書籍

2型糖尿病の薬物療法ハンドブック

インクレチン関連薬を正しく使う!

編集 : 寺内康夫
ISBN : 978-4-524-26456-8
発行年月 : 2011年10月
判型 : B5
ページ数 : 180

在庫あり

定価4,320円(本体4,000円 + 税)

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文
  • 書評

一般内科医のために、2型糖尿病の薬物療法を薬剤パターンと患者パターンの両面からわかりやすく解説。インクレチン関連薬の臨床への活かし方など、実践的な薬物療法のノウハウが満載。薬剤の基本的処方テクニックから、副作用やイベントの対応方法まで、個々の患者に適した薬物療法がわかる。「この薬はどんな患者に使うの?」「この患者はどんな薬が適している?」といった疑問に答える一冊。便利な糖尿病治療薬一覧表付き。

I.この薬剤はこんな患者に使う!―特長と適応を理解する
 1.薬物選択の基本―インクレチン関連薬の登場でどうなるか
 2.DPP-4阻害薬はどんなときに使うか
 3.GLP-1受容体作動薬はどんなときに使うか
 4.どの経口血糖降下薬を使うか
 5.インスリン治療を理解する

II.各薬剤の基本的処方テクニック―導入から併用、薬剤変更まで
 1.まずは経口血糖降下薬から―DPP-4阻害薬も含めて
 2.インスリン治療を行う
 3.GLP-1受容体作動薬を使う

III.患者パターンから考える薬物療法
 1.やせ型・中肉中背パターン
 2.肥満パターン
 3.高齢者
 4.特殊パターン

IV.副作用やイベントへの対応方法
 1.各薬剤の副作用の知識
 2.低血糖への対応
 3.シックデイへの対応
 4.運動・スポーツ時への対応
 5.海外旅行時への対応
 6.血糖自己測定(SMBG)の活用と注意点

付録 糖尿病治療薬一覧表
 1.経口薬
 2.注射薬

索引

糖尿病患者は増加の一途をたどっており、糖尿病専門医だけですべての患者を診療することは到底できず、糖尿病非専門医(一般内科医)による糖尿病診療が重要な課題となっている。糖尿病治療の基本は、食事療法、運動療法、薬物療法であるが、一般内科医が食事療法、運動療法を十分に指導することは難しく、現実的には薬物療法を適切に行うことが、糖尿病の良好なコントロールのために重要となる。
 日本人糖尿病患者の90%以上を占める2型糖尿病では、スルホニル尿素薬、ビグアナイド薬、チアゾリジン薬、αグルコシダーゼ阻害薬などの経口血糖降下薬およびインスリンによる薬物療法が行われてきたが、長期間における血糖管理を十分に達成・維持できない場合や、体重増加や低血糖などの副作用が問題となる場合が多くあった。これらを克服するために新たな治療標的の探索が精力的になされてきたが、インクレチン関連薬(GLP-1受容体作動薬、DPP-4阻害薬)はそうした探索のなかから生まれた薬剤のひとつといえよう。
 インクレチン関連薬の登場により、薬剤選択の幅が広がった。また、患者自身や今まで糖尿病の診療にあまり関心をもたなかった医師が、今まで以上に糖尿病治療に関心を示すようになったことはうれしい限りである。しかし、その一方で、医療者には新たな知識と実践が要求されることとなった。本書はこうした状況を鑑み、2型糖尿病における“薬物療法”について、インクレチン関連薬も含めてわかりやすく解説し、患者に適した薬物療法を行うための知識とスキルを向上させることを目指した。
 読者対象は“一般内科医”であることを意識し、できるだけわかりやすい記述とした。また、基礎的な解説は必要最小限とし、実践的な解説に重きを置くようにした。2型糖尿病の薬物療法に限定し、各薬剤の特長だけでなく、患者に合わせた薬剤の選択と使い方がわかるものとし、目次構成にそれを反映させた。
 第I章「この薬剤はこんな患者に使う!?特長と適応を理解する」では、各薬剤の基本的事項(作用機序、特長、投与量、禁忌)を簡潔に記し、とくに適応と使い分け(こんな患者にはよく効く)について詳述することに努めた。第II章「各薬剤の基本的処方テクニック?導入から併用、薬剤変更まで」では、各薬剤の使い方に限定して、基本的な処方法から薬剤の併用方法、さらに薬剤の変更を考慮するタイミングまでを、臨床経験豊かな執筆者に解説いただいた。その際、具体的な処方例を含めることにより、読者が薬剤を処方する患者像を容易に想起できるように配慮した。第III章「患者パターンから考える薬物療法」では、患者像を大まかに分類し、それぞれのパターンにおける薬物療法の実践(薬剤選択とその理由、薬剤の処方例、注意点、コントロールがうまくいかなかったとき等)を、各執筆者の考えをもとに解説していただいた。第IV章では副作用やイベントへの対応方法を示し、末尾には付録として「糖尿病治療薬一覧表」をつけた。本書は読者の知識と実践力アップのために企画したものであり、全体を通読していただく以外に、関心がある箇所だけを選んで読んでいただいても、知識とスキルの向上につながると確信している。
 本書が、一般内科医の日々の糖尿病臨床の参考になり、患者の血糖コントロール、糖尿病合併症の進展抑制につながれば、編者として幸甚である。
2011年8月
寺内康夫

