書籍

悪性リンパ腫治療マニュアル改訂第4版

編集 : 飛内賢正/木下朝博/塚崎邦弘
ISBN : 978-4-524-26171-0
発行年月 : 2015年9月
判型 : B5
ページ数 : 336

在庫あり

定価8,208円(本体7,600円 + 税)


  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文
  • 書評

1998年の初版刊行以来、好評を博している決定版マニュアル。今改訂では、ベンダムスチン、モガムリズマブ等の新薬の使い方、詳細なレジメン、FDG-PET導入の実際等の最新情報を収録した。治療方針を立てるために必要な知識を体系的にまとめた、悪性リンパ腫診療に携わる医師・医療スタッフ必読の一冊。

I 治療の前に
 1.悪性リンパ腫の疫学
 2.悪性リンパ腫の分子生物学
 3.生検材料の取り扱いのポイントと実際
  A.臨床側からみたリンパ節生検のポイント
  B.病理組織検査と細胞診検査
  C.フローサイトメトリーと免疫組織化学
  D.染色体・遺伝子検査の実際
 4.病理診断のポイント
  A.WHO分類の概説と今後の方向性
  B.低悪性度リンパ腫・マントル細胞リンパ腫の病理診断のポイント
  C.びまん性大細胞型B細胞リンパ腫・Burkitt リンパ腫の病理診断のポイント
  D.T/NK細胞リンパ腫各疾患の病理診断のポイント
  E.Hodgkin リンパ腫と非Hodgkin リンパ腫の鑑別のポイント
  F.反応性リンパ性病変とリンパ腫の鑑別のポイント
 5.病期診断
  A.病期診断の実際
  B.病期決定に有用な画像診断−CTとFDG-PET
 6.予後予測因子と予後予測モデル
 7.リンパ腫診療・研究とインフォームドコンセント/セカンドオピニオン
II 治療手段と有害反応対策
 1.化学療法
  A.リンパ腫治療に用いられる抗がん薬と併用療法の考え方
  B.化学療法による血液毒性と感染症対策のポイント
  C.化学療法による非血液毒性と対策のポイント
  D.腫瘍崩壊症候群への対策
  E.ウイルス性肝炎への対策
 2.放射線治療の実際と最近の進歩
 3.抗体療法
  A.rituximab
  B.ibritumomab tiuxetan
  C.mogamulizumab
  D.ofatumumab
 4.造血幹細胞移植の適切な施行対象と施行時期
 5.自家造血幹細胞移植併用大量化学療法
  A.悪性リンパ腫に対する自家造血幹細胞移植併用大量化学療法の原理と実際
  B.自家造血幹細胞移植併用大量化学療法の有害反応とその対策
 6.同種造血幹細胞移植
  A.リンパ腫に対する同種造血幹細胞移植の原理と実際
  B.同種造血幹細胞移植療法の主な合併症と対策
 7.無治療経過観察(watchful waiting,initial active observation)
 8.悪性リンパ腫治療後の晩期障害と二次がん
III 治療の実際
 1.病型別治療方針−標準的治療,研究的治療
  A.濾胞性リンパ腫
  B.MALT リンパ腫
  C.リンパ形質細胞性リンパ腫/原発性マクログロブリン血症
  D.マントル細胞リンパ腫
  E.びまん性大細胞型B細胞リンパ腫
   1)限局期
   2)進行期
  F.Burkittリンパ腫
  G.末梢性T細胞リンパ腫
  H.成人T細胞白血病リンパ腫
  I.節外性NK/T細胞リンパ腫,鼻型
  J.リンパ芽球性リンパ腫
  K.Hodgkinリンパ腫
  L.治療上特別な配慮を要する疾患
   1)皮膚のリンパ腫
   2)中枢神経系のリンパ腫
   3)眼付属器のリンパ腫
   4)乳腺のリンパ腫
   5)消化管のリンパ腫
   6)精巣のリンパ腫
   7)血管内大細胞型B細胞リンパ腫
   8)HIV関連リンパ腫
   9)免疫不全関連リンパ増殖性疾患(HIV関連を除く)
 2.治療レジメンと治療遂行上の注意点
  A.非Hodgkinリンパ腫
  初回治療
   1)CHOP±R療法
   2)CODOX-M/IVAC±R療法
   3)CVP±R療法
   4)hyper-CVAD±MA療法
   5)RT-2/3DeVIC療法
  サルベージ療法
   1)ESHAP±R療法
   2)DA-EPOCH±R療法,EPOCH±R療法
   3)ICE±R療法
   4)DeVIC±R療法
   5)CHASE±R療法
   6)GDP±R療法,gemcitabine±R療法
   7)bendamustine±R療法
  B.Hodgkin リンパ腫
   1)ABVD療法
   2)BEACOPP療法
  C.成人T細胞白血病リンパ腫
   1)VCAP-AMP-VECP療法(mLSG15療法)
 3.治療効果判定の実際と注意点
 4.リンパ腫の診療と臨床試験へのFDG-PETの導入
  A.リンパ腫多施設共同試験のquality control(QC)
  B.PETによる治療変更
IV 高齢者,小児,合併症を有する患者の悪性リンパ腫
 1.高齢者の悪性リンパ腫
 2.小児の悪性リンパ腫
 3.合併症・臓器機能障害を有する患者の悪性リンパ腫
V 新薬開発,臨床試験のあり方
 1.JCOG リンパ腫グループによる多施設共同研究
 2.がん臨床試験による標準的治療の変革とJCOGの活動
 3.適応外医薬品を用いた臨床試験と先進医療制度
 4.B細胞リンパ腫に対する新薬開発
 5.T細胞リンパ腫とHodgkin リンパ腫に対する新薬開発
索引

