書籍

日本消化器病学会ガイドライン

機能性消化管疾患診療ガイドライン2014−機能性ディスペプシア(FD)

編集 : 日本消化器病学会
ISBN : 978-4-524-26556-5
発行年月 : 2014年4月
判型 : B5
ページ数 : 134

在庫あり

定価3,240円(本体3,000円 + 税)


正誤表

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文

日本消化器病学会編集によるオフィシャルなガイドライン。機能性ディスペプシア(FD)の診療上で問題となるクリニカルクエスチョン(CQ)に対して、膨大な文献を吟味しGRADEシステムの考え方を取り入れたエビデンスレベルと推奨度を提示。疫学、病態、診断、治療、予後・合併症についての現時点における標準的内容がわかる。

第1章 概念・定義・疫学
 CQ1-1 ディスペプシアとは何か?
 CQ1-2 FDはどのように定義されるか?
 CQ1-3 現状の慢性胃炎とFDの関係はどのようになるのか?
 CQ1-4 日本の日常診療においてRomeIII基準の使用は妥当か?(期間や下位分類)
 CQ1-5 日本人のFDの有病率はどのくらいか?
 CQ1-6 FDの有病率は増加しているか?
 CQ1-7 FDに性差はあるか?
 CQ1-8 FDの頻度は肥満者で高いか?
 CQ1-9 FDは高齢者よりも若年者に多いか?
 CQ1-10 FD患者の受療行動は症状の持続期間や強さに影響を受けるか?
 CQ1-11 FD患者のQOLは低下しているか?
 CQ1-12 症状の程度はQOLと相関するか?
 CQ1-13 病悩期間はQOLと相関するか?
第2章 病態
 CQ2-1 FDの病態は多因子によるものか?
 CQ2-2 FDの病態に胃適応性弛緩障害は関連するか?
 CQ2-3 FDの病態に胃排出障害は関連するか?
 CQ2-4 FDの病態に内臓知覚過敏は関連するか?
 CQ2-5 心理社会的因子はFDに関連するか?
 CQ2-6 胃酸はFDの発症に関連するか?
 CQ2-7 H.pylori感染はFDに関連するか?
 CQ2-8 家族歴・遺伝的要因はFDに関連するか?
 CQ2-9 幼少期や思春期の環境はFDに関連するか?
 CQ2-10 感染性胃腸炎の罹患後にFDの発症がみられるか?
 CQ2-11 生活習慣はFDに関連するか?
 CQ2-12 食事内容や食習慣はFDの増悪に関連するか?
 CQ2-13 胃の形状(胃下垂、瀑状胃)はFDの発症に関連するか?
第3章 診断
 CQ3-1 日常診療において内視鏡検査はFDの診断に必要か?
 CQ3-2 内視鏡検査以外の画像検査はFDの診断に必要か?
 CQ3-3 FDの診断に有用な診断指標(バイオマーカー)はあるか?
 CQ3-4 FDの診療に自己記入式質問票は有用か?
 CQ3-5 FDの診療に心理社会的因子の評価は必要か?
 CQ3-6 FDの診断時にH.pylori検査をすべきか?
 CQ3-7 アラームサイン(警告徴候)は器質的疾患を疑うべきサインとなるか?
 CQ3-8 消化管機能検査は日常診療を行ううえで有用か?
 CQ3-9 NSAIDs、低用量アスピリン服用者はFDから除外すべきか?
 CQ3-10 FDの重症度の評価は必要か?(軽症、中等症、重症FDなどの区別は必要か?)
第4章 治療
 CQ4-1 FDの治療目標は患者が満足しうる症状改善が得られることか?
 CQ4-2 FDの治療において、プラセボ効果は大きいか?
 CQ4-3 FD患者のプラセボ効果は女性で男性より高いか?
 CQ4-4 FDの治療において、良好な患者-医師関係を構築することは有効か?
 CQ4-5 FDの治療として、生活習慣指導や食事療法は有効か?
 CQ4-6 FDの治療薬として、酸分泌抑制薬は有効か?
 CQ4-7 プロトンポンプ阻害薬はヒスタミンH2受容体拮抗薬よりも有効か?
 CQ4-8 FDの治療薬として、消化管運動機能改善薬は有効か?
 CQ4-9 FDの治療として、H.pylori除菌治療は有効か?
 CQ4-10 FDの治療薬として、漢方薬は有効か?
 CQ4-11 FDの治療薬として、抗うつ薬・抗不安薬は有効か?
 CQ4-12 FDの治療薬として、制酸薬、プロスタグランジン誘導体および消化管粘膜保護薬は有効か?
 CQ4-13 FDの治療として、薬剤併用療法は有効か?
 CQ4-14 FDの治療として、認知行動療法は有効か?
 CQ4-15 FDの治療として、自律神経訓練法は有効か?
 CQ4-16 FDの治療として、催眠療法は有効か?
 CQ4-17 FDの治療として、鍼灸療法は有効か?
 CQ4-18 FDの治療は病型に基づいて行うのがよいか?
 CQ4-19 病悩期間が長いほど治療に抵抗するか?
 CQ4-20 治療抵抗性のFD患者はどの時点で治療を変更すべきか?
 CQ4-21 FD診療では、症状消失後の薬物治療を継続すべきか?
第5章 予後・合併症
 CQ5-1 FDは再発するか?
 CQ5-2 FDには気分障害、神経症性障害の合併の頻度は高いか?
 CQ5-3 FDと胃食道逆流症(GERD)の合併の頻度は高いか?
 CQ5-4 FDと過敏性腸症候群(IBS)の合併の頻度は高いか?
 CQ5-5 FDと慢性便秘の合併の頻度は高いか?
 CQ5-6 FDに胆膵疾患(機能性胆嚢・Oddi括約筋障害、慢性膵炎、膵癌)は混在しているか?
索引