わが国における糖尿病患者さんは900万人を超え、その中で医療機関を受診中の患者さんは約500万人と推定されている。これだけ多くの患者さんを糖尿病専門医だけで診療するのは不可能であり、非専門の先生にその多くをお願いしているのが実情である。一方、わが国における糖尿病治療薬は1950-1990年代の初頭まではSU薬、ビグアナイド薬とインスリン製剤の3種類であった。しかしながら1993年にα−グルコシダーゼ阻害薬が発売されて以後、速効型インスリン分泌促進薬、チアゾリジン薬、DPP−4阻害薬、GLP−1受容体作動薬と次々に発売され、現在では8種類もの薬剤を色々な組み合わせで処方できるようになっている。とくにこの2-3年でDPP−4阻害薬が4剤、GLP−1受容体作動薬が2剤も上市されたことを考えると、どのような糖尿病患者さんにどの薬剤をどのように処方すればよいのか困惑されている非専門の先生も多いのではないかと思われる。
 このようなときに、寺内康夫教授が編集された本書が非常にタイミングよく発売された。一読してもっとも印象深いのは、実地臨床に則した工夫が各所になされている点である。一般的な糖尿病治療薬の特長と適応に加えて、「II。各薬剤の基本的処方テクニック」では、「症例からみる処方の実際」として各種糖尿病治療薬の使用方法が症例に則して学べるようになっており、「III。患者パターンから考える薬物療法」では、実際の処方例が患者パターン別(やせ型・中肉中背パターン、肥満パターン、高齢者など)に詳しく記載され、他書にはない非常にユニークな編集になっている。また、執筆には臨床経験が豊富な信頼できる糖尿病の専門家があたっている。「IV。副作用やイベントへの対応方法」では、一般的なわかりやすい解説に加えて「SMBG器の種類と特徴の一覧表(写真付)」まで掲載してあり、これは臨床の現場で便利だと感じた次第である。これらに加えて、糖尿病治療薬一覧表が付録としてあり、まさに至れり尽くせりのハンドブックとなっている。
 1999-2006年に米国で行われたNHANES(the US National Health and Nutrition Examination Survey)では、この間に糖尿病患者さんの平均HbA1c(NGSP)が7.8%から7.3%程度へ低下しており、HbA1c(NGSP)<7%の人も37%から56%に増加していることが報告されている。すなわち、近年の抗糖尿病薬の開発などにより、糖尿病患者さんの血糖コントロールは確実に改善されている可能性が高い。この数字はDPP−4阻害薬やGLP−1受容体作動薬が上市される前のものであり、現在ではこの数字がさらに改善されている可能性が高く、われわれは以前と比較して血糖コントロールのための有力な武器を多くもっていることは確実と考えられる。糖尿病を非専門とされている先生方にも本書を是非ご一読いただき、抗糖尿病薬を上手に使用して良好な血糖コントロールを達成していただきたいと思う。一つお願いするとすれば、今後も糖尿病領域での新薬の発売が予定されているので、常にuptodateなものにするために、本書の定期的な改訂をお願いしたい。
 以上、絶好のタイミングで、実地臨床に役立つユニークな糖尿病の薬物療法ハンドブックが出版された。一人でも多くの先生方にご活用いただけることを心から願っている。
評者● 春日雅人
臨床雑誌内科109巻4号(2012年4月号)より転載