改訂第4版の序

 悪性リンパ腫は、発生母地となる免疫系の多様な細胞構成、多彩な病因と分子異常を反映して、多様性に富む疾患群から成る。病理組織分類も幾多の変遷を重ねつつ精密さを増してきた。治療手段は、無治療経過観察、外科切除、放射線療法、化学療法、抗体療法、分子標的療法、自家および同種造血幹細胞移植、Helicobacter pylori除菌療法など多岐にわたる。このように多様な疾患群の患者に対し、適切な診療を実施するための有用な指針とすることを第一の目的として、藤田保健衛生大学の平野正美教授(現名誉教授)と国立がん研究センター中央病院の飛内賢正の企画・編集により、1998年に本書初版が刊行された。初版を振り返ってみると、Working Formulationによる3段階の悪性度分類が治療選択の基軸とされ、複数の第三世代化学療法レジメンにかなりの記載が割かれている。
 その後、堀田知光先生(現国立がん研究センター理事長)が加わって、3名の企画・編集による第2版が2003年に刊行された。WHO分類第3版による疾患単位認識に基づく治療選択、特にB細胞リンパ腫に対するキメラ型抗CD20抗体rituximab導入が大きな変化であった。
 2009年の第3版では、平野教授が木下朝博先生(現愛知県がんセンター中央病院血液・細胞療法部)に交代となり、飛内、堀田との3名による企画・編集が行われた。WHO分類第4版への病理組織分類改訂、病期診断や効果判定へのFDG-PETの導入、ATLと鼻咽頭原発NK/T細胞リンパ腫に対するJCOG試験、B型肝炎ウイルスキャリア対策などに関する新たな章立てが行われた。
 そして本改訂第4版では、堀田先生が塚崎邦弘先生(国立がん研究センター東病院血液腫瘍科、JCOG リンパ腫グループ代表者)に交代となり、低・中・高悪性度の群に大別して記載されていた病型別治療方針をWHO分類第4版による疾患単位別に記載する方針を採用した。他に、腫瘍崩壊症候群、mogamulizumab、ofatumumab、gemcitabine、HIV関連リンパ腫、PET診断による治療変更などを新たに項立てした。これらは最近5〜6年間のリンパ腫の診療と研究の進歩を踏まえている。
 抗CD30ADC、抗CD79b ADC、BTK inhibitor、PI3K inhibitor、bcl-2inhibitor、抗PD-1抗体などの有力な新薬が目白押しであり、リンパ腫治療が今後も進歩し続けることは確実である。
 本改訂第4版が診療現場で利用され、リンパ腫患者診療の質の向上につながれば、著者・編集者・出版社にとって大きな喜びである。

2015年8月
飛内賢正
木下朝博
塚崎邦弘

 書評を依頼されて,送られてきた本書を手にしてまず注目したのは,どこがどのように改訂されているのかである.というのも改訂第3版までは私が編集者の一人であったためでもある.初版が1998年に刊行されて今回の改訂第4版は6年ぶりの改訂であるが,この間に悪性リンパ腫領域では診断ならびに治療において飛躍的な進歩があり,これらを積極的に取り入れると同時に古くなった部分は思い切って簡素化するなどによって総頁数は300頁余りとむしろコンパクトになっている.本書における写真や図は改訂第3版と同様にフルカラーであるが,さらに本文やイラストが2色刷りとなり,見出しや,重要なフレーズが強調されていて印象に残る.
 内容に関しては「I.治療の前に」,「II.治療手段と有害反応対策」,「III.治療の実際」,「IV.高齢者,小児,合併症を有する患者の悪性リンパ腫」,「V.新薬開発・臨床試験のあり方」という章立ては変わっていない.しかし,各章における項目立ては追加されたり,まとめられたりしてよく整理されている.さらに各論については最新の病理分類に基づいた治療法の解説と,実際の治療方針は標準治療と研究的治療に分けてまとめられている.また,治療レジメンの紹介と治療遂行上の注意点が実践的に要領よく示されている.さらに,標準治療確立のための多施設共同研究,適応外医薬品を用いた臨床試験や先進医療制度の解説に加え,最新の新薬開発状況が紹介されているのも他書にない特徴となっている.
 さて,改訂第4版の最大の改訂は,執筆陣の3分の1が若手研究者や臨床医に入れ替わったことであり,その内容は最新かつ新鮮である.既存の執筆者も記述を全面的に見直し,必要な改稿を加えているのはさすがである.
 本書は悪性リンパ腫に関して幅広い角度から要領よくまとめられた実践書であり,これ一冊で悪性リンパ腫治療の重要事項がすべてわかる良書である.

臨床雑誌内科117巻6号(2016年6月号)より転載
評者●国立がん研究センター名誉総長 堀田知光