書籍

ポケットチューター体表からわかる人体解剖学

監訳 : 大川淳/秋田恵一
ISBN : 978-4-524-26683-8
発行年月 : 2014年4月
判型 : 新書
ページ数 : 286

在庫あり

定価2,916円(本体2,700円 + 税)

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文
  • 書評

体表から、体内の臓器や神経、血管などの位置を把握できるカラーアトラス。体表上に体内臓器イラストを重ねた豊富な写真をはじめ、X線などを駆使した正確な解剖位置との対比、また視診・触診の際に手掛かりとなる指標から、治療施術の際に体内へとアプローチするための情報まで、体表からわかる解剖のすべてをコンパクトに収載。すべてのメディカルスタッフのポケットに忍ばせておきたい一冊。

Chapter1 はじめに
 1.1 解剖学的姿勢と平面
 1.2 解剖学的運動
 1.3 感覚神経支配
Chapter2 胸部
 2.1 骨性の指標、関節、軟骨
 2.2 筋
 2.3 線とひだ
 2.4 縦隔
 2.5 神経、血管、リンパ管
 2.6 臓器
Chapter3 腹部
 3.1 骨性の指標、関節、靱帯
 3.2 基準面、領域
 3.3 筋、腱、腱膜
 3.4 鼡径管
 3.5 神経、血管、リンパ管
 3.6 腹壁の外科的切開
 3.7 臓器
Chapter4 上肢
 4.1 上肢帯、肩、上腕
 4.2 肘、肘窩、前腕
 4.3 手関節、手
Chapter5 下肢
 5.1 下肢帯、殿部、大腿
 5.2 膝関節、膝窩部、下腿
 5.3 足関節、足部
Chapter6 骨盤部、会陰
 6.1 骨、関節、靱帯
 6.2 会陰
 6.3 女性
 6.4 男性
 6.5 会陰の神経、血管
Chapter7 脊柱、背部
 7.1 脊柱
 7.2 筋
Chapter8 頭頚部
 8.1 骨・骨性の指標
 8.2 頭蓋内構造
 8.3 頭部・顔面の筋
 8.4 鼻、鼻腔、副鼻腔
 8.5 頭部の神経
 8.6 頭部の内臓
 8.7 口腔、口腔前庭
 8.8 頚部
 8.9 頚部の神経、血管
 8.10 頚部の内臓
 8.11 頚部のリンパ管
索引

CTやMRI、超音波装置などの画像診断技術が進歩した現在、比較的短時間に体内臓器を検査することが行えるようになりました。しかし、その臓器に実際に到達するには、体外に開口部を持つ管腔を逆行性にアプローチする以外、すべて体外からの穿刺や皮膚を切開することが必要となります。そのためには骨性の隆起や筋のレリーフを見て、体表から見たときの位置関係と、近傍や奥に何が存在するのかを知ることが重要です。また、末梢神経や血管の走行に関する知識は、その損傷を避けて、安全に医療を遂行する上で不可欠です。さらに、体表に近い組織に対する治療法の場合には、目標とする組織を体表から特定しなければなりません。つまり、体表から体内の臓器や組織の位置を正確に知ることは、すべての医療行為にとって、きわめて基本的な技術ということになります。
 ふつうの解剖書では、体表から皮膚、皮下組織、筋を段階的に除去していく形で体内組織の構造を明らかにしていきますが、本書ではあくまで体表から見た体内構造や組織の位置関係を詳細に示すことにこだわっています。臓器や組織の個別の形態については最小限の記載しかありませんが、注射や外科手術、施術において、体表から体内にアプローチするための情報が十分に盛り込まれています。臨床現場に持ち込んでの使用を考えてポケット版になっていますが、豊富な図表と簡潔ながら要点を得た記載で、通読することでも新たな視点を与えてくれます。本書を手に取った皆様の臨床能力のアップは間違いありません。

2014年4月
監訳者一同

本書は、身体内部の臓器や組織の構造を、体表の種々の部位をメルクマールとして解説したユニークな解剖書である。CT、MRIや超音波などの種々の画像診断技術が進歩した現在においても、われわれの日常臨床で最初に目にして診察の対象となるのは患者の体表であり、外科的手技でも切開や穿刺を行うのは体表からである。患者の症状や所見に合わせて種々の検査や診断、処置を行う際、その情報源や処置の開始点となるのは、いつの時代でも体表であり、それらを行う際には種々のメルクマールが必要となり、その解剖学的知識は必須のものである。
 これまでの系統解剖学では、皮膚面、さらにその深部組織、筋肉、神経、血管、内臓組織など、皮膚面から層をめくりつつ身体の解剖が解説されてきたが、体表面から探りうる連続した内部組織の構造は十分解説されていなかった。最近の画像診断技術は、深部の構造を冠状断像、矢状断像など、いくつかの切り口で理解するには有用な診断技術であるが、体表から観察されうるメルクマールとなる組織や構造との位置関係に関しては直接理解しにくい診断技術である。
 本書は英国の臨床解剖学者のRichard Tunstall教授とNehal Shah博士が書かれたポケットチューターシリーズを、本邦の臨床解剖学を牽引してきた東京医科歯科大学で、佐藤達夫名誉教授の後任であり現在の本邦の臨床解剖学の権威である秋田恵一教授と、整形外科の大川淳教授が監訳されたものである。本書は体表からみた体内構造や組織との位置関係にこだわって詳細な記載がされており、これまで何気なく見過ごしてきた種々の体表からわかるメルクマールを理解するのに非常に有用なポケット版であり、日常臨床で使用したり、通読することで新たな視点を与えてくれる貴重な解剖書である。
 外科的手技に有用な指南書としてのみでなく、臨床診断能力をアップするのにも有用と考えられ、外科系の医師のみならず、内科系医師、リハビリテーション領域の方々にもぜひ読んでいただきたい解剖書である。

臨床雑誌外科76巻9号(2014年9月号)より転載
評者●藤田保健衛生大学消化器外科教授 前田耕太郎