教科書

新しい食物学改訂第3版

食生活と健康を考える

編集 : 加藤陽治/長沼誠子
ISBN : 978-4-524-26064-5
発行年月 : 2010年4月
判型 : B5
ページ数 : 172

在庫あり

定価1,944円(本体1,800円 + 税)

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文

「食べ物を科学する」という視点で食物学をとらえ直した新しい教科書。教員養成課程や家政・生活科学系の学生が、健康と栄養・食生活についての基礎知識を身につけられるように構成。新知見と最新のトピックスについてもわかりやすく解説し、2010年版食事摂取基準にも対応。実際の講義に即した使いやすいボリュームになっている。

第1章 健康と食生活
1-1 健康とは
 1 健康の概念
 2 健康の成立条件とヘルスプロモーション
  a.健康の成立条件
  b.健康の水準と疾病予防のためのアプローチ
  c.ヘルスプロモーション
 3 健康と生活習慣
 4 生活習慣病
1-2 健康と社会
 1 人口動態
 2 疾病構造の変化
1-3 国民健康づくり
 1 第一次国民健康づくり対策
 2 第二次国民健康づくり対策(アクティブ80ヘルスプラン)
 3 21世紀の国民健康づくり運動(健康日本21)
1-4 健康と食生活
 1 食生活の実態
 2 食生活と健康問題
 3 食事指導の実際
  a.食事バランスガイド
  b.4群点数法
  c.糖尿病食品交換表
 4 食中毒
1-5 日本人の食生活の諸問題
 1 食生活の変化と問題点
 2 食生活の外部化と健康問題
 3 食生活の国際化、多様化と食料問題
 4 食生活とごみ、環境問題
1-6 これからの食生活─食料、食品、食物、食事
 1 何を食べるか?─食料、食品、食物
  a.食料─環境と調和のとれた生産
  b.食品─賢い選択
  c.食物─おいしく調理
 2 どのように食べるか?─いつ、どこで、だれと、どんなふうにして
  a.生体リズムに適応した食事
  b.楽しく豊かな食事─共食と食文化
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第2章 食物の安全
2-1 食物の安全とは
 1 食品衛生法および食品衛生関連法規について
 2 食品の安全性とは
 3 食中毒の実態
2-2 食の素材の安全性
2-3 食品添加物
 1 食品添加物の安全性評価
 2 食品添加物の分類・用途
 3 食品衛生法の一部改正─新しい食品添加物の規制について
2-4 農薬とその安全性について
 1 農薬とは
 2 農薬の安全性について
 3 残留農薬について
2-5 非意図的に食品に混入してくる化学物質の安全
 1 ダイオキシンとPCB
 2 内分泌撹乱物質(環境ホルモン)
2-6 ウイルスおよび細菌による食中毒
 1 ウイルス性食中毒
 2 細菌性食中毒
  a.感染型食中毒
  b.毒素型食中毒
  c.生体内毒素型(中間型)食中毒
 3 細菌による食中毒と経口感染症
2-7 製造・流通レベルでの食の安全性確保
 1 コールドチェーン
 2 HACCPについて
2-8 遺伝子組換え食品
 1 遺伝子組換え食品とは
 2 安全性とその評価
 3 遺伝子組換え食品添加物
2-9 安全な食生活を営むために
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第3章 食物と栄養
3-1 三大栄養素
 1 糖質の種類と構造
  a.単糖
  b.オリゴ糖(少糖)
  c.多糖
 2 脂質の種類と構造
  a.脂肪酸
  b.トリアシルグリセロール(中性脂肪)
  c.リン脂質
  d.ステロール
 3 タンパク質の種類と構造
  a.アミノ酸
  b.タンパク質
3-2 消化と吸収
 1 消化
 2 吸収
3-3 糖質の栄養
 1 エネルギー生産
  a.解糖系
  b.クエン酸回路
  c.電子伝達系
  d.共通の代謝経路
 2 グリコーゲンの代謝
 3 糖新生
3-4 脂質の栄養
 1 脂質の運搬
 2 エネルギー生産
 3 脂肪酸の合成
 4 エイコサノイド
 5 コレステロール
3-5 タンパク質の栄養
 1 体タンパク質の代謝
 2 アミノ酸の代謝
 3 タンパク質の栄養価
3-6 ビタミンの栄養
 1 脂溶性ビタミン
 2 水溶性ビタミン
3-7 無機質の栄養
 1 主要元素(多量元素)
 2 微量元素
3-8 エネルギー代謝
 1 基礎代謝と安静時代謝
 2 活動代謝
 3 身体活動の強度
3-9 食事摂取基準
 1 エネルギー
 2 タンパク質
 3 脂質
 4 炭水化物、食物繊維
 5 ビタミン
 6 ミネラル
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第4章 食物と嗜好
4-1 食べ物の二次機能
4-2 食べ物のおいしさ
 1 おいしさと食嗜好
 2 おいしさ評価のメカニズム
 3 おいしさ評価の基本的要因─食べ物の食味特性
  a.外観(視覚)
  b.香り(嗅覚)
  c.味(味覚)
  d.テクスチャー(触覚、視覚)
  e.温度(温覚・冷覚)
  f.音(聴覚)
  g.特性の寄与率(感覚の重要度)
 4 おいしさ評価の変動要因
  a.食べる時の食事環境
  b.食べる人の生理状態
  c.食べる人の心理状態
  d.食べる人の食嗜好、食経験、食知識、食情報など
4-3 食べ物のおいしさと調理
 1 調理とは
 2 調理操作と食べ物のおいしさ
  a.調理操作の分類
  b.調理操作の目的と方法─こめの調理を例として
 3 調味操作と食べ物のおいしさ
  a.調味操作と調味料
  b.調味操作の目的と方法
4-4 食嗜好の形成
 1 食嗜好形成のメカニズム
 2 食嗜好の加齢による変化
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第5章 食物の生体調節機能
5-1 食品の機能
5-2 生体機能の調節
5-3 生体機能調節成分
 1 食物繊維
  a.消化管の機能に対する効果
  b.腸内細菌に対する影響
  c.大腸がん発生率の抑制効果
  d.血糖上昇の抑制効果
  e.血中コレステロール低下作用
  f.その他
 2 オリゴ糖・糖アルコール
  a.整腸作用
  b.う歯予防効果
  c.ミネラル吸収促進作用
  d.インスリン分泌非刺激性
 3 タンパク質・ペプチド
  a.カルシウムの吸収促進効果
  b.オピオイド活性
  c.血圧降下効果
  d.血中コレステロール改善効果
  e.抗菌作用
 4 エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸
 5 カプサイシン
 6 抗アレルギー成分
 7 抗酸化成分
  a.茶のポリフェノール
  b.りんごのポリフェノール
  c.ブルーベリーのポリフェノール
5-4 健康食品と特定保健用食品
  a.栄養機能食品
  b.特定保健用食品
  c.特別用途食品
5-5 日常の食生活と食材
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第6章 望ましい食物摂取と食教育
6-1 望ましい食物摂取と食事計画
 1 食の自己管理能力(食のマネージメント能力)
 2 食事計画の必要性
 3 食事計画の実践と評価
  a.1回の食事バランス
  b.食品群と一日の食事バランス
  c.食事バランスガイドの活用
  d.一週間・一年間の食事バランス
 4 ライフステージと食物摂取
  a.幼年期
  b.少年期・青年期
  c.成年期・壮年期
  d.高年期
6-2 これからの食育・食教育
 1 食をめぐる現状と食育
  a.食をめぐる現状と課題
  b.食育の目的および食育基本法の概要
  c.食育推進基本計画の概要
 2 食育と食教育
 3 学校における食教育
  a.食に関する指導の内容
  b.食に関する指導にかかる全体計画の作成
  c.栄養教諭の役割
  d.学校における食教育の課題
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用語解説
索引

