教科書

柔道整復師のための医療安全学

共著 : 櫻井康司/田渕健一/成瀬秀夫/山口竜彦
ISBN : 978-4-524-26378-3
発行年月 : 2011年4月
判型 : B5
ページ数 : 162

在庫あり

定価3,024円(本体2,800円 + 税)

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文

柔道整復師が知っておくべき医療安全管理の知識をまとめたテキスト。医療安全の概要と各部位の診断時のリスクマネージメントを軸として、柔整師を志す学生の指導にあたる先生方により解説。多くの図写真を盛り込み、さらには実際に起きた訴訟、裁判の事例を紹介するなど、読者の理解・興味に充分に配慮した。学生のみならず、臨床にあたる柔整師にも必携となる一冊!

第1章 柔道整復師と医療安全
 1 医療安全とは
 2 医療安全の基本的な考え方
 3 柔道整復師が行う医療行為
  a.柔道整復師の意義
  b.業務範囲

第2章 インシデントレポートの作成と分析
 1 インシデントレポートの意義
 2 インシデントレポートの作成
 3 インシデントレポートの分析
 4 インシデントレポートの管理
 5 インシデントレポートの実例
 6 柔道整復業務におけるリスクマネージメントとインシデントレポート

第3章 柔道整復業務におけるアクシデントの予防と対応
 1 エラーの分類
  a.要因による分類
  b.意図の有無と原因による分類
  c.習熟度による分類
  d.遂行の有無による分類
 2 アクシデント(有害事象)の予防(リスクマネージメント)
 3 アクシデント(有害事象)がおこってしまったときの対応

第4章 施術における安全管理
 1 施術所内の安全管理スペースの確保
 2 創傷の有無の確認と感染防止
 3 外傷の正確な評価の重要性
 4 施術法選択の重要性

第5章 物理療法の安全管理
 1 物理療法の定義
 2 物理療法の種類
  a.温熱療法
  b.電気療法
  c.寒冷療法
  d.光線療法
  e.介達牽引療法
 3 物理療法実施上の注意
 4 物理療法の一般的禁忌症
 5 温熱療法
  a.温熱療法の種類
  b.温熱療法の適応
  c.温熱療法の禁忌
  d.温熱療法処置上の注意点
 6 電気療法
  a.電気療法の適応
  b.電気療法の禁忌
 7 寒冷療法
  a.寒冷療法の適応
  b.寒冷療法の禁忌
  c.寒冷療法処置上の注意点
 8 光線療法(レーザー光線療法)
  a.光線療法の適応
  b.光線療法の禁忌
 9 介達牽引療法
  a.介達牽引療法の適応
  b.介達牽引療法の禁忌
  c.介達牽引療法の処置上の注意点
 10 ROM増大の治療
  a.肩の拘縮
  b.指の拘縮
  c.母指の内転拘縮

第6章 頭頸部、顔面の外傷に対するリスクマネージメント
A.頭部の外傷
 1 意識はないが、心臓が動いていて呼吸しているとき
  a.呼びかけに反応するかどうか調べる
  b.眼を開けることができれば角膜反射をみる
 2 意識がなく心臓が停止しているとき
 3 けいれん
 4 急性硬膜外血腫
B.顔面部の外傷
 1 眼部打撲
 2 鼻骨骨折
 3 その他
C.頸部の外傷
 1 診断のポイント
  a.問診
  b.観察
  c.触診
 2 治療上のポイント

第7章 胸背部の外傷に対するリスクマネージメント
A.胸部の外傷
 1 診断のポイント
  a.問診
  b.観察
B.背部の外傷
 1 診断のポイント
  a.問診
  b.観察
 2 治療上のポイント

第8章 腰部の外傷に対するリスクマネージメント
 1 診断のポイント
  a.問診
  b.観察
 2 治療上のポイント

第9章 肩、肩周囲の外傷に対するリスクマネージメント
はじめに─肩、肩周囲の構造
  a.肩、肩周囲の関節
  b.肩、肩周囲の主な靱帯
  c.回旋筋腱板
  d.肩・肩周囲の滑液包
 1 診断のポイント
  a.問診
  b.観察
 2 治療上のポイント
  a.肩関節前方脱臼
  b.上腕骨頭骨折と上腕骨頸部骨折
  c.肩鎖関節上方脱臼
  d.鎖骨骨折
  e.上腕骨頭すべり症
  f.五十肩
  g.上腕二頭筋長頭腱断裂
  h.腱板損傷
  i.肩上弓症候群
  j.石灰沈着性肩関節炎
  k.外側四角隙症候群
 3 肩、鎖骨の治療上の安全のポイント

第10章 上腕、肘、前腕の外傷に対するリスクマネージメント
はじめに─肘関節の構造
  a.肘関節を構成する骨
  b.肘関節の主な靱帯
  c.肘関節周囲を通過する神経
  d.肘関節の運動に関与する主な筋
A.上腕の外傷
 1 診断のポイント
  a.問診
  b.観察
 2 治療上のポイント
  a.上腕骨顆上骨折
  b.上腕骨顆間果部骨折
  c.上腕骨外顆骨折
  d.上腕骨内側上顆骨折
B.肘の外傷
 1 診断のポイント
  a.問診
  b.観察
 2 治療上のポイント
C.前腕の骨折
 1 診断のポイント
  a.問診
  b.観察
 2 治療上のポイント
D.前腕部での絞扼性神経障害
 1 後骨間神経麻痺(橈骨神経深枝)
 2 前骨間神経麻痺(正中神経麻痺)
 3 肘部管症候群(尺骨神経麻痺)

