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日本消化器病学会ガイドライン

慢性膵炎診療ガイドライン

こちらの商品は改訂版・新版がございます。

編集 : 日本消化器病学会
ISBN : 978-4-524-26225-0
発行年月 : 2009年10月
判型 : B5
ページ数 : 218

在庫なし

定価3,240円(本体3,000円 + 税)

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  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文

日本消化器病学会編集によるオフィシャルなガイドライン。慢性膵炎に関わる膨大な文献を吟味し、診療上で問題となるクリニカルクエスチョン(CQ)に対して、推奨グレードとエビデンスレベルを明記して診療の指針を示す。慢性膵炎の診断、病期診断、治療、予後の現時点における標準的内容がわかる。

クリニカルクエスチョン一覧
1.診断
(1)問診・診察
 CQ1-01 病歴聴取、身体診察は慢性膵炎の診断に必要か?
(2)生化学検査
 CQ1-02 血中・尿中膵酵素測定は慢性膵炎の診断に有用か?
(3)画像検査
 CQ1-03 胸・腹部単純X線撮影は慢性膵炎の診断に有用か?
 CQ1-04 腹部超音波検査(US、造影を含む)は慢性膵炎の診断に有用か?
 CQ1-05 コンピューター断層撮影法(CT)は慢性膵炎の診断に有用か?
 CQ1-06 腹部MRIは慢性膵炎の診断に有用か?
 CQ1-07 超音波内視鏡検査(EUS)は慢性膵炎の診断に有用か?
 CQ1-08 内視鏡的逆行性胆道膵管造影法(ERCP)は慢性膵炎の診断に有用か?
(4)機能検査
 CQ1-09 慢性膵炎の診断に外分泌機能検査は有用か?
(5)病理検査
 CQ1-10 病理組織学的検索は慢性膵炎の診断に必要か?
(6)鑑別診断
 CQ1-11 慢性膵炎と鑑別すべき疾患にはどのようなものがあるか?(膵癌との鑑別は容易か?)
(7)遺伝子検索
 CQ1-12 遺伝子検査は慢性膵炎の診断に有用か?

2.病期診断
(1)病期診断の必要性
 CQ2-01 慢性膵炎の重症度・病期・治療効果の判定は必要か?
(2)臨床所見
 CQ2-02 臨床徴候(所見)による重症度・病期・治療効果の判定は可能か?
(3)生化学検査
 CQ2-03 血中・尿中膵酵素測定による重症度・病期・治療効果の判定は可能か?
(4)画像検査
 CQ2-04 画像検査は重症度・病期・治療効果の判定に有用か?
(5)機能検査(外分泌)
 CQ2-05 膵外分泌機能検査は重症度・病期・治療効果の判定に有用か?
(6)機能検査(内分泌)
 CQ2-06 各種耐糖能検査は重症度・病期・治療効果の判定に有用か?
(7)スコア化
 CQ2-07 スコア化による重症度・病期・治療効果の判定は可能か?

