書籍

DVDでわかる消化器内視鏡外科手術

: 永井祐吾
ISBN : 978-4-524-26326-4
発行年月 : 2011年6月
判型 : A4
ページ数 : 110

在庫あり

定価12,960円(本体12,000円 + 税)

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文
  • 書評

スタンダードな治療法となりつつある腹腔鏡下手術について、日常診療で遭遇する消化器疾患に対する手術を網羅し、基本的なセットアップから手技のコツまでを動画とテキストで解説。若手外科医にはもちろん、ベテラン医師にも導入の参考となる実際的な手技書。DVD2枚に計180分超のナレーション付き動画で解説した手術の実際を収録。

第1章 腹腔鏡下手術を行うための基本的事項
 I トロカー挿入法
 II 基本鉗子セット
 III エネルギーデバイス
第2章 各論(付録DVD-Video収録の動画一覧)
 1 腹腔鏡下胆嚢摘出術
  Disc 1-1 急性胆嚢炎に対する腹腔鏡下胆嚢摘出術
 2 総胆管結石症に対する腹腔鏡下総胆管切開・切石術
  Disc 1-2 胆嚢総胆管結石症に対する腹腔鏡下胆嚢摘出・総胆管切開・切石術
 3 腹腔鏡下肝部分切除術
  Disc 1-3 胆嚢床に接する前区域病変に対する腹腔鏡下肝部分切除術
 4 腹腔鏡下脾臓摘出術
  Disc 1-4 遺伝性球状赤血球症に対する一期的腹腔鏡下脾臓摘出術および胆嚢摘出術
 5 腹腔鏡(補助)下膵体尾部切除術
  Disc 1-5 膵尾部嚢胞性腫瘍に対する片手補助腹腔鏡下膵体尾部切除術
 6 胃癌に対する腹腔鏡補助下幽門側胃切除術(LADG)
  Disc 1-6 胃癌に対する腹腔鏡補助下幽門側胃切除術(LADG)
 7 LADG後の再建法
  Disc 1-7 LADG後の再建法
 8 上部胃癌に対する腹腔鏡補助下噴門側胃切除術
  Disc 1-8 上部胃癌に対する腹腔鏡補助下噴門側胃切除術
 9 進行胃癌に対する腹腔鏡補助下胃全摘術
  Disc 1-9 進行胃癌に対する腹腔鏡補助下胃全摘術(鏡視下膵脾脱転リンパ節郭清)
 10 残胃癌に対する腹腔鏡補助下胃全摘術
  Disc 1-10 残胃癌に対する腹腔鏡補助下胃全摘術
 11 幽門狭窄を伴う難治性十二指腸潰瘍に対する腹腔鏡補助下幽門側胃切除術
  Disc 1-11 幽門狭窄を伴う難治性十二指腸潰瘍に対する
 腹腔鏡補助下選択的迷走神経切離幽門側胃切除術
 12 穿孔性十二指腸潰瘍に対する腹腔鏡下穿孔部大網充填術
  Disc 1-12 穿孔性十二指腸潰瘍に対する腹腔鏡下穿孔部大網充填術
 13 食道裂孔ヘルニアに対するToupet法に準じた腹腔鏡下修復術
  Disc 1-13 食道裂孔ヘルニアに対するToupet法に準じた腹腔鏡下修復術
 14 アカラシアに対する腹腔鏡下修復術
  Disc 1-14 アカラシアに対する腹腔鏡下修復術
 15.腹腔鏡補助下右半結腸切除術
  Disc 2-1 腹腔鏡補助下右半結腸切除術
 16.腹腔鏡補助下左半結腸切除術
  Disc 2-2 左側結腸多発癌に対する腹腔鏡補助下左半結腸切除術
 17.S状結腸過長症に対する完全腹腔鏡下S状結腸切除術
  Disc 2-3 S状結腸過長症に対する完全腹腔鏡下S状結腸切除術
 18.直腸癌に対する腹腔鏡補助下低位前方切除術
  Disc 2-4 直腸癌に対する腹腔鏡補助下低位前方切除術
 19.腹腔鏡下直腸脱修復術
  Disc 2-5 腹腔鏡下直腸脱修復術
 20.腸閉塞に対する腹腔鏡下癒着剥離術
  Disc 2-6 婦人科手術後慢性再燃性癒着性イレウスに対する腹腔鏡下癒着剥離術
 21.腹腔鏡下右副腎摘出術
  Disc 2-7 右副腎褐色細胞腫に対する腹腔鏡下右副腎摘出術
 22.腹腔鏡下左副腎摘出術
  Disc 2-8 Cushing症候群に対する腹腔鏡下左副腎摘出術

