書籍

日本消化器病学会ガイドライン

消化性潰瘍診療ガイドライン2015改訂第2版

編集 : 日本消化器病学会
ISBN : 978-4-524-26776-7
発行年月 : 2015年5月
判型 : B5
ページ数 : 214

在庫あり

定価3,780円(本体3,500円 + 税)


  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文
  • 書評

日本消化器病学会編集による、非専門医のためのオフィシャルなガイドライン。今版ではGRADEシステムの考え方を取り入れ、エビデンスレベルと推奨の強さを設定。主に治療・疫学・病態に関するクリニカルクエスチョン(CQ)を提示し、出血性胃潰瘍・出血性十二指腸潰瘍、H.pylori除菌治療、非除菌治療、薬物性潰瘍、非H.pylori・非NSAIDs潰瘍、外科的治療、穿孔・狭窄に対する内科的(保存的)治療について、現時点の標準的内容がわかる。

第1章 出血性胃潰瘍・出血性十二指腸潰瘍
 1 内視鏡的治療
  CQ1-1 出血性潰瘍に対する内視鏡的治療は有用か?
  CQ1-2 出血性潰瘍に対する内視鏡的止血法はどのような潰瘍を対象とするか?
  CQ1-3 出血性胃潰瘍に対する内視鏡的止血法の成績は?
  CQ1-4 止血確認のための内視鏡検査(セカンド・ルック)は必要か?
 2 非内視鏡的治療
  CQ1-5 内視鏡的治療後に酸分泌抑制薬を用いる必要はあるのか?
  CQ1-6 内視鏡的治療後に防御因子増強薬を用いる必要はあるのか?
  CQ1-7 どのような場合に輸血が必要か?
  CQ1-8 出血性消化性潰瘍患者における食事の中断と再開はどのように行えばよいか?
  CQ1-9 出血性消化性潰瘍患者は入院して治療を行うべきか?
  CQ1-10 抗凝固薬・抗血小板薬服用中の出血性潰瘍に対してどのように対応すべきか?
  CQ1-11 止血後の抗凝固薬・抗血小板薬の再開時期を決定する指標は?
  CQ1-12 interventional radiology(IVR)はどのような場合に行うべきか?
  CQ1-13 再出血予防にH.pylori除菌療法は必要か?
第2章 H.pylori除菌治療
 1 初期治療
 【胃潰瘍】
  CQ2-1 H.pylori除菌は胃潰瘍の治癒を促進するか?
  CQ2-2 H.pylori除菌前のPPI投与は胃潰瘍の除菌率に影響を与えるか?
  CQ2-3 開放性(活動期)胃潰瘍に対してH.pylori除菌治療後の潰瘍治療の追加は必要か?
 【十二指腸潰瘍】
  CQ2-4 H.pylori除菌は十二指腸潰瘍の治癒を促進するか?
  CQ2-5 H.pylori除菌前のPPI投与は十二指腸潰瘍の除菌率に影響を与えるか?
  CQ2-6 開放性(活動期)十二指腸潰瘍に対してH.pylori除菌治療後の潰瘍治療の追加は必要か?
 2 レジメン
  CQ2-7 どのようなレジメンを選択すべきか?
 3 二次除菌
  CQ2-8 二次除菌治療はどのようなレジメンを選択すべきか?
 4 三次除菌
  CQ2-9 三次除菌治療はどのようなレジメンを選択すべきか?
 5 再発防止
  CQ2-10 H.pylori除菌療法は潰瘍再発を抑制するか?
  CQ2-11 除菌成功例に潰瘍再発予防治療は必要か?
  CQ2-12 除菌後のH.pyloriの再陽性化は?
  CQ2-13 除菌後のGERD発症は?
