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脳・脊椎病変の画像診断原書第1版

監訳 : 青木茂樹/星地亜都司/斉藤延人
ISBN : 978-4-524-26312-7
発行年月 : 2013年4月
判型 : A4
ページ数 : 960

在庫あり

定価32,400円(本体30,000円 + 税)

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文
  • 書評

診断学、解剖学の画像集として世界的に評価の高いAmirsysのコレクションから、頭蓋内病変、脊椎病変の主要な255の鑑別疾患を厳選、解説したアトラス。約3,300点の高解像度画像を掲載。一般的な画像所見からの鑑別のみならず、解剖学的知識・臨床症状を念頭に置いた鑑別やモダリティに特異的な所見など、現場で必要となる情報を網羅した。

PARTT 頭蓋骨・脳
Section1 頭皮、頭蓋骨
・解剖学的にみた鑑別
 頭蓋骨の正常変異
 頭皮の腫瘤
・一般画像パターン
 Hair on end
 頭蓋骨の肥厚−全般性
 頭蓋骨の肥厚−限局性
 頭蓋骨の菲薄化−全般性
 頭蓋骨の菲薄化−限局性
 溶骨性の頭蓋骨病変−孤発性
 多発性透亮性の頭蓋骨病変
 頭蓋骨の硬化性病変−孤発性
 頭蓋骨の硬化性病変−多発性
・臨床的にみた鑑別
 大頭症
 小頭症
Section2 髄膜
・解剖学的にみた鑑別
 硬膜の石灰化
 硬膜に広く接した(dural-based)腫瘤−孤発性
 硬膜に広く接した(dural-based)腫瘤−多発性
 大脳鎌病変
・一般画像パターン
 肥厚した硬膜/くも膜、びまん性
 軟膜の増強効果
 Dural Tail Sign
Section3 脳室、脳室周囲
・解剖学的にみた鑑別
 脳室の正常変異
 脈絡叢病変
 上衣/上衣下病変
 側脳室腫瘤
 肥厚した透明中隔
 モンロー孔腫瘤
 第3脳室腫瘤−全般性
 第3脳室腫瘤−体部/後部
 中脳水道/中脳水道周囲病変
 第4脳室腫瘤
・一般画像パターン
 “泡沫様”脳室内腫瘤
 上衣に沿った増強効果
 脳室拡大
 脳室狭小
 非対称な側脳室
 不整な側脳室
 脳室周囲の増強病変
・モダリティに特異的な画像所見
 脳室内の石灰化
 脳室周囲の石灰化
 脳室周囲のT2強調像高信号/FLAIR像高信号病変
Section4 脳実質外腫瘤
・解剖学的にみた鑑別
 脳槽、くも膜下腔の正常変異
 硬膜外腫瘤、脳
 脳溝の拡大−全体的
 脳溝の狭小化−広範囲
 脳溝の狭小化−局所性
 大脳半球間嚢胞
 小脳橋角部腫瘤−成人
 小脳橋角部-胞性腫瘤
 橋前槽腫瘤
 大槽腫瘤
 大後頭孔腫瘤
・一般画像パターン
 脳神経の増強効果
 脳脊髄液様の脳実質外液体貯留
 脳脊髄液様の脳実質外腫瘤
 脳溝/脳槽の増強効果
 脳溝/脳槽/脳室内の脂肪
・モダリティに特異的な画像所見
 脳実質外のflow void
 T1強調像における高信号の脳脊髄液
 FLAIR像における高信号の脳脊髄液
 T2強調像における低信号の脳実質外病変
 高密度脳脊髄液
 高密度脳実質外腫瘤
 低密度脳実質外腫瘤
Section5 脳実質−一般
・一般画像パターン
 多発性の増強効果を示す病変−一般
 リング状増強効果−孤発性
 リング状増強効果−多発性
 孤発性の嚢胞性実質内腫瘤−一般
 脳脊髄液類似の実質病変
 結節を伴う嚢胞
 脂肪類似病変−一般
・モダリティに特異的な画像所見
 孤発性の実質内石灰化
 多発性の実質内石灰化
 孤発性の高密度実質病変
 多発性の高密度実質病変
 孤発性の低密度実質病変
 多発性の低密度実質病変
 多発性の脳高信号域(T2強調像/FLAIR像)−高頻度
 多発性の脳高信号域(T2強調像/FLAIR像)−比較的稀
 多発性の脳高信号域(T2強調像/FLAIR像)−稀だが重要
 多発性のT2強調像低信号域
 多発性のT2*強調像(グラディエントエコー法/磁化率強調像)低信号域
 T1強調像/T2強調像における高信号の実質病変
 T1強調像低信号、T2強調像高信号の実質病変
 T1強調像/T2強調像等信号の実質病変
 拡散の低下
 T1強調像における高信号の実質病変
・臨床的にみた鑑別
 新生児・乳児の脳腫瘍
 1歳より年長の小児の脳腫瘍
 てんかん、一般
Section6 テント上脳実質
・解剖学的にみた鑑別
 非対称な大脳半球
 肥厚した大脳皮質
 菲薄化した大脳皮質
 限局性大脳皮質腫瘤
 T2強調像/FLAIR像における大脳皮質の高信号
 大脳皮質の増強効果
 孤発性大脳白質病変
 融合性の大脳白質病変
 脳梁の菲薄化
 脳梁の形態異常
 脳梁の空洞病変
 質量効果(mass effect)を伴わない脳梁病変
 脳梁の腫瘤性病変
 脳梁膨大部病変
 基底核の石灰化
 基底核のT1強調像高信号
 基底核のT2強調像高信号
 傍血管腔拡大
 傍血管腔の増強病変
 両側基底核の病変
 被殻の病変
 淡蒼球病変
 一側性視床病変
 両側性視床病変
 視床枕サイン(pulvinar sign)
 中脳蓋(四丘板)病変
 中脳病変
Section7 テント下脳実質
・解剖学的にみた鑑別
 脳幹腫大
 脳幹萎縮