3.治療
(1)治療方針
 CQ3-01 成因、活動性(再燃と緩解)、重症度、病期を考慮した治療は可能か?
 CQ3-02 どのような生活習慣が慢性膵炎の治療に必要か?(アルコール性と非アルコール性で違いはあるか?)
(2)生活指導
 CQ3-03 アルコール性慢性膵炎の禁酒指導をどのように行うか?
 CQ3-04 慢性膵炎の腹痛緩和に脂肪制限は有効か?
(3)疼痛対策
 CQ3-05 どのような鎮痛・鎮痙薬が慢性膵炎の腹痛に有効か?
 CQ3-06 消化酵素薬の大量投与は慢性膵炎の腹痛に有効か?
 CQ3-07 蛋白分解酵素阻害薬は慢性膵炎の腹痛に有効か?
 CQ3-08 膵石(蛋白栓)溶解療法は慢性膵炎の腹痛に有効か?
 CQ3-09 麻薬は慢性膵炎の腹痛治療に必要か?
 CQ3-10 抗うつ薬は慢性膵炎の腹痛に有効か?
 CQ3-11 ESWLを含む内視鏡的治療は慢性膵炎の腹痛に有効か?
 CQ3-12 内視鏡的治療中止のタイミングは?(内視鏡的治療をどの程度反復すべきか?)
 CQ3-13 EUS/CTガイド下腹腔神経叢neurolysis(CPN)は慢性膵炎の腹痛に有効か?
 CQ3-14 外科的治療は内視鏡的治療(ESWL併用を含む)無効な腹痛例に有効か?
 CQ3-15 膵管ドレナージ術は慢性膵炎の腹痛に有効か?
 CQ3-16 膵切除術は慢性膵炎の腹痛に有効か?
 CQ3-17 膵管ドレナージ術と膵切除術ではどちらが慢性膵炎腹痛に対してより有効か?
 CQ3-18 難治性腹痛に膵全摘術(TP)は必要か?
 CQ3-19 内臓神経切除術は慢性膵炎の腹痛に有効か?
(4)外分泌不全の治療
 CQ3-20 慢性膵炎治療における適正カロリーと食事内容をどのように決定するか?
 CQ3-21 消化酵素薬は慢性膵炎治療に有効か?
 CQ3-22 消化酵素薬に胃酸分泌抑制薬の併用は有効か?
 CQ3-23 脂溶性ビタミン薬は慢性膵炎治療に有効か?
(5)糖尿病の治療
 CQ3-24 膵性糖尿病治療における適正カロリーと食事内容をどのように決定するか?
 CQ3-25 経口血糖降下薬は膵性糖尿病に有効か?
 CQ3-26 膵性糖尿病におけるインスリン治療開始の指標は何か?
 CQ3-27 膵性糖尿病の治療にはどのような血糖コントロールを目標とすべきか?
 CQ3-28 慢性膵炎における糖尿病慢性合併症の診断と治療をどのようにすべきか?
(6)合併症の治療
 CQ3-29 絶飲食/中心静脈栄養/蛋白分解酵素阻害薬は慢性膵炎の炎症性(仮性)膵嚢胞 の治療に有効か?
 CQ3-30 酢酸オクトレオチドは慢性膵炎の炎症性(仮性)膵嚢胞 の治療に有効か?
 CQ3-31 内視鏡的または経皮的ドレナージは慢性膵炎の炎症性(仮性)膵嚢胞 の治療に有効か?
 CQ3-32 慢性膵炎の炎症性(仮性)膵嚢胞 に対して外科手術は必要か?
 CQ3-33 内視鏡的/経皮的ドレナージは慢性膵炎に合併した膵膿瘍の治療に有効か?
 CQ3-34 慢性膵炎の膵膿瘍に対して外科手術は必要か?
 CQ3-35 IPF(internal pancreatic fistula、膵性胸腹水)に対する適切な治療法は何か?
 CQ3-36 慢性膵炎に伴う胆道狭窄に対する適切な治療法は何か?
 CQ3-37 hemosuccus pancreaticusに有効な治療法は何か?
4.予後
(1)病態の進行阻止
 CQ4-01 内視鏡的治療(ESWLの併用を含む)は慢性膵炎の病態進行の阻止に有効か?
 CQ4-02 外科手術は慢性膵炎の病態進行の阻止に有効か?
(2)膵癌・その他の癌の危険性
 CQ4-03 慢性膵炎は癌合併の高リスク群か?
(3)生命予後
 CQ4-04 患者の生命予後は何によって規定されるか(アルコール性と非アルコール性で違いはあるか?)
 CQ4-05 慢性膵炎患者に対してどのような経過観察が必要か?(アルコール性と非アルコール性で違いはあるか?)