  CQ2-14 除菌後症例の上部消化管検査は必要か?
 6 除菌後潰瘍
  CQ2-15 除菌成功後における未治癒潰瘍の頻度と対策は?
  CQ2-16 除菌成功後における再発潰瘍の頻度と対策は?
第3章 非除菌治療
 1 初期治療
 【胃潰瘍】
  CQ3-1 胃潰瘍に対する非除菌治療(初期治療)にどのような薬剤を選択すべきか?
  CQ3-2 胃潰瘍に対する非除菌治療(初期治療)において,酸分泌抑制薬と防御因子増強薬の併用療法は有効か?
 【十二指腸潰瘍】
  CQ3-3 十二指腸潰瘍に対する非除菌治療(初期治療)にどのような薬剤を選択すべきか?
  CQ3-4 十二指腸潰瘍に対する非除菌治療(初期治療)において,酸分泌抑制薬と防御因子増強薬の併用療法は有効か?
 2 維持療法
 【胃潰瘍】
  CQ3-5 胃潰瘍の非除菌治療において維持療法は必要か?
  CQ3-6 胃潰瘍に対する非除菌治療(維持療法)にどのような薬剤を選択すべきか?
  CQ3-7 胃潰瘍に対する非除菌治療(維持療法)において,酸分泌抑制薬と防御因子増強薬の併用療法は有効か?
  CQ3-8 胃潰瘍に対する非除菌治療(維持療法)の期間はどのくらい必要か?
  CQ3-9 胃潰瘍に対する非除菌治療において,維持療法中に内視鏡検査は必要か?
 【十二指腸潰瘍】
  CQ3-10 十二指腸潰瘍の非除菌治療において維持療法は必要か?
  CQ3-11 十二指腸潰瘍に対する非除菌治療(維持療法)にはどのような薬剤を選択すべきか?
  CQ3-12 十二指腸潰瘍に対する非除菌治療(維持療法)において,酸分泌抑制薬と防御因子増強薬の併用療法は有効か?
  CQ3-13 十二指腸潰瘍に対する非除菌治療(維持療法)の期間はどのくらい必要か?
  CQ3-14 十二指腸潰瘍に対する非除菌治療において,維持療法中に内視鏡検査は必要か?
第4章 薬物性潰瘍
 1 NSAIDs潰瘍(低用量アスピリンを含む)
 【疫学・病態】
  CQ4-1 NSAIDs服用者では,消化性潰瘍,上部消化管出血のリスクは高まるか?
  CQ4-2 NSAIDs潰瘍および消化管出血の発生頻度は?
  CQ4-3 NSAIDs潰瘍の発生時期は?
  CQ4-4 NSAIDsによる上部消化管傷害における症状は?
  CQ4-5 NSAIDs潰瘍はH.pylori関連の潰瘍と発生部位,個数,深さが異なるか?
  CQ4-6 NSAIDs潰瘍とびらんの違いは?
  CQ4-7 NSAIDs潰瘍のリスク因子は?
  CQ4-8 NSAIDsの種類により潰瘍(出血)発生率に差があるか?
  CQ4-9 NSAIDsの投与量により潰瘍(出血)発生率に差があるか?
  CQ4-10 NSAIDsの経口投与と坐薬で潰瘍(出血)発生率に差があるか?
  CQ4-11 NSAIDsの単剤投与と多剤投与で潰瘍(出血)発生率に差があるか?
 2 非選択的NSAIDs潰瘍
 【治療】
  CQ4-12 NSAIDs潰瘍の治療はどのように行うべきか?
  CQ4-13 H.pylori除菌治療でNSAIDs潰瘍の治癒率は高まるか?
 【予防】
  CQ4-14 NSAIDs投与患者でH.pylori陽性の場合,潰瘍予防として除菌治療を行うべきか?
  CQ4-15 潰瘍既往歴がない患者におけるNSAIDs潰瘍発生予防治療は必要か?
  CQ4-16 高用量NSAIDs,抗血栓薬,糖質ステロイド,ビスホスホネートの併用者,高齢者および重篤な合併症を有する患者におけるNSAIDs潰瘍予防はどうするか?