 橋病変
 延髄病変
 テント下正中の嚢胞
 小脳萎縮
 小脳腫瘤
 小脳虫部の腫瘤
 小脳扁桃下降
・一般画像パターン
 後頭蓋窩の嚢胞性病変
・臨床的にみた鑑別
 後頭蓋窩腫瘍−成人
 後頭蓋窩腫瘍−小児
Section8 トルコ鞍内/下垂体、松果体部
・解剖学的にみた鑑別
 松果体部腫瘤−全体
 松果体腫瘤
 四丘体槽腫瘤
 松果体および鞍上部病変
 トルコ鞍内/下垂体における正常範囲の変化
 トルコ鞍内/傍鞍部石灰化
 肥大型下垂体
 鞍内病変
 嚢胞性鞍内腫瘤
 鞍上部腫瘤−全体
 鞍上部腫瘤−小児
 鞍上部嚢胞性病変
 石灰化鞍上部腫瘤
 増強される鞍上部腫瘤
 欠損/菲薄化した下垂体柄
 肥厚した下垂体柄
 視床下部腫瘤
・モダリティに特異的な画像所見
 高密度の鞍上部腫瘤
 T1強調像等信号域の鞍上部腫瘤
 T1強調像高信号域の鞍上部腫瘤
 T1強調像低信号域の鞍上部腫瘤
Section9 動脈
・解剖学的にみた鑑別
 動脈の形態、構成の異常
 紡錘状動脈拡張
・モダリティに特異的な画像所見
 高密度を呈する動脈
 血管の石灰化
Section10 静脈、静脈洞
・解剖学的にみた鑑別
 硬膜静脈洞病変−一般
 拡張した皮質静脈
 拡張した深部(髄質、上衣)静脈
 一側性海綿静脈洞腫瘤
 両側性海綿静脈洞腫瘤
 メッケル腔病変
・モダリティに特異的な画像所見
 高密度を呈する静脈洞
PARTU 脊椎
Section1 経空間
・解剖学的にみた鑑別
 頚椎−慢性の外傷後異常
 頚椎、下位−外傷後骨異常
 胸椎外傷
 腰椎外傷
・一般画像パターン
 側弯症
 後弯症
 後側弯症−小児
 扁平椎(広範型)
 仙骨腫瘤−成人
 仙尾部腫瘤−小児
 仙骨変形
・臨床的にみた鑑別
 術後の急性背部痛/根性疼痛
 術後の慢性腰痛/根性疼痛
 急性上肢痛/筋力低下
 下肢痛
 成人の腰痛
 小児の腰痛
Section2 頭蓋頚椎移行部
・解剖学的にみた鑑別
 頭蓋頚椎移行部の急性損傷
 頭蓋頚椎移行部の異常−一般
 頭蓋頚椎移行部の軟部組織の異常
・一般画像パターン
 環軸椎不安定症
 歯突起変形
Section3 椎体−後方要素
・解剖学的にみた鑑別
 先天性脊椎異常
 頚椎骨癒合
・一般画像パターン
 椎体高減少−弧発性
 椎体高減少−多発性
 異形性椎体
 椎体/後方要素の拡大
 椎間孔拡大
 椎体後縁の陥凹/脊柱管の拡大
 脊椎すべり症
 侵襲性骨病変
 椎体骨折
 椎間関節の異常(非外傷性)
 骨折(後方要素)
 椎弓根の異常
・モダリティに特異的な画像所見
 膨隆した椎体、シャボン玉像(soap bubble appearance)
 硬化した椎体−限局性
 硬化した椎体−びまん性
 骨梁の肥厚した椎体
 椎体(T1強調像高信号、びまん性)
 椎体(T1強調像高信号、限局性)
 椎体(T1強調像低信号、びまん性)
 椎体(T1強調像低信号、限局性)
Section4 椎間板−終板
・一般画像パターン
 椎間板輪郭の異常
 椎間板と終板の不整
 脊椎終板の輪郭の異常
・モダリティに特異的な画像所見
 椎間板のT1強調像低信号
 椎間板のT2強調像高信号
 脊椎終板の信号異常
Section5 硬膜外
・解剖学的にみた鑑別
 硬膜外腫瘤
 腹側/外側の傍脊椎腫瘤
・一般画像パターン
 傍脊椎筋異常
 硬膜外病変−多発性
 硬膜外病変(増強されないもの)
 硬膜外病変(充実性増強効果)
・モダリティに特異的な画像所見
 傍脊椎軟部組織石灰化
 正常の硬膜外骨髄信号
 硬膜外、骨髄の異常信号
 硬膜外病変(T1強調像高信号)
 硬膜外病変(T1強調像低信号)
 硬膜外病変(T2強調像高信号、T1強調像等信号)
 硬膜外病変(T2強調像低信号、T1強調像低信号)
・臨床的にみた鑑別
 腰椎の軟部腫瘤−小児
Section6 硬膜内−髄外
・解剖学的にみた鑑別
 脊髄円錐のびまん性増強効果
 くも膜下腔狭小化
 硬膜内髄外における髄膜の増強効果
・一般画像パターン
 硬膜内髄外病変(増強効果なし)
 硬膜内髄外病変(充実性増強効果)
 硬膜内病変(蛇行した)
 硬膜内髄外病変−多発性
・モダリティに特異的な画像所見
 硬膜内−髄外病変、リング状/辺縁の増強効果
 硬膜内−髄外病変、T1強調像高信号
 硬膜内−髄外病変、T1強調像低信号
 硬膜内−髄外病変、T1強調像低信号、T2強調像低信号
 硬膜内−髄外病変、T2強調像高信号、T1強調像等信号
・臨床的にみた鑑別
 馬尾症候群
Section7 髄内
・解剖学的にみた鑑別
 髄内腫瘤
 脊髄円錐部異常
・一般画像パターン
 脊髄の縮小・萎縮
 髄内病変−多発性
 髄内病変(充実性の増強効果)
 髄内病変(増強効果なし)
 髄内病変(びまん性、境界不明瞭な増強効果)
 髄内病変(リング状/辺縁の増強効果)
・モダリティに特異的な画像所見
 髄内病変(T1強調像低信号、T2強調像低信号)
 髄内病変(T1強調像低信号)
 髄内病変(T2強調像高信号、T1強調像等信号)
 髄内病変(T1強調像高信号)
 脊髄病変(T2強調像高信号、脊髄腹側)
 脊髄病変(T2強調像高信号、脊髄背側)
 脊髄病変(T2強調像高信号、脊髄中心部)
・臨床的にみた鑑別
 脊髄症
索引(和文、欧文)

