書籍

運動処方の指針原書第8版

運動負荷試験と運動プログラム

監訳 : 日本体力医学会体力科学編集委員会
ISBN : 978-4-524-26216-8
発行年月 : 2011年7月
判型 : A5
ページ数 : 416

在庫あり

定価3,780円(本体3,500円 + 税)

正誤表

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文
  • 書評

アメリカスポーツ医学会(ACSM)の運動処方ガイドラインの最新版。最新の研究知見に沿った推奨事項に適合した運動負荷試験・運動処方をわかりやすく提示。今版では、高齢者・妊婦・小児における運動処方をより充実させるとともに、読みやすくわかりやすいよう図表・本文も工夫している。日本における資格試験に即した用語にも配慮した、健康・運動指導の専門家をめざす人に最適の一冊。

ACSM's Guidelines for Exercise Testing and Prescription(Eighth Edition)
American College of Sports Medicine

Section I 健康の評価およびリスクの判定
1.身体活動に伴う有益性とリスク
 A.身体活動と体力に関する用語
 B.最新の勧告に対する公衆衛生的展望
 C.定期的な身体活動や運動の有益性
 D.運動に伴うリスク
2.健康スクリーニングとリスク層別化の準備
 A.参加前のスクリーニング
 B.リスクの層別化
 C.リスクカテゴリーに基づいた運動負荷試験と運動参加についての勧告
 D.リスクカテゴリーに基づいた運動負荷試験とその監視についての勧告
 E.心疾患患者におけるリスク層別化

Section II 運動負荷試験
3.運動負荷試験前の体力およびリスク評価
 A.問診、診察、臨床検査
 B.運動負荷試験の禁忌
 C.インフォームド・コンセント
4.健康関連体力テストおよびその解釈
 A.健康関連体力テストの目的
 B.基本原則および指針
 C.体組成
 D.心肺持久力
 E.筋力と筋の持久力
 F.柔軟性
 G.包括的な健康体力評価
5.運動負荷試験の臨床
 A.適応と応用
 B.運動負荷試験の様式
 C.運動負荷試験のプロトコール
 D.復職のための負荷試験
 E.運動負荷試験中の測定
 F.運動負荷後の回復期
 G.画像診断を用いた負荷試験(負荷イメージ検査)
 H.運動負荷試験の監視
6.運動負荷試験による臨床データの解釈
 A.冠動脈疾患のスクリーニングテストとしての運動負荷試験
 B.多段階運動負荷試験結果の解釈
 C.運動負荷試験の診断能

Section III 運動処方
7.運動処方の一般原則
 A.運動の様式(種類)
 B.運動トレーニングセッションの構成要素
 C.有酸素(持久性)運動
 D.有酸素運動処方の要素:FITTの原則
 E.筋フィットネス
 F.柔軟性の運動(ストレッチング)
 G.運動制御能力を高めるトレーニング
 H.運動プログラムの監視
 I.運動の導入・維持を改善するための手だて
8.健常者と特殊な状況にある人の運動処方
 A.妊娠
 B.小児期および青年期
 C.高齢者
 D.環境的考察
9.心疾患患者の運動処方
 A.入院患者のリハビリテーションプログラム
 B.外来運動プログラム
 C.事前運動負荷試験なしでの運動処方
 D.心疾患患者のレジスタンストレーニング
 E.復職のための運動トレーニング
10.他の臨床疾患患者の運動処方
 A.関節炎
 B.癌(悪性腫瘍)
 C.糖尿病
 D.機能障害
 E.脂質異常症
 F.ヒト免疫不全ウイルス
 G.高血圧症
 H.メタボリックシンドローム
 I.過体重および肥満症
 J.骨粗鬆症
 K.末梢動脈疾患
 L.呼吸器疾患
 M.腎疾患