  CQ4-17 潰瘍既往歴,出血性潰瘍既往歴がある患者がNSAIDsを服用する場合,再発予防はどうするか?
 3 選択的NSAIDs(COX-2選択的阻害薬)潰瘍
 【治療】
  CQ4-18 COX-2選択的阻害薬服用時に潰瘍発生予防治療は必要か?(潰瘍既往歴がある患者の場合/潰瘍既往歴がない患者の場合)
 【予防】
  CQ4-19 NSAIDs潰瘍発生はCOX-2選択的阻害薬により減少するか?
  CQ4-20 NSAIDsは心血管イベントを増加させるか?
 4 低用量アスピリン(LDA)潰瘍
 【治療】
  CQ4-21 低用量アスピリン(LDA)潰瘍の治療はどのように行うべきか?
 【予防】
  CQ4-22 低用量アスピリン(LDA)服用者では,消化性潰瘍発生率,有病率が高いか?
  CQ4-23 低用量アスピリン(LDA)服用者ではどのような併用薬を用いれば,消化性潰瘍発生率,有病率が低くなるか?
  CQ4-24 低用量アスピリン(LDA)服用者では,上部消化管出血リスク,頻度は高いか?
  CQ4-25 低用量アスピリン(LDA)服用者ではどのような併用薬を用いれば,上部消化管出血発生率,有病率が低くなるか?
  CQ4-26 上部消化管出血既往歴がある患者が低用量アスピリン(LDA)を服用する場合,どのような併用薬を用いれば,再出血が少なくなるか?
  CQ4-27 潰瘍既往歴がある患者が低用量アスピリン(LDA)を服用する場合,どのように潰瘍再発を予防するのか?
  CQ4-28 潰瘍既往歴など潰瘍発生リスクがない患者が低用量アスピリン(LDA)を服用する場合,潰瘍発生予防策は必要か?
  CQ4-29 低用量アスピリン(LDA)服用者におけるNSAIDs投与は潰瘍発生のリスクを上げるか?
  CQ4-30 低用量アスピリン(LDA)服用者におけるCOX-2選択的阻害薬は通常のNSAIDsより潰瘍リスクを下げるか?
  CQ4-31 低用量アスピリン(LDA)服用者におけるNSAIDs併用時の潰瘍予防法はあるか?
 5 その他の薬物
  CQ4-32 NSAIDs以外に潰瘍発生リスクを高める薬物は?
  CQ4-33 糖質ステロイド投与は,消化性潰瘍発生(再発)のリスクファクターか?
第5章 非H.pylori・非NSAIDs潰瘍
  CQ5-1 非H.pylori・非NSAIDs潰瘍の頻度は?
  CQ5-2 非H.pylori・非NSAIDs潰瘍の原因や病態は?
  CQ5-3 非H.pylori・非NSAIDs潰瘍の治療はどのように行うべきか?
第6章 外科的治療
 1 手術適応
  CQ6-1 消化性潰瘍穿孔の手術適応は?
  CQ6-2 消化性潰瘍出血の手術適応は?
 2 手術術式
  CQ6-3 消化性潰瘍穿孔に対する最適な手術術式は?
  CQ6-4 消化性潰瘍出血に対する最適な手術術式は?
  CQ6-5 消化性潰瘍による狭窄に対する手術術式は?
 3 術後維持療法
  CQ6-6 消化性潰瘍の術後に除菌療法は必要か?
第7章 穿孔・狭窄に対する内科的(保存的)治療
 1 穿孔
  CQ7-1 穿孔に対する内科的治療の適応は?
  CQ7-2 穿孔に対する内科的治療はどのように行うべきか?
  CQ7-3 穿孔に対する内科的治療から外科的治療に移行するタイミングは?
 2 狭窄
  CQ7-4 狭窄に対する内科的治療の適応は?
  CQ7-5 狭窄に対してどのような治療を選択すべきか?
索引

