書籍

コンサルテーション・スキル

他科医師支援とチーム医療

: 岩田健太郎
ISBN : 978-4-524-26407-0
発行年月 : 2010年12月
判型 : B5
ページ数 : 222

在庫あり

定価3,780円(本体3,500円 + 税)


  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文
  • 書評

臨床雑誌『内科』の好評連載を書籍化! 高度専門化された現代医療における“コンサルテーション・スキル”をテーマに、著者ならではの絶妙な筆さばきと多面的な切り口から“人間関係を保ちつつコンサルテーションを行うための知識と実際”をレクチャーする。40回にわたった連載に、大曲貴夫先生との対談をプラス、より充実の内容となった。

対談「コンサルテーション・スキル」(ゲスト:大曲貴夫氏)

1.コンサルテーション・スキルとは何か?
2.コンサルタントに必要なプロフェッショナリズム
3.わかって欲しいくせにわかってたまるかという人々
4.呼ばれるタイミング
5.ニーズ、ワンツ、ホープスの把握
6.ペーシングは役に立つ
7.言いがかりをつける人々
8.コンサルタントの十戒 21世紀に生きる医師として
9.コンサルテーションの具体例 複合的に
10.「正しい」コメントとは何か
11.時には攻めに出て
12.判断の根拠はどこにおくか
13.レアケースの扱い方 そして部下への態度
14.知らないことを知ること
15.縄張りとルサンチマンを超えて
16.オレオレ医療にさようなら
17.組織やシステムの改善を図る
18.お呼びがかかっていないときに
19.「お役所」タイプとのネゴシエーション
20.サボタージュを許容しないために
21.勇気、そしてリーダーシップについて
22.リーダーシップをもうすこし考える
23.教育は不平等である、という話
24.研修医の採用はいかにあるべきか
25.知識がないのが、問題なんじゃない
26.ことば、時間、そして空気
27.休養のすすめ
28.評価のコストを考える
29.わかっていないことを(1)
30.わかっていないことを(2)
31.プレゼンテーションの準備の仕方
32.プレゼンテーションの実践
33.ピットフォール集 失敗から学ぶ実践編
34.コンサルトノートの書き方
35.空気が読めないふり
36.学生には、答えではなく質問を
37.雄弁ではなく、対話を

あとがき
参考文献

コンサルテーション・スキル。それは、古くて新しいコンセプト。従来から、「対診」というシステムは存在していました。患者さんは他科医師に紹介したり紹介されたりする。医者は他の医者に相談したり相談されたりする。しかし、そんなところに「スキル」が必要なんでしょうか。
 コンサルテーション・スキルは、隠れた需要(hidden needs)です。
 たとえば、医師が内視鏡を行うスキルは、顕かなスキル(apparent needs)です。誰の目にも明白な、医療において必要なスキルです。一方、コンサルテーション・スキルは顕かではない、隠れたスキルです。一見すると必要かどうかは明白ではないけれども、活用すると実は大いに役に立つ。そういったスキルです。前者のスキルを固定電話に、後者をiPhoneのような音楽を聴くツールや携帯電話に例えてもよいかもしれません。それがなくても誰も困っていなかった。けれども、実際あるととても便利。その便利さに慣れてしまうと、もうなければやっていられない。携帯電話がない時代には誰も携帯電話がないことに不平を言ったりしなかったのですが、今急に携帯が使えなくなったりしたら、大変な騒ぎになるでしょう。
 コンサルテーション・スキルも同様です。活用すれば、きっとあなたの診療レベルは上がり、診療の幅は広がり、あなたをみる他の医師の視線が変わってくるでしょう。そして、これに慣れてしまうと、コンサルテーション・スキルなしの診療なんて考えられなくなっています。
 さらなるレベルアップのために、コンサルテーション・スキルは「使える」技術です。そして、未来においてはそれは医師にとっての「必須のスキル」となるでしょう。20年前はパソコンが使えることは医師にとって必須のスキルではありませんでした。いまやパソコンなしで医師が仕事をするのはとても困難です。超音波も現在は医師すべてが習得している技術ではありませんが、将来は聴診器並みに当たり前のスキルになるかもしれません(たぶん、なるでしょう)。医師に必要なスキルは時間とともに変わっていくのです。
 コンサルテーション・スキルは、おおざっぱに言うとコミュニケーションのスキルです。人間関係をさらに豊かにするスキルです。それでいて、単なる「人当たりのよさ」だけを目的にしたスキルではありません。短期的、長期的に他科の医師との人間関係を保ちつつも、あなたが発するメッセージを実行し、相手を説得し、あなたに得心するようにし向けるスキルです。単に「ナイスな人」として振る舞う技術ではなく、あなたの目指すゴールに確実に向かうよう根回しする、戦略的なスキルです。医療環境をよりエキサイティングなものにし、お互いのレベルアップに役立ち、病院が退屈なルーチンワークの場ではなく、毎日ときめくような新しい知的環境になることを目論んだ、勇気を与えるスキルです。困っている医師や困難に立ち向かっている医師に救いをもたらす、安寧を提供するスキルです。
 さあ、ひと味違う専門医を目指して、あなたも明日から役に立つコンサルテーション・スキルをマスターしてみませんか。
2010年12月
岩田健太郎

長年、書いてみたいと思っていた本を、岩田先生に先に書かれてしまった―というのが本音である。
 本の題名からは「研修医が上籍医に相談するときの虎の巻か?」と想像したのだが―さにあらず。コンサルテーションする側のみならず、コンサルテーションを受ける側にとって大事なこと、プレゼンテーションの準備、スライドの作り方、さらには「岩田2ヵ月ルール」「岩田10%ルール」など岩田先生独自の主義、さらには組織やシステムの構築にまで触れられている。本の題名とはまったく異なる印象で、まるで「エッセイ」を読まされたような、それも医師にとって重要な「何か」を得たような気分になる。その「何か」とは―。
 多くの医師はまず自己研鑽、すなわち自分のことだけを考えて医師人生をスタートするが、ある時期からは否応なしに、自分の部署のことを考えさせられる。私の見るところ、その時期あたりから、医師は大きく二通りのタイプに分かれるようである。一つは、仲間増やしに成功し、やがて自分の施設全体を考えるようになり、さらには地域全体を考え、周辺の他施設のことも考えられるようになり、充実した医師人生を送るタイプである。もう一つは、自分のことや自分の部署のことで頭がいっぱいで苦悩し、残念ながら、充実した医師人生とはいえない生き方になるタイプである。この医師人生の分かれ道は、知識、技術ではなく、医師としての「姿勢が培われてきたかどうか」にかかっていると思われる。この本には、その医師人生の分かれ道となる「姿勢をどう培うのか」が書かれている。
 多くの医師は、読み終わると、「もっと早く読んでおけば―」という感想をもたれるだろう。初期研修医、専門研修医、指導医、つまりあらゆる世代の医師に是非読んでいただきたい一品である。
評者● 寺澤秀一
臨床雑誌内科108巻3号(2011年9月号)より転載