書籍

同種造血細胞移植後フォローアップ看護

編集 : 日本造血細胞移植学会
ISBN : 978-4-524-26641-8
発行年月 : 2014年3月
判型 : B5
ページ数 : 204

在庫あり

定価4,320円(本体4,000円 + 税)


  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文

日本造血細胞移植学会編集による公式テキスト。同種造血細胞移植をめぐる現状、移植後合併症の基礎知識、移植後の外来フォローアップにおいて看護師に必要な知識・技術を各分野のエキスパートが詳細かつわかりやすく解説。同種造血細胞移植後患者の長期フォローアップ看護にかかわるスタッフ必携の一冊。

I章 総論
 1 同種造血幹細胞移植の現状と課題
  A.移植適応疾患と適応年齢
  B.造血幹細胞ソース
  C.移植前処置
  D.移植後の支持療法
  E.同種造血幹細胞移植の今後の課題
 2 同種造血幹細胞移植におけるチーム医療
  A.チーム医療とは
  B.チームの種類とその構成メンバー
  C.チーム医療を成功させるポイント
  D.evidence-based medicine(EBM)
  E.移植チーム医療における看護師の役割
 3 移植コーディネートのプロセスと移植後の経過に応じた社会資源の活用
  A.造血細胞移植コーディネーターの役割
  B.造血幹細胞移植治療の一般的なプロセスと造血細胞移植コーディネーターのかかわり
  C.血縁者間骨髄・末梢血幹細胞移植のコーディネート
  D.非血縁者間骨髄・末梢血幹細胞移植のコーディネート
  E.臍帯血移植のコーディネート
  F.移植医療にかかる費用と社会制度
II章 移植後合併症の基礎知識
 1 造血幹細胞移植後感染症の診断とマネジメント
  A.ヒトの免疫機構
  B.感染症
 2 GVHDの診断とマネジメント
  A.慢性GVHDの臨床像
  B.慢性GVHDの診断
  C.慢性GVHDの治療開始の時期と治療の実際
  D.慢性GVHDの支持療法と外来フォローアップ
 3 移植後晩期合併症の診断とマネジメント
  A.二次がん
  B.内分泌異常、不妊、ホルモン補充療法
  C.眼病変、骨関節病変
 4 小児移植後患者特有の課題
  A.小児特有の課題〜症例を通して〜
  B.小児移植後患者の合併症
  C.小児移植後患者のQOL
  D.患児とその家族への心理面への影響と介入
  E.長期フォローアップ
III章 移植後長期フォローアップの看護
 1 移植後長期フォローアップ看護におけるセルフケア支援
  A.移植後長期フォローアップ看護におけるセルフケア支援の意義(QOLの維持・改善)
  B.移植後長期フォローアップ看護において有用なセルフケア支援の考え方とアプローチの実際
  C.セルフケア支援を通した移植後患者のエンパワーメント
 2 退院後の生活指導(1)感染予防
  A.造血幹細胞移植後の感染防御機能の特徴
  B.感染防御機能の抑制
  C.感染症発症と重篤化防止策
  D.生活上の感染防止のポイント
 3 退院後の生活指導(2)身体・心理・社会面の問題への対処
  A.移植後早期の回復過程に特徴的な注意事項と対処
  B.社会復帰への支援
  C.性生活・性機能障害への対処
  D.心理的問題と影響因子、対処方法(家族支援も含む)
 4 リハビリテーション
  A.造血幹細胞移植とリハビリテーション
  B.身体的リハビリテーションの進め方 〜慶應義塾大学病院の取り組み〜
  C.症例をもとに考えるリハビリテーション
 5 GVHDのアセスメントと看護ケア
  A.GVHDの看護
  B.GVHDのアセスメントとケアの実際
 6 移植後経過における倫理的課題
  A.移植にかかわる多様な価値観
  B.倫理的原則に沿った分析の必要性
  C.移植後経過における倫理的課題の特徴とその分析
  D.倫理的課題における看護師の役割
 7 ライフサイクルと発達課題
  A.発達・ライフサイクルと発達課題
  B.ライフサイクルにおける発達課題と入院・治療による影響
  C.造血幹細胞移植を受けた患者(患児)と家族への長期フォローアップの必要性
IV章 移植後長期フォローアップの実際
 1 移植後合併症のスクリーニングと予防
  A.免疫回復と感染症
  B.眼合併症
  C.口腔合併症
  D.呼吸器合併症
  E.心血管系合併症
  F.肝合併症
  G.腎・尿路合併症
  H.筋・結合組織合併症
  I.骨格系合併症
  J.中枢・末梢神経合併症
  K.内分泌合併症
  L.皮膚粘膜合併症
  M.二次がん
  N.社会心理的適応や性的問題
  O.不妊
  P.スクリーニングと予防(すべての移植患者)
 2 移植後長期フォローアップ外来の実際
  A.移植後患者のQOLと長期フォローアップの必要性
  B.移植後長期フォローアップと移植後患者指導管理料
  C.移植後長期フォローアップ外来の開設・運用の実際(国立がん研究センター中央病院の例)
  D.移植後長期フォローアップ外来における看護師の役割
 3 症例検討
  A.症例検討(1)看護師ができるアセスメントの事例展開と解説
  B.症例検討(2)医師からのアドバイスが必要な事例 アセスメントの解説
索引

