2月
紀州の梅さく頃
古川福実

受験生のころ、『試験にでる英単語』という受験書がベストセラーになったことがある。従来のアルファベット順に並ぶ英単語集ではabandonあたりで挫折するのが常であったが、この本は試験問題で遭遇する頻度順(当時「でる順」と呼ばれた)に並べられていたので、飽きっぽい私でも読破した記憶がある。
 今回の古川福実教授の編集による『日常診療で必ず遭遇する皮膚疾患トップ20攻略本』もその着想に似ている。確かにトップ20疾患で皮膚疾患の85%を占めるのであれば、その20疾患を攻略すれば皮膚科診療の85%はカバーできる、といういかにも茶目っ気たっぷりの古川教授の面目躍如たる合理主義的発想である。しかし、それほど短絡的にはいかないことにまず気づいたのは、ほかならぬ編者や執筆者ではなかったかと思われる。
 まず、Question1で、いかにそのトップ20疾患を診断するか、すなわち幾多の類似した皮膚疾患の中からきわめてありふれたcommon skin diseaseを鑑別する作業のむずかしさを実感させられる。皮膚科診断は肉眼による発疹の画像診断とその他の付加臨床情報を加味して、頻度順に2〜3の鑑別診断をあげ、それを謎解きのように峻別していくという理詰めの作業の繰り返しである。Question 1の臨床写真をみてこの鑑別作業をするのは、余分な知識や経験があるほど難易度が高まる。実際私も、2〜3判断を誤ったほどである。Answer 1の中で明快な解説と鑑別のポイントが列挙されており、読み進むことでその思考過程に納得させられる。その意味では、本書は決して非専門医のみでなく、皮膚科専門医にとっても十分に読み応えがある。
 Question2はトップ20疾患の多彩な臨床像を提示して最適な治療法を問う設問であるが、これはきわめて実戦的でpracticalである。皮膚科治療ではしばしば各皮膚科医の裁量権が発揮され、治療法選択の臨床決断局面で齟齬が生じることも少なくないが、Answer 2では緻密な解説が施され、いずれも承服するものばかりである。その意味では、多様な臨床状況でもぶれない皮膚科標準治療のコンセンサスが凝縮されているといっても過言ではない。さらにレベルアップのためのコラムではいかにも玄人向けのかゆいところに手が届く解説が演出されており、心憎いばかりである。
 心憎いといえば、冒頭の田中俊宏教授による総論にも感服する。田中教授は皮膚科学会きっての理論派であるが(単に理屈っぽいだけという風評もあるが)、その理論派が皮膚科診断のようなきわめてファジーなジャンルをどのように料理するのか、かねてから関心をもっていたが、この総論を読むと、理論派といえども、ばっさりと簡略化、パターン化して考えていることが判明し、われわれ凡人と変わらぬ手法であることに休心した。必読に値する総論である。
 このように、本書は皮膚疾患トップ20というフィルターを通して、初心者にはcommon skin diseaseの攻略法を簡潔かつ明瞭に指南するとともに、専門医には皮膚科診断学の深遠さを改めて浮き彫りにした好著である。その意味で、わが畏友古川教授の「硬軟とり混ぜ、清濁併せのむ」包容力と奥行きの深さを改めて実感した。皮膚科診療に従事するあらゆる臨床医にぜひ一読をお勧めしたい。それぞれの力量に相応した手応えを感じるはずだからである。

臨床雑誌内科112巻1号(2013年7月号)より転載
評者●京都大学皮膚科教授 宮地良樹