消化性潰瘍診療ガイドライン作成の手順

1.改訂の背景
 日本消化器病学会は胃食道逆流症(GERD),消化性潰瘍,クローン病,肝硬変,胆石症,慢性膵炎の6疾患に関する診療ガイドラインを2009年から2010年に作成した.その後,機能性ディスペプシア(FD),過敏性腸症候群(IBS),大腸ポリープ,NAFLD/NASHの4疾患についても診療ガイドラインの作成が2011年より開始され,2014年に刊行されることになった.そのなかで,先に作成された6疾患の診療ガイドラインは作成されてより5年を経過することになるため,4疾患と並行して改訂を行うこととなった.
初版の消化性潰瘍診療ガイドラインは厚生労働省の研究補助金(厚生科学研究費)「EBMに基づく胃潰瘍診療ガイドライン」をもとにして,十二指腸潰瘍,外科的治療などを追加して作成され,2009年10月に刊行された.また,刊行後に保険適用の拡大や新薬の発売など,ガイドラインの記載と実臨床において齟齬が生じた内容について,2013年に学会ホームページにAnnual Review版として掲載した.本ガイドラインが作成されてから,新たなエビデンスが明らかになるとともに,新しい薬剤の登場や保険適用の追加もみられ,診療の現状に適した診療ガイドラインの作成が求められていた.

2.改訂の手順
 1)診療ガイドライン委員会の設立
 日本消化器病学会ガイドライン委員会の第1回統括委員会が2011年7月に開催され,4疾患の診療ガイドライン作成と並行して,先行の6疾患の診療ガイドラインの改訂が行われることが決定された.改訂版ガイドラインの作成は,初版のガイドラインと同様に作成委員会と評価委員会が協力して行うこととなったが,ガイドラインの改訂は今後も継続して行われていくと考えられることから,委員の若返りを考慮に入れて両委員会の委員を一部変更し新たな委員会が組織された.第1回作成委員会は2012年9月13日に開催され,改訂の基本方針が確認され,改訂の作業が開始された.
 2)作成基準
 初版のガイドラインではMindsに準拠した「推奨グレード」,「文献のエビデンスレベル」で行われたが,改訂版ではGRADE システムによる「推奨の強さ」,「文献のエビデンスレベル」により行った.
 3)作成方法
 はじめに作成委員会にてCQを作成し,評価委員会が問題点などを評価し作成委員会に報告し,修正,追加などを行い,CQを完成させた.次に,それぞれのCQについて論文検索を行い,作成委員会にて検索された論文をGRADE システムにより評価し,CQごとに「ステートメント」,「推奨の強さ」,「エビデンスレベル」,「解説」,「文献」を作成し,評価委員会に報告した.評価委員会にて評価したあと,作成委員会に報告し,最終的に作成・評価両委員会が合同にて完成させた.推奨の強さの合意率は作成委員会にて挙手により行った.また,文献の掲載はCQごとに行った.作成委員会におけるガイドライン(案)の作成は委員の合議により行い,佐藤貴一作成副委員長はそのなかで重要な役割を果たした.
 文献検察は,英文論文にはMEDLINE,Cochrane Libraryを用い,日本語論文には医学中央雑誌を用いた.新たなCQについては1983年から2012年6月末までの期間,初版と同じCQでは2008年以降.2012年6月末までの期間を検索した.網羅的に検索された論文を吟味し採用論文を決定し,採用論文ごとに構造化抄録を作成した.
 採用論文は研究デザインによって分類し,バイアスリスクなどの要因により総合評価を行い,最終的にエビデンスの質を「質の高いエビデンス(A)」から順に,「B」,「C」,「D」の4段階で判定した.
 「推奨の強さ」は文献のエビデンスレベルだけでなく,利益と不利益のバランス,患者の嗜好性,費用対効果の各要素を検討して判定した.また,「推奨の強さ」は「強い推奨」と「弱い推奨(提案)」の2者のみで,ステートメントは「…を行うよう推奨(提案)する」,あるいは「…を行わないよう推奨(提案)する」とした.
 構成は初版ガイドラインを踏襲し,「出血性胃潰瘍・出血性十二指腸潰瘍」,「H.pylori除菌治療」,「非除菌治療」,「薬物性潰瘍」,「外科的治療」,「穿孔・狭窄に対する内科的(保存的)治療」としたが,新たに「非H.pylori・非NSAIDs潰瘍」が加わった.特に,「薬物性潰瘍」では疫学・病態が加わり,その内容を大きく変更した.
 CQ数は順に13,16,14,33,6,5,3の計90項目で,主として治療,疫学,病態に関するCQから成り,診断に関するCQはない.
 統括委員会での取り決めに従い,2012年7月以降の検索期間外の重要なエビデンスについては「解説」に記載するのみとした(2014年末までの文献).また,保険適用のない治療については「解説」にその点を記載した.
 フローチャートは,三次除菌のCQが新たに加わったが,保険適用がないためフローチャートには追加を行わず,初版とほぼ同様となった.
 パブリックコメントは日本消化器病学会のホームページ上にて2015年1月19日から2月2日の間に募集し,それを加味して消化性潰瘍診療ガイドラインを最終的に完成させた.

