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血液疾患最新の治療2014-2016

オンラインアクセス権付

こちらの商品は改訂版・新版がございます。

編集 : 直江知樹/小澤敬也/中尾眞二
ISBN : 978-4-524-26799-6
発行年月 : 2014年1月
判型 : B5
ページ数 : 380

在庫なし

定価9,900円(本体9,000円 + 税)

正誤表

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文
  • 書評

最新の診療指針がわかる好評シリーズの血液疾患版。今日的な話題と各疾患の解説、主な診断法・治療法など幅広い最新知見をまとめた構成で、臨床医が知っておきたい情報を完全網羅。巻頭トピックスは「MDSのWHO分類とIPSS-R」「悪性リンパ腫・多発性骨髄腫に対する新規治療」など最新の話題10項目を取り上げる。巻末には血液疾患用薬剤の一覧表を収載。PCやスマートフォンで利用できる便利な“オンラインアクセス権”付き。

巻頭トピックス
 1.再生不良性貧血(その周辺を含む)の分子病態
 2.急性骨髄性白血病(AML)/骨髄異形成症候群(MDS)のゲノム異常
 3.成人T細胞白血病/リンパ腫(ATL)に対する抗体療法
 4.骨髄異形成症候群(MDS)のWHO分類とIPSS.R(revised international prognostic scoring system)
 5.骨髄増殖性腫瘍に対する分子標的治療
 6.がん治療におけるB型肝炎ウイルス再活性化と対策
 7.鉄キレート療法の最新の進歩
 8.新しい細胞免疫療法の進展
 9.悪性リンパ腫・多発性骨髄腫に対する新規治療
 10.新規抗凝固薬(抗Xa薬、抗トロンビン薬)のポテンシャル
I 主な血液疾患用薬剤の作用機序と適応
 1.鉄剤・ビタミンB12
 2.造血因子
 3.免疫抑制薬
 4.抗がん薬
 5.抗体医薬
 6.抗凝固薬と抗血小板薬
 7.止血薬と凝固因子
II 赤血球系疾患
 1.鉄欠乏性貧血
 2.巨赤芽球性貧血
 3.溶血性貧血
 4.再生不良性貧血
 5.赤芽球癆
 6.全身疾患に伴う貧血
III 造血系・骨髄系疾患
 1.急性骨髄性白血病
 2.急性前骨髄球性白血病
 3.高齢者白血病
 4.小児白血病
 5.慢性骨髄性白血病
 6.骨髄増殖性腫瘍
 7.低リスク骨髄異形成症候群
 8.高リスク骨髄異形成症候群
 9.急性リンパ性白血病
 10.Ph染色体陽性急性リンパ性白血病
 11.慢性リンパ性白血病
 12.MALTリンパ腫
 13.濾胞性リンパ腫
 14.びまん性大細胞型B細胞リンパ腫
 15.血管内リンパ腫
 16.Burkittリンパ腫/白血病
 17.リンパ芽球性リンパ腫
 18.マントル細胞リンパ腫
 19.NK/T細胞リンパ腫
 20.Hodgkinリンパ腫
 21.多発性骨髄腫
 22.原発性マクログロブリン血症
 23.血球貪食症候群
IV 出血・血栓性疾患
 1.先天性および後天性血管障害による出血
 2.免疫性血小板減少性紫斑病
 3.血小板機能異常症
 4.血友病
 5.von Willebrand病
 6.その他の先天性凝固異常症・線溶異常症
 7.先天性血栓傾向
 8.深部静脈血栓症
 9.抗リン脂質抗体症候群
 10.播種性血管内凝固症候群
 11.血栓性血小板減少性紫斑病/溶血性尿毒症症候群
 12.ヘパリン起因性血小板減少症
V 造血幹細胞移植
 1.造血幹細胞移植の前処置
 2.非血縁者間造血幹細胞移植
 3.臍帯血移植
 4.HLA半合致移植
 5.GVHDと免疫抑制療法
 6.造血幹細胞移植後のウイルス感染症と対策
VI 主な診断法・治療法
 1.PET診断
 2.フローサイトメトリー
 3.遺伝子診断
 4.輸血療法
 5.放射線治療
 6.感染症とその対策(細菌)
 7.感染症とその対策(真菌)
 8.細胞療法
付録 血液疾患用主要薬剤一覧
索引