同種造血幹細胞移植に用いる幹細胞を提供する骨髄バンクや臍帯血バンクの整備に伴い、その施行件数は年々着実に増加している。また、移植法やその支持療法の目覚ましい進歩によって、多くの移植患者がより長期に生存するようになった。しかし一方で、移植の対象となった疾患の根治が得られても社会復帰までには、移植後後期合併症に伴う生活の質の低下、不妊、二次がん、そして復職・復学の問題など多くの課題が残されていることも事実である。そして、移植後の治癒の可能性を拡大するだけでなく、その質をしっかりと担保するためには、医師・看護師・そのほかの職種がチームを編成し、包括的かつ長期的な移植患者のフォローアップ体制を構築することが不可欠であると広く認識されるようになった。
 日本造血細胞移植学会看護部会では、同種造血細胞移植を含む血液造血器腫瘍疾患看護にかかわる看護師のクリニカルラダーを作成するとともに、毎年の学会総会などで、看護教育セミナーで講義を受ける機会を設け、看護師の成長発達を促進できるよう取り組んできた。そして、2012年度の診療報酬の改定においては、「造血幹細胞移植後患者指導管理料」が新設されたが、これによって看護師を含むさまざまな職種の専門家による同種造血幹細胞移植患者の外来フォローアップ体制が移植患者の予後改善に必要不可欠な医療体制であることが再確認されたわけである。
 この造血幹細胞移植後患者指導管理料の施設基準では、造血幹細胞移植に従事した経験を有し「移植医療にかかわる適切な研修」を修了した専任の常勤看護師の配置が求められた。そこで、日本造血細胞移植学会では、これまでの看護部会で行われた研修の質をさらに高めた、同種造血幹細胞移植後患者の外来におけるフォローアップにかかわる看護師を対象とした研修会を新たに企画した。この研修会は、単に施設認定を満たすための看護師研修ではなく、同種造血幹細胞移植後患者の外来でのフォローアップに継続的に加わり、そのさまざまな病態・問題に対して適切に指導・介入し、フォローアップの充実を図るとともに、医師の負担軽減にも貢献できる看護師を育成することを目的としたものである。
 本書は、これまでに開催された数回の研修会の研修内容を基に、各分野のエキスパートが、同種造血幹細胞移植後の外来フォローアップに関与する看護師がチームの要となって活躍するために不可欠な知識を、詳細かつわかりやすく執筆したものである。今後の研修会の教科書として使用することを目的とした書籍であり、おそらく看護師を対象とした同種造血幹細胞移植後外来フォローアップに特化した初めての教科書である。
 ぜひ、各施設での移植後外来フォローアップの看護に役立てていただくとともに、実際の看護の経験を通して、今後の改訂に役立つご意見をいただければ幸いである。

2014年2月
岡本真一郎
近藤咲子
高坂久美子
森文子