書籍

赤ちゃんと子どもの応急処置マニュアル原書第5版

監訳 : 横田裕行
翻訳主幹 : 植田育也/荒木尚
ISBN : 978-4-524-26652-4
発行年月 : 2014年10月
判型 : B5変
ページ数 : 128

在庫あり

定価2,916円(本体2,700円 + 税)

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文
  • 書評

突然の思いがけない事故に遭遇しやすい成長期の乳・幼・小児に絞って、親、保育者、教育者向けにビジュアルな紙面でその対処法を簡潔に解説した英国赤十字社の翻訳書。在宅時に起こりうる火事、台所や庭での事故などにも家庭内ですばやく対処できる。ILCORE2010などの最新のガイドラインに沿って構成を一新。『アトラス応急処置マニュアル』の姉妹書。

はじめに
本書の使い方
緊急時の対応
 火事
 電撃傷
 溺水
意識障害
 意識のない乳児
 人工呼吸:乳児
 心肺蘇生(CPR):乳児
 意識のない小児
 人工呼吸:小児
 心肺蘇生(CPR):小児
 回復体位
ショック
意識の異常をきたす疾患
 熱性けいれん
 てんかん発作
 糖尿病に関連する緊急事態
 失神
呼吸困難
 異物を誤嚥した乳児
 異物を誤嚥した小児
 泣入りひきつけ
 しゃっくり
 窒息と縊首
 ヒューム(粉塵など)の吸い込み
 クループ
 気管支端息
傷と出血
 出血
 異物が刺さっている場合
 切り傷と擦り傷
 感染した傷
 水痘
 眼の傷
 鼻出血
 耳の傷
 口の傷
 切断
 体内出血
 重い物に挟まれた怪我
 胸部の外傷
 腹部の外傷
熱傷
 熱傷
 感電による熱傷
 化学物質による皮膚の熱傷
 化学物質による眼の熱傷
中毒
 化学物質の誤飲
 医薬品・アルコールの誤飲
 植物による中毒
頭と顔の外傷
 頭皮の傷
 頭部の外傷
 鼻・頬骨の外傷
 下顎の外傷
脊椎と頚部の外傷
 脊椎の外傷(意識がある場合)
 脊椎の外傷(意識がない場合)
骨・関節・筋肉の外傷
 骨盤の外傷
 下肢の外傷
 膝の外傷
 足の外傷
 足関節(足首)の外傷
 鎖骨の外傷
 肋骨の外傷
 上肢の外傷
 肘の外傷
 手の外傷
 あざと腫れ
異物
 とげ
 眼の異物
 耳の異物
 鼻の異物
 異物の飲み込み
咬傷と刺傷
 動物やヒトによる咬傷
 虫刺傷
 イラクサによる発疹
 アナフィラキシーショック
 クラゲによる刺傷
 魚(オコゼ)による刺傷
 蛇による咬傷
暑さと寒さ
 低体温症
 凍傷
 熱中症
 熱射病
 日焼け
 あせも
発熱と吐き気
 発熱
 髄膜炎
 嘔吐、下痢
いろいろな痛み
 腹痛
 耳痛
 歯痛
 こむら返り
包帯と保護材
 救急箱
 保護材
 包帯法
 三角巾
 便利な家庭用品
子どもの安全
 家庭での安全管理
 廊下や階段
 居間
 キッチン
 寝室
 浴室
 おもちゃと遊具
 庭
 ガレージと車の安全
 外出時
 子どもとの旅行
索引
Acknowledgments

自分の子や友人の子、あるいはたまたま居合わせた子どもが怪我を負ったり、病気になったりした場合、あなたはどのように行動しますか。あなたの適切な判断や対応がその後の順調な回復に大きく影響することがあります。平成25年度に消防庁から公表された「救急・救助の現況」によると、毎年140万人を超える大勢の皆さんが応急処置の講習を受講しているのもそのような理由からでしょう
 本書「赤ちゃんと子どもの応急処置マニュアル(原書第5版)」は英国赤十字社によりまとめられたテキストの翻訳です。すでに第9版増補版まで発刊されて広く読まれている「アトラス応急処置マニュアル」の小児版という位置づけもできます。本書は写真を多用して多くの方々が内容をその場ですぐに理解できるような工夫をしています。したがって、一般の方々に理解が困難な表現は極力避け、救急の現場ですぐに役に立つような項目立ての工夫がなされています。また、子どもに特有の怪我や病気、子どもの安全などにも配慮した内容となっています。
 具体的には実際の救急の現場を想定し行動すべきことを(1)、(2)、(3)のように順序立てて簡潔に記載しています。とくに注意する点は「ここが重要!」と赤枠で囲った解説も加えました。なお、一部日本の実情に合わない内容は訳注などを挿入して解説を加えております。
 本書は子どもをもつ親たちや家族を対象に編集されましたが、子どもとかかわりのある施設やそこで働く皆さん、たとえば保育園、幼稚園、小中学校で働く先生や職員の方々にも役立つものです。
 応急処置が必要なときに冷静に行動することはなかなか難しいものですが、本書を見ながら、あるいはその一部を思い出しながら対応することで、適切な判断がなされよい結果に結びつくものと考えます。本書が突然の怪我や病気になった赤ちゃんや子どもたちの順調な回復に少しでも役に立つよう訳者一同で願っております。

