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ナースビギンズ

初めての人が達人になれる使いこなし人工呼吸器

こちらの商品は改訂版・新版がございます。

: 露木菜緒
ISBN : 978-4-524-26454-4
発行年月 : 2012年6月
判型 : B5
ページ数 : 158

在庫なし

定価2,484円(本体2,300円 + 税)


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  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文

人工呼吸器の達人を目指すには? 看護師にとって苦手意識を持ちながらも、患者の命に大きくかかわる人工呼吸管理。新人でも「一通りわかる・できる」知識と技術の習得を目的とし、人工呼吸器の組み立てからその仕組み、モードやグラフィック、ケア・管理まで、新人が戸惑いやすいディテールをやさしくビジュアルに解説。誰もが理解できる人工呼吸管理本の決定版。

第1章 人工呼吸器のしくみを知って使いこなそう
A 人工呼吸器とは
B 人工呼吸器回路のタイプ
C 加温加湿器回路
 1.加温加湿器回路の構成
 2.加温加湿器回路の種類
 3.加温加湿器
 4.チャンバ
 5.温度プローブとエレクトリカルアダプタ
 6.ウォータートラップ
D 人工鼻回路と人工鼻
E そのほかの回路部品
 1.Yピース
 2.バクテリアフィルター
 3.フレックスチューブ
 4.アーム(人工呼吸器回路支持アーム)

第2章 人工呼吸器の回路を組み立てよう
A 加温加湿器回路の組み立て方
B 人工鼻回路の組み立て方
  Column 人工呼吸管理―災害時の対応
C 人工呼吸器回路の再チェック
D 人工呼吸器回路の始業点検

第3章 人工呼吸器のモードと設定
A 最低限おさえておきたいモードの知識
 1.人工呼吸のモードとは
  Column SIMVとは
 2.従量式と従圧式
B モードのしくみと管理の実際
 1.基本モードのしくみ 強制換気
 2.基本モードのしくみ 補助換気
 3.基本モードのしくみ 自発呼吸
 4.知っておきたい人工呼吸器の最新モード
C 設定内容を理解して使いこなすコツ
 1.人工呼吸器の設定の基本的な考え方
 2.モード設定の考え方のステップ
 3.モード別 おさえておきたい基本設定と考え方
D こんなときはどう設定するといい?
E 患者状態別(病態別)設定の実際

第4章 グラフィックモニタの見方・考え方
A グラフィックとは
B グラフィックの3つの曲線と2つのループ
 1.換気量-時間曲線
 2.気道内圧-時間曲線
 3.流量-時間曲線
  Column Auto-PEEPを体験してみよう
 4.気道内圧-換気量ループ
 5.流量-換気量ループ

第5章 アラームの設定と管理
A アラームとは
B 種類別 アラームの原因と対応
 1.緊急事態アラーム 人をよんで手動換気
 2.救命アラーム 患者>回路>設定の順に確認
 3.合併症予防アラーム 事前に察知して予防的対応
  Column 高濃度の酸素を続けるとよくない理由

第6章 わかりやすい気道管理の実際
 1.気道管理はなぜ必要なのか?
 2.気道管理には何が必要なのか?
A 先輩も迷ってる!ちょうどいい気管チューブ固定
 1.テープによる固定の基本的な考え方
 2.アセスメントによる固定法の選択
 3.チューブ固定(テープ交換時)の実際
  Column バイトブロックの"使う”"使わない”の判断
  Column 気管チューブの深さ
B 先輩も知らない!カフ圧管理がうまくいく秘訣
 1.カフ圧管理の実際
 2.適切なカフ圧管理のための手技の実際
C 先輩も納得する!気管吸引の適切な考え方
 1.気管吸引実施のためのアセスメント
 2.気管吸引の手技の実際
  Column 閉鎖式吸引と開放式吸引の違い
D 先輩も答えにくい!加温・加湿は実際どっちを選べばよい?
 1.人工鼻回路と加温加湿器回路の特徴・違い
 2.回路選択のためのアセスメントの実際
E 先輩もあいまい!口腔ケアの合格点がもらえる秘訣
 1.人工呼吸器を装着している患者の口腔ケアの実際
 2.口腔ケアの手技の実際
  Column 口腔ケアの前にカフ圧を上げる?
F 先輩も知らない!体位調整の適切なタイミング
 1.人工呼吸管理中の患者の目的別体位調整
 2.体位調整の手技の実際─仰臥位から前傾側臥位への場合

第7章 患者マネジメント
A 患者の全身管理のポイント
 1.人工呼吸器が全身に及ぼす影響
 2.人工呼吸管理中の全身管理・観察のポイント
B 患者アセスメントの実際
 1.人工呼吸管理患者のアセスメントとは
  Column 呼吸補助筋の活動
 2.アセスメントの実際の手順
 3.異変時の対応の実際
  Column 高音性連続性ラ音の聴取は要注意
 4.モニタリングによる評価
  Column SpO2 100%管理は危険!
C 動脈血液ガス分析評価
 1.動脈血液ガス分析で何を評価しているの?
 2.ガス交換の評価の実際
 3.酸塩基平衡の評価の実際
  Column ヘンダーソン・ハッセルバルヒの式
  Column 呼吸性か代謝性かの早わかりチェック
D ウィーニング
 1.ウィーニングとは
 2.ウィーニングの開始条件
 3.人工呼吸サポートからの離脱へのアプローチ
 4.鎮静からの離脱
 5.人工呼吸サポートからの離脱─SBTの実際
E 人工気道からの離脱(抜管)
 1.人工気道からの離脱とは
 2.気道評価の方法
 3.抜管前・後の準備と対応
  Column なぜ長期で人工呼吸器を装着している患者は喉頭浮腫を発症しやすいか
 4.流れでつかむ、ウィーニングから抜管までの実際
F 鎮痛・鎮静の実践
 1.人工呼吸管理中の鎮痛・鎮静マネジメントとは
 2.鎮痛・鎮静の進め方の実際
G 人工呼吸管理中の栄養管理
 1.人工呼吸管理中の栄養管理とは
 2.人工呼吸管理中の栄養管理の実際

