書籍

藤田保健衛生大学内視鏡外科手術テキスト(DVD付)

ロボットから従来型鏡視下手術へのフィードバック

監修 : 宇山一朗
編集 : 須田康一/佐藤誠二
ISBN : 978-4-524-26571-8
発行年月 : 2015年10月
判型 : A4
ページ数 : 150

在庫あり

定価14,040円(本体13,000円 + 税)

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文

藤田保健衛生大学上部消化管外科では、進行癌にも積極的に鏡視下手術を適用し、脾摘、膵体尾部を含めた胃全摘や再建、拡大リンパ節郭清も含め体腔内で完遂している。同外科が培い確立してきた鏡視下手術の理論と手技の実際をまとめた。これから腹腔鏡下胃癌・胸腔鏡下食道癌手術を始める、また進行癌まで適用を広げ、安全に手術を行うための動画付き手術テキスト。

I章 総論
 A 低侵襲手術(MIS)の歴史,現状,利点と限界点,これからのMIS−従来型鏡視下手術からロボット支援手術まで−
 B 使用機器の紹介
 C Setupの基本原理・原則
 D 基本手技
 E 諸外国(欧米,韓国)における胃癌・食道癌に対するMISの現状
II章 胃癌
 A 総論
 B 各論
  1 Setup
   a.ロボット支援手術
   b.従来法
  2 リンパ節郭清の原理・原則と郭清限界
   a.ロボット支援手術
   b.従来法
  3 胃切除手技の実際
   a.ロボット支援手術
   b.従来法
  4 完全体腔内吻合法
   a.リニアステイプラーを用いた体腔内吻合
   b.幽門側胃切除後再建法
   c.胃全摘後再建法
   d.噴門側胃切除後再建法
   e.胃空腸吻合術
   f.開腹後に気密性を保つための工夫
  5 周術期管理上の工夫.手術関連合併症の種類と対策
III章 食道癌
 A 総論
 B 各論
  1 体位・麻酔
  2 リンパ節郭清の原理・原則と郭清限界
  3 胸部操作手技の実際
  4 再建
   a.腹腔補助下胃管作成術
   b.後縦隔経路胃管挙上法
   c.腹腔鏡補助下胸骨後経路胃管挙上法
   d.頸部操作
   e.吻合法(端々吻合)
   f.小腸再建
  5 周術期管理上の工夫
付録.手術使用機器一覧
索引

序文

 胃癌に対する外科治療の歴史をひも解くと、1879年にPeanが胃切除を施行し、1881年にはBillrothが幽門側胃切除に成功しました。それから100年後、小生が若手外科医であった1990年代半ばの胃外科のトピックスは大動脈周囲リンパ節郭清を伴う拡大手術でした。一方同時期、1991年に北野正剛先生が世界初の腹腔鏡補助下幽門側胃切除を、故大上正裕先生が腹腔鏡下胃局所切除を施行し、胃癌に対する鏡視下手術が脚光を浴びるようになりました。小生は、1997年に藤田保健衛生大学に赴任して以来胃癌に対する鏡視下手術を本格的に開始し、腹腔鏡下の系統的リンパ節郭清、胃全摘、自動縫合器による体腔内吻合、進行胃癌への適応拡大など数々の課題に挑戦してまいりました。
 食道癌に対する外科治療の歴史を振り返ると、世界初の食道癌手術は1887年にCzernyが頸部食道癌に対して行った頸部食道切除・食道瘻造設であり、経胸的アプローチによる手術は1913年にTorekが報告しました。その後、1992年にCushieriが世界初の胸腔鏡下食道切除を施行し、本邦でも1995年に赤石らが同手術を報告しました。当初は患者体位を左側臥位とする手術が主流でしたが、小生が2006年9月にベルリンで開催された世界内視鏡外科学会に参加した際、Palaniveluらの腹臥位による胸腔鏡下食道亜全摘の手術ビデオを偶然目にして目から鱗が落ちるほど感激しました。そこで早速、同年11月に腹臥位による胸腔鏡下食道亜全摘を導入し、その手技の確立に取り組んできました。
 ロボット支援手術については、1999年に米国でda Vinci Surgical Systemを用いた手術が始まりました。本邦では、恩師である北島政樹先生が2000年4月に主宰された第100回日本外科学会で、ロボット支援Nissen手術のライブデモンストレーションが行われ、内視鏡手術支援ロボットが注目されるようになりました。われわれは2008年12月、当時薬事法未承認であったda Vinci S Surgical System(第3世代)を本邦で初めて個人輸入として購入し、2009年1月には胃癌、同年5月には食道癌に対するロボット支援手術を開始し、ロボットのセットアップ法と切除郭清手技を確立すべく邁進してきました。
 このような背景のもと、われわれ藤田保健衛生大学上部消化管外科(現総合消化器外科)が培ってきた胃癌・食道癌に対する低侵襲手術のノウハウをすべて注ぎ込んで作成したのがこのテキストです。食道癌・胃癌に対する低侵襲手術に携わるすべての外科医の診療の一助となり、一人でも多くの患者さんの治療成績向上に貢献できれば幸甚です。最後に、本書の作成にあたり、激務のなか執筆してくれた現医局員と元医局員の先生方、内視鏡手術手技確立・向上のため長年ともに切磋琢磨してきた大阪赤十字病院消化器外科の金谷誠一郎先生、佐賀大学医学部一般・消化器外科の能城浩和先生に深謝いたします。

2015年10月吉日
藤田保健衛生大学総合消化器外科診療科長
藤田保健衛生大学上部消化管外科学主任教授
宇山一朗