第11章 手、指の外傷に対するリスクマネージメント
はじめに─手、手指の構造
  a.手、手指を構成する骨
  b.手、手指の主な靱帯
  c.手、手指の運動に関与する筋
 1 診断のポイント
  a.問診
  b.観察
 2 治療上のポイント
  a.橈骨遠位端骨折
  b.手根骨骨折
  c.中手骨骨折
  d.基節骨骨折
  e.中節骨基部の裂離骨折
  f.中節骨骨幹部の骨折
  g.マレットフィンガー
  h.手部での絞扼性神経障害

第12章 股関節周囲の外傷に対するリスクマネージメント
はじめに─股関節の構造
  a.股関節を構成する骨
  b.股関節の主な靱帯
  c.股関節周囲の滑液包
  d.股関節の運動に関与する主な筋
 1 診断のポイント
  a.問診
  b.観察
 2 治療上のポイント
  a.大腿骨頸部骨折
  b.小児の股関節の疾患
  c.中年以降の股関節の疾患

第13章 膝の外傷に対するリスクマネージメント
はじめに─膝の構造
  a.膝関節を構成する骨
  b.膝関節の主な靱帯
  c.その他の膝関節にみられる器官
  d.膝関節の運動に関与する筋
 1 診断のポイント
  a.問診
  b.観察
 2 治療上のポイント
  a.内側側副靱帯損傷
  b.前十字靱帯損傷
  c.半月板損傷
  d.変形性膝関節症

第14章 下腿、足関節、足部の外傷に対するリスクマネージメント
はじめに─下腿、足関節、足部の構造
  a.下腿、足関節、足部を構成する骨
  b.下腿、足関節、足部の主な靱帯
  c.その他の下腿、足関節、足部を構成する主な組織
  d.下腿、足関節、足部を構成する主な筋
A.下腿
 1 診断のポイント
  a.問診
  b.観察
 2 治療上のポイント
  a.アキレス腱断裂
  b.下腿コンパートメント症候群
  c.下腿骨骨折
B.足・足関節
 1 診断のポイント
  a.問診
  b.観察
 2 治療上のポイント
  a.足関節捻挫と間違えやすい外傷
  b.第5中足骨基部裂離骨折
  c.長腓骨筋腱炎

第15章 柔道整復業務における訴訟、裁判の実例
柔道整復業務における訴訟、裁判の実例

索引

柔道整復師の教育機関として半世紀を超えた花田学園、渋谷における専門学校教育とともに、平成21年4月には柔道整復学科、鍼灸学科ならびに看護学科を設置する大学教育を始めておよそ2年が経過した。
 日本における少子高齢社会の流れがますます加速する状況の中で、柔道整復師の教育機関の増加は、平成9年における1学年定員1,050名に対し、現在は10倍近くとなっている。質と量の相関─正のスパイラルが当然求められるところであり、地域医療の担い手の一員である柔道整復師として少なくとも社会に対する信頼原則は確立しなければならない、と同時に、技術者集団としての誇りを大切にしなければならない。柔道整復師は、柔道を通し地域社会における青少年の健全育成のために努力を傾注しているが、同時に柔道整復師としての品格ある集団でなければならないことは論を待たない。地域医療において、幅広い年代層を治療対象としているが、子供世代が柔道整復師に憧れ、将来の職業選択の目標の1つとなるためには、さらに技術の研鑽・人格の陶冶に努めることが肝要である。
 先人達が文字通り骨身を削って取り組んできた、骨折をはじめとする外傷に対する、柔道整復師独特の巻軸包帯と副子の活用を中心とした技術の習得・向上と同時に、インシデントに対する危機管理を十分認識し、地域医療機関との信頼原則を礎に、支援病院や医院と確実に連携し、患者のための窓口機関としてのマンパワーを着実に維持しなければならない。とりわけ、整形外科の医師との住み分けと連携、医師からみて安心してもらえる柔道整復師を目指してほしい。難しいから、結果が怖いから等のために自分のできる守備範囲を放棄することは避けてほしいと念願するものである。「自らの手で安きに流れることなかれ」と申し上げたい。
 本書の出版にあたり、整形外科の医師として最前線における手術経験とスポーツを含めた様々な外傷・障害に対する臨床経験が極めて豊富な田渕健一先生が中心となって、心血を注ぎ本書の執筆にあたられた。無血徒手整復の限界と応用について、臨床の現場におけるきわめて懇切な視点で構成されている。
 本書は、文部科学省に提出した大学としての使命を基本理念に置き、『柔道整復師のための医療安全学』として編纂されたものである。患者にとって適宜、適切な医療選択がなされることを切望する次第である。
平成23年2月吉日
学校法人花田学園
東京有明医療大学
理事長 櫻井康司