本書の前版(2011-2013年版)は、血液疾患のState.of.the.Artsをレビューするだけでなく「最新治療」に力を入れた解説書として企画された。幸い好評をもって迎えられ、この度2014-2016年版を上梓することができた。最新の内容をおまとめいただいた執筆者の方々にまず御礼申し上げる。
 この3年間で血液分野において大きく発展した領域として、まずは造血器腫瘍のゲノム研究があげられるであろう。まだ発展段階であるが、造血器腫瘍において新たな遺伝子変異が続々と発見され、分子病態の理解は変異蓄積だけでなく、空間的な広がりや加齢によるランダム変異の蓄積など、多次元からの理解が求められようとしている。また再生不良性貧血におけるクローン性造血についても大きな進歩が見られており、これら病態の細分類や新たな治療開発への発展が期待されている。治療法においては抗体薬物複合体や遺伝子導入免疫細胞療法など、より進化した治療法が臨床でのブレイクスルーを作ろうとしている。この3年間、わが国で承認された新規治療薬は、vorinostat、mogamulizumab、ofatumumab、clofarabineなどがあり、リンパ系腫瘍に対する薬剤が目立つ。特にわが国で疾患概念が確立した成人T細胞白血病/リンパ腫に対し、日本発の抗がん抗体薬mogamulizumabが上市されたことは明るいニュースであった。長らく不動の地位を占めてきたwarfarinに代わりうる新規抗凝固薬、rivaroxabanやapixabanも登場した。未だ多くのエビデンスを欧米に依存しているが、わが国からの論文もいくつか引用されていることは非常に心強い。
 このような血液学の動向を踏まえ、「巻頭トピックス」では10の話題を取り上げた。主な治療用薬剤(I章)と主な疾患(II〜IV章)における項目立ては前版とほぼ同様であるが、大幅に執筆者を入れ替え、最新トピックスをレビューしてもらった。最後(V・VI章)は疾患横断的な診断法と治療法について概説してもらった。
 記述は教科書的にならず最新データに基づいた解説となるようお願いした。いずれもその領域での第一人者が要領よくまとめてくださっている。本書は教科書では物足りない学生・院生から、血液専門医を目指す医師、そして専門であっても知識をアップデートしたいシニアまで、広く受け入れていただけるものと信じている。本書が臨床家の座右の書となり、さらに3年後の改訂が続くことを祈りたい。

2013年12月
直江知樹
小澤敬也
中尾眞二

血液学の進歩は著しい。とくに造血器腫瘍の領域ではゲノム解析が進み、新しい遺伝子変異やエピゲノム異常が相次いで明らかにされ分子病態の解明が急速に進行している。このような基礎研究の進歩は、新たな薬剤の開発に不可欠であり、造血器腫瘍のみならず再生不良性貧血やITPなどの血液疾患においても分子病態を基盤とする新たな治療薬の開発と臨床応用が進んでいる。それゆえ、血液学を専攻する者にとってはいかに最新の知識を学び、診療や研究に応用するかは大きな問題である。このようななかで、今回新たに改訂された「血液疾患最新の治療 2014-2016」はまさに正鵠を得た素晴らしい企画である。本書の編集は、現在のわが国の血液学をリードする直江知樹先生、小澤敬也先生、中尾眞二先生によるものであり、企画もさることながら、わが国の第一線の著者を選択されていることからも本書の質の高さが窺える。ちなみに編集者3氏は日本血液学会学術集会会長経験者あるいは予定者であり、国内外の血液学の動向を知り尽くされており、このような素晴らしい企画が生まれたものと推察される。
 本書の特徴は、前版からの3年間の血液学の進歩が「巻頭トピックス」としてまとめられており、最近の動向を一挙に把握できるようになっていることである。しかも、記述が簡潔に要領よくなされているためにきわめて理解しやすい内容となっている。続く各論では、血液疾患全般について診断、治療に関する最近の進歩をベースに記載されている。実際に臨床の現場で役に立つように具体的な処方例や生活指導にまで言及するとともに、巻末の血液疾患用主要薬剤一覧は実臨床にすぐに役に立つものであり、本書の実践的なテキストとしての一面を示している。また各章では、コラム形式の“TOPICS”として文献とともに最新の話題が記載されているので、より進んだ血液学の知識の習得にも役立つように工夫されている。このように本書の構成は、最新の血液学の話題から血液診療を実際に行うのに必要な基本的な知識まで、簡潔に網羅しているきわめて実践的なテキストとなっている。これも、日本の血液学をリードする編集者3氏の慧眼によるものと思われる。したがって、本書は序文にも書かれているように、教科書では物足りない学生、院生から血液専門医を目指す医師、血液専門医であっても知識をさらにアップデートさせたいシニアの先生方にいたるまで多くの方々に役に立つ血液学のテキストといえる。
 本書は、実際の診療の現場のみならず、学生の講義や専門医試験への対策など幅広い場面で活用することができる優れた血液学のテキストであり、血液学に関係する多くの方々に愛用していただきたい好書である。

臨床雑誌内科114巻4号(2014年10月号)より転載
評者●埼玉医科大学総合医療センター血液内科教授 木崎昌弘

9784524267996