コラム 健康を規定している法規等/植物がとった生き残り戦略と食の安全性/残留農薬のポジティブリスト制/トランス脂肪酸/味覚地図(舌の上の味覚の局在)はあるのか?/メタボリックシンドローム/よく噛んで食べることの大切さ─咀嚼と食べ物を考える─/食育はいつから使われているか

今日、私たちの食生活は豊かになったといわれている。スーパーマーケットやデパートの食料品売場では、産地直送の生鮮野菜から有名レストラン製造の惣菜まで、まさに多様な食べ物の列に目をうばわれる。また、テレビやインターネットでは、健康、栄養、食に関する情報の波に驚かされる。このように私たちは、いつでも、どこでも、食べ物やその情報を人手し、利用することができる状況にある。
 一方、私たちの食生活には、健康や食料等に関するさまざまな課題が指摘されている。生活習慣病の増加、欠食や孤食等の食習慣の乱れ、食料自給率の低下、食料資源の浪費等である。そこで、自らの健康と食生活を見直し、その課題と方策を探ることが、私たち一人ひとりに求められる。つまり日常の生活において、適切に食べているかを探り、自分にとって望ましい食べ方を考え、主体的に食べ物を選択していくことである。では、健康を考えた食生活を営むためには、食べ物に関するどのような基礎知識が必要であろうか。
 これまで、食べ物に関する学問分野としては栄養学、食品学、調理学があり、成書も多くみられる。しかし、現代における食生活の課題を考える場合には、食べ物(食料、食品、食物、食事)を多面的に捉えていく必要があり、それらが私たちの体や心にどのように機能するのかについても、正しく理解することが不可欠である。
 本書は、食べ物の機能から「食べ物を科学する」という新しい視点で、「食物学」を捉え直したものである。限られた講義時間の中ではあるが、教育系、生活/家政系の学生には、健康と食生活の基礎となる「食物学」を学ぶことにより、将来の専門分野に活用できるような教科書となることを目指した。また、日常の食生活に興味関心を抱いている学生には、課題解決の方向性を示唆することができる書になるものと考えている。
 本書は6章から構成されており、それぞれ専門分野の立場から各章を執筆した。「1章 健康と食生活」では健康と食生活の課題を概説し、「2章 食物の安全」では食べ物の前提条件である安全について、「3章 食物と栄養」、「4章 食物と嗜好」、「5章 食物の生体調節機能」では食べ物の諸機能について、それぞれ解説した。「6章 望ましい食物摂取と食教育」では、2〜5章をふまえて、望ましい食事のあり方を総合的に考えるようにまとめた。
 私たちをとりまく食べ物は、これからますます多様になるであろう。生活の質を高め健康であるために望ましい食べ物とはどのようなものであろうか。「食物学」を通して、共に考えていきたいと考えている。
2001年初夏
加藤陽治
長沼誠子