3.使用法
 本ガイドラインは消化性潰瘍の治療,疫学,病態などについての2012年までのエビデンスをもとに作成され,一般的な診療の内容を提示することにより,臨床の場を支援するものである.しかし,患者の状態はそれぞれ異なることから,本ガイドラインを一律に盲目的に運用することは求めていない.それぞれの患者に適した治療を選択することが望ましい.また,医学は日々進歩しており,本ガイドラインはそれに対応することが今後必要となると思われる.

2015年4月
日本消化器病学会消化性潰瘍診療ガイドライン作成委員長
芳野純治

 ガイドラインは、実地診療にあたり、診断や治療方針がわからないとき、あるいは、疑問が生じたときに手引きとなるものである。そのため、頻度の高い疾患が対象となり、また、実診療で起こりうるClinical Question(CQ)が作成され、文献的エビデンスのもとに回答が作成される。2009年から2010年にかけて日本消化器病学会により、6疾患のガイドラインが作成された。その後、新たに4疾患のガイドライン作成が2011年から始まり、同時に、先に作成された6疾患の診療ガイドラインが改訂された。消化性潰瘍診療ガイドラインは先行する6疾患の一つである。初版の消化性潰瘍ガイドラインは、厚生労働省の厚生科学研究費による「EBMに基づく胃潰瘍診療ガイドライン」をもとに、十二指腸潰瘍や、外科治療などを追加し、2009年10月に刊行された。その後、保険適用の拡大や新たなプロトンポンプ阻害薬(PPI)の発売など、診療体系が変わり、ガイドラインの改訂が求められるようになった。
 初版のガイドラインでは文献のエビデンスレベルとともに「Mindsの推奨グレード」が基本となっていたが、今回のガイドラインでは新たな文献を加えたエビデンスレベルと、「GRADEシステムによる推奨の強さ」が用いられ、「行うように推奨(提案)する」あるいは「行わないように推奨(提案)する」に分けられ、ステートメントはわかりやすく締めくくられている。CQは90項目あり、新たなCQについては、1983年から2012年6月末までの期間、初版と同じCQでは2008年以降〜2012年6月末までの期間で文献検索されている。ガイドライン作成後、パブリックコメントを日本消化器病学会のホームページ上で受け、最終的に本ガイドラインが作成された。残念ながら、カリウムイオン競合型アシッドプロッカー(potassium-competitive acid blocker:P-CAB)と呼ばれる、新しい胃酸分泌抑制薬であるvonoprazan(タケキャブ)は2015年3月に発売されたため、今回のガイドラインでは取り上げられていないが、ヘリコバクター・ピロリ(ピロリ)の三次除菌など、保険適用でない治療については「解説」に記載されている。
 消化性潰瘍の病態もピロリ感染やNSAIDs・低用量アスピリン、抗血栓・抗凝固薬などの薬剤が中心となり、さらに、非ピロリ・非薬剤性潰瘍もあらわれ、今回のガイドラインでも取り上げられている。消化性潰瘍は減少しつつある疾患であるが、日々の臨床で、ピロリ感染に起因する潰瘍や薬剤に起因する出血性潰瘍に遭遇する機会は多く、成因の明らかでない消化性潰瘍も増加している。また、ピロリ除菌後の消化性潰瘍の対応も重要な項目である。プライマリケアに従事する先生方はもとより、消化器病専門医の先生方にも熟読していただき、日々の臨床において、診察場に置いていただきたい著書である。

臨床雑誌内科117巻5号(2016年5月号)より転載
評者●川崎医科大学附属川崎病院総合内科2特任教授 春間賢