書籍

糖尿病運動療法指導マニュアル

編集 : 佐藤祐造
ISBN : 978-4-524-26447-6
発行年月 : 2011年5月
判型 : B5
ページ数 : 96

在庫あり

定価2,160円(本体2,000円 + 税)

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文
  • 書評

糖尿病治療の基本のひとつである運動療法について、運動を行う理由や、適応と禁忌、実際の行い方、注意点・評価方法のほか、運動療法を続けるコツなど安全で効果的・持続性のある運動療法とその指導法を解説する。巻末には用語集付き。医師や看護師、栄養士、糖尿病療養指導士、健康運動指導士など糖尿病診療に関わるスタッフの必携書。

1.なぜ運動を行わなければならないのか
 1 身体活動、生活活動、運動の定義と考え方
 2 安静の弊害
 3 糖尿病の病型と運動
 4 運動療法の効果
 5 運動療法の実施状況
2.運動療法を行ってよい場合、行ってはいけない場合―適応と禁忌
 1 運動療法の適応と禁忌
 2 メディカルチェックの実際
3.運動療法の行い方
 1 運動療法とは―種類と強度、頻度、負荷量、消費エネルギー
 2 患者毎の運動指針
  a.患者における具体的な運動指導の実際
  b.特別な状況に応じた運動指導
4.運動療法実施上の注意点
 1 食事療法・ほかの治療法との関連
 2 準備・整理運動
 3 低血糖
 4 水分補給
 5 膝や腰の障害防止
 6 運動のための靴の選び方とフットケア
5.運動療法の評価方法
 1 運動能力、体力
 2 肥満度
 3 インスリン感受性(インスリン抵抗性)
 4 血糖コントロール
 5 血圧
 6 血清脂質
 7 生活の質(QOL)や精神的な状態
6.運動療法を開始し、続けるためのコツ
 1 モチベーションをできるだけ高くする
 2 患者のステージ(期)に応じた指導を行う
 3 運動を継続できる環境を整える

付録1:用語集(糖尿病運動療法にかかわる専門用語の解説)
付録2:糖尿病運動療法の保険適用(保険点数)
付録3:Exercise and Type 2 Diabetes ACSM/ADA:Joint Position Statementに関して

参考文献
索引

現在、わが国では糖尿病患者が増加している。食事療法と運動療法が糖尿病の基本治療となっていることは、改めて述べるまでもない。
 日本糖尿病学会は1965(昭和40)年以来、「糖尿病食事療法のための食品交換表」の編集、刊行を行い、糖尿病食事療法の指導に広く利用されている。
 しかしながら、運動療法に関しては、治療指針がなく、全国的な実態調査も行われていなかった。日本糖尿病学会は、2007(平成19)年「糖尿病運動療法・運動処方確立のための学術調査研究委員会」(委員長:佐藤祐造)を設置した。
 同委員会1よ2008(平成20)年に日本医師会との共同企画により、糖尿病専門医、一般内科医に対し、アンケート調査を実施した。2009(平成21)年には、全国の糖尿病専門医療機関に通院中の患者にアンケート調査を実施した。
 その結果いずれの調査でも、食事療法に関しての指導はほとんどすべての患者に行われているが運動療法に関しての指導は約4割の実施状況と、食事療法との間に大きな「較差」が存在することが判明した。
 そこで、同委員会では、運動療法実施上のバリアとなっている「適切な指導書がない」を解決する目的で、運動療法の「指導マニュアル」を作成することとした。
 本書は、運動の必要性、運動療法の適応と禁忌、運動療法の実施方法、注意点、評価方法、継続のための秘訣、用語集、糖尿病運動療法の保険適用など糖尿病の運動療法指導に必要な実践的事項を同委員会メンバーが中心となり、執筆した。2010(平成22)年12月に発表された米国スポーツ医学会(ACSM)/米国糖尿病学会(ADA)の糖尿病運動療法に関する勧告も記載するなど、可能な範囲でカレントな内容とした。
 本書が糖尿病運動療法指導の現場で活用され、運動療法指導がなお一層普及、レベルアップされることを望みたい。また、近い将来、日本糖尿病学会編集の「糖尿病運動療法ガイド」が作成されることを切望する。
2011年5月
愛知学院大学心身科学部健康科学科教授
佐藤祐造

本書は日本ではじめての、糖尿病患者に具体的な運動療法指導を行うためのマニュアルである。運動療法の理論的背景から適応と禁忌、実際の運動処方、実施上の注意点さらには評価法や継続のコツまで、佐藤祐造教授をはじめとするエキスパートによって運動療法指導のエッセンスがマニュアルとして過不足なくまとめられている。
 運動療法は食事療法と並んで、糖尿病治療の基本であることはいうまでもない。また、食事療法と週最低150分の運動が、薬物介入(metformin)よりはるかに有効に糖尿病の発症を抑制することを示したDiabetes Prevention Program(NEJM、2002)の結果は、運動を含めた生活習慣改善の重要性を明確に示している。
 しかしながら、糖尿病患者に具体的な運動処方を行う段になると、「1日30分、週3回以上の早足での散歩を心がけましょう」以上の指導になりにくいのが実情である。本書は、糖尿病に対する運動療法の臨床現場での現状と問題点を調査した、日本糖尿病学会「糖尿病運動療法・運動処方確立のための学術調査研究委員会(佐藤祐造委員長)」がきっかけとなって執筆・編集された。この調査によれば、初診糖尿病患者に対して食事指導が7、8割の患者に行われているのに対して、運動指導が行われているのは半数以下であり、さらに運動処方まで作成されているのは1割以下であった。一方で、患者は必ずしも「運動嫌い」というわけではなく、むしろ前向きであることが多いことが明らかとなった。また、「運動器疾患」のために歩くことを積極的に行えない患者も多い。このような運動療法における課題を解決するための一助として、この運動療法指導マニュアルが作成されたのである。
 このマニュアルは、「高度肥満の場合」「合併症が進行している場合」「高齢で膝関節痛がある場合」など、日常よく遭遇する個々の患者に即してその指導例が示されるなど、具体的、実践的なものとなっている。また、2010年12月に発表された米国スポーツ医学会(ACSM)/米国糖尿病学会(ADA)の糖尿病運動療法に関する勧告も記載するなど、アップデートな情報も盛り込まれている。本書は糖尿病診療を行う医師はもちろん、指導に関わるコメディカルスタッフすべてにとっても必読のマニュアルである。
評者● 谷澤幸生
臨床雑誌内科109巻1号(2012年1月号)より転載