 付録 人工呼吸器管理でよく出てくる設定用語の理解

人工呼吸器はクリティカルケア領域だけでなく、一般病棟や在宅にいたるまで、幅広く活用されるようになりました。つまり私たち看護師は、どの分野であろうと、人工呼吸管理に携わることを余議なくされているのが現状です。ビギナーであっても、明日には人工呼吸管理をやらねばならない。そんな日々があるということですね。では、ビギナーでも人工呼吸管理をこなせるようになるには、何からはじめたらよいでしょうか。
 まずは、モードやグラフィックを理解したくなるかもしれません。グラフィックは、知っていると“かっこいい”と思うかもしれませんし、人工呼吸器が作動する要になるモードは管理に欠かせません。しかし、本当にビギナーから達人への道を歩もうとするなら、必要なのは「実践に強くなること」だと、筆者は感じます。
 では、人工呼吸管理の実践的なスタートは何でしょうか。臨床の現実を思えば、人工呼吸器を組み立て、作動させられるようになることです。そのために、人工呼吸器がどのようなしくみになっているのかを最低限知ることです。実際に、触れて動かし慣れ、使いこなしていくことが、最善の実践方法の1つだと思うのです。
 しかし、ここで言う最善の実践とは、それを裏付ける正しい知識があってこそ成り立ちます。真っ先にハウツー(how to)へ進むことは、逆に患者にとって安易なケアを提供することにもつながります。そこで本書は、人工呼吸器を裏付けをもっていち早く使いこなせるようになるにはどうすればいいかを臨床の中からみていくことを構成の軸としました。
 まず第1章で、人工呼吸器を知ることをイメージしました。どのような構造でどんなパーツが組み合わさってできているのか、各々どのような意味があるのかです。
 第2章は、組み立て方です。人工呼吸管理が必要となったときに、回路をセットでき、作動させることができれば、ともかく人工呼吸管理を開始し、患者の呼吸を確保することができるからです。
 第3章と4章では、人工呼吸器のモードや機能の特性、最近は標準装備になってきているグラフィックの見方をできるだけやさしく、リアルに解説しました。取り上げている各波形は、モニター画面さながらです。モードは少し長めの解説なので、基本を読んだら、次に進んでもOKです。
 第5章からは、実際に人工呼吸器が正しく動き出した後の、さまざまな対応をまとめました。人工呼吸管理を行ううえで命の防波堤となるアラームの知識は、シンプルではありますが、アラームごとに必ず抑えるべき事柄を解説しました。
 実際に人工呼吸器を装着した患者を看ていくためのノウハウは、最後の第6章と7章で、気道ケアから患者の全身マネジメントへとつなぎました。第6章の気道ケアは、突き詰めるとどんどん専門的にならざるをえないので、おそらくビギナーが耳にして、迷うだろうなと思う場面に答えられる内容に絞ってまとめました。先輩だって悩むことの多い実践に「1つの根拠あるケア」をアドバイスできると思います。
 全体を眺めると、初めて人工呼吸器に携わる看護師や、2〜3年目くらいの看護師に、まずは知っておいてほしいことは網羅したつもりです。ベテランの方々にとっても、臨床現場で、各モードの注意点や患者アセスメントなどを若手に説明する際に、また、栄養剤の選択や鎮静薬・鎮痛薬の特徴などを確認するときに、ポイントを押さえるノート代わりに役立ててもらえる内容にもなったと思います。達人になれば、本書では足りない知識も多く出てくると思いますし、実践的なケアについては、きっと各施設でやり方も異なると思いますが、人工呼吸管理のスタートである、まずは動かし、使えることに関しては、困らないように仕上げました。まずは本書を片手に人工呼吸器を見ながら、実際のしくみや回路の構造などを確認してもらえればと思います。やっぱりもっとという点は、先輩に聞くことでご容赦ください。
 そしてもう1つ、なかなか明確な根拠が決められないさまざまな臨床での選択枝について、どの方法を読者のみなさんに伝えるべきか、筆者も大いに悩みました。Aという方法もBという方法も、どちらも一理ある場合の本書での結論を、私は患者にとってどうかという視点に帰ることにしました。もしかすると、研究上のエビデンスでは2番手かもしれないことも、筆者の多くの経験の中で、臨床におけるこの場面では、きっと患者にとって最善と信じている事柄は、あえて優先して選びました。もちろん、その方法が100%正しいという結論ではありませんし、これから先、もっと違う、または新しいエビデンスもでてくるでしょう。読者のみなさんがそういった考えや知見から、この方法のほうがいい、もっとこうしたほうがという点は、ぜひ、実践していただくと同時に、本書に忌憚のないご意見、ご提案をいただければ幸いです。
2012年6月
露木菜緒