書籍

緊急内視鏡マニュアル

DVD付

編集 : 赤松泰次/長谷部修
ISBN : 978-4-524-26282-3
発行年月 : 2012年2月
判型 : B5
ページ数 : 242

在庫あり

定価9,180円(本体8,500円 + 税)

正誤表

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文
  • 書評

多くの危険を伴う「修羅場」である緊急内視鏡を行う際に必要な診断力・判断力が身につく。診断・治療のポイントに加え、インフォームドコンセントの要点、前処置の仕方まで網羅し、全項目に「エキスパートからのアドバイス」も掲載。内視鏡医だけでなく研修医やコメディカルスタッフにも役立つ一冊。実症例を収録したDVD付き。

総論 緊急内視鏡の役割・安全施行と診断・治療戦略
I はじめに─救急医療における内視鏡の役割

II 緊急内視鏡の安全施行
 1.消化管出血に対するプライマリ・ケア
 2.緊急内視鏡における安全管理
 3.緊急内視鏡時の感染管理
 4.夜間および休日における緊急内視鏡診療体制の工夫

III 緊急内視鏡の診断・治療戦略
 1.消化管出血に対する診断・治療戦略
 2.腹痛に対する診断・治療戦略
 3.イレウスに対する診断・治療戦略
 4.閉塞性黄疸に対する診断・治療戦略

各論 緊急内視鏡の実際
I.上部消化管
 1.出血性消化性潰瘍
  1-1 止血手技を中心に
  1-2 止血困難例の要因とIVRや手術への移行のタイミング
  1-3.内視鏡的止血術の術後管理
 2.食道胃静脈瘤出血
 3.医原性出血
 4.内視鏡的異物除去
 5.上部消化管穿孔
 6.胃軸捻転症
 7.上部消化管狭窄

II.小腸
 1.緊急バルーン小腸内視鏡
  1-1 小腸出血
  1-2 消化管異物
 2.緊急カプセル内視鏡

III.大腸
 1.緊急大腸内視鏡の前処置
 2.血便をきたす疾患の鑑別診断
 3.憩室出血
 4.IBD患者の大量出血
 5.医原性出血
 6.S状結腸捻転症
 7.経肛門的イレウス管挿入

IV.胆・膵
 1.急性胆管炎(急性閉塞性化膿性胆管炎)
 2.急性胆嚢炎
 3.胆石性膵炎
 4.膵仮性嚢胞
 5.膵胆道癌
 6.胆管ステント閉塞
 7.胆道出血

索引

近年、従来緊急手術を必要としたさまざまな消化器救急疾患が、緊急内視鏡を行うことにより、速やかな診断と低侵襲治療が可能となった。さらにバルーン小腸内視鏡やカプセル内視鏡といった新しい内視鏡機器や処置具の開発によって、内視鏡がカバーしうる消化器救急疾患の領域は確実に広がってきている。緊急内視鏡は内視鏡医にとってまさに「腕のみせどころ」であると同時に、多くの危険性を伴う「修羅場」でもある。消化器内視鏡専門医あるいは指導医を目指す医師にとって、緊急内視鏡をひとりで施行できるか否かは、一人前の内視鏡医として認められるための試金石である。
 緊急内視鏡は通常の内視鏡とは異なり、(1)患者の全身状態が不安定な場合が多い、(2)しばしば前処置が不十分な状態での施行を余儀なくされる、(3)診療時間外に行うことが多く、十分なスタッフの招集が難しいなど、施行に際していろいろな困難を伴うことが多い。したがって緊急内視鏡を行う際には、診断や治療に集中するだけでなく、患者の全身状態や安全性への配慮がきわめて重要である。時には「勇気ある撤退」や「他の治療法への移行」を決断しなければならないことがあり、内視鏡医は内視鏡手技の熟達だけでなく、さまざまな状況に対する冷静で的確な判断力が求められる。
 一方、緊急内視鏡の施行中は、胃に溜まった血液や食物残渣を患者が嘔吐したり、大腸内視鏡では血便や便汁を排泄するなど、きわめて不潔な環境の中で行っていることを意識しておく必要がある。緊急内視鏡では患者がどのような感染症を保有しているか前もって把握できないことが多く、また腸管出血性病原性大腸菌感染症のような血便を伴う感染性大腸炎も診断される前に緊急内視鏡の対象となる場合がある。内視鏡室内の清潔を保つとともに医療従事者自身が患者からの感染を受けないようにゴム手袋、マスク、眼鏡(ゴーグル)、アイソレーションガウンといった防具を必ず身につけるなど、通常の内視鏡診療以上に感染管理に配慮しなければならない。
 本書は、各分野のエキスパートの方々に執筆をお願いした。緊急内視鏡という「華やかで、かつ多くの危険が潜む舞台で主役を演じる」ために、内視鏡医を目指す医師は、ぜひその「台本」として本書を手元に置いて頂きたい。困難な場面に遭遇した時に、必ずやそれを克服するヒントがその中に見つかるはずである。
2012年1月
赤松泰次
長谷部修