文献
索引

泉大津市立病院に異動して6年、2年前から院長に就任し、地域医療のむずかしさに悩む日々を過ごしています。ふと、我が身を振り返ってみると、外科医人生32年、すでに終盤に入っていることに気付きました。母校である和歌山県立医科大学第2外科では上部消化管外科を専門としてきましたが、いったん地域の一般病院に赴任したなら、上部も下部も肝胆膵もありません。その地域のニーズに応じた医療を実践するしかないのです。この6年間で1,000件を超える手術に携わり、現在保険収載となっているすべての内視鏡外科手術を実施することができました。
 しかし、これはひとりの外科医として特別なことではなく、外科医を目指す若者なら誰しもが、将来はそうありたいと思っていることではないでしょうか?私も「専門は消化器外科です」と言えるためには、いつかは食道から肛門まですべての手術がそつなくこなせるようになりたいと修練してきました。そして、私が研修医であった30年前と異なり、ほとんどの消化器外科手術が内視鏡外科手術で行われるようになりました。
 都会の総合病院なら、自分ができなくても各領域の専門医がおり、腹腔鏡補助下胃切除術、腹腔鏡補助下大腸切除術などを、それぞれの責任者が実践することでハイレベルの外科診療が保てるかもしれません。しかし、中規模病院にすべての専門医を揃えることは不可能です。「何でも診れる総合内科医」が必要なように、「つぶしのきく外科医」が必要とされます。たとえ一流の研修施設で修練を重ね、たくさんの手術を経験したところで、いざ自分が外科の責任者として新天地に赴任したとたん、初めての手術をしなければいけないというのは今でも珍しくありません。私の場合も、今回本書に掲載した手術術式のほとんどが、誰かに指導を仰いで修得した手技ではありません。内視鏡外科手術のみならず、開腹手術の教科書や論文、あるいは学会発表やセミナーを参考に、自分なりに工夫し、消化して修得した手技です。それゆえ、成書に書かれた内容とは大幅に異なる、「我流の手技」が目立つかもしれません。しかし、患者さんのニーズにこたえて、いかに安全な内視鏡手術を行うか、私なりに創意工夫して完成させた術式であります。
 たとえ胆嚢摘出術や虫垂切除術でも、ひとりの外科医として初めてなものは初めてなのです。そのようなときに、参考になればとの思いで出版したのが「DVD版 私の消化器内視鏡手術」[日本ライトサービス(tel03-3815-2335)にて販売中]でした。今回本書では、初めて一緒に組む術者、助手、スコピスト、あるいは介助ナースといったチーム全員に参考になるように、術式別に解説を付け加えました。読者の方が自分で考えた準備物品、レイアウト、体位、手順などに矛盾がないかどうかの比較材料になれば幸いに存じます。「DVD版 私の消化器内視鏡手術」を出版してから5年。止血、リンパ節郭清、縫合・結紮など、自分から見ても色んな手技が向上しました。前作をお持ちの方はぜひ比較してみてください。
2011年初夏
永井祐吾

著者の永井祐吾病院長は6年前に和歌山県立医科大学から泉大津市立病院に転勤され、大学時代は上部消化管を専門とされていた。いみじくも序文で述べておられるが、地域の一般病院に赴任したら上部も下部も肝胆膵もない。この序文を拝読し、筆者自身も35年前に米国留学から帰国し、杏林大学に赴任したときのことをはたと思い出した。当時、杏林大学は2期生が卒業し、臓器別の外科もいまだ構築されておらず、それこそ上部・下部消化管および肝胆膵などといっておられなかった。したがって、上部・下部消化管および肝胆膵はもとより、甲状腺や乳腺などの一般外科手術も行わなければならなかった。もともと、筆者も上部消化管を専門にしていたので、肝胆膵手術は外部の専門外科医に一、二度お願いし、第一助手として手術に参加し、また術中ビデオをとり、術後に反復・復習をし、自分なりの術式を確立していった。しかし、この経験は1991年に母校に戻ってから、専門外の肝臓移植に大いに役立ったことはいうまでもない。また、多臓器の手術が意外と役立つことが多い。おそらく著者も地域医療のニーズに応じた術式を試行錯誤され、確立されたこととその後のご苦労が理解できる。
 特に1987年フランスのMouret教授が腹腔鏡下胆嚢切除術に成功され、それ以来、外科手術手技のみならず、医工・産学連携により手術器械が格段と進歩したことは周知の事実である。
 さて今回、本書を拝読し、今まで出版された内視鏡外科手術書とはやや趣を異にしていることに気がついた。従来の内視鏡外科手術書は1人の専門医が自分の専門分野について多くの経験をもとにして書かれることが多かったが、本書は、著者が今までに経験したことのない分野についても、教科書を精読され、さらに学会やセミナーのビデオセッションなどに参加され、自分なりの術式を編み出したものである。その手技も多視野の観点から、著者いわく「我流の手技」であるが、それだけに価値があると思われる。本書は、内視鏡外科の初級者のためにトロカールの位置、手術の基本セット、およびエネルギーデバイスについてまで詳細に書かれており、中・上級者には従来自分の行ってきた術式とどう違うか、またどの部分が応用できるかなどの示唆を与えてくれると信じている。さらに、チーム医療が推進される昨今、内視鏡外科チームの医師のみならず、介助ナースにいたるまで参考になるように記載に気配りがなされており、これは著者の膨大な臨床経験からその必要性を論じたものと理解できる。
 最後に、筆者が杏林大学第一外科に所属し、異なる臓器の手術をこなしていたころ、著者の恩師、故勝見正治和歌山県立医科大学名誉教授の学会での発言を参考にする機会が多かったが、筆者の手技が勝見先生の著書『手術書にない我流の消化器外科手術』(厚生社インフォメーションサービス刊)に関連していたことを本書を介して認識させていただいたと同時に、著者が現役時代の恩師の背中をみて、外科手術に関する理念と手技を継承してきたことに改めて敬意を表する次第である。
評者● 北島政樹
臨床雑誌外科73巻11号(2011年11月号)より転載