厚生労働省難治性膵疾患に関する調査研究班の全国調査によると、2007年1年間のわが国における慢性膵炎受療患者数は50、009人と推定され、1974年の調査以来、増加し続けている。慢性膵炎は経過の長い疾病であり。経過とともに病態が変化するため、病期を考慮した治療が求められる。最近の長期予後調査によれば、慢性膵炎患者の平均寿命は一般対照に比べて10歳から16歳も短い可能性が示され、死因として悪性腫腫瘍の合併が多いことも報告されている。米国消化器病学会は1998年に慢性膵炎の腹痛に関するガイドラインを提唱したが、慢性膵炎の全経過を視野に置いた包括的な診療指針はこれまで示されたことはなかった。日本消化器病学会が作成した本ガイドラインは、慢性膵炎患者の生活の質と生命予後の改善を目指し、病期毎に診療指針を示した初めての試みである。
 本ガイドラインは、日本消化器病学会が企画した消化器6疾患のガイドライン作成の一環である。2006年4月19日、第92回日本消化器病学会総会の前日に第1回ガイドライン統括委員会(以下、統括委員会)が開催され、6疾患[胃食道逆流症(GERD)、消化性潰瘍、炎症性腸疾患(クローン病)、肝硬変、胆石症、慢性膵炎]のガイドライン作成が開始された。慢性膵炎診療ガイドライン作成委員会は、大槻眞担当理事のもとに下瀬川徹を作成委員長、白鳥敬子氏を評価委員長とし、他に9名の作成委員、1名のオブザーバー、4名の評価委員と文献検索担当の山口直比古氏で構成された。作成指針に従い。まずクリニカルクエスチョン(CQ)を完成させ、文献の網羅的検索文献の抽出採用文献の構造化抄録の作成、CQに対する推奨グレードの決定、推奨文および説明文の作成へと作業を進めた。作成過程の要点で計4回の作成委員会を開催し、また、6回の統括委員会を通じて他5疾患のガイドライン作成と相互調整を行った。2007年10月18日にはJDDW2007の特別企画「日本消化器病学会によるガイドラインをめぐって」で中間報告を行い、2008年5月8日の第94回日本消化器病学会総会のPD3「消化器疾患診療ガイドラインの現状と問題点」で素案を発表、2008年10月2日開催のJDDW2008特別企画「消化器病学会ガイドライン最終報告‐慢性膵炎‐」で最終案を公表した。2009年2月3日から約2ヵ月間、日本消化器病学会ホームページ上に公開してパブリックコメントを求め、一部修正後に評価委員の了承を受け、出版の運びとなった。
 完成された慢性膵炎診療ガイドラインは合計61個(診断12個、病期診断7個、治療37個、予後5個)のCQで構成される。治療関連のCQは、病期・病態ごとに分類、整理し、使いやすいガイドラインであるよう心がけた。文献検索は東邦大学メディカルセンターが担当し、1983〜2007年の論文を対象として、CQごとに設定されたキーワードに従い、PubMedと医中誌から網羅的に行われた。検索総数は、英文論文4、773鼠、邦文論文2、548編であった。「Minds診療ガイドライン作成の手引き2007」(医学書院)に従って、文献をエビデンスレベルの高さによって分類し、可能な限り質が高く、臨床上有用と思われる論文を選択、採用した。CQに対する推奨グレードは、「Minds診療ガイドライン作成の手引き2007」を一部改変した日本消化器病学会の推奨グレード分類に従い決定した。決定された推奨グレードは、A:2、B:25、C1:31、C2:6、D:1であった。治療に関するエビデンスとして採用された論文のうち、レベルIII以上のものは15%弱であった。
 本ガイドラインは、慢性膵炎の診療に一定の指針を与え、臨床上の実用性を重視した内容を目指した。慢性膵炎診療に関する質の高いエビデンスは世界的にも極めて不足しており、エビデンスレベルが低くても、臨床上有用と思われる論文を優先的に採用した。本ガイドラインの作成を通じて、わが国においても、慢性膵炎の診療に関する質の高いエビデンスの集積が希求の課題であることが明らかとなった。
2009年8月
日本消化器病学会慢性膵炎診療ガイドライン作成委員長
下瀬川徹