Anne Osborn 先生が名著“Diagnostic Neuroradiology” を出版され、American Publishers Association AwardのBest Textbook in clinical medicineを受賞されたのは、1995年のこととなる。現在でも、神経放射線医学を目指す者にとって読むことをお勧めできる名著であると思う。
 その後、Osborn先生とHarnsbergerが中心になって、医療情報システムプロバイダーであるAMIRSYS社を設立し、放射線科医を主なターゲットとしたweb対応の本の出版を主体として精力的に出版を続けている。この“Expert ddx”シリーズもその一環で、画像診断の鑑別診断について、脳、脊椎・脊髄病変以外にも、頭頚部、骨軟部、婦人科、腹部、小児、超音波が出版されている。画像所見ごとに鑑別疾患を整理していく手法は、古くから画像診断には重要であるが、この本のように、カバーする疾患が多く、かつ詳細に記載されているものは他に見られない。
 この本の日本語訳の相談が斉藤延人先生のところにあり、私にも声が掛かった。画像診断を行う者の学習のみならず、日々の臨床に直結する実践的な内容であるので、膨大な厚さに怯みつつも、敢えてお引き受けすることとした。脳外科的疾患の多い部分は斉藤延人先生が、脊髄・脊椎疾患は星地亜都司先生が、その他を青木が主に担当した。疾患名と、図の解説が主であるため、比較的簡単に訳せると思っていたが、厚いだけに情報量が多く、用語の統一などに思ったより手間取った。南江堂の熱意もあって、ここにお届けできることとなった。臨床に忙しいなか翻訳を担当された先生方、そして日本語版翻訳を快く許していただいたOsborn先生に感謝します。