すごい本が出版されてしまった。確かに本のタイトルどおり緊急内視鏡マニュアルなのだが、マニュアルをはるかに超える本で、本当は「緊急内視鏡バイブル」としたほうが本の内容をよく表していたのではないかと思っている。
 このタイプのマニュアル本では内視鏡処置の手技的な部分に力点が置かれ、診断にいたるプロセスや患者の病態の把握に関する記載がほとんどないのが一般的であった。また、術後の管理についても十分な記載があるものはなかったように思う。本書は、このような従来の類書の欠点をすべて改善したうえに、さらに内視鏡手技の記述については動画DVDを付けて、文章や写真、シェーマだけでは理解しにくいコツを理解しやすく解説する工夫がなされている。
 まず本書を手に取って感じたのは、掲載されている内視鏡写真やX線、CT写真の質の高さである。ダイナミックで現場の様子が生で伝わるような素晴らしい写真が並んでいる。さらに有効にカラー印刷を利用して各項目を色分けし、系統的な理解を助けるように工夫もされている。最近の医学書はカラフルなものが多いが、その先端を走っている本であるようだ。
 次いで構成をみてみると最初に総論が書かれており、この中に「I はじめに」に続いて「II 緊急内視鏡の安全施行」、「III 緊急内視鏡の診断・治療戦略」という項目が並んでいる。IIの項目では、近年重要視されている感染対策や夜間、休日に緊急内視鏡をするための具体的な対応策、システムのつくり方が例を示しながら記載されており、病院の消化器診療をマネージしている部長や、安全管理担当の副院長が読まれても、「なるほど、なるほど」と感心され、また参考となる内容が満載である。IIIの項目には1-4の亜項目がつくられ、それぞれ消化管出血、腹痛、イレウス、閉塞性黄疸に対する内視鏡を用いた診断と治療戦略が記載されている。本項では受診患者の症状からどのように診断が行われ治療がなされていくかを緊急内視鏡を軸に記載がされており、まず診断が行われる臨床現場の実状に即した大変わかりやすい解説となっている。緊急内視鏡を担当する医師には必読の項目だと思われる。
 各論は上部消化管、小腸、大腸、胆・膵に項目が分けられている。ここでは各臓器に起こりうる疾患の緊急対応が解説されている。とくに内視鏡を使い、どのような手技を用いて治療を行っていくかがDVDの症例動画付きで解説されている。この部分の構成は従来からある類書を踏襲しているようにみえるが、実は緊急内視鏡後の患者の管理、術後処置、リスク評価について大変詳しく、かつ具体的な記載がなされており、この点では従来の類書を大きく超えている。
 本書は、病院の内視鏡部門、消化器科部門のマネージメントをする副院長、部長から、実際に緊急内視鏡医療に携わっている中堅の医師、さらに内視鏡処置後の病棟での患者の全身管理、リスク管理に関わることが多く自分自身では内視鏡検査・処置を行うことが少ない研修医まで、多くの医師にぜひ読んでいただきたいバイブルである。読まれれば、どんな立場の医師でも、また内視鏡室、病室で働く看護師、コメディカルでも、必ず得るところが大きい素晴らしい書であると思っている。
評者● 木下芳一
臨床雑誌内科109巻6号(2012年6月増大号)より転載

このたび、赤松泰次先生、長谷部修先生のご編集のもと本書が刊行された。緊急内視鏡といえば、吐血や急性腹症、消化管内異物の除去目的などの患者が多く、診断と同時にすぐさま治療にも対応できなければならないため、瞬時に高度な知識と技術が要求される手技である。しかしながら、救急患者は夜間・休日に来院することが多く、十分な体制がとりづらいこと、スタッフの確保が困難なことなどが大きな問題としてあげられる。また、緊急内視鏡検査の対象となる患者では、感染症のスクリーニングが十分になされていないことが多く、医療者の感染対策も重要な課題である。
 本書は、総論と各論の2本立てで構成されており、総論ではこれまであまり明確に記述されていなかった、緊急内視鏡検査の安全対策に関して詳細に解説されている。血まみれ、吐物まみれで、蛮勇を奮いながら検査を行った時代は過去のものであり、患者・医療者ともに安全に緊急内視鏡検査を実施するためには必読の書である。
 一方、各論においては各分野におけるエキスパートの先生から、疾患別の具体的な手技について、豊富なカラーの図(一部はDVDによる動画も提供されている)とともにわかりやすく解説されている。しかも、各章は診断のポイント、準備品とチェックリスト、インフォームド・コンセントのポイント、前処置のポイント、内視鏡治療のコツ、処置後の管理などおおむね共通の章立てで構成されており、実際に必要なときに必要な箇所を参照しやすい。さらに、各章の最後には「エキスパートからのアドバイス」が記述されており、臨床で内視鏡検査を実際に行う前に読んでおくとたいへん心強いものと思われる。
このように、本書はこれまでの手技を中心とした解説書とは異なり、内視鏡検査室あるいは救急外来における緊急内視鏡検査の体制の確立、実際の患者に対する検査前から検査後までの管理を含めて、ベッドサイドにおいて常に参照すべき、まさに必携のマニュアルといえる。
評者● 寺島雅典
外科74巻10号(2012年10月号)より転載