これまで形態学を中心に消化器病学が進んできたわが国においては、器質的疾患がないのに腹部症状を生じる機能性消化管疾患に対する関心は低かった。しかし、生活レベルの向上とともに国民のQOLへの関心が高まったこと、そして複雑化する現代社会において増加するストレスがその発症に関与していることなどを背景として、機能性消化管疾患に対する関心が飛躍的に高まってきている。実際、日常診療では腹部の愁訴を訴える患者は極めて多く、これらの患者を正しく診断し、科学的に対応することが求められるようになった。そこで、日本消化器病学会ではこの疾患に対して標準的な診断・治療指針を示すため、機能性消化管疾患に対するガイドラインを作成することとなった。
 機能性消化管疾患については、機能性ディスペプシアと過敏性腸症候群の二部門に分け、ともにガイドライン統括委員会の定める手順に従ってガイドラインを作成、評価した。作成委員、評価委員は日本消化管学会、日本神経消化器病学会からの推薦を考慮して選任された。まず、2011年7月のガイドライン統括委員会で作成基本方針と作成スケジュールの確認が行われ、ここでガイドラインはGRADE システムの考え方を取り入れて作成することとなった。同月からGRADE システムの勉強会が開催され、クリニカルクエスチョン(CQ)が作成された。2011年11月から、CQに沿ってキーワードが策定され、文献検索が始まった。CQに対するステートメントを作成するため、拾い上げられた論文を一次、二次選択を通じて選択し、これらの文献の構造化抄録を作成した。論文検索期間は1983年から2011年9月とし、この期間外のものは検索期間外論文として取り扱った。また、キーワードからの検索では候補論文として上がらなかったにもかかわらず引用が必要な論文はハンドサーチ論文として取り扱った。文献検索は2012年内に終了し、ステートメントおよび解説の執筆に取りかかった。2013年1月からは、作成委員会を6回開催し、作成されたステートメント案に対して討議、投票のうえ、ステートメントと解説文が決定され、評価委員会で評価、修正が加えられた。2013年12月にパブリックコメントを求め、これをもとに最終的に修正が加えられ「機能性消化管疾患診療ガイドライン2014-機能性ディスペプシア(FD)」が完成した。
 2013年5月に機能性ディスペプシアという保険病名が誕生し、今回この疾患に対するガイドラインができたことで、この領域が注目を浴びるとともに、機能性消化管疾患を有する患者に対して正しい診断とよりよい治療が提供される素地が整ったと思われる。ただ、現在機能性ディスペプシアに対する保険適用を有している薬剤はアコチアミドのみであるため、ガイドラインで推奨されている治療には保険上の制約がある。また、本ガイドラインはこれら患者の診療に携わる医師を対象としており、作成はすべて日本消化器病学会の資金によるものであることを付記しておきたい。

2014年4月
日本消化器病学会機能性消化管疾患診療ガイドライン-機能性ディスペプシア(FD)作成委員長
三輪洋人