書籍

成功に導くPCI治療戦略

optimal medical treatmentの実践

編集 : 中村正人
ISBN : 978-4-524-26313-4
発行年月 : 2011年4月
判型 : B5
ページ数 : 234

在庫あり

定価5,076円(本体4,700円 + 税)

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文

PCI(冠動脈インターベンション)における“optimal medical treatment”とは何か。最適な適応評価、治療戦略について国内外のエビデンスに基づいて解説する。「押さえておきたいPCIの実践知識」、「虚血性心疾患合併例に対するoptimal medical treatment」の2部構成として、最適なPCI治療戦略を提示する。PCIに携わる医師、コメディカルスタッフにおすすめ。

第1部 押さえておきたいPCIの実践知識
第I章 PCIにまつわるエビデンスの解釈
A.Indicationを考える
 1.COURAGE試験の見方
 2.COURAGE試験サブ解析の解釈(虚血領域)
 3.BARI 2D試験の見方
 4.JSAP研究から学ぶ:欧米の臨床試験との差異
 5.CREDO−Kyotoレジストリーからの教訓
 6.REACHレジストリーから学ぶアテローム血栓症の概念

B.Treatment strategyを考える
 1.EuroSCOREとSYNTAXスコアの違い
 2.SYNTAX試験から学ぶ
 3.FAME試験から学ぶ
 4.分岐部病変:two−stent vs one−stent technique
 5.慢性完全閉塞病変(CTO)の成否と予後

第II章 PCI実践のポイント
 1.optimal stent deploymentの概念
 2.薬剤溶出ステント(DES)の理想的病変と留置術
 3.DES再狭窄の予測因子
 4.糖尿病に対するPCI:糖尿病と冠動脈疾患
 5.小血管病変に対するPCI
 6.long lesionに対するPCI
 7.IVUSガイド下によるステント留置
 8.Bigger is better ?:DES時代におけるminimum stent areaの考え方
 9.ステント血栓症の発生頻度とその危険因子

第III章 再灌流後の心筋温存のための戦略
 1.hANPの再灌流抑制効果
 2.再灌流障害に対するcyclosporineの作用
 3.血栓吸引の役割
 4.末梢保護デバイスの現況

第2部 虚血性心疾患合併例に対するoptimal medical treatment
第IV章 血栓性疾患のoptimal medical treatment
 1.欧米のガイドラインでは抗血小板薬はどのように扱われているか
 2.日本のガイドラインにおける抗血小板薬の位置づけとは
 3.各種抗血小板薬の作用機序の違いとその使い分けのコツ
 4.PCI−CURE試験、CREDO試験からみるloadingの意義と今後
 5.ステント血栓症の予防からみた適切な投与期間
 6.アテローム血栓症の概念と各剤の投与期間
 7.心血管イベント高リスク群にはどのようなものがあるか
 8.clopidogrelの反応性規定因子
 9.low−responderとは
 10.drug interactionとは
 11.CYP2C19遺伝子はどのようにかかわっているか
 12.出血高リスク群
 13.新しい抗血小板薬とその効果

第V章 糖尿病のoptimal medical treatment
 1.日本人糖尿病患者の病態とガイドラインで示された目標
 2.糖尿病、耐糖能異常(IGT)の動向と治療介入時期
 3.どのような症例で経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)によるスクリーニングを実施すべきか
 4.心血管イベント防止の観点からみた内服薬選択の考え方
 5.糖尿病におけるプラーク退縮と心血管イベントの関連
 6.慢性腎臓病(CKD)合併例における併用薬とARB高用量の重要性
 7.アルブミン尿と心血管イベントの関連
 8.糖尿病網膜症と心血管イベントの関連

第VI章 脂質異常症のoptimal medical treatment
 1.ガイドラインに示された治療目標とは
 2.Lower is better?:一次予防と二次予防
 3.プラーク退縮のエビデンス
 4.プラーク退縮は心血管イベントの予防に繋がるか
 5.LDL−C/HDL−C比の臨床的意義
 6.低HDL−Cは改善すべきか
 7.高トリグリセライド(TG)血症の意義とその治療法
 8.アポ蛋白測定の意義と実際
 9.スタチンとCKD
 10.食事療法の実際

第VII章 高血圧のoptimal medical treatment
 1.ガイドラインに示された治療目標とは
 2.正常血圧に対する投薬に意義はあるか
 3.Ca拮抗薬の機序とその位置づけ
 4.ACE阻害薬とARBの機序とその位置づけ
 5.β遮断薬の機序とその位置づけ
 6.配合剤の意義と実際
 7.夜間高血圧・早朝高血圧:24時間血圧管理の重要性
 8.夜間高血圧と利尿薬の使い分け
 9.CKDと高血圧
 10.糖尿病合併高血圧をどう診るか

索引

薬剤溶出ステント(DES)の登場は冠動脈インターベンション(PCI)の世界を大きく変えた。日本でDESが承認された頃にはその臨床的有効性はすでに確立されていたが、確認造影を行うことを慣習化していた日本の医師が遠隔期の造影をみたときは大きな驚きを覚えたことと思う。RAVEL試験がゼロトライアルと称され、狂喜の中で当時報告されたと聞いたが、日本でも再現された感があった。適応はさまざまな方向に拡大し、臨床の現場におけるDESの出足は好調であったが、物事には必ず表裏が存在するものである。DESのdark sideが明らかになり、DESを取り巻く状況は過熱していたと認識することとなった。その後、再度DESの安全性は担保されていると再認識されるに至った。DESをめぐり、PCIは振り子のように左右に揺れながら安定を目指してきた感がある。このようなDESの問題を提起したのも、解決してきたのもエビデンスである。エビデンスを読み解き咀嚼し、そのエッセンスを個々の症例で実践していくことが重要となった。PCIの欠点は局所療法であることにつきるが、この欠点を最大限に補完するのが薬物治療である。この薬物治療の進歩はPCIの進歩に劣らず目覚ましい。テーラーメイドの医療を行うにも、これらのエビデンスを集約することはけっして容易でない。臨床試験名を記憶することすら難しく、内容の裏まで斟酌することはほど遠いことである。
 このようにPCIを取り巻く環境は大きく変化した。これが、本書が登場するゆえんである。多くの先生に協力いただき、それぞれのテーマに沿った重要な論文を選択、要約した。さらに各テーマについて考え方を文末に掲載した。これが本書の特徴のひとつであるが、その領域の達人の意見は各論文のピットフォールを適切に指摘しており、非常に含蓄のあるものとなっている。本書を手に取られた方は、そのエッセンスのとりこになるものと確信している。明日からの臨床現場で、本書が大きな助けとなれば幸いである。
2011年2月
中村正人