Section IV 付録
 付録A.汎用薬
 付録B.救急管理
 付録C.心電図(ECG)の解釈
 付録D.ACSMの認定資格

 索引

本書はアメリカスポーツ医学会より出版されている『ACSM's Guidelines for Exercise Testing and Prescription』の原書第8版の翻訳本である。ACSMでは1975年に初版を刊行して以来、第8版を数えるに至った。版を重ねるに従い、スポーツ科学や臨床的知見が膨大な量になったため、『Resource Manual for Guidelines for Exercise Testing and Prescription』、『Resources for Clinical Exercise Physiology』、『Certification Review Book』および『Exercise Management for Persons with Chronic Diseases and Disabilities』を原書第8版と同時に出版し、膨大な情報量はこれらの姉妹編に委ねられた。
 原書第8版では「健康・運動指導者、内科医、看護師、理学療法士、栄養士等医療従事者がより使いやすい運動処方の指針になるようにした」ことが強調されている。さらに、第8版では高齢者、妊婦および小児に対する運動処方についての新たな章が設定されている。
 原書第8版の翻訳に際しては、第7版でみられた誤訳や不適切な日本語訳を解消するため、日本体力医学会体力科学編集委員会委員を中心に翻訳した。そのため、各編集委員の専門領域を翻訳分担領域とし、それでも対応できない場合にのみ編集委員以外の方に共訳者として依頼した。本訳書では、原書の記述が難解な表現はより理解しやすく訳出すること、実情に即さないケースでは訳者註を設けること、などの工夫をした。
 これまで『運動処方の指針』は、公共・民間運動施設および医療機関における運動指導員、スポーツインストラクターおよび医療従事者など幅広い読者層に普及している。たとえば、日本フィットネス協会では、1987年より翻訳版『運動処方の指針』をACSM資格認定テキストとして用いている。同協会では、ACSMの資格認定のうち健康体力(ヘルスフィットネス)スペシャリストの日本語講習会において資格認定テストが実施されている。しかし、翻訳されたテストで用いられている「用語」と翻訳版『運動処方の指針』の「用語」に若干の相違があり、ACSM資格認定試験受験者や現場の運動指導者の間で混乱が生じていたため、第8版では用語が統一されるよう要望をいただいた。そこで本訳書ではこの点を十分に配慮し、日本フィットネス協会関係者の協力を得て専門の用語や表現をできる限り統一した。
日本体力医学会体力科学編集員会
委員長 鈴木政登
(東京慈恵会医科大学医学部臨床検査医学教授)
副委員長 今泉和彦
(早稲田大学人間科学学術院生態機能学教授)

2009年に米国スポーツ医学会(ACSM)により刊行された『ACSM's Guidelines for Exercise Testing and Prescription』(第8版)の翻訳版が発行された。2005年に原著が、2006年に翻訳版が刊行された第7版と同じく、日本体力医学会体力科学編集委員会のメンバーが翻訳作業を行った。本書の初版は1975年に、運動処方に関する情報を運動指導にかかわる者や臨床専門職に提供する目的で刊行され、以後版を重ねてきた。しかしスポーツ科学や関連分野の研究の進歩に伴い内容が膨大になり、活字は小さく、本は厚くなってきていた。そこで第8版では、本書をあくまでも指針(ガイドライン)となるテキストにするという方針のもと、詳細な説明文や膨大な情報の収載を避け、これらは原著と同時に出版された、『ACSM's Resource Manual for Guidelines for Exercise Testing and Prescription』、『ACSM's Resources for Clinical Exercise Physiology』、『ACSM's Certification Review』、『ACSM's Exercise Management for Persons with Chronic Diseases and Disabilities』に含めたとのことである。
 基本的な章の構成は第7版と大きくかわっていない。すなわち、「Section I。健康の評価およびリスクの判定」では、身体活動の有益性、運動に伴うリスクとそれを判定するためのスクリーニングについて、「Section II。運動負荷試験」では運動負荷試験実施前の診察、運動負荷試験を含む各種検査の実際と解釈について、「Section III。運動処方」では運動処方に関する一般的な原則、また代表的な疾患や特殊な状態における運動負荷試験と運動処方の実際について述べられている。「Section IV。付録」には、汎用薬の種類と循環器系・運動機能への影響、運動負荷試験や運動トレーニング中の救急管理、心電図の解釈、ACSMの認定資格に関する情報が収められている。
 前述の「詳細な説明文や膨大な情報の収載を避け」るという方針により、本書は図表と比較的短い説明文、箇条書きの重要事項、厳選された参考文献から構成され、読みやすいものになっている。たとえば高齢者に対する運動処方の章では、高齢者の身体活動に関する総論について、加齢が生理学的指標と健康関連指標に与える影響の表を引用して簡単に触れた後、「運動負荷試験」について8項目からなる箇条書きの考慮すべき点をあげて述べ、さらに「超高齢者群に対する運動負荷試験」に関して3項目の推奨事項とともに記載している。「運動処方」では有酸素運動、筋力増強運動、柔軟性の運動についてその頻度、強度、種類を記載している。最後に「特別な配慮」として9項目の考慮すべき点をあげている。すなわち高齢者に対する運動処方について、表一つ、箇条書きのまとめ4つを含めて全体でB5判6ページにまとめられ、関連引用文献も5つ程度にとどまっている。5分もあれば高齢者の運動処方の基本を学ぶことができる。
 評者は3年ほど前に、本書にも何度か引用されている『Exercise Testing and Exercise Prescription for Special Cases;Theoretical Basis and Clinical Application』の第3版(Skinner JS編、Lippincott Williams and Wilkins刊、2005年)を教室の抄読会で輪読した。こちらは文字が多く図表が少なかったため、読んで理解するのに苦労した覚えがあるが、本書は初心者から中級者が通読し、必要であれば詳しい情報について参考文献を当たるのに適した内容である。今後も改訂が重ねられると思うが、日本体力医学会による翻訳作業が継続されることを希望する。
評者● 芳賀信彦
臨床雑誌整形外科63巻3号(2012年3月号)より転載