2013年2月
青木茂樹

本書は、米国Amirsys社から出版された書籍“Expert Differential Diagnosis;Brain and Spine”の日本語訳本である。原著は、神経放射線診断学の大御所であるUtah大学医学部放射線科教授Anne Osborn先生によって編集されたものであり、執筆者には米国・カナダの神経放射線診断学のエキスパートが名を連ねている。序文でOsborn先生が述べているが、本書は、放射線科医が信頼性の高い最終診断に到達するにあたり、その過程での必要な情報を提供することを目的として編集されている。
 日本語訳にあたっては、放射線科、整形外科、脳神経外科領域を代表する青木茂樹、星地亜都司、斉藤延人の3人の先生方が監訳にあたられている。本書は、前半の「PartI 頭蓋骨・脳」と後半の「PartII 脊椎」に分かれている。「PartII 脊椎」は全体の約1/3のボリュームであるが、脊椎の箇所だけでも283ページに及び、本書がいかに重厚で内容に富んだものであるかがわかる。「PartI 頭蓋骨・脳」の訳は放射線科と脳神経外科の先生方が分担して行い、「PartII 脊椎」の訳は、脊椎脊髄外科を専門とする整形外科の先生方が担当された。
 「PartI 頭蓋骨・脳」は、計10のSection「頭皮、頭蓋骨」、「髄膜」、「脳室、脳室周囲」、「脳実質外腫瘤」、「脳実質−一般」、「テント上脳実質」、「テント下脳実質」、「トルコ鞍内/下垂体、松果体」、「動脈」、「静脈、静脈洞」からなる。脊椎脊髄外科診療、特に上位頚椎領域の手術を行う際は、頭蓋骨・脳の解剖や画像診断の知識がどうしても必要になってくる。本書は、そのようなわれわれ整形外科医のニーズを満たしてくれる。
 「PartII 脊椎」は計7つのSectionからなる。順を追って各章の概略を紹介する。
 Section1では脊椎脊髄疾患についての総論的な解説が行われている。代表的な疾患について、延べ226例のX線、CT、MRIの画像が提示され、それらの症例は「高頻度」、「比較的稀」、「稀だが重要」に分類・整理されている。さらに、テーマごとに典型例と非典型例の画像が提示され、鑑別疾患を整理していく手法で編集がなされている。まず、外傷について「頚椎」、「胸椎」、「腰椎」ごとに整理がなされている。続いて、「側弯症」、「後弯症」、「小児の後側弯」、「扁平椎」、「仙骨部の腫瘤」、「仙骨変形」についてのまとめがなされ、さらには「上肢痛」、「下肢痛」、「術後急性期の腰下肢痛」、「術後慢性期の腰下肢痛」、「成人の腰痛」、「小児の腰痛」という臨床症状のテーマごとに画像が整理されている。
 Section2〜7は各論で、脊椎脊髄の部位ごとに代表的な疾患の画像が提示され解説されている。各論全体で提示されている画像・イラストは818枚にも及ぶ。本書によって、読者は典型例から非典型例までのきわめて多くの画像の情報を得ることができる。
 「Section2 頭蓋頚椎移行部」では、Jefferson骨折などの外傷、Chiari奇形、歯突起骨などの先天奇形、関節リウマチによる歯突起周囲のパンヌス、上位頚椎への転移性腫瘍、脊索腫などが提示されている。「Section3 椎体−後方要素」では、先天奇形、外傷、骨粗鬆症関連病変、腫瘍、感染などの椎体、椎弓根、椎弓の病変がまとめられている。「Section4 椎間板−終板」では、椎間板ヘルニア、脊椎炎などの症例が提示され、「Section5 硬膜外」では、脊髄・硬膜・椎骨由来の腫瘍、血球系の腫瘍などの解説がなされている。「Section6 硬膜内−髄外」では、硬膜内髄外腫瘍、髄膜炎、多発神経炎、くも膜嚢胞など、「Section7 髄内」では、髄内腫瘍、脊髄炎、脱髄性疾患、動静脈奇形、脊髄梗塞などの病変について、詳細な解説がなされている。
 本書は、脊椎脊髄疾患の診断・治療に携わる臨床医にとって、実践的かつ専門的な情報を提供してくれる良書である。臨床の現場で辞書のような使い方ができる一方、脊椎脊髄疾患を体系的に学ぶ際の教科書としても有用である。本書を活用することにより、診断の精度が高まり、脊椎脊髄疾患診療のレベルの向上につながることが期待される。

臨床雑誌整形外科64巻13号(2013年12月号)より転載
評者●筑波大学整形外科教授 山崎正志