2014年5月
日本医科大学大学院医学研究科救急医学分野教授
日本医科大学付属病院高度救命救急センター長
横田裕行

 子どもが高熱を出して突然痙攣を起こしたとき、おもちゃなどの異物を飲み込んだとき、やけどをしたとき、頭や手足にけがをしたときなど、乳児や子どもの急変時に周囲の大人はうろたえることなく適切な対応をとらなければならない。そんなとき、傍らにあれば心強い書籍が本書である。
 本書は、英国赤十字社により発刊され、現在第5版まで改訂されている歴史ある応急処置マニュアルであり、保育士、幼稚園・小学校の教諭、ベビーシッターや母親など、子どもと接する機会が多い一般人を対象にわかりやすく執筆されている。
 特徴は写真が全編にふんだんに使用され、視覚に訴えた内容であることであり(確かにパニックに陥ったときに、じっくりと文章を読めるわけがない)、見開きページの写真を左から右に順に目を通しながら、「ここが重要!」の赤枠内の簡潔な文を通読するだけで適切な処置ができるよう工夫されている。
 本書の冒頭の部分に、火事、電撃傷(感電)、溺水などの状況で、まずその場でやるべきことが4つのステップで記されている。それは、(1)状況を理解する、(2)安全を確かめる、(3)重度な損傷の手当、(4)助けを求める、の4つである。このアプローチを踏むことは、助けにいく大人が危険な状況に巻き込まれず、子どもたちを助けるために多くの救助者に参加してもらうためにも大切である。続いて、意識障害、ショック、呼吸困難など生命に危険を及ぼす重篤な病態に対する処置として、気道確保、ショック体位、心マッサージなどの一次救命処置が述べられている。
 次の各論の部分からは、傷と出血、熱傷、中毒、頭と顔の外傷、脊椎と頚部の外傷、骨・関節・筋肉の外傷、異物、咬傷と刺傷、低体温症や熱中症などに対する応急処置法が写真とともにわかりやすく記され、さらに、発熱、嘔吐・下痢、腹痛、耳痛、歯痛、こむら返りに対する処置までもが示されている。
 巻末部分には、救急箱に常備するもの、包帯・三角巾の巻き方、そして子どもや乳児にケガを負わせないため、家庭の廊下や階段、居間、キッチン、寝室、浴室などを安全に管理するための注意点が記述されている。
 急変時にすばやく対応するためだけではなく、家庭の中で子どもたちを安全に管理するために執筆された一般人向けの応急処置マニュアルとしてはきわめて完成度が高く、一家に一冊必ず備えておきたい書籍である。また、整形外科医にとっても、専門外のケガや病気に対する応急処置法を即座に理解するために役に立つことは間違いない。

臨床雑誌整形外科66巻4号(2015年4月号)より転載
評者●帝京大学医学部附属病院外傷センター教授 新藤正輝

 赤ちゃんや子どもの緊急事態は突然にやってくる! そのときにどれだけの人が冷静に対処できるであろうか? かなりトレーニングを積んだ人でない限り、「Yes」と答えられる人はいないであろう。だから、本書はすべての人にみてもらいたい応急処置マニュアルである! 道を歩いていて、街の中で、赤ちゃんや子どものいないところはないのだから。もちろん、赤ちゃんが生まれたばかりの両親や家族、子どもとかかわる職業の人たちは必読である。
 われわれ大人にとっては当たり前の日常生活を過ごしている中で、思いがけないものが赤ちゃんや子どもたちに大きなけがや重大な事故を引き起こしうる。本書は、子どもたちが日常生活の中でいつも危険と隣りあわせでいることを理解させてくれる。そして、日常生活上での危険を減らすための準備、整理、対策を具体的に丁寧に教えてくれる。また、赤ちゃんや子どもたちに突然起きた緊急事態に対して、何を考えて、どのようにするべきかを写真入りで詳細に説明している。心肺蘇生(CPR)、回復体位のページはすぐに開けるようにしておいて、よく読んでほしい。意識がない、呼吸をしていないような重大な事態に対して、すみやかに人工呼吸、胸骨圧迫を行うことがその後の子どもの順調な回復に役立つことはとても多い。
 われわれは、重大な事故や大きなけがが起こるであろうと予測しながら生活を送ってはいない。平常時には、緊急事態において最初にするべきこと、人を呼ぶタイミングなどを冷静に判断し実行できるつもりでいても、緊急の場では混乱してしまう。目の前に起きた、突発的な緊急事態に対して適切な対応ができるように、本書を通じていろいろな応急処置をぜひ自分のものにしてほしい。
 本書は写真が多く、みるだけで応急処置を簡単・確実に理解しやすい。専門知識がない一般の人たちにとっても、応急処置に対する知識の整理、定着には最適である。各家庭に1冊は必要な本である。さらに、赤ちゃんや子どもたちが多く集まるような、ベビールーム・キッズルーム・児童館・おもちゃ売り場・保育園・幼稚園・小中学校などの公共施設の各部屋に本書をおいていただき、緊急事態に対しても本書を参考にしながら安心して対処することができる体制を確立していただければと思う。
 本書を、子どもたちの未来を守る便利なポケットマニュアルとして、多くの方々に多くの場所で備えていただければ幸いである。

臨床雑誌外科77巻5号(2015年5月号)より転載
評者●名古屋大